機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情~最強ロボパイロットの英雄譚~   作:灰鉄蝸

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ヴガレムル事変

 

 

 

 結論から記そう。

 バナヴィア総督府による軍事侵攻として始まったこの紛争――ヴガレムル事変と呼ばれる異常事態は、極めて短期間の内に終結した。

 冬至祭を控えた十二月中旬に発生し、一週間と経たずに終わったこの戦闘の評価は様々である。

 新年を迎えるどころか、冬至祭すら待たずに終わった戦を()()()()()()と嘲笑する貴族もいたほどである。

 

 事実関係を述べるなら、これはベガニシュ帝国中央政府に対する総督府の反乱行為であり、新たな支配者にその座を追われることになった大貴族ランズバルグ侯爵の越権行為だった。

 あるいは一歩間違えていれば、帝国政府も巻き込んだ泥沼の紛争になりかねなかった事態と言えよう。

 

 このような紛争にヴガレムル伯領が巻き込まれるのは二度目だった。

 その年の初春に起きたサンクザーレ会戦と異なるのは、侵略してきたのが総督府――バナヴィア支配の元締めだったことである。

 どれほど理不尽で暴力的であろうと、バナヴィア人は甘んじて受け入れるしかない支配者の象徴。

 

 その横暴がヴガレムル伯爵クロガネ・シヴ・シノムラによって阻止され、その軍勢が無力化されたことによる政治的影響は極めて大きかった。

 紛争発生と前後して、クロガネ・シヴ・シノムラがバナヴィア全土に対して行った広域長距離通信によるラジオ放送――ヴガレムル演説の影響を加味すれば、それはこの一五年間で最も大きなイベントだったと言っていい。

 

 あくまでバナヴィア東部に留まったサンクザーレ会戦よりも、はるかに大きな影響をもたらしたのは間違いない。

 つまるところ事実は一つだけである。

 

 

 

 

――バナヴィア人の誰もが、次の時代の中心がどこにあるのかを知った。

 

 

 

 

 それがヴガレムル事変のすべてなのだ。

 ゆえにそのとき、戦場で何が起きていたのかを知るものは少ない。

 これから語られるのは、そういう無数の戦闘の集合体――歴史の教科書には載ることがない、小さな現実の寄せ集めである。

 

 

 

 

 

 

 最初から負けるとわかっている戦争を始めるものはそういない。

 どれほど不利な条件が整っていようと、勝ち目になる何らかの光を目指して戦いは始まる。それは此度、戦端を切ったランズバルグ侯爵の家臣団にしても同じことである。

 

 本来、バナヴィア/西ベガニシュ総督府の保有する戦力は強大である。彼らは有形無形の妨害工作ゆえに、バナヴィアの植民地経営に半ば失敗しており、帝国にとっては赤字を垂れ流す不良債権と化していたが――それでもなお、世界最強の軍事大国の一部だった。

 

 彼らは一五年かけてもバナヴィア王国の国富を吸い取れなかった無能者の集まりであり、同時に占領統治の失敗ゆえに常に反乱への治安維持任務に追われていた。

 要するに本国から二線級の機材を押しつけられ、テロリストの掃討戦に長い時間を費やしてきたのである。

 

 旧式だが多くのバレットナイトを所有し、多くの実戦経験を積んできたし、重戦車〈レーヴェドライ〉のような機甲戦力も少ないながら存在している。

 たとえベガニシュ帝国が大陸間戦争にその国力を費やしている最中であろうと、彼らの戦いが終わったことなどないのである。

 

 本格的な地上軍同士の衝突になれば、戦力差ですりつぶせる。であるからして、如何にヴガレムル伯爵が財力に長けた貴族であろうと、単独で総督府に対抗できると考えているものはいなかった。

 

 

――ただしこれは、あくまで総督府の全軍が命令に従った場合の話である。

 

 

 すでにランズバルグ侯爵の乱心が疑われており、これが本国に対する反逆行為ではないかと疑う貴族士官も大勢いた。

 総督府の有する大規模な地上軍は、それゆえに迅速な戦力展開とは無縁の有様だったと言ってよい。真っ向から命令に背くのは問題となるが、予定よりも行動を遅延させる消極的なサボタージュであれば取る――そのように振る舞う現場の部隊が多数派だったのである。

