機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情~最強ロボパイロットの英雄譚~   作:灰鉄蝸

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それでも叫ぶために

 

 

 

 大陸横断鉄道〈世界蛇〉──その先頭部の列車群へ向かうための移動経路の選定は、巫女姫ユシュナ・ゼオ・アンリバフの血が役に立った。

 何百年も昔に増築され、限られた貴種しかその存在を知らず、また通行することもできない隠し通路。

 

 そういうものが、この列車には無数にあった。

 極めて貴族的な思想に基づき設計、増築され続けた列車群は、その先頭から最後尾に至るまで一貫した原理が存在する。

 

 すなわち身分階級に基づき、一方通行であること。

 最底辺に位置する労働階級のものが、最高位である貴族たちの階層にアクセスすることは不可能である反面、身分が上のものは自由に通行できる。

 これは制度化されたシステムではない。

 

 言外のお約束(プロトコル)として横たわる仕組みが、そのように列車の中に区分を作り出している。

 正しくベガニシュ帝国という支配者の本質を表す構造──科学技術の合理性を重んじながら、その運用によって身分階級の区分けを厳密化する試み──である。

 

 クロガネ・シヴ・シノムラの元で教育を受け、人間の本質的な平等を教え込まれた我が身には、どうしようもなく馴染まない価値観。

 それを噛みしめながら、ロイ・ファルカは自動小銃を握りしめた。

 

 この列車から調達した武器庫の中身、大口径で貫通力が低い代わりに重たい弾頭を飛ばすマークスマン・ライフルだ。

 隠し通路を進むのは五人。クロガネとゲオルギイ、ロイとリザ、そしてユシュナである。

 

 ユシュナ以外の全員が、分厚い鎧を身につけていた。

 騎士甲冑と呼ばれる兵装──筋力補助機能を埋め込まれ、防弾プレートとアクチュエーターで駆動する強化服である。

 

 

「では最後の確認を。俺とゲオルギイが前衛を務め、ロイとリザがそれぞれ、後衛として我々に支援射撃を行う。被弾しても我々を助けるな、敵の排除を優先しろ」

 

 

 かねてからの打ち合わせ通りの確認だった。

 しかしここで意外な人物が口をはさんできた。血に染まった白の法衣に、長く艶やかな黒髪の美姫──すなわちこの列車の主ユシュナである。

 

 現在のベガニシュ皇帝の遠縁に当たる女性は、クロガネたちと同じ不死者だが、その身分が別格であるがゆえに、これまで何もせずに守られていた。

 それが突然、態度を変えたのである。

 

 

「クロガネ。わたしも銃手を務めましょう。予備のライフルはあるのでしょう?」

 

 

「殿下……よろしいのですか?」

 

 

 クロガネの瞳に浮かぶのは、不死者である女性へのいたわりではない。

 ユシュナ・ゼオ・アンリバフは決して善良な不死者ではないからだ、とロイは考える。かつてベガニシュ帝国中枢で起きた政変の折、彼女は何のためらいもなく、ロイの一族──ザトゥナ家を追放刑に処してみせた。

 

 陰謀と暗殺と悪意がとぐろを巻く毒蛇の宮廷、ベガニシュ帝国の支配階級に相応しい価値観と方法論を持った人物である。

 つまるところ彼女は、この〈世界蛇〉を巡る戦いで、常人であるロイやリザが死傷しようと心を痛めないだろう。

 

 その死に黙祷を捧げてくれるかもしれないが、それは長い彼女の人生において、いつでもどこでもありふれていた出来事の一部になる。

 ゆえにユシュナの提案は良心によるものではない。

 そう、ロイは先入観を持ってしまう。

 

 

「ええ、構いません。多少なりとも銃の扱いは心得ています。神殿騎士の扱うライフルであれば、覚えがあります」

 

 

「……失礼ですが、何年前に?」

 

 

「もちろん最近ですとも。ええ、一〇〇年ほど前に熱中していましたから」

 

 

「それはまた、ずいぶんと遠い昔のように思えますな」

 

 

 クロガネは器用に肩をすくめると、予備のライフル銃を巫女姫に手渡した。戦力として当てにできるとは思っていないが、とりあえず銃を暴発させることはあるまい──そういう態度だったし、ユシュナも不平不満を述べることなく涼しい顔で受け取った。

 

 ロイは眼前の男と巫女姫の因縁を知らない。

 以前、言葉少なにクロガネが語ったところによれば──後にベガニシュ帝国と呼ばれることになる地域の支配のあり方を巡って、血なまぐさい因縁が生じたこともあるのだという。

 

 そのとき男は女の首を刎ねた。

 始まりの御使いが、アンリバフの吸血鬼を討ち取った、と書物に記されたこともあったという。

 だが、ユシュナは死んでいなかった。

 彼女は復活して〈世界蛇〉の支配者に復権し、今では神聖不可侵の聖域を作りあげ──帝国の中枢に居座っている。

 

 奇妙な話だった。

 おそらくクロガネとユシュナの紛争は、個人と個人の間に収まるようなものではあるまい。

 数百年前、あるいは数千年前の出来事であれば──互いの代表する集団同士の争いだったはずである。当然、仲間や家族を殺された、というような因縁もあるだろう。

 

 クロガネ・シヴ・シノムラには謎が多い。彼はその性格上、血縁者を作ったとは思えないが──ユシュナの側はそうではあるまい、とロイは思う。

 毒蛇として振る舞う麗人は、少女と見まごう容姿を持っているが、その実、何度も我が子をその手に抱いているはずだ。

 怒り憎しみ、恨みを積み重ねても不思議ではない。

 

 

 ──ですが旦那様をユシュナは恨んでいない。むしろ好意的ですらある。私にはこの事実が、不気味に思えてならない。

 

 

 常人には理解しがたい感情だった。

 あるいは家族や友人、仲間を殺されたとき──感情を大きく揺り動かされること自体が、定命のもの(モータル)の宿命なのかもしれない。

 

 どんなに長く見積もっても一五〇年にも届かない人生を、必死で走り続けるしかない自分たち。

 千年を軽く超える時間を生きるしかない彼ら。

 

 その間に横たわる感覚の断絶──そういうものがあるとすれば、ロイには想像もできない感情が潜んでいても不思議ではなかった。

 つまりこういうことだ。

 

 

 ──違うことは大前提として、その上で誰を信じるかが重要なのですね。

 

 

 最近、できたばかりの新しい友人の顔を思い浮かべた。

 エルフリーデ・イルーシャならばきっと、そういう風に笑って受け入れるに違いないだろうから。

 

 あの少女騎士と不死者の恋愛模様を応援していた身としても、その(いさぎよ)い割り切りは見習いたいものがあった。

 ロイは銃把(グリップ)を握り、すっと深呼吸。

 いつも通りのロイ・ファルカに戻った。

 

 

「リザ様、準備はよろしいでしょうか?」

 

 

「ええ、私はばっちりですよ。ロイさんこそ、肩に力を入れてませんか? こういうの慣れていないでしょうから、無理もありませんけど」

 

 

 声をかけた年下の同僚は頼もしかった。

 リザ・バシュレー。まだ十代半ばの少女でありながら、おそらくこの中の誰よりも戦いの才能を宿した娘である。

 

 無論、戦士としては不死身であるクロガネやゲオルギイの方がはるかに有利なのだが──それはさておき、戦闘全般の才能においてリザのそれは疑う余地がない。

 あの規格外の天才、万年に一人の逸材とクロガネに言わしめたエルフリーデ・イルーシャほどではないのだが。

 

 そもそもあの超人について行ける時点で、途方もない才覚と強運の持ち主なのだ。

 彼女たちの半生は知っている。

 その記憶に深い傷痕を刻んだ、数多の悲劇も聞き及んでいる。

 

 その上でなお、その罪深さを知っていようとも──ロイ・ファルカは悪を信じる。彼女たちの力を借りねばならない無力さを認識して、力添えしてもらう罪を受け入れる。

 

 

「リザ様、まず第一に生き残ることを考えましょう。その上で我々は勝利するのです。エルフリーデ様の勝ち取る未来に、悲劇を添えないためにも」

 

 

「そこでお姉さんの名前出すの、ロイさんのズルいところですよね」

 

 

「ええ、ズルい大人になってしまったようです。ですので、それらしく生きましょう」

 

 

 ロイは軽口を叩いて、リザの緊張を和らげた。

 リザ・バシュレーは強い。だが少女の戦闘員としての専門は、生身での戦いよりも機甲猟兵としての兵器操縦である。

 機械仕掛けの巨人に比べて、防弾鎧で守られているだけの騎士甲冑は、ずっと心許ない感覚のはずだ。

 

 

 ──歯がゆいものですね。こんなとき年下の娘に、あなたを守りますと言い切れないというのは。

 

 

 ロイは無責任な約束ができなかった。

 かつて未来のすべてを奪われた瞬間を知っているから、一寸先も見えないような状況で、約束をする不義理さが許せなかったのだ。

 そんな青年の葛藤などお見通しだったようで、褐色肌の少女はにんまりと笑った。

 

 

「ロイさん、終わったらご褒美ください。それで許してあげましょう、ロイさんが抱いている罪悪感も」

 

 

「怖い言い方をされますね……」

 

 

 そう、リザは怖い少女なのだ。

 そんな娘に一途に思われているらしい自分は、たぶん、幸せ者なのだろうなと思った。

 困ったことだ。

 

 

 

 ◆

 

 

 一方、少女と青年のやりとりを訊いていた男──不死者ゲオルギイ・カザールは、山羊の仮面越しに嘆息した。

 

 

「ウワーッ……青春ッポクテ死ニテーデス。僕らが見失ッタモンがありますヨネー、クロガネ」

 

 

 黒髪の不死者は真顔で首を横に振った。本心からの所作という感じであり、そこに芝居じみたわざとらしさは微塵もなかった。

 

 

「ゲオルギイ、それは違うぞ。俺は長い人生を生きてきたが……おそらく今が最も青春の定義に近い時間を生きている」

 

 

 詐術に満ちた男は、ぎょっとしたようにうめいた。

 そして思い至った。

 そういえばこの師匠は、エルフリーデ・イルーシャという希代の英雄に魅せられて──すっかり人生の方針を変えてしまったのだということに。

 

 遠い昔、自分に様々な知識を授けてくれた師は、今になって人生を謳歌していた。

 きっと政治家としての激務すら楽しんでいる。

 

 

「ウワッ、色ボケしてヤガル……」

 

 

 これから自分たちは死地に向かう。

 隠し通路によって敵との遭遇を最小限にしてもなお、困難な道のはずである。列車先頭部のコントロールルームに向かう過程で、銃撃戦の一つや二つは避けられないだろう。

 

 だというのに気負うことがない雰囲気は、ゲオルギイの知る戦場のそれではなかった。

 にもかかわらず、現実を知らぬがゆえの無謀というわけでもないのだ。

 ヴガレムル伯爵家の主従は、どうやらこういう生き物らしい。

 

 

「アァ、居心地悪ィデース」

 

 

 冷笑と悪意で立ち回るのが本領発揮の自分には、馴染みがなさ過ぎると思った。

 ゲオルギイ・カザールはもう一度、ため息をついた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 大地を疾走する列車が、ゆっくりとその巡航速度を上げていく。浮上式リニアレールである〈世界蛇〉は、地面と接触することなく、超伝導レールの上を浮動するようにして高速移動している。

 ゆえに地面との摩擦はゼロだ。

 その加速を阻むものは、純粋に空気抵抗と速度上昇のための出力ということになる。

 

 一〇〇両編成で数百万トンに達する自重ゆえに、この惑星上で並ぶものなき巨大な動力源──先史文明種の遺産によって稼働する超伝導レールの環──があろうと、加速には時間がかかるのだ。

 逆説的には、こう表現することができる。

 

 一度、速度が乗ってしまえば──慣性の法則によって、凄まじい運動エネルギーを帯びた大質量が生じてしまう。

 じわじわと列車の管理システムを乗っ取りつつあるクラッキング・デバイス〈嘲笑う蛇の舌〉の支配が完成したとき、惨劇は不可避のものとなるだろう。

 

 人口密集地の間近で、これほどの大質量が脱線事故を起こした場合──引き起こされるのは大地を激震させる天変地異に他ならない。

 帝都コルザレムは滅ぶだろう。

 連鎖的にこの超巨大インフラに依存した文明、ベガニシュ帝国というシステムもまた破綻するだろう。

 

 

 

 ──それこそが、私の願い。

 

 

 

 機械仕掛けの身体の中で、意識が心臓のように脈動する。

 循環する高密度エーテル、光の速さで思考する術を与えてくれる情報物質の脳髄──血肉であり神経であり本質である自分自身──電脳棺(コフィン)に溶け込んだ自我が、異形極まりないその四肢を制御下に置いた。

 

 ここは〈世界蛇〉上空一〇〇〇メートル。

 馬鹿でかい電動プロペラを何個も回して、全幅五〇メートルはあろうかという左右の翼を広げて飛ぶ大型輸送機。

 

 その腹から、ゆっくりとそれは切り離された。

 それは途方もなく大きかった。陸戦兵器と思しき重厚な装甲を備えているものの──蜥蜴のような四肢、長く太いロケットブースターの尾、そして一対二本の竜の首を備えている。

 

 異形の竜だった。

 先刻、エルフリーデ・イルーシャによって倒された双頭の竜──〈ドッペルドラッヘ〉に酷似した機体構造。

 

 

 

 ──そう、一度はお前に敗れた。無様に敗走し、回収され、こうして予備プランを持ち出す羽目になっている。

 

 

 

 ──エルフリーデ・イルーシャ。お前こそが私にとっての想定外(イレギュラー)だ。

 

 

 

 ──ゆえにここで仕留める。必ず、この私が。

 

 

 

 胸中で呟きながら、異形の竜が自由落下していく。

 眼下に迫る地上、高速走行する列車と相対速度を合わせるために、四肢に備え付けられた電気熱ジェット推進器が稼働した。

 推進炎が弾ける。

 

 それに連動して、機体各所に増設された粒子ロケット推進機も火を噴いた。

 重戦車を思わせる巨体を、空中で鮮やかに起動させるほどの馬鹿げた推力──航空力学的な洗練とかけ離れた、空気抵抗だらけの巨体が異様な勢いで列車先頭部に着地する。

 

 轟音。

 数十トンの荷重が瞬時に加わったにもかかわらず、大陸横断鉄道はまったく揺るぎなかった。

 マイクロメートル単位での振動制御、姿勢制御が行われていることの証左──これほど巨大で精密な機械的構造体は、きっと世界のどこにもあるまい。

 

 

 

「この列車こそが支配を生む。ベガニシュ帝国の束縛を永続化させ、人々に奴隷の生き方を定着させてしまう。それこそが悪なのだ」

 

 

 

 本来であればとうの昔に、この機体は〈世界蛇〉の防空システムによって撃墜されているはずだ。

 しかしそうはなっていない。

 未だにユシュナ・ゼオ・アンリバフは〈世界蛇〉の制御権を奪取できておらず、協力者が設置した〈嘲笑う蛇の舌〉は健在なのである。

 

 ならばその状態を死守するだけで、こちらの勝ちだ。

 たった今、先頭車両に到着した二機のバレットナイト──〈アシュラベール〉と〈ブリッツリッター〉を睨みつけて。

 その異形のバレットナイトは名乗りを上げた。

 

 

 

「──我が名は騎士の滅び(ナイツベイン)。この〈クリンゲンシュピンネ〉が、お前たちをここで仕留める。我が願い、我が呪い、我が怒りだけを知って──地獄に堕ちろ、騎士ども!

 

 

 

 明確なる宣戦布告に、深紅の悪鬼は超硬度重斬刀(テロス・ブレード)の切っ先を向けた。

 堂々たる振る舞い、苛烈なほどの激しい希望、悪なる願いに満ちた暴威。

 エルフリーデという少女を象徴するような言葉が、鍛え上げられた鋼のような鋭さで放たれた。

 

 

 

『──我が名はエルフリーデ・イルーシャ。その願いを斬り捨てる英雄だ

 

 

 

 そして、戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 







・〈クリンゲンシュピンネ〉
浪人傘を被った剣士と蜘蛛が合体した悪夢の産物。
毒蜘蛛。
身長4.6メートル。

黒と赤の毒々しい装甲を持つ、正体不明の特殊作戦機。単独での空中飛行が可能であり、第3世代バレットナイトに分類される。
とある工房で設計、開発された完全なるオリジナル――つまるところ闇で製造されたワンオフ機であり、それゆえに出自不明の幽霊として機能する。

現在、ベガニシュ帝国において大量に生まれている「アシュラベール・ショック以後の機体群」のひとつである。
先史文明の自動工場や設計システムが発掘、保存されているベガニシュ帝国では、こうした秘密裏の開発もまた(大資本によるバックアップを前提として)可能である。

オプションユニットである飛行翼=グライダーユニットと、本体のエーテルパルス粒子ロケットの併用によって短距離であれば単独飛行が可能。
現在、第3世代バレットナイトの実用ハードルとなっている航空力学的不安定さを、最初からオプションユニットを前提にした短距離飛行能力と割り切って実用化にこぎ着けた。

要するに正規軍で制式採用する水準ではないが、短期間かつ極少数の特殊作戦機としてならば使い物になるラインに仕上げたもの。
グライダーユニットを炸裂ボルトで分離することによって、対バレットナイト戦を想定した格闘形態となる。

その外見上の特徴は、東洋の編み笠よろしく円錐形の頭部、スラスターユニットで構成された脚部、そして機能的に分散配置された近接兵装である。
特徴的なのは円錐型の頭部から伸びた4本の武装肢――近接兵装を備えたサブアームである。
本機の異様な機体構造は、この4本の武装肢による白兵戦を前提に設計されている。

平べったい頭部からブレードつきサブアーム4本が展開された状態では、その名の通り、蜘蛛を思わせる異形。
これは「下半身がスラスターユニットで埋め尽くされる」「背部にはグライダーユニットを装着する」という前提ゆえ。
通常の兵装ハードポイントが使えないため、頭部/胴体を仕込み武器の塊として解決。

言うまでもないことだが、これらの近接用サブアームの同時制御は、プログラムによる自動制御ではなく搭乗者の手動制御である。
大質量の高密度ブレードを高速で振り回すため、当然のことながら重心バランスの維持は極めて困難。

斬撃や刺突にともなう慣性すら織り込んでの運動エネルギーの制御が求められる。
その異様なまでの白兵戦に特化したコンセプトは、バナヴィア独立派の〈ミステール〉に近しい。
とはいえ技術的な繋がりはなく、同時期に似通った設計思想の機体が登場したと思われる。


武装
・頭部:超硬度重斬爪(サブアーム)×4
・背部ハードポイント:汎用マルチコネクター…バックパックをあえて持たず、多様な装備品との共通規格ハードポイントに。
・右腕部:肘部ハードポイント:超硬度重斬刀(太刀)×1
・左腕部:光波シールドジェネレータ/自在軌道振動鞭〈ズィア・パイチェ〉×2…《唸る鞭》の意。人工筋肉の束に超弾性鋼の外装を被せ、超振動モーターで切削する。
・脚部:エーテルパルス粒子ロケット推進機×2…大腿部に仕込まれた高エネルギー粒子を燃料にしたロケットエンジン。
・膝部:超振動クロー×2…猛禽類のようなかぎ爪型の超振動ブレード。








・〈ドッペルシュピンネ〉
人型バレットナイト〈クリンゲンシュピンネ〉が、背部ハードポイントを通じて〈ドッペルドラッヘ〉と接続された姿。
人型機である〈クリンゲンシュピンネ〉の下半身を〈ドッペルドラッヘ〉の巨大な胴体に埋め、背中のコネクターによって接続して固定した急造品である。

四足歩行の双頭竜である〈ドッペルドラッヘ〉の背中から、毒蜘蛛じみた人型兵器の上半身が生えた異形の姿――ある種のケンタウロスを思わせる見た目。

電脳棺は通常、人型であることを条件として融合操縦システムを構築している。
これは先史文明の時代に構築された非軍事用途の汎用インターフェースを、無理矢理に兵器化して運用するための裏技だった。
現代文明の技術水準では、すさまじく洗練されたソフトウェアである電脳棺の制御システムを書き換えられないためである。

しかし〈ドッペルシュピンネ〉はこの原則を大きく逸脱している形態である。
元々、それ単体で独立した駆動フレームを持つ毒蜘蛛――〈クリンゲンシュピンネ〉に加えて、双頭の邪竜〈ドッペルドラッヘ〉の駆動フレームまで、単独の電脳棺で制御することになるからだ。

そのフィードバック負荷は常人には耐えがたく、また制御が複雑化しているはずだが、本機はその完成度の低さをパイロットの高度適性のみで補っている。
ベガニシュ帝国の兵器開発においてはありえない、逸脱者(イレギュラー)を前提とした機構。
ある意味で第3世代バレットナイトの代名詞となった〈アシュラベール〉の出自に最も近しい異形の怪物こそ〈ドッペルシュピンネ〉である。

元々、〈ドッペルドラッヘ〉は複数の試作車両が存在しており、本機はそのうちの強襲駆体プラン――バレットナイトにとっての拡張装備として機能するモデルを流用したもの。
実戦運用は前提とされておらず、推進装置や重火器をを搭載した状態での制御負荷を測定するための駆体だった。

ロケットスラスターの増設によって瞬間的な機動性は向上している反面、被弾時の防御力などは考慮されていない。
その劣悪な操縦性は想像を絶するが、融合者であるパイロットの技量によって恐るべき戦闘能力を発揮する。





※ガ〇ダム00のアグリッサみたいな合体形態(人型ロボがもっと巨大な異形メカに下半身を埋めてる)です。





自称ナイツベインの正体については後々、いろいろあります(ふわっ
ここからはクライマックスなバトルです。

感想、評価などいただけると…よろこびます!!



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