ひびみくと逃げた結果は前途多難   作:ものため

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6.全員巻き込むスタイル

 優がこそこそと2課(弦十郎と緒川)に情報を投げて幾日か過ぎた頃。スカイタワー付近にてノイズが発生したという情報が入ってくる。

 

「もう最終決戦か。ここで決断しなきゃだな」

 

 原作に近い結果になれば展開がある程度読める様になり、とある大義名分が出来る。しかし、何かしらの被害が発生するだろう。

 

 月の破壊を完全に阻止した場合は……展開が読めない。F.I.S.組はどうする?シェム・ハの件は……優はこみかみを押さえながら考える。すると、響が優の背中を撫でる。

 

「私達もいるから大丈夫だよ、優くん」

 

 そうだ。もう優は一人じゃない。頼れる幼馴染みに相棒(クリス)がいる。

 

「……向かう前に簡単にブリーフィングをしよう」

 

 優は椅子に座り息を整えてると、喋り始める。

 

「スカイタワーのノイズを片付けたあと十中八九、ネフシュタンと融合したフィーネが現れると思われる。我々の目的は月が墜ちる状況を作り出したうえで、フィーネを確保することだ。何か質問はあるか?」

 

「デュランダルの一撃を逸らすのと、カ・ディンギルの破壊は誰がやるの?」

 

 当然の疑問だろう。装者の中ではデュランダルの一撃を逸らせるのはクリスだけである。

 

「それは俺がやろう。それ用の装備は既に造ってある」

 

「大丈夫なの?」

 

 未来が心配そうに優を見つめる。

 

「……大丈夫、最初のボスにやられる程……いや、最初のが一番厄介かもしれんわ」

 

「えぇ」

 

 どの期のボスが強いかと聞かれたらシェム・ハ一択だろう。しかし、面倒なのは間違いなくフィーネだ。

 

「まぁ、どうにかするからさ。未来は飯を作っといてくれ」

 

 成功させねば詰みといった状況だが、優の気分は思いの外軽かった。

 

「フィーネは倒さないんだな」

 

「死なせたらどこで復活するかが分からんから……予想は付くが、絶対ともいえんからな、なるべく生きたまま確保したい」

 

 フィーネの復活方法は自身の子孫を器にし復活する。月読調に宿るとは思われるが……なんともいえない。

 

「とにもかくにも、状況的にフィーネは現れるはずだ。俺は現れるまで潜むから、そこまで任せる」

 

 優は立ち上がるとドアに向けて歩き始める。

 

「まぁ、あれだ。……勝つぞ!」

 

「「おー!!」」

 

 一期最終決戦の幕が開けた。

 

~~~

 

 現在、ツヴァイウィングの両名はスカイタワーに発生したノイズの処理をしていた。

 

「翼! そっちは!?」

 

「どうにか! でも飛行型が増え始めた!」

 

 フィーネとしても、不明な戦力が存在している事が確定してる為、炙り出す事に加え、敵戦力を疲弊させる事を目的にノイズを出来る限り発生させていた。

 

 ツヴァイウィングの武器は剣と槍だ。遠距離も範囲のある攻撃もできるが、近接寄りである事は間違いない。その結果、どうしても空のノイズへの対応が遅れてしまう。

 

 こうしている間も命は失われているだろう。自分達に力があれば……悔やんでも悔やみきれない。

 

「きゃ!?」

 

 奏が声のする方向に振り返る。そこには、小学生程の少女がいた。どうやら逃げ遅れてしまったようだ。

 

 飛行型のノイズは少女を発見すると突撃する。このままでは奏がノイズを処理するよりも先に、少女が炭にされてしまうだろう。

 

「くそ!?」

 

 遠距離攻撃も間に合わない。少女の命が尽きそうなその時

 

「でやぁ!!」

 

 少女の前にヒーローが現れた。

 

~~~

 

「お前は……!」

 

「奏さん……」

 

 奏は現れた少女を見る。

 

 間違いない、あの時の子だ。何故こんなところに? 何故ガングニールを? まさかあの時? 奏の感情はぐちゃぐちゃだ。

 

「奏さん!」

 

「……ッ!?」

 

「この子を避難させましょう!」

 

「ああ!」

 

 早くこの子を避難させなければ。響達が彼女を避難させようとしていると……

 

『それはこちらで行う。響達はノイズの殲滅を頼む』

 

「優くん!」

 

 目の前に人型で1つ目の白いロボットが現れた。所々に赤い十字のマークがある。

 

「お前もしかして、前の奴か!?」

 

 そうです。クリスを爆破した奴です。

 

『ええ。そんな事よりノイズの処理に集中してください。避難民はこちらで対応します』

 

「ああ! 分かった!」

 

『あと、色々あって雪音クリスが空のノイズを対処するので、見かけても攻撃しないでやってください』

 

「いや、待て。それはどういう」 

 

『時間がないので、それでは』

 

 そう言い残すと、ロボットはジェットを噴かし飛んで行った。

 

「なんなのあれ?」

 

「すいません翼さん……優くん、たまに適当な所があるんで」

 

「いやまぁ、時間無いのは事実だしな。とにかく行くぞ!」

 

「ええ!」

 

「はい!」

 

 装者達はノイズの処理に向かうのであった。

 

~~~

 

「こいつはいいな!」

 

『墜ちる事は無い筈だが気を付けろよ。ビルにぶつかっても責任は取れないぞ』

 

 クリスの役割は飛行型ノイズの処理である。遠距離特化のクリスからすれば飛行型だろうと関係なく処理が可能だ。

 

 加えて、クリスは現在、高速飛行可能な優製作のエアボードに乗っている。本来、固定砲台であろうクリスが高速移動しながらガトリングでノイズを処理している。ノイズからすれば恐怖でしかないだろう。ノイズに感情なんて無いだろうが……

 

「思ったより早く片付いたな」

 

『ノイズを処理する能力なら、相棒は現状の装者の中でもトップかもしれんな』

 

「おいおい、このボードの力でもあるだろ」

 

『それに関しては相棒と相性が良すぎるだけだからなぁ』

 

 高火力、広範囲の遠距離型に機動力を与えてはいけない。弱点が無くなるから。

 

『……来たか! 相棒、響達と合流しつつリディアンに向かってくれ。フィーネが2課を襲撃した』

 

「おう!」

 

 クリスは優の指示に従い、リディアンに向かうのであった。

 

~~~

 

「ふいー、こっちは片付いたな」

 

「そうですね」

 

 響たちの方もどうやら片付いた様だ。

 

「途中、えぐい弾幕を撒き散らしながら空飛んでる奴いたよな」

 

「空飛ぶバイクが出来るのも時間の問題ね」

 

「翼、落ち着け」

 

「すいません。優くんとクリスちゃんが……」

 

 風鳴翼は錯乱していた。実はメンタル弱めな防人である。まあ、装者の中で一番メンタル安定してるの誰? と聞かれたら困るが……

 

 そんな事を話していると、優から響に連絡が入った。

 

『リディアンにノイズ出現。2課をフィーネが襲撃中。クリスは既に向かってるからどこかで合流してくれ』

 

「了解! リディアンにノイズが出て、2課をネフシュタンの鎧と融合したフィーネさん…じゃなくて櫻井了子さんが襲撃してるらしいので向かいます!」

 

「まてまてまてまて!? どういうことだ!?」

 

「ふふふ、空飛ぶバイク」

 

「翼は落ち着け! そんで立花は置いてくな!?」

 

 また錯乱した翼と言うだけ言ってリディアンに向かう響と置いてけぼりになりかける奏であった。

 

~~~

 

「一応確認するけど、味方なんだよな」

 

「……おう」

 

「クリスちゃんは良い子なんで大丈夫です!」

 

「立花……良い子は人を襲撃しない」

 

「良い子なんでいいように騙されただけだから大丈夫です!」

 

「お前、実はバカにしてないか!?」

 

「なんで!?」

 

 案外余裕そうだった。カ・ディンギルの前でなにやってんだお前達。

 

「ずいぶん余裕だな貴様ら」

 

 フィーネは無視されて青筋立ててる。

 

「痴女は黙ってろよ!」

 

 クリスよ、お前の場合ブーメランだ。

 

「あの人が優くんの言ってた」

 

~~~

 

「古代から現代まで想いも伝えられず。どういうわけか子孫だけは居るらしい、イカれた喪女。略して」

 

~~~

 

「イ(かれた)モジョ」

 

「ちょっと待ちなさい。それ言った奴連れて来なさい」

 

 フィーネの青筋が増える。まるで鬼のようだ。

 

「は! 事実じゃねーか!」

 

「やかましい! だが、喪女と言われるのもここまで! 何千年も掛かったが漸く告白できる。これで私も待ちに待ったウェディングロードをあの御方と歩くの」

 

 響は知っていた。既にその相手は亡くなってることを、そのウェディングロードは既に存在しないことを。だが、響は言えなかった。だって可哀想だったから。

 

 そしてツヴァイウィングは絶句していた。ここまでの事をしている理由が喪女卒業ということに。

 

「既に発射シークエンスは始まっている。もう貴様らに止める事は不可能だ!」

 

 ぐだぐだ喋ってたせいで、既にデュランダルのチャージは完了してしまってた。

 

「これで私の目的は果たされる! いけカ・ディンギル! 忌まわしき数千年ごと消してしまえ!」

 

 カ・ディンギルから砲撃が放たれた、その時。

 

「それを待ってたんだよ」

 

 突如、空間に白い人型が現れる。その人型は三角のバリアを展開する。すると

 

「なん……だとっ!?」

 

 カ・ディンギルの砲撃はバリアに触れると逸れる様に曲がった。その結果、月は欠けるだけに留まる。

 

 砲撃を逸らした事を確認した人型は何処からか取り出した巨大なライフルの様な者をカ・ディンギルに向け放つ。

 

「ふ……ふざけるな!? 私がどれだけ待ったと思ってるんだ!?」

 

「知らんよ」

 

 人型がフィーネの前に降り立つ。

 

「対聖遺物用パワードスーツ……あんたを確保する為に作ったものだ……イモジョ」

 

「貴様か!? その忌々しい単語を産み出したのは!?」

 

「え? いまそこ触れる?」

 

 イモジョの件で結構切れてるご様子。だからこそ気づけなかった。

 

「後ろ注意だぞ」

 

「なっ!?」

 

 後ろから近づくロボットに。

 

 ロボットはフィーネの首に注射を打つと、霞の様に消える。

 

「貴様っ! 私に何をした!」

 

「いま打ったのは聖遺物との融合を解除するものだ。徐々に力が落ちていくのが分かるだろう」

 

 優は響の身体を散々検査したのだ。聖遺物と身体の融合に関する知識は頭一つ抜けているだろう

 

「悪いが今後の事を考えるとアンタを死なせる訳にはいかないんでね。悪いが確保させてもらう。そして苦労しろ」

 

「クソッ!? 私はここで負ける訳にはいかんのだ!」

 

 最終決戦が始まる。

 

~~~

 

「「「オロロロロロロロロロロロロロロ」」」

 

「い、胃が……」

 

「……先が思いやられるな」

 

 最終決戦は速攻で終わり、フィーネは確保された。その後、確保したフィーネをクリスと一緒に2課の前に連れて行き、その場で知ってる事をあることを全て話した結果がこれである。

 

 2課の方々は吐いたり、胃を押さえたりし、頭を抱えたりしている。ちなみに、胃を押さえてるのは緒川で頭を抱えてるのは弦十郎だ。

 

「ふふふ、俺の苦しみが分かったようでオロロロロロロ」

 

「おいおい、お前まで吐くなオロロロロロロロ」

 

 お前達まで吐くのか。いや、吐くか。メンタルに響くもんな。

 

「私が……私がやってきた……オエ、事は……何の意味も……」

 

 フィーネもやられてる。吐くのも時間の問題だ。

 

「フィーネさんよぉ、お前もこっち側に来いよぉロロロロ。吐いたら楽なるぞぉロロロロ」

 

 優よ、お前はなぜフィーネを吐かせようとしているんだ。

 

「嫌よ! ここで吐いたらオロロロロロロロロ」

 

「堕ちたなオロロロロロロロ」

 

 2課(弦十郎と緒川を除き)全滅。




2課の面子にゲロを吐かせた理由は、ここすきという項目を見たからとだけ言っておきます。
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