 

 これは明らかにベガニシュ帝国の戦争ではなく、総督府が始めた戦争だったからである。

 ましてや世間は大陸間戦争が終わり、これから冬至祭を迎えて祭日を祝おうとする時期だった。

 

 

――こんなときに上級貴族の権力闘争に巻き込まれて死ぬなど冗談ではない。

 

 

 そのような思いが、兵隊にも士官にもにじみ出ていたのである。

 であるからしてランズバルグ侯爵の方も、彼らを最初から当てにしてはいなかった。この総督はバナヴィアへの着任に当たって、自らの私兵であるランズバルグ侯爵家の騎士団を連れてきていた。

 

 いずれも精強な騎士たちであり、その戦力は大半が第二世代バレットナイト〈アイゼンリッター〉であった。

 重火器を全身のハードポイントに搭載した状態でさえ、その総重量は四トンにも満たないほどの軽量な人型兵器――人機一体の戦働きを可能とする機械仕掛けの巨人たちである。

 

 現在、ベガニシュ帝国で一般的に利用されている超伝導モーター駆動ローター採用の輸送機ならば、一度に四機のバレットナイトを輸送することが可能である。

 ある程度、まとまった数の輸送機を運用できるならば、バレットナイト一個中隊から二個中隊ほどの戦力を空輸するのも不可能ではない。

 

 ランズバルグ侯爵の勝ち筋は短期決戦である。

 ベガニシュ帝国皇帝がその意思を固め、軍部がこれに従えば、四八時間ほどで機甲部隊が空輸されてくる。そうなれば総督府とヴガレムル伯爵の間のミリタリーバランスは崩壊し、ランズバルグ侯爵の政治的生命も消え去る。

 

 ヴガレムル伯爵家の首脳部を抹殺ないし拘束し、政治的な正当性を主張する――それがランズバルグ侯爵の目論見だった。

 ゆえに戦力の軸となるのは、爆撃機による空爆でもなければ、戦車部隊による戦線を押し上げるような機甲戦でもなかった。

 

 大型航空機によって運ばれた空挺部隊による、ヴガレムル市の制圧。

 それこそが最短にして最善の戦略だったのである。

 ここで問題となるのは、ヴガレムル伯爵がこの一五年間の内に整備した対空砲陣地であった。

 

 こうした対空砲陣地の存在は、総督府の側でも把握していた。貴族領の軍備に関しては毎年、報告書を提出させていたから、ヴガレムル伯領が整備してきた防空網の分厚さも嫌というほどわかっていた。

 

 もしベガニシュ帝国が中央集権化が著しい国だったならば、このような貴族領独自の軍備など認めなかっただろう。だが実際のところ、ベガニシュ帝国とは騎士の国なのである。

 ゆえにヴガレムル伯爵の備えを阻止することはできなかった。

 

 いずれ厄介な敵になるとわかっていた相手の軍備増強に、表向きは干渉できなかったがゆえ、ここまで火種が大きくなったのである。

 ランズバルグ侯爵の勝ち筋はヴガレムル伯爵クロガネ・シヴ・シノムラの殺害・捕縛だ。

 

 

 対空レールガン砲台を無力化し、空挺部隊が押し通るための穴を押し広げなければ、この勝利条件を満たすことはできない。

 反対にクロガネの側は、対空レールガンを死守してしまえば、ランズバルグ侯爵の送りつけてくる巡行爆弾や自爆ドローン、空挺部隊の脅威を一蹴できる。

 かくして侵略者とこれに抗う防衛側の戦いは、巨大な地対空レールガンの攻防を中心にして始まった。

 

 

 

 

 

 

 真っ暗闇の空に炎が舞う。

 はるか彼方、クロイツェク管区の側から自爆ドローンの群れが押し寄せてきた――低高度を飛行するそれらに対して、国境線を越えた時点でヴガレムル伯爵軍は迎撃を行っているのだ。

 対空レールガンの火線が、あっという間に空を覆い尽くすような勢いのドローン群を撃ち落としていく。

 

 ヴガレムル伯領の有する地対空レールガンは、頑強な装甲に覆われた固定砲台の様相を呈していた。この種の対空砲陣地は、現在ではさほど珍しくなくなったものの、その強力さゆえに重用されていた。

