ひびみくと逃げた結果は前途多難   作:ものため

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正直どうするか悩みました。


8.月獲り

「調査の結果、月の落下がほぼ確定であることが分かりました」

 

「流石2課だ。仕事が早い」

 

 速攻でF.I.S組捕まえて、月の調査までしている。優は感動した。自分が動かなくても勝手にことが済んでいるのだ。

 

「フィーネがな! フィーネが2課に潜り込んでなければな! こんな苦労しなかったのにな!」

 

「事実だから言い返せないわね……」

 

 なんだかんだフィーネは別人として2課に復帰しているが、その話は後にしよう。

 

「弦十郎、デュランダルの件はどうなった?」

 

 訃堂は弦十郎に訪ねる。カ・ディンギルの件でデュランダルは現在、行方不明となっていた。

 

「まだ発見されてはいない。優君の一撃で消しとんだんじゃないか。という意見まで出て来た所だ」

 

「あっ!」

 

 優の声に源十郎達は優のいる方向に振り向く。優はすっかり忘れてたという表情。

 

「すいません。何かしらの形で他国に取られるのが一番まずかったので、此方で回収しておきました。伝え忘れてしまって申し訳ないです」

 

 2課に預けたらデュランダルが他国に渡される危険性があっため、優が回収し保管していたのだ。

 

「他国に渡さない為の当然の判断ですな。しかし優殿、そういった報告は迅速にですぞ」

 

「はい、肝に銘じます」

 

「親父、何か優君に妙に優しくないか?」

 

 一応言っておくが、別に訃堂は善人ではない。単純に優と相性が良かっただけである。

 

 どちらも明確に守る物があり、その為には手段は選ばないタイプなので、意外と気が合うのだ。

 

「こうなっては仕方がない。デュランダルの力で月を完全に破壊するとしよう。弦十郎、カ・ディンギルの再建を行え」

 

「少し待ってください」

 

 優はデュランダルによる月の破壊に待ったをかける。

 

「自分にいい考えが……」

 

~~~

 

「おう、というわけだから、一応お前らが持ってるデータ全部くれ。あと、まだ話してない事あるだろ。決着付けてくるから全部言え」

 

「「「いやいやいやいや」」」

 

「急に出てきて何いってるの!?」

 

「出落ちは黙ってろよ! 秒殺されやがって!」

 

「なッ!?」

 

 パワードスーツ残鉄の記録を確認したところ、数秒で訃堂に倒されていた。

 

「いや、訃堂さん相手によく生き残った。誇れ、お前達は強い。相手が悪かったドンマイ!」

 

「情緒どうなってるデスか!?」

 

 許してやって欲しい、彼はまだまだ疲れている。

 

「でも、あの紫強かったよね」

 

 強い所の話じゃない。訃堂がデャア! と大太刀を一振りしたらマリア達は全滅したのである。

 

「で、月の落下を止めるではなく、月を我々の物にする件だが」

 

「「「待って!? 本当に待って!?」」」

 

~~~

 

「獲りましょう。月を」

 

 全員が驚愕の表情を浮かべる。

 

「正直、ここで月獲ってれば後々困る事が減りそうなんですよね。他国に舐められることも減りそうですし」

 

 国際的にも日本が舐められる事は無くなるだろう。

 

「君の話とだいぶズレるが……それはいいのか?」

 

「封印状態とはいえ、ギャラルホルンが何かの間違いで稼働したら、予測も何も出来ないですしね。ま、ここまで予定通りに来れた時点で万々歳だと思うことにしますよ」

 

 2期までと違い、3期以降は此方がアクションを起こさずともイベントが発生する可能性は高い。

 

「落ちてくる月を止めるという大義名分もあります。他国も文句言いにくいでしょうよ」

 

 落ちたら滅ぶという状況で、ぐちぐち言ったら恥知らず所の話じゃないだろう。まぁ、言ってくるのだが……。

 

「何より、制御に必要な物を向こうから持ってきてくれたんです。使わない理由がない」

 

 シェンショウジンしかり必要な物は揃っている。そのため優は、これ獲れる物を全部獲った方が今後楽じゃね? と判断したのだ。

 

 キャロルにアダムにシェム・ハ、敵が敵なので此方の戦力は出来るだけ増やしておきたいのである。まぁ、シェム・ハに関しては封印を強化すればいい可能性も0ではないが……

 

「取り敢えず、ウェル博士とナスターシャ教授を味方に引きずり込みましょうか」

 

 研究者、技術者はどれだけ居てもいいのである。

 

~~~

 

「一応言っておくがウェル博士もナスターシャ博士も此方に付く感じだぞ。あと、ナスターシャ教授の治療も始まっている」

 

「色々と事が進み過ぎデス!?」

 

 面倒事はさっさと終わらせるのが優という男である。

 

「そういや、ウェル博士に色々話したら」

 

~~~

 

「僕が英雄に成れるチャンスがそんなにあるとは!」

 

「普通に勘弁して欲しいのに、何でこの人こんな元気なの」

 

 強いていうならウェル博士だからだろう。静かそうだったのは2期の1話くらいだ。それ以降はずっとうるさい。

 

「ブクブクブク」

 

「やっべ!? ナスターシャ教授の病気のこと忘れてた!?」

 

 ナスターシャ教授は泡吹いて気絶していた。

 

~~~

 

「って、事があってな」

 

「大丈夫なのよね!? それマムは大丈夫なのよね!?」

 

 マリアが声を荒げる。そりゃそうだ。病人が泡吹いて倒れたら、誰だってそりゃ驚くし焦るだろう。

 

「絶賛治療中だよ。なんなら足も動くようになるさ」

 

「うそっ……!」

 

「ほんと」

 

 2課と優の力により、ナスターシャ教授は全治数ヶ月といった具合だ。

 

「なんで、そこまでしてくれるの?」

 

 調の疑問ももっともだろう。見ず知らずの自分達にそこまでするのは疑問だ。

 

「此方としても、打算ありきだ。薬ありきとはいえ、色々と訓練受けて即戦力であろう君たちは魅力的だ」

 

 健全とは言えないがな。と優も考えたが、気にかける程の仲でも無いので、その考えは置いとくことにした。

 

「まぁ、2課に入るか協力者である俺の所に来るかはそっちに任せるさ」

 

「あなたは政府の人間じゃないの?」

 

 調が優に訪ねる。ここまでの情報を持っているのに政府の人間では無いと言うのもおかしい話だ。

 

「色々とあって協力者って感じだな。今の所」

 

 現状、優達は2課には所属せず、協力者という立ち位置に収まっている。理由は単純で、政府をどこまで信用していいか分からないからだ。完全な下の立場になると、情報を政府に渡す必要が出てくるだろう。その場合、他国に情報が流れる可能性が大きくなる。

 

 他国に自分の作った物が流れ争いの元になっても責任を取る気はない。というのが優のスタンスだ。物を作るにあたって、意図しない使われかたをされるという事は歴史が物語っている。

 

 だが、それでも情報が流れない様にしているのは、身内が巻き込まれる可能性が高まるからだ。何より、争い何て起きないに越したことはない。ただこれだけの理由である。

 

「まあ、どっちに入ってもゲロは出るから」

 

「「「どいうこと!?」」デス!?」

 

「いや、まあ、うん、情報過多でね」

 

 全部聞いて問題が無かったのはウェル博士だけである。ウェル博士の存在が問題あるだろと言われたらその通りだと思うが……。

 

「まあ、胃に穴が空いても、この薬で治せるから安心してくれ」

 

 優はすっと薬を取り出した。

 

「どこに安心出来る要素があったというの!?」

 

 この世界に住んでる時点で、そんな要素はない。

 

「まぁ、聞かせてやろう」

 

 優はもう巻き込む気が満々なのであった。

 

~~~

 

「「「オロロロロロロロロロロロロロ」」」

 

 吐いた。ほら吐いた。吐かない要素無いもん。やっぱクソだよこの世界。

 

「オロロロロロ地獄みたいな世界にオロロロロロ産まれた事を呪いなオロロロロロ」

 

 優は持参したビニール袋に吐いている。マリア達にもやれよ。そいつら地面にぶちまけてるぞ。

 

「歌姫なのに…オロロロロロ。一応歌姫なのにオロロロロロ」

 

「そういやオロロロロロ。事故ったって事にして、LIVEは延期にしといたから安心してオロロロロロ」

 

「それ、オロロロロ今する話ロロロロロロロロ?」

 

「オロロロロロ。うぇ、口の中がすっぱいデス」

 

「オロロロロロロロロロロロロロ」

 

 地獄絵図。出来るのは血の池ではなく胃液の池だが。

 

「ふぅ、そういうわけだから。これからよらしく」

 

「はぁ。ここまで、よろしくしたくないのは初めてよ」

 

 ため息まで酸っぱい臭いがしたが、可哀想なので誰も触れない……というより、全員酸っぱい臭いなので言わないだけである。

 

~~~

 

 数ヶ月後、日本は月の落下を発表。それと同時に月の落下阻止を大義名分に月を確保する為に動いた。

 

 一部の国は日本を非難しようとしたが、直前に自国の非道な行いが誰かの手により漏洩し、そちらの火消しにリソースを割くことになった。その間に日本は月の確保に成功したのであった。

 

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