創造と破滅の魔女 リリス。
記録では、230年前の聖王国首都、怪しげな魔法工房の店主であった。
顔を隠し、ブカブカなローブを着込んだ彼女を怪しく思う声はあったが、それ以上に確かな腕を持っており、とても繁盛していた。
市民から貴族へ、その名声が届くのは早かった。
しかし貴族はいつの時代も愚かで、傲慢にも彼女リリスの、その技術を奪い利用しようと、謂れのない罪で捕らうようとしたのだ。
しかし、工房に押し入った時には彼女の姿はどこにもなく、工房ももぬけの殻だった。
いや、詳しくはいくつかの武器が保管されてはいた。
しかしその武器を扱うことはできなかったのだ、何故なら、武器には何重にも魔法で封印がかけられ、当時、高名なマジックキャスター達が束になり解除に取り組んだが、結局解除できたのはたった一振りの剣、かの有名な聖剣サファルリシアと双璧をなす、名剣リスフィリアだけだった。
しかしその力は強大で、決して曲がらず、欠けず、どんなものも切り裂く切れ味を持つその剣は、当時、聖王国最強の聖騎士長に下賜された。
聖王国は魔女のその武器を作製する力と、魔の力に恐れを抱いた。
他の多く残された武器の封印を解こうと聖王国は躍起になった。
しかし必然なことながら、強大な力を秘めたそれを求めるのは人間だけではなかった。
王城に保管されたそれらを求めて、幾十幾万の強大な魔物や、それらを束ねる深き森の主、魔王ゴルバーンが王都に攻めてきたのだ。
国は軍を編成し、迎え撃った。
状況は拮抗し、全てを切り裂くリスフィリアを手にした聖騎士長によって、押し返し始めたその時、魔王ゴルバーンの力によって全てが瓦解した。
恐ろしく速い攻撃で、聖騎士長の心臓を貫き、手に持つ剣を奪い取ったのだ。
魔王の手によって軍の多くが切り裂かれ、攻撃が止んだ頃には、兵士の数は一割も残されてはいなかった。
兵は散り散りになり、王都は魔物によって囲われ、国民は逃げ惑い、貴族や王族の一部は、愚かにも国民を生贄に魔王に命乞いをし、その貴族ら大半はそのまま魔物によって生きたまま貪り食われ、骨すら残らなかったと言う。
もう王都を守るものは何もない、攻め込まれ蹂躙されるのを、恐怖の中待ち続けるしかなかった。
瞬間。
轟音が王都を揺らした。
とうとう魔王の軍が攻め入ったかと、人々はパニックになったが、まてども魔物達の姿が現れず。
人々は疑問に思い、1人が何かに気づき声を上げて天を指さした。
暗い雲に覆われた空に、呪文の光を纏い魔法陣を組み上げる、姿を消したはずのリリスの姿がそこにはあった。
顔の覆いを取り、ローブを抜き去り。
体の周りを光の筋を生み出し回転する呪文の数々。
その一つ一つが超級の難度を誇る魔物すら軽々と屠ってしまうほどの威力を秘めているだろうことは、多少魔に明るいものが見れば一目瞭然だろう。
そんなものが次々と絡み合い一つの魔法として組み上げられる様は、もはや人の技ではなく神の技だった。
神の捌きが、魔王の大群に降り注いだ。
刹那、魔物の半数が蒸発し、またその半分が骨だけとなり、またその半分は全身が焼かれ命を落とし、ごく僅かに残ったもの達は深傷を負った体を引きずり散り散りに逃げ去っていった。
もはやそこにはただひとつの存在。
魔王ゴルバーンのみが残っていた。
その存在は、体の半分が焼け爛れしかし、戦意は失っていなかった。
勇敢にも魔王は魔女に向かいリスフィリアを振りかぶる。
全力の速さと力で振るわれたそれは、英雄や逸脱者、人類の頂点である神人でさえまともに当たれば命を落とすだろう攻撃で、しかしそれら全てを笑ってしまうほど簡単に阻まれ魔王ゴルバーンは、あまりの力の差に敗北を悟り、素早く逃げに転じた。
今は勝てずとも、いつか力をつけ復讐を。
そう口にし、背中の漆黒の翼を広げる。
しかし悲しいかな彼女はそんな甘くも悠長でもなかった、魔王の体はすでに光り輝く鎖に絡め取られ、がんじがらめの状態となり、魔王は視界を覆うそれに死を悟った。
巨大な光の帯が魔王を飲み込み、厚い雲に風穴を開ける。
青空が空の大半を埋め尽くす頃には、魔女も、魔王の姿もどこにもなく、残されたのは魔物の残骸と、地に突き刺さるリスフィリアだけだった。
僅かに残された王族に貴族、国民は、彼女のことを以後、創造と破滅の魔女と呼び。
人の身にはあまりにも強大すぎる武器を創り、全てを破壊する魔法を操る彼女を聖王国では、祀られ恐れられていくことになるのだった。
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「低レアリティ武器創ったら、60レベの大物が釣れせいで大ごとになっちまってめちゃめちゃ焦ったなぁ」
この世界での60レベルなんて、現地種族相手にある程度無双放題だろう。
まさかそんな大物がひょいと現れたもんだから、試しに戦ってみたのだ。
まぁ当時は気に入っていた場所を追い出された恨みでムシャクシャしていたのでいいタイミングではあったのだが。
ある程度力を隠していたとは言え、自分が調子に乗ったせいで、貴族に目をつけられてしまい逃げる羽目になり、さらに、まさか私の作った武器をめぐりこんな事になるとは思ってもなくて、反省しそれ以後、人のいる場所ではなく、山にこもって性転換の研究に明け暮れていたのだった。
まあそれも性転換も、息子の子育てでどうでも良くなったんだがな。
しんぶんし 逆から読んだら しんぶんし 黙れ⚪︎ね!?