 

 その光景をエルフリーデ・イルーシャははるか後方から視認していた。

 バレットナイトに搭載された複合センサーユニットは、光学カメラや赤外線カメラ、音響探査装置を複合して、電脳棺によって情報を統括する仕組みである。

 

 要するに目も耳も鼻も優れているのだ。

 生身であれば遠目に夜空に瞬く光を見るだけだろうが――〈アシュラベール〉の耳目ははっきりと現実を捉えていた。

 

 

「戦闘が始まった。自爆ドローンを使ったハラスメント……本命を差し込む前のジャブってところかな」

 

 

 呟いて、傍らにいる相棒に話しかけた。

 エルフリーデは今、リザ・バシュレーの駆るバレットナイト〈ラセツベール〉と共に地上に控えている。

 最前線となっている川沿いの国境線ではない。

 

 そこで現在、行われている戦闘プロセスは単純明快だった――手始めに嫌がらせのドローン攻撃を送りつけて、こちら側の対空砲の位置を露呈させ、続いて本命となる空爆や砲撃を叩き込む。

 敵側の戦術はベガニシュ帝国のドクトリンに沿ったものである。

 

 すなわち圧倒的な数の重砲や爆撃機で戦場を支配し、機甲部隊が雪崩れ込んで敵陣を攻め落とす。主力となるのが軽戦車から機甲駆体に移り変わろうと、この基本的戦術が崩されることはない。

 

 

『地図は頭に叩き込んであります。補給ポイントもばっちりです――いつ打って出ますか?』

 

 

 リザからの問いかけ。

 二人は今、ライオネス1とライオネス2のコードネームを与えられて、味方陣地の後ろ側に第三世代試作バレットナイトを持ち込んでいる。

 彼女たちの役割は明確だった。

 

 火消し役である。敵部隊がどのように攻め寄せてくるかは、ある程度、国境線沿いにばらまいたセンサー群と対空レーダーが教えてくれる。

 ヴガレムル伯爵軍が配置していたバレットナイト部隊――第二世代機〈アイゼンリッター〉を中心とした機甲猟兵だ――も哨戒に当たっているから、地対空レールガン砲台にまでたどり着こうとするものがいれば、すぐに見つかる。

 

 敵味方の火砲が遠雷のように砲声を鳴らす。撃ち落とされた爆弾が空中で爆ぜ、周囲に爆風と破片をまき散らしていく。

 生身の人間ならば五秒と経たずにズタズタに引き裂かれるような戦いが起きていた。

 

 それはすなわち、光波シールドジェネレータとアルケー樹脂装甲に防護された巨人たち――バレットナイトの戦場なのだ。

 人体では耐えがたい近代戦の中で、戦略的機動性を失うことなく、縦横無尽に戦場を駆け巡る巨人騎兵。それがバレットナイトの役割なのは疑いようもなかった。

 

 

「そろそろ敵側のバレットナイトが攻め込んでくる。わたしたちはそいつらの出鼻をくじく」

 

 

 エルフリーデ・イルーシャが宣言した次の瞬間、無線が入ってきた。

 

 

『こちらウルフ小隊。ポイントF7に敵バレットナイトを確認した、小隊規模だ。応援を願う』

 

 

『こちら司令部、応援を送る。ライオネス小隊、敵部隊の迎撃を』

 

 

 ちょうどよすぎるタイミングだった。

 流石に呆気に取られたリザ・バシュレーが、ため息をつきながら呟いた。

 

 

『おっそろしい勘のよさですねー……』

 

 

「ライオネス1、了解。ポイントF7の敵部隊を迎撃する――さあ、行こうかリザ」

 

 

『ええ、地獄までお供しますよ、お姉さん(マイシスター)!』

 

 

 エルフリーデはちょっと困ったので、やんわりと訂正した。

 

 

「ライオネス2、生きて帰るまでが仕事だから忘れないように――わたし、きみの見習いを取って同僚にしてもいいと思ってるからね?」

 

 

 そっと釘を刺す。

 隣にいる〈ラセツベール〉が、肩を震わせていた。たぶん笑いをこらえているのだ。

 リザ・バシュレーはこれから戦場に飛び込もうとしているときでも、冗談を忘れないすごいやつだった。

 

