ひびみくと逃げた結果は前途多難   作:ものため

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子供だろうが歳を重ねようが、カッコいい物はカッコいいのです。


7.仕事の出来すぎるお爺さん

「弦十郎さんの親父さんが俺を呼び出してる?」

 

「すまない。どうにか時間を取れないだろうか」

 

 どうやら優の作品の情報が風鳴訃堂に漏れたようだ。

 

「全然いいですよ。むしろ此方から出向こうかと思ったぐらいで」

 

「こんな事を言うのもあれだが……親父は外道の類いだぞ」

 

 そう風鳴訃堂は外道だ。味方に引き込むのが難しい存在といってもいい。

 

「こちらは勝手に身の周りは守れるので……国を勝手に守っててくれると正直助かるというか……あの戦力持て余すのはどうかと思いますし、どこかで話し合うべきとは思ってたんですよ」

 

「ううむ……」

 

 弦十郎は考える。あの親父をどうにか出来るのか?と

 

「一応、気を付けておいてくれ」

 

「わかりました」

 

 優は風鳴本邸に向かうことが決まった。

 

~~~

 

 風鳴本邸にて、優は促され座布団に座るが目の前には訃堂、横には弦十郎、あと、どっかに潜んでる緒川。圧がすごいのである。

 

「急に呼びつけてしまって申し訳ない」

 

「いえ、自分も貴方とは話がしたいと考えていたので……」

 

 どうやら、訃堂は優を見定めているようだ。

 

「端的に聞きましょう。あの鎧について……」

 

「守ってくれるなら全然渡しますよ。条件付きですが」

 

 優はあっさりとパワードスーツを渡すと言った。弦十郎達は驚くが訃堂はペースを崩さない。

 

「条件付きですか」

 

「はい。条件付きです。端的にいえば、情報は風鳴家以外には漏らさないことです」

 

「ほう」

 

「現状、信用できるのが身内と2課の面子ぐらいしか存在しないものでしてね。どこから他国に情報が漏れるか分かったもんじゃない」

 

 優の心配はそこだ。現状、日本政府は信用できない。情報を与えれば確実に海外に情報が漏れるだろう。優としては、なんだかんだ日本で活動したいので訃堂にどうにかして欲しいのである。

 

「なにより、どこの国とは言いませんが、好き勝手しすぎでしょうよ。最低限の礼儀も仁義もありはしない。そんな奴達は信用出来ない」

 

 優の怒気が溢れる。暗躍中に邪魔だったのでキレてるだけだが……。だが、それが風鳴訃堂としては好印象だったようだ。他国が嫌いというより邪魔するんじゃねぇといった感情なのだが、まぁ、いいだろう。

 

 ここで、現状の訃堂から見た優の評価に触れよう。まず、基本的に他国に靡くことが無さそうな為、かなり好感度が高い。加えて、身内に手を出さない限り、此方にケチもつけてこないだろう。と踏んでいるが概ね正解である。強いて違う所をあげるとするなら、他に比べれば日本のがマシだから離れる気になれないというだけである。

 

 優は根本的に身内以外はどうでもいい……というより、自分は神ではないから身内最優先で他は余裕が無い時は諦めると割りきっている。

 

 そのため、風鳴訃堂がとんでもない外道行為に走ったとしても、身内が巻き込まれなければ、「まぁ、必要ならいいんじゃないか?」で終わってしまう。

 

 故に、訃堂と優の相性は悪くないのである。

 

「一先ずこちらを、貴方専用のパワードスーツです」

 

 優は持参したメタリックパープルのアタッシュケースを訃堂に渡した。

 

~~~

 

「ふははははははは!」

 

 紫のパワードスーツである残鉄を纏った訃堂のテンションはマックスだ。

 

 優作成のパワードスーツはフォニックゲインを精製し攻撃する為のエネルギーに利用できる。ちなみに動力源は響から抽出されたフォニックゲインを圧縮したり、こねたり、別のエネルギーを足したり、何か色々して作った物である。

 

 武器は大太刀が1刀、打刀が2刀にライフルといったものだが……

 

「ふははははははははははは!!」

 

 訃堂がこうなったのは武器が原因だ。大太刀を一振すれば斬擊が飛び、岩を切り裂いた。切り裂かれた岩の断面はまるで磨かれたように美しい。

 

 さらに、ただでさえ高い身体能力も劇的に上がっている。連続で瞬間移動している様な挙動をしている。優は、あれ?瞬間移動能力とか付けたっけ? となっているが、ただの風鳴OTONAクオリティである。

 

 その結果、新しい玩具を手にした子供のようなテンションになってしまっている。

 

「親父にあれ渡してよかったのか」

 

「凄まじいですね……」

 

 弦十郎といつの間にか横に居た緒川は青ざめている。目の前に戦略兵器でもあるかの様な顔だ。……いや、あれは戦略兵器の類いだ。

 

「(守ってくれるなら)いいんじゃないですかね。弦十郎さんのも用意してるのでどうぞ」

 

「俺のもあるのか!?」

 

 優はどこからか取り出した赤いアタッシュケースを弦十郎に渡した。

 

~~~

 

「ふははははは!」

 

 蛙の子は蛙だった。ほぼ同じ反応であった。弦十郎に渡したのは赤いパワードスーツである擊鉄。武器はナックルと盾でエネルギーの操作が出来るだけであるが……

 

「ふはははははははははは!!」

 

 どいうわけか、殴れば遠くの雲が吹き飛ぶ。それを見た優は、少年マンガで見たことあるやつだぁ。と白目になっている。弦十郎と撃鉄の相性が良すぎたのだ。

 

 ちなみに、緒川は慣れて来たのか、いいなぁ。かっこいいなぁ。といった視線で弦十郎を見ている。

 

 時間が過ぎ、多少は落ち着いた訃堂が優に近づいてくる。

 

「優殿、儂はこの力で護国の鬼神となりましょう」

 

「あ、はい。鬼神でも修羅でも魔神でもなんでもいいんで、日本守っといてください」

 

 なんとでもなれ、優はそう思いながら空を眺めるのであった。

 

~~~

 

「優殿、F.I.S.の人員に加え、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスを確保しました」

 

「訃堂さん、あなた仕事早すぎじゃないっすかね」

 

 鬼神と化したお爺さんの力で、2期、秒で終わる模様。




実は前回で最終回にするか悩みましたが、一応続けてみます。
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