光は消え
希望は無く
何もない
「…」
「最後に、聞かせてください。」
「…あなたは──」
第1話 ジャブラッド
「…」
目が覚めると、彼は目を開け、そして駆け足で支度を済ませて外へと出た。
彼は夜遅くまで起きていたせいで寝坊してしまい、急いで学校へと向かっていた。
「遅刻遅刻〜 えーと今日の授業は301号室かー」
「遅れてすいませんでしたー」
零ががそう言って中に入ると、先生が零を睨みつけていた。
「零くん?また遅刻ですか!それにあなた!もう入学から二ヶ月経ってるのに未だにデュエルは─」
その時、ある一つの席から声を上げる生徒がいた。
「やっぱり 僕が一番ですよね?先生。」
「おぉ!ボウイ!」
零が言うと、クラスで2番目に成績のいいボウイが声を上げた。
「零くんも 僕のように強くなればいいんですがね 先生。」
「零も風紀委員長を見習いなさい!とりあえず席に座って勉強しなさい!」
零は先生に言われた通りに席に座った。
「ねえ、また今日もデュエルしないの?」
そう言って、とある女の子が話しかけてきた。
彼女はリリス、校内成績上位の風紀委員長だ
正直、美人と呼ばれる部類の生き物だろう。
「本当にこのままで良いの?このままじゃアイツに馬鹿にされたままだよ?」
「心配しなくても大丈夫ッスよ風紀委員長、いつか必ず本気出すッスよー。」
それを聞いたリリスは考え深げに零の方を見た。
「ふーん…」
放課後
「じゃあ私は風紀委員の仕事があるから、また明日!」
リリスに別れを告げた後、零は学校から帰ろうとした。
その時、後ろからふと声が聞こえた。
「おい!零!」
その声を聞き振り向くと、ボウイが仁王立ちしていた。
「お?どうしたボウイ?」
「僕とデュエルしろ!」
そう言うと、ボウイはデッキを取り出した。
「いいぜ、ちょうど俺の真のデッキの使用許可が降りたからな。」
「(零の真のデッキ…?)」
「試験のとき使ってた闇単速攻の時みたいにコテンパンにしてやる!」
そうして、零達は一番近くのグラウンドのデュエルスペースへ移動した。
「へぇ、ここがグラウンドのデュエルスペース…広いな。」
それを聞いたボウイは驚きの表情で零を見ていた。
「えっ!?お前来た事無いのか!?」
「ここに来るのは、俺のデッキが解禁されてからって決めてたからな。」
「俺って自分で言うのもなんだが、拘りってのがあるからな。