 悪くない精神状態である。思えばリザが大規模な戦闘に参加するのは、これが初めてであるが――これならばさほど心配せずに済むだろう。

 

 電気熱ジェットエンジンがけたたましい騒音と共に駆動する。

 〈アシュラベール〉L型と〈ラセツベール〉、二機のバレットナイトに搭載された合計四発のジェットエンジンが、吸気口から大気を吸い込んでいく。

 

 

「安心して、きみの背中を守るのはわたしだ――ここがどんな戦場だろうと、初心者(ビギナー)のエスコートぐらいはしてあげるから」

 

 

『ありがたいですね! でも私、これでも超強いので――ライオネス1をお守りしますよ』

 

 

 ジェット噴流が十分な温度まで上昇した。

 高温に熱された大気が、推進剤となってノズルから噴射される。膨大な熱量を孕んだジェット噴流の放出――生み出された推力と共に、二機のバレットナイトが地上から浮かび上がる。

 足下の雪を蹴散らし、その熱で溶かしながら二機の戦鬼が飛翔する。

 

 速度が上がり続ける。時速一八〇キロメートルが時速二五〇キロメートルに、そして時速三三〇キロメートルを超える。

 陸戦兵器としては類を見ない高速での戦闘機動。

 

 地面の上を滑るように駆け抜ける。〈アシュラベール〉L型ならばさらなる高速での移動が可能だったが、〈ラセツベール〉の機動制御OSの限界を鑑みて時速三三〇キロメートル前後を維持する。

 それでもなお戦闘ヘリコプターの最高速度を軽々と凌駕する飛行速度だった。

 

 ましてや二人が飛んでいるのは、地面すれすれの対地高度六メートルほどの超低空なのである。エルフリーデが先導しているので、リザの側はその機動に追従するだけでよいとはいえ、そもそもの難易度が異常に高い。

 

 

『あはははは! 操縦してる最中に言うのもアレですけど、死ぬほど怖いですこれっ!』

 

 

「きみ、筋がいいよリザ! きっと三三二一小隊でもやっていけたろうね!」

 

 

『褒めても何も出ませんよ!』

 

 

 やけくそ気味の会話も兼ねて、レーザー通信で互いの距離を測定する。ぴったりと二〇メートル間隔を開けて、地面すれすれを舐めるように飛行する。頭を上げすぎると敵に捕捉される可能性があるから、こうして地面を滑るようにホバー移動しているのだ。

 

 暗視装置で光が増幅されていなければ、真っ黒な地面に激突してもおかしくなかった。

 そうなっていないのは、ひとえにエルフリーデ・イルーシャのずば抜けた操縦技量と、その後ろを追っかけられるリザ・バシュレーの忍耐強さゆえだった。

 ポイントF7が見えた。

 

 

「このまま速度を維持して突っ込む! 火器使用自由(オールウェポン・フリー)! 発砲後、光波シールドジェネレータを展開!」

 

 

『ライオネス2、了解!』

 

 

 ポイントF7は森の木々が生い茂る森林地帯だった。おそらく長い時間をかけて、索敵用センサーポッドをくぐり抜けて、地対空レールガン砲台のすぐ傍まで前進してきたのだろう。

 今まさに森を抜けて、姿を現した〈アイゼンリッター〉を八機、確認した。

 

 周囲の木々との対比がなければ、甲冑を着た人間の兵士と間違えてしまいそうほど、人間そっくりの動きの人型兵器――その土手っ腹に三〇ミリ電磁機関砲を叩き込む。

 〈アシュラベール〉の機銃掃射が敵機に突き刺さる。

 爆発。

 

 

――これで一機。

 

 

 エーテル粒子を吹き出して、敵バレットナイトが砕け散った。リザの〈ラセツベール〉も三〇ミリ電磁機関砲を発射、やはり別の敵機を射貫いている。

 爆発。

 

 

――これで二機。

 

 

 すぐさま光波シールドジェネレータが展開され、遠方で光り輝く点が現れる。夜闇の中で光波シールドジェネレータを使うと、ひどく目立つ――高エネルギー粒子の障壁自体が、イルミネーションのように機体を彩る光源になってしまうからだ。

 

 敵部隊はすぐさま散開した。

 おそらく砲台破壊用と思しき、大きな筒状のロケットランチャーを背負った機体群――半数がその場に残り、エルフリーデとリザを迎え撃った。

 

 電磁機関砲が撃ち返されてくる。光波シールドジェネレータの粒子防御帯に、何発もの砲弾が突き刺さる。

 高エネルギー粒子が弾ける。

 エーテルパルスの爆発によって運動エネルギー弾が無力化された。

 

 

『これから敵陣に斬り込む。ライオネス2は逃げた敵を始末して』

 

 

 〈アシュラベール〉は迷うことなく、推力をそれまでの五割増しにした。瞬時に加速――敵と六〇〇メートルはあった交戦距離が、瞬く間にその顔が見えるほどの至近距離になった。

 抜刀――左腕で背部ハードポイントの太刀を引き抜く。

 

 

――これで三機。

 

 

 斬撃。

 すれ違い様に〈アイゼンリッター〉をエネルギーバリアごと切り裂いた。それ自体がエーテルパルスをまとった超硬度重斬刀は、粒子防御帯を貫通することが可能な数少ない兵装だ。

 上半身と下半身が泣き別れになった機体が、雪上に転がり落ちた。

 

 亜音速飛翔の衝撃波が、雪の飛沫を巻き上げた。

 弧を描くように放たれた斬撃の勢いを利用して、さらに機体をターンさせる――電気熱ジェット推進機構の噴射角度を変更、滑るように敵機の死角に回り込む。

 背後から機銃掃射を叩き込んだ。

 爆発。

 

 

――これで四機。

 

 

 右前方三〇メートルの位置、最後の敵機が狂ったように機銃掃射を浴びせてくる。

 怒り、憎しみ、そして恐怖――圧倒的な上位者を目にして錯乱したようなその様を、少し哀れに思いながら。

 

 垂直方向に飛翔する。

 高く高く、まるで空を舞う鳥のように軽やかに――〈アシュラベール〉は敵の頭上を飛び越え、その背後に着地して。

 横なぎに一閃。

 電磁機関砲ごとその胴体を真っ二つに切り裂かれ、〈アイゼンリッター〉は沈黙した。

 

 

――これで五機。

 

 

 足止めのために残った敵機はすべて始末した。

 一五秒と経たずに敵を壊滅させたエルフリーデは、リザの撃破報告を耳にした。

 

 

『こちらライオネス2、敵バレットナイト三機を撃破!』

 

 

 エルフリーデが助力するまでもなく、リザはあっさりと敵を片付けていた。

 リザの腕前ならば、第三世代バレットナイトの特性を活かせるだろうし、三対一程度では問題ないだろうと踏んでいたが――想像以上の手際の良さだった。

 周囲を索敵しながら、レーザー通信で後退を指示する。

 

 

「やるねライオネス2、きみって本当に強いよ。さあ、後退しようか――すぐに次の出番が来るだろうけどね」

 

 

『了解です、ライオネス1。例のあの人が出てくるまでは繰り返しですね』

 

 

 〈アシュラベール〉と〈ラセツベール〉が、並んで地面すれすれを飛翔する。鼻歌でも歌えそうな気軽さで、瞬く間に敵部隊を殲滅した二人は、油断なく周囲を警戒しながら――それでもなお最大の脅威を念頭に行動していた。

 リザの指摘を聞いて、そっとエルフリーデは頷いた。

 

 

 

 

「そうだね、ライオネス2――たぶん救国卿はこの戦場を観察してるし、わたしたちの前に現れる」

 

 

 

 

 断言だった。

 そしてそれが、おそらくこれまでのどの戦いよりも過酷なものであることを――エルフリーデ・イルーシャは確信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情1 ~最強パイロットは無礼なスパダリにキレている~
「オーバーラップノベルス」
著:灰鉄蝸 イラスト:中村エイト

…というわけでオーバーラップノベルスから出ます!!

イラストは中村エイト様です。
めちゃくちゃかっこいいメカデザインと…めちゃくちゃ可愛いエルフリーデが見られると思います…!
続報は…後日また…!






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