ひびみくと逃げた結果は前途多難   作:ものため

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9.祝勝会

「と、いうわけで、月の確保を記念した祝勝会です。費用は訃堂さんが出してくれたので感謝するように……それでは」

 

「「「乾杯!」」」

 

 月の落下の阻止と確保という偉業を成し遂げた優達と2課は、祝勝会を開いていた。みんな頑張ったのだから、これくらいしても許されるだろう。

 

「なんか和食全般が異様に美味いんですけど」

 

「和食は○○亭のものです。あの店とは縁があるもので」

 

「めちゃめちゃいい所のやつじゃないですか。そりゃ美味いわけですね」

 

「親父と優君の仲がいい……。というより親父の機嫌がいいのか」

 

 訃堂からすれば、自分の弱点であったノイズに対処できる武具を作った人物だ。思惑はあれど、悪くする筈がない。むしろ、訃堂は優に対してめちゃめちゃ好感度高い。

 

「しかし、月を確保する直前の訃堂さんの立ち回りは凄かったですよ」

 

「ふ、売国奴と畜生共を八つ裂きにしたまでです」

 

「無双ゲー見てる感じでしたからね。残鉄を作った甲斐があったってもんですよ。新しい刀出来たら報告するんで是非試してください」

 

「それは楽しみですな」

 

 知らない所で訃堂が無双していたようだ。まぁ、止めれるのは弦十郎ぐらいな為どうしようもないのだが。

 

「弦十郎さん用にも色々作ってるので、新しいナックルとかパイルバンカーとかトマホークとか」

 

「……何故トマホークなんだ?」

 

 ちなみに、投げてもブーメランの様に返ってくる仕様はない。

 

「いいなぁ。僕も欲しいなぁ」

 

 緒川が羨ましいがっている。なんなら2課の男性陣全員が羨ましがっている。だって格好いいから。

 

「緒川さんの出来てますよ」

 

「本当ですか!」

 

「忍者って感じのやつ作っときました。今度実験しましょう」

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

 緒川に2課男性陣の羨ましがる視線が突き刺さる。しかし、緒川は気にしない。嬉し過ぎて周りが見えていないだけだ。

 

「緒川さんの起動実験が終わったら2対2で模擬戦するのもありですね」

 

「お! それはいいな!」

 

「腕がなりますな」

 

「ちょ!? 貰ってすぐはきついですよ!」

 

「戦いながら覚えればいいんですって」

 

 ハハハと笑う男達。かっこよさに童心に帰っている。

 

 ひとしきり話した後、ふらふらと響達のいる場所に移動していると、マリアが近づいてくる。

 

「あの……私達はここに本当に参加していいのかしら?」

 

 マリアは心配そうに伺う。F.I.S.装者組が今回した事は簡単な雑用くらいである。一応戦力だから控えては居たのだが、2課と優達だけで戦力が足りてしまったのだ。何なら、訃堂と弦十郎だけでどうにかなってしまうのだが……。

 

「まぁ、いいんじゃない? 鏡(シェンショウジン)持って来てくれたし」

 

「別にアナタ達の為じゃないのだけれど」

 

「まぁまぁ、何よりあれ見てみ」

 

 マリアは、優が指を指す方向を見る。

 

「おいしーデス!」

 

「これもおいしいよ。切ちゃん」

 

 すっかり馴染んだ切歌と調は、パクパクと料理を食べていた。

 

「あれ見て帰れっていう奴は居ないよ。なにより……」

 

「なにより?」

 

 ため息をつき、優は話だす。

 

「君たちというか、一部は不法入国かもだけど他は何もしてないというか未遂じゃん。でも、こっちは君たちを誘拐してる様なもんだから気にするだけ無駄だよ」

 

「冷静に考えると凄い状況ね!? 私達って誘拐犯とパーティーしてる様なものなの!?」

 

 全部アルティメットお爺ちゃん(訃堂)がテンションMAXなうえで本気を出したからである。

 

「だから気にせずに楽しめばいいんじゃない?」

 

「はぁー、考えるだけ無駄のようね……。楽しむだけ楽しむことにするわ」

 

「それがいいさ。……ん?」

 

 優は、2課にあるプロジェクターに目をつける。結構いいやつである。

 

「……あれを流すか」

 

「何する気?」

 

 優は懐からあるものを取り出す。

 

「スーパーシャークVS改造忍者……」

 

「なにそれ!?」

 

「2……」

 

「二作目!?」

 

「少し前に続編が出てな」

 

「その、よく分からない作品が!?」

 

「サブタイトル、怪人キノコマンを討て」

 

「サブタイトルまで!?」

 

 どうやらとある動画投稿者がレビューした結果、バズって続編が出た様だ。よくこんな物見ようと思ったな。

 

「最初はスーパシャークVS怪人キノコ男の予定だったらしいけど改造忍者が人気出ちゃって続編を作る事になったらしい」

 

「そもそも怪人キノコマンって何よ!?」

 

「スーパーシャークの説明すら本編でされて無いのに、キノコマンの事なんて分かるわけないだろ!?」

 

「説明ないの!?」

 

 すっ飛ばせる所は全部すっとばし、物語において重要性のある部分の説明がある程度。大体そんな作品である。

 

「説明無い代わりに凄くテンポがいい。2も評価高いから早く見たい」

 

「えぇ……?」

 

「まぁ、みんな1作目は見てないだろうし、今日はそっちを見ておくか。緒川さんに許可とってこよ」

 

 その後、観賞した全員の評価は、テンポが良いからか面白かった。とのことである。

 

 なお、クリスだけはこれ以上の映画はないと言っている。優はクリスに今度いろいろな映画を見せようと決意したのであった。

 

~~~

 

「あー、飯がうまかった」

 

「うん。まさか○○亭の料理があるなんて」

 

「マジでそれ。今度からパーティーとかの食事関係は訃堂さんにお願いしてみるか」

 

「「Zzz」」

 

 祝勝会が終わり、優達は家のリビングで休んでいた。楽しんでいた響とクリスは疲れていたのかソファーで寝落ちしている。

 

「なんか飲む?」

 

「じゃあ、ココアお願い」

 

「はーい」

 

 未来は慣れた手つきでココアを作り、優に差し出す。

 

「はいどうぞ」

 

「ありがとう」

 

 優は差し出されたココアを受け取ると口に含む。

 

「ふぅ……」

 

 

 優は一口飲むと、ほっと息を吐き出す。

 

「浮かない顔だね」

 

「楽しい事が終わった後にある特有のあれだよ」

 

 未来はそう言う優の隣に座り、じっと目見つめると

 

「嘘つかないの。分かるんだからね」

 

 優の発言が嘘と断定する。子供の頃からの付き合いなうえに、数年同居しているため、嘘かどうかはすぐに分かるのだ。

 

「……そうだな。分かるか」

 

 ばつが悪そうに優は髪をポリポリと掻く。もう一口ココアを口に含み一息つくと話し始める

 

「月は確保したけど……今後どうしたもんかなと」

 

 色々と考えて月を確保した優ではあるが、今後のラスボス共の動きの予想がつきにくいのも事実であった。

 

「アダムは組織のトップだから多少は動きが分かるが……」

 

「キャロルだっけ」

 

「そう」

 

 キャロル・マールス・ディーンハイム……シンフォギア3期のラスボスであり、復讐者である彼女の動きは特定が難しいのである。

 

「端的に言えば、彼女の行動理念は父の遺言と……後は要するに復讐って感じだ」

 

「説得が難しいってこと?」

 

 優からすれば、ギャラルホルンを使いたくない以上、有能な人材はとにもかくにも味方にしたいのだ。そのため、説得方法を考えているのだが……。

 

「いやー、全く思い浮かばない。そもそも復讐者ってのが扱いにくい」

 

「話を聞く限り、復讐相手が問題だよね」

 

「復讐手伝うから味方になれも無理だしなぁ」

 

 復讐キャラなのに復讐相手が世界という規模がおかしいキャラのため説得が難しいのである。せめて復讐相手は個人か組織であれ。

 

「その人のお父さんが生きてればいいんだけど」

 

「過去から連れて来るとかも考えたけど、過去改変って大丈夫なのかという問題もあるからな。まぁ、月確保で相手の動きが少し読みにくくなったのと、キャロルの説得をどうするか……で悩んでるって感じ」

 

 優は月の確保に関しては後悔は少ない。他国の邪魔が少なくなるだけで動き易くなる。現状S.O.N.G.が編成されなさそうという問題もあるが、有能な味方が多いため気にならないといったところだ。

 

「うーん。そんな無理に仲間にする必要あるの?」

 

「というと?」

 

「だって研究者は了子さんもナスターシャ教授もウェル博士も居るし、戦力だって訃堂さんとか弦十郎さんとか多いのに気にする程じゃなくない?」

 

 正直、原作と比べると過剰なまでに戦力は多いだろう。なんなら原作で困っていたLiNKERなどの問題も作った本人が居るため問題にはならない。

 

「考えて見れば……あれ? もしかしてキャロルって別に仲間にする必要ない?」

 

 優は冷静に考えれば考えるほど、別にキャロルに拘る必要が無い事に気づく。オートスコアラーの技術も別に必要なく。キャロルは個人であるため、仲間にした所で増える人材はキャロルだけである。

 

「うわぁ、俺バカじゃん。ここまで割りと仲間に出来てたから変なノルマを自分に課してたわ」

 

「もう……。考えすぎだよ」

 

 優は眉間を抑える。どうもここ最近上手くいっていたため、変に考える余裕が出来てしまったのが原因だろう。 

 

「悩みがあったら私に相談する事……いい?」

 

「うっす」

 

「じゃあ、ココア飲んだら響とクリスを部屋に連れてって。私はコップ洗うから」

 

「はいよ」

 

 優はココアを飲み干すと響とクリスをそれぞれの部屋に運ぶのであった。

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