健全な男子には厳しい姿勢で行きたい白猫の話   作:変身スキー

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ToLoveるって猫耳少女あんまいないよねってところから思いついただけのお話。
TSは作者の趣味です。原作でもやってるしいけるでしょ。

なので、猫耳少女のおいしいところは積極的にやっていきたいところ



無印編
プロローグ:白猫の述懐


人生何があるかわからないもんだ。

 

歩道を歩いていたのに車が突っ込んできたとき。

死んだと思っていたのに赤ん坊になって二度目の生を経験したとき。

ふとした瞬間に見上げた空に月が二つあったとき。

 

自分の頭が現実に追いつかなかったとき、どこか諦めに似た感情と共にボクは決まってそう思う。

 

新しい両親が死んだとき。

悪いこと沢山してそうな組織に3歳程度で回収されたときにもね。

 

世の中は不条理な事しか起こらないのかと諦めかけたこともある。

拾われた組織はもちろんの事ボクに優しくなかったし、痛いこともいっぱいされたから。

 

だけどそんなボクを支えたのは、転生をした際に持っていた知識だった。

宇宙戦争とか、異星人とか。

そういうものが当たり前にあるのを知ったとき、生前15年育んできたボクの中のロマンが不条理に打ち勝ったのである。

……これ、ホントの話ね。

 

スター・ウォーズみたいな武器とか宇宙船とかあるなら見てみたかったし、どこかの星にいるお姫様とのロマンスにもあこがれた。

捕まってから二年くらいで組織が壊滅して自由の身になったから、そんなことを考える余裕くらいはあったのだ。

 

転生してから15年。

前世と同じ年になって振り返ると――――うん、案外悪くナイ。

ボクの死んだ両親や友達は返ってこないけど、宇宙をさすらう賞金稼ぎというのはなんだかイイ感じだ。

なによりも響きが格好いいもん。

 

さて。そんな感じで、ちょっと血煙漂うけど充実な人生を送っていた僕は、ふと地球のことを思い出していた。

前世とおなじ年になったせいだろうか。

もしくは最近賞金首を狩ってはお金を得る変化が少ない生活だったから?

――――まあ、理由はともかくとして。いわゆるホームシックという奴である。

 

かつて過ごした地球に帰ってみたい。

一度そう思ったらますますその思いは強くなっていった。

幸運なことに、この世界にも地球は存在したし、文明レベルもボクの記憶と相違ない。

なによりも地球にはちょっとした伝手があったから。

 

ただ――――この世界で15年過ごしていてさすがにボクも気づいている。

確かにこの世界は宇宙人同士の戦争とか、賞金稼ぎがいたりとかするけれども、この世界は決して『スター・ウォーズ』などではない。

 

みなさんはデビルークという星の名前を知っているだろうか。

僕も自由になってからいたるところで聞いた星の名前だ。

宇宙の星々の多くを統べる、『スター・ウォーズ』でいうと帝国のような立ち位置のこの星は、とある漫画の主要な存在として登場するのである。

 

そう、あのジャンプのラブコメ金字塔『ToLoveる』に。

 

……いや、確かにスペース冒険活劇風な引き出しはいくらでもありそうな作品だけど、まさか自分の転生した世界があのToLoveるとはね。

 

さて、そんなToLoveる。時系列的にもだいたい原作の時期ともかぶっている。

大体デビルーク星の断片的な情報だけの判断だけどね。たぶんあともう少しで第一王女のララ・サタリン・デビルークが家を飛び出すころなんじゃないだろうか。

 

せっかく地球に戻るのだ。できるだけゆっくり過ごしたいし長期滞在したい。

ララ様が地球に入った後になるとデビルークからの監視も厳しくなり、地球にも入りにくくなるだろう。

 

――そのわりには危険な宇宙人がほいほいと入っていた気もするが。

 

それにデビルークを警戒して、主人公がいる町以外に住むというのも少々面倒なのだ。

地球に行くとなれば、知人を頼ることになるだろうし、その知人は作品の舞台となる町に在住している。

となれば、無理にかかわりを避けるよりは、うまいこと折り合いをつけて関わっていたほうが良い。

ある程度プリンセス達の動きを把握していた方がいいだろう。

 

まあ、問題は折り合いを本当にうまくつけれるのかだけどね。

これから長く住み続ける星の住人に深く肩入れしてしまう。なんてのは――まあありそうな話だ。

 

その他、物騒な原作イベントなんかは問題ないんじゃないだろうか。

ボクだって結構強い。序盤のララの婚約者争いで出てくる奴程度では特に問題はないだろう。約一名を除いて。

 

僕が心配しているのは沢山いる暗殺者や賞金稼ぎ共ではなく、この物語の主人公の『結城リト』の方である。

そしてこの漫画のジャンルはラブコメだ。それもちょっとHな。

続編の展開では『ちょっと』が消えるらしいけど――正直移籍後の話はよく知らない。

 

なんでそんなに結城リトのことを警戒しているのかって?

もちろんボクは男だよ。今でも『自意識』はね。

 

……そうなんだよね。今世のボクは女の子なのです。

毎朝鏡を見ると、白髪の肩口まで伸びた長い髪に猫耳と尻尾までそなえた美少女が鏡に映る始末。

まあ、少々『ボリューム』は足りないけど、むしろ違和感がなくて好都合。

という話はおいといて。

 

これはよくないよね。

女の子の宇宙人ってだけなら問題はない――いや、かなり危ないけどまだいい。

でも猫耳尻尾つきはだめだ。

だって原作でも見たことがない特徴である。

それも性格とかじゃなくシルエットだけでわかるレベルの特徴だもの。

 

と、いうわけで。僕の直感ではこのまま対策をせずにいればいつの間にかハーレム要員待ったなしのような気がする。

自信過剰のように聞こえるかもしれないがボクの直感が働いたのだからしょうがない。

 

なので、秘策を考えました。

これがうまくいけば背景に上手いこと溶け込めるだろうという秘策。

 

簡単に言えば男キャラで溶け込もう大作戦。

 

この世界には宇宙人用の生態義体スーツというものがある。

ある程度なら身長も自動で補正できるという優れものである。

 

まずはこれで男キャラとして彩南高校に入学する。

 

これだけで随分と話は変わってくるはずである。

もしかしたらボクが何も対策なんかしなくても目的を達成できるかもしれないし。

 

   ●

 

さぁ。そんな作戦がはじまってから数か月が経った。

あれから賞金首を二、三人狩って地球での生活用資金にあてたり、地球人擬態用スーツを作ってもらったりしたわけだけど。

結論から言うと、ボクはなんなく地球に入り込むことができた。

 

環境がいいとはいえ、このころだと地球はただの辺境の星だし、ちょっと無駄に身構えすぎだったかもしれない。

逆に言えば脛に傷を持つ宇宙人も簡単に入ってこれるということ。

 

賞金首狩りのために地球外に遠征することも考えていたけど、地球の中でお金を稼げそうなので、これは嬉しい誤算だった。

……まあ、近場で賞金首を稼げたのもララ様が来るまでだったけど。

 

王室親衛隊隊長のザスティン(その他部下二名)が目を光らせているせいで、近場での狩りがやりにくくなった。

言っとくけど、別にザスティンが怖いわけじゃない。

 

あの人が強いのは知ってるけど、逃げるだけならどうとでもなるしね。

それよりもこの星にボクがいるのがばれるのがまずい。

 

ほら、一応ボク賞金稼ぎだけど恨まれることも多くてさ。

裏の世界では僕自身にも賞金がかかってるしね。……ちょっとだけだよ?

 

そんなこともあって、彼には早く自分の中の漫画道を見つけていただきたいところ。

 

ここにいるのは百目 音子(ひゃくめ ねこ)という高校一年生の男子なのだ。

決して宇宙人ネームを名乗っている猫耳の女の子なんてこの惑星にはいない。

ボクが実は宇宙人だというのはできるならバレたくはない。

――猫耳少女だとバレるのはもちろん論外ね。

 

そんなこんなあって彩南高校一年生として入学した僕だったが、事前の目測どおり原作のタイミングと上手くかちあったようで、入学式の際に同じく一年生として入学した結城リトを発見している。

先輩として入学できればそれが一番よかったんだけど……まあしょうがナイナイ。

思い立ったが吉日の限界と思うことにしよう。

 

同じクラスになるのはホントーに計算外なんだけどね!

ババ抜きでババを引き当てたような気分である。

いや、確率的に言えばもちろんありえない話じゃない。

そういう事もあるかもしれないと思ってはいたけどさあ……。

 

蝶が飛んだことで竜巻が起こるのを観測できるのは、蝶が飛ばない世界と飛んだ世界を知っているモノだけである。

どっちも知ってれば心配にもなるというわけで。

できればある程度距離は取っておきたかった。

肉体的にも、精神的にもね。

 

んで。クラスメイトになって数週間。

無事にリトとは友人になることができた。

あんまり彼と遊びに行ったりはできないけどね。休日は()()()で忙しいし。

 

「貧乏くじを引いてる気がする」

 

そんなこんなで、ほのかに消毒液の匂いかおるシーツに寝ころびながら、口からぽろりと弱音がこぼれた。

何かを吐き出したくてそんなことを言ったのではなく、油断してたからこそそんなことを言ってしまったのだ。

 

「友人が銀河を統一した王様の娘の婚約者ってさ。バカみたいな話だよねぇ」

 

「友人のひとりが宇宙人の賞金稼ぎというのもね」

 

「そんなのすぐに物珍しくなくなるでしょ。あの王女様につられてこの学校にも婚約者候補たちが入りこんできてんだから」

 

カーテンの向こう側からボクの声に返事をしてくれたのは、ボクが地球に来るときにもいろいろと頼った御門涼子先生。

普段はボクも学生(みんな)も御門先生と呼んでいる。

郷に入っては郷に従えだもんね。元地球人の宇宙人はことわざにも詳しいのである。

 

言わなくてもわかると思うけど御門先生はボクの正体を知っている。

だから今のボクの格好も地球人スーツを着た姿ではなく、猫耳少女のままである。

さすがにすっぱだかじゃないよ?下着とTシャツは着ています。

 

……蒸れるんだよね地球人スーツって。

最新着ぐるみみたいに中にクーラーとかつけられないのかな。

 

ともかく、この保健室は御門先生がいるという事もあり、この学校で油断することのできる唯一の場所なのだ。

僕のサボりスポットその1でもある。

サボりスポットその2は屋上ね。

 

この前ここで体育をサボってたら、ララ様たちが飛び込んできたのは思わずびっくりして声が漏れるところだった。

 

スーツを急いで着てカーテンの奥に引っ込んでたけど……。

うん、まあ。

保健室の使い方ではあちらが正しいので僕には文句を言う資格はないのです。

 

「そういえば、ララ様はコロット風邪にかかってたんだっけ?御門せんせーがお薬を渡してくれたって()()()()()で聞いたよ」

 

「さすがに耳が早いのね」

 

「宇宙人だってばらしちゃったんだ」

 

「ええ。あの子達になら問題ないわ」

 

「まあ宇宙人とがっつり関わってるしねぇ。つってもボクはバラす気ないからね」

 

「あら、あの子も同級生にこんなかわいい子がいたらうれしいんじゃないかしら」

 

「んー、どうだろう。うちのクラスもともとかわいい子多いし」

 

なによりも男友達だと思ってたやつが猫耳の美少女宇宙人でしたー。なんて言われたら気絶するんじゃないかな。

このころのリトなら頭がオーバーフローしてそうなるかも。まだ頓智気に慣れてないだろうし。

 

だから御門先生。その含み笑いをすぐにやめるんだ。

カーテン越しでもわかるんだからね!

 

「ま、いいや。そろそろ授業に戻ろうかな。……あ、おクスリありがとね。またお願い」

 

ぎゅっぎゅっ、と地球人スーツを着込めば黒髪の中肉中背の男の子のできあがり。

地球人の平均程度の見た目と注文したのに、やや平均より上に見えるのは作成者のミスか、それとも恋愛漫画的な補正がかかっているのか。

 

「じゃあね~」

 

ひらひらと適当に手を振って、保健室を出る。

 

「お、百目」

 

「ん?ああリトか」

 

後ろ手に保健室の扉を閉めると、すぐに廊下で声をかけられた。

結城リトとエンカウントした。ぴぴーん。

 

「なんだ、またさぼってたのかよ」

 

「いやあ体が弱くてね。まいっちゃうよね」

 

「嘘つけ、この前普通に体育出てただろ」

 

「へへへ。でも次の授業からは出るよ。数学だろ?一緒に教室行こうよ」

 

リトと一緒に教室に戻る。

あーもう。

宇宙人とか賞金稼ぎとかそんな難しいことを考えなくてもいいような、こういう日ばっかくればいいのに。

 

でもボクも宇宙人だし賞金稼ぎ。

切っても切れない仲なのだから、しょうがないよね。

 




僕も承認欲求モンスターを心に飼っておりますので、
評価などつけてくださると猫まっしぐらで書かせていただきます。

大きい方が好き?小さい方が好き?

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  • 可変式(男なら夢をみる)
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