機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情~最強ロボパイロットの英雄譚~   作:灰鉄蝸

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独善とともに

 

 

 

 ──何か来る、新手?

 

 

 エルフリーデの駆る〈ブリッツリッター〉が剣を振るい、編み笠を被った毒蜘蛛を退けた瞬間である。

 少女騎士が戦っている列車の後方──別の車両との接続口の方から、どしんどしんと足音が聞こえてきた。

 

 カメラアイを向ける。

 紫紺の塗装にエングレービングが施された甲冑めいた装甲──その身長は四メートルほどであり、誰がどう見ても第二世代バレットナイト〈ブリッツリッター〉だった。

 

 騎士人形はその手に柄の長い大ぶりな斧を握りしめ、まるで恋人とのデートに向かう若者のような軽やかさで登場。

 そのキザったらしいようですべてが陽気さに満ちた振る舞いに、見覚えがあった。

 

 

『待たせたな、エルフリーデ卿! 助太刀しよう、オリヴィエ・ライアーここに推参!』

 

 

「オリヴィエ卿!?」

 

 

 三日月斧(バルディッシュ)を手にした〈ブリッツリッター〉が疾走する。

 路面電車が移動するための列車内通路は、今や三機のバレットナイトがひしめき合い、剣を交える鉄火場だった。

 

 通路の高さも横幅もあまりない空間だというのに、こうなってしまうと何もかも逃げ場がない。

 不意に毒蜘蛛がその身をひるがえらせた。

 跳躍──ロケット噴射によって加速する毒々しい機体。

 

 

『──無粋な邪魔が入ったな、逃げさせてもらおう』

 

 

「チッ!」

 

 

 舌打ちしながら剣を振るう。

 とっさに突き出した片手半剣(バスタードソード)の切っ先は、ギリギリで毒蜘蛛の胴体を掠めるだけだった。床や天井を蹴りながら、暴れ馬のように毒蜘蛛は機動──その進路上に展開していた歩兵部隊を蹴散らし、前方の列車へと逃げていった。

 

 うわーっと悲鳴が上がって、衝撃波に吹き飛ばされた兵士たちが床に叩きつけられていた。

 逃げられた。

 あまりにも鮮やかな撤退である。

 引き際をわきまえているあたりに、かなり厄介な敵の気配がした。

 

 

 ──参ったな、できればここで仕留めておきたかった。

 

 

 エルフリーデ・イルーシャは一対一の状況であれば、あの正体不明の第三世代機に後れを取ることはないだろう。

 しかしクロガネやリザを庇った場合や、他に複数の敵機がいる状況で奇襲を仕掛けられたなら──少々、面倒なことになる。

 

 向こうは相応の腕利きで学習能力もあるはずだ。

 おそらく次に仕掛けてくるタイミングでは、一対一の決闘紛いのシチュエーションにはならないはずだった。

 

 

 ──まっ、逃しちゃったものはしょうがないか。次に倒せばいいや。

 

 

 気分を切り替えて、エルフリーデの〈ブリッツリッター〉は長剣を片手に跳躍──クロガネたちが盾にしている四輪車の前に躍り出た。

 身長四メートルの騎士人形が、抜き身の金属製ブレードを片手に仁王立ちしていると、それだけで威圧感が凄まじかった。

 

 先ほどの毒蜘蛛の鮮やかな撤退に巻き込まれ、陣形が崩れていた兵士たちは、突如として眼前に現れたバレットナイトに対応できなかった。

 

 

「警告します。武器を捨ててください。さもなくば全員が命を落とすことになる」

 

 

 我ながら甘い対処だと思った。有無を言わさず全員、斬り捨てるなり蹴り殺すなりするのが一番手っ取り早い。

 だが、とりあえずクロガネの顔を立てるならこうすべきだと思った。

 つまるところ流血の惨事をできるだけ減らすのが、あのクロガネ・シヴ・シノムラという男の甘ったるい生き様なのだから。

 

 とはいえ譲れる一線(ライン)はここまでだった。

 もし少しでも反撃の予兆を見せたなら、その瞬間にエルフリーデは殺戮者として振る舞うことになる。

 

 

『むっ、エルフリーデ卿。彼らに対する()()なら任せたまえ。君の手を煩わせるのは紳士の道に反するからね』

 

 

 追いついてきたオリヴィエが、からっとした陽気な声音でそう言った。

 対人攻撃ならば任せておけと言い切られていた。

 あの馬鹿でかい三日月斧(バルディッシュ)であれば、さぞや破壊力抜群だろう──騎士甲冑の防弾装甲はライフル弾を弾くレベルだが、装甲車を真っ二つにする重斬斧を喰らえば紙切れ同然だ。

 

 一秒後にはあたり一面を血まみれの地獄にしていてもおかしくない。

 騎士甲冑を着た兵士の一団は、その警告を受けてなお──戦意旺盛(せんいおうせい)であるものと、戦意喪失(せんいそうしつ)したものに別れているようだった。

 

 危険な状況だった。

 エルフリーデが見た限りでは、クロガネもリザもユシュナも無事だ。しかし四輪車両の方は銃弾を浴びて使い物になりそうにない。

 その瞬間だった。

 

 

『クロガネッ! サッサと乗ッテくだサーイ!』

 

 

 超胡散臭い声が聞こえた。

 移動レーンを軽快に疾走する四輪車両──その運転席に座っているのは、所々にひびが入った白い仮面を身につけ、衣服がボロボロになっている怪人である。

 

 ゲオルギイ・カザールだった。

 不死身であることに定評がある男は、どうやらいつの間にか復活して、駐機スペースに止まっていた車を運転している。

 急ブレーキを踏んで乗り付けてきたゲオルギイは、誰にとっても意外な乱入者だった。

 

 

「殿下、こちらです! リザ・バシュレー、乗れ!」

 

 

 クロガネの判断は速かった。

 何発か銃弾が掠めたしたらしく、黒いスーツから血を流している男は、その苦痛を微塵(みじん)も見せずに少女二人を車に押し込んでいく。

 ゲオルギイの運転してきた自動車に、兵士たちの銃口が向けられた。

 

 その瞬間、誰よりも速くオリヴィエが動いた。バレットナイトの装備する重斬斧が、横薙ぎに振るわれる。

 エルフリーデはとっさに機体を盾にして、クロガネたちに銃弾が飛んでいかないよう立ち塞がることを選んだ。

 

 バレットナイトによる対人攻撃──その結果は無残だった。

 少女騎士はただ、飛び散る血を見た。

 今さら動じることはない。この残酷な光景を、クロガネやリザが目にすることがないよう機体で覆い隠すことができればよかった。

 

 

 ──まったく独善的(エゴイスティック)だね、わたしってやつは。

 

 

 クロガネもリザも立派に独立した人格の持ち主で、オリヴィエが何をしたのかなんて見なくたって即座に理解できる。

 それでも彼らにこの景色を見てほしくないと思ったのは、エルフリーデ・イルーシャの心の甘さだった。

 自嘲しつつ、エルフリーデは叫んだ。

 

 

「ゲオルギイ卿、車を出してください!」

 

 

 クロガネが乗り込んだのを確認した。次の瞬間、自動車はまるで弾かれたように急発進した。

 並走するようにしてエルフリーデの〈ブリッツリッター〉も走り出す。

 少女騎士は今まで答えられなかったことに気づいて、オリヴィエに声をかけた。

 

 

「嫌な役割を押しつけてしまいました。オリヴィエ卿、あなたの献身に感謝を」

 

 

『英雄殿。私も肝心なときに殿下の傍にいられなかった男だ、このぐらいの汚れ仕事をしなくては面目が立たないのだよ──お互い様ということだな!』

 

 

 奇妙にさわやかな男だった。

 たった今、武装した一〇人ほどの兵士たちを、身長四メートルの巨人を駆使して抹殺したとは思えないほどに──この男の言葉には、後ろめたさのような負の感情が抜け落ちている。

 その瞬間、ようやくエルフリーデはオリヴィエ・ライアーという男のことが少しわかった気がした。

 

 

 

 ──味方を守るために、敵を殺すという行為の後ろめたさをそぎ落とした人間。

 

 

 

 ──大陸間戦争の地獄の中で、そうやって自分の人間性の一部を切除した誰か。

 

 

 

 ああ、どうやら自分たちは同類らしい。

 そういう共感とともに、エルフリーデの顔には苦笑が浮かんでいた。

 なるほど、オリヴィエが自分に好意的な理由がわかった気がする──こんな共感を抱ける相手なんて、貴族令嬢にいるはずもないのだから。

 でもライオンは褒め言葉じゃないよね、とも思った。

 

 

「そう言っていただけると助かります。殿(しんがり)をお任せしても?」

 

 

『騎士の栄誉だな。では先頭は貴殿にゆずろう』

 

 

「光栄です」

 

 

 ゲオルギイの運転する車を守るように、〈ブリッツリッター〉が列車の中を移動する。

 とはいえ行く先にアテはなかった。

 これほどド派手な銃撃戦が起きてなお、列車内の警備システムが作動していないこと自体が異様である。

 

 そう思っていると──バレットナイトの通信ウィンドウが開かれた。

 聞こえてきたのは聞き覚えのある声だった。

 

 

 

『旦那様、エルフリーデ様、リザ様──ご無事でしたら応答を願います。こちらで合流地点を確保しております。速やかにご案内いたします』

 

 

 

 エルフリーデ・イルーシャはなんとなく悟った。

 どうやら次の目的地は決まったようだぞ、と。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 それからはトントン拍子で話が進んだ。

 エルフリーデがロイとの通信をクロガネに中継して、一行のひとまずの目的地として列車内のとある車両が指定されたのである。通信回線は列車内の〈ブリッツリッター〉にプリセットされるものが用いられた。

 

 自分たちの現在位置が、一〇〇両ある車両の中のどのあたりなのかは、ロイからのナビゲーションでようやくわかるような状況だったけれど。

 指定された車両までの列車内通路を通り、駐機ステーションに車両を止めて、クロガネらは列車上層に移動することになった。

 

 護衛としてエルフリーデはバレットナイトを降り、オリヴィエとゲオルギイが駐機ステーションに残ってそれらを見張る手はずである。

 これでひとまず「人型兵器を降りた隙に破壊され、無力化される」というような最悪のパターンは防げる。

 

 ゲオルギイが信用できるかは微妙なところだが、少なくともオリヴィエが巫女姫を裏切っている線はない。

 そのような判断が、クロガネとユシュナによってくだされた結果だった。

 クロガネを先頭にしてユシュナ、エルフリーデ、リザが通路を進むこと三分ほど──列車内の中腹に位置する、警備ステーションの一室が合流場所に指定されていた。

 人気がなく飾りっ気もない休憩所という感じの殺風景な部屋に、その青年は立っていた。

 

 

「ロイさん! 無事だったんですね、よかったぁ……」

 

 

 弾むような声でリザ・バシュレーは笑い、飛び込むようにしてロイ・ファルカに抱きついた。この列車についてからというもの、どちらかといえば不機嫌なときに近い表情だった少女は、心の底から安心したように笑っている。

 褐色の少女の親しみを受け止めて、金髪碧眼の青年は困ったように微笑んでいる。

 

 

「はい、リザ様もご無事で何よりです」

 

 

 ロイはそう言って少女に応じつつ、身を離すと──クロガネの方に視線を移した。

 不死者である伯爵は、実のところボロボロだった。重バレットナイトの熱線砲から少女二人を庇い、背中に裂傷と重度の火傷を負い、さらに四輪車が包囲されたときの銃撃戦で被弾しているからだ。

 

 もし彼が常人だったのであれば、いずれも命にかかわる傷だったことだろう。

 この短時間で治癒しているのは、クロガネが規格外の不死者だからとしか言いようがない。

 

 あるいは主の安全だけを第一に考える従者ならば、現在の状況に対して、苦言の一つも呈するべきなのかもしれなかった。

 だが、青年はそうしなかった。

 ロイは何が起きたのかを一瞬で悟り、かすかに苦笑したあと──柔らかな口調でこう言った。

 

 

「旦那様……ロイ・ファルカは再び、旦那様の従者としてお役目に戻りたく存じます」

 

 

「いいのか、ロイ」

 

 

 ふと沈黙の(とばり)が降りた。

 その短いやりとりにどんな意味合いがあったのか、二人の深い絆だとか過去だとかを知らないエルフリーデにはピンとこなかった。

 

 しかし説明を求めると、それだけ貴重な時間を浪費するのは目に見えていた。

 なので空気を察するしかない。

 そう思っていると、二人の間の沈黙を見かねたように──ユシュナ・ゼオ・アンリバフが口を開いた。

 

 

「ロイ・ファルカ……それが今のあなたの名なのですね。ロイ・ザトゥナとして、我らアンリバフに帰ることもできるのですよ?」

 

 

 聞き捨てならない台詞だった。

 アンリバフとして一門に帰る。確かアンリバフというのは帝国皇帝の血筋に連なるものすごい名家、下手すると王族の類だったはずである。

 

 ロイ・ザトゥナというのが、謎多き青年ロイの本名であり、また帰るべき場所だというのなら──ええと、つまり、これって。

 エルフリーデ・イルーシャが混乱しかけてきたタイミングで、やんわりとなだめるようにロイが口を開いた。

 

 

 

「アンリバフの分家筋、皇帝陛下にお仕えするザトゥナ家は滅びました。高貴なる家系は途切れ、名誉は地に堕ち、その財産も人材もすでに四散しています。今さらその遺児が戻ってきたところで、何の意味があるというのでしょう? すべて一六年前、バナヴィア戦争が始まったときに決していたのです。今の私はロイ・ファルカ──クロガネ様にお仕えする一介の従者にすぎないのです」

 

 

 

 驚きの新情報──ロイの実家はベガニシュ帝国皇帝すら輩出するような名家の分家筋だった。

 そしてどうやら、そのきっかけになったのはバナヴィアが侵略戦争を仕掛けられ、亡国となった一六年前の出来事らしい。

 

 情報量が多い。

 もう無闇矢鱈(むやみやたら)と多いが、実のところ会話の要点は単純明快(シンプル)だった。

 

 

 ──ユシュナは一六年前、ロイさんを追放したけど戻ってきてもいいよって言ってる。

 

 

 ──でも追放されて第二の人生を見つけたロイさんは、今さらもう遅いって感じで断ってる。

 

 

 すごい、まるでお芝居か宮廷小説の中じゃないとお目にかかれないようなシチュエーションである。

 エルフリーデ・イルーシャがそのように、ある意味で緊張感ゼロのぽわぽわした感想を抱いていると──黒髪の巫女姫は、どこか投げやりな様子でため息をついた。

 少々、演技っぽさが否めない調子で、少女と見まごうような可憐さの姫君が肩を落とす。

 

 

 

「──ザトゥナが復興するための最初の一歩だったとしても、ですか?」

 

 

 

 奇妙な話だった。

 ロイの話を聞く限りでは、一六年前に政変ないし粛清が起きて、彼の実家は没落してしまったらしい。そのときユシュナは彼を庇うことなく、むしろ追放する側だったと読み取れるような雰囲気である。

 

 それが一六年も経ってから「戻ってきてもいい」と言われたって──大抵の人間は「もう遅い」と言いたくもなるだろう。

 その程度の人情がわからないほど、ユシュナがその辺の機微に疎いとも思えなかったけれど。

 

 第三者であるエルフリーデすらそう思ったのだ。

 必然的にクロガネが助け船を出した。

 

 

 

「殿下。何故、今なのでしょう? 失礼ながら……もしザトゥナ家のお家復興が許されるというのであれば、それはもっと早期に提案されるべきだったように思います」

 

 

 

 それはこの場の誰もが抱いた疑問の代弁だった。

 一六年も経ってから追放刑を撤回するような所業のおかしさ──実生活という意味でも、人情的な面でも通るはずがない──は明らかである。

 その道理の通らないことぐらい、ユシュナ・ゼオ・アンリバフにわからないはずがない。

 そのような意図の問いかけだ。

 

 

 

「伯爵、その疑問にはこう答えましょう──今がまさに、帝国にとって()()()()()()()()()()()()()()()()です」

 

 

 

 ユシュナはその白皙(はくせき)に、表情の見えない微笑みを浮かべてうなずいた。

 その表情と所作を見て、エルフリーデが抱いたのは既視感(デジャブ)だった。

 似ている。ユシュナとロイは、そのポーカーフェイスや感情の誤魔化し方がそっくりなのだ。

 

 あるいは元々、ロイの出自は──こちらが考えている以上にユシュナと近しいのかもしれない。

 エルフリーデ・イルーシャとリザ・バシュレーは、どうやら高貴な血を引いているらしい面子の仰々しい会話に圧倒されていたが──不意討ちのように、ユシュナの目がこちらを向いた。

 

 

「エルフリーデ卿。現在の状況のおかしさに気づいていますか?」

 

 

「……はい、ええと、つまり。これだけの破壊や戦闘行為が起きているのに、未だに神殿騎士が誰一人、殿下のおそばにいないことが異常だと思います」

 

 

 思わず本音を言ってしまった。

 とはいえこれは仕方がないだろう、と思う。先ほど侍従や護衛が全滅したのは、不幸な出来事だったと片付けられる。

 

 しかし彼らが死に絶えてから一五分以上も経っているのに、後続の護衛がやってこない状況は異常だった。

 少なくとも()()()()()()()()であるところの大陸横断鉄道〈世界蛇〉にしては、警備が手薄すぎると言わざるをえない。

 ユシュナは我が意を得たりとうなずいた。

 

 

「無礼を許しましょう。エルフリーデ卿、あなたの指摘したことは正しい。そもそもわたしが隔離したはずのロイが、こうして自由の身になっていること自体がありえません。この列車は現在、警備システムを無力化する形で──()()()()()()()()()()()()()と考えられます」

 

 

「……なっ」

 

 

 さらっととんでもないことを断言された。

 エルフリーデが絶句していると、クロガネが前に進み出て、少女騎士を庇うように言葉を引き継いだ。

 

 

「殿下、お言葉ですが〈世界蛇〉の警備システムは先史文明種の遺産を流用したものです。現代の技術水準でこれを乗っ取るのは容易ではありません」

 

 

「伯爵、つまりそういうことなのです。この列車の半身を麻痺させ、異常を異常と認識させない何かが──この〈世界蛇〉に忍び寄っていた。この列車の絶対防空圏が機能しているなら、先ほどの大型バレットナイトが乗り込んでくるのは不可能だったでしょう」

 

 

 今度こそ沈黙が重かった。

 本当ならばありえないことが立て続けに起きるほど、高い技術力と悪意を持った存在が襲ってきている。

 めちゃくちゃ不穏な話だ。それまで黙っていたリザが、そっとエルフリーデの傍まで忍び寄って、耳元でささやいた。

 

 

「内輪もめのレベルがかなり深刻(シリアス)ってことです?」

 

 

 あまりにも率直な物言いに、エルフリーデはちょっと肩の力が抜けた。

 笑えばいいのか泣けばいいのか、さっぱりわからない状況だというのに、こんな風に総括されると苦笑するしかなかった。

 少女騎士はささやき返した。

 

 

 

「たぶんそういうことだけど……本当のことすぎる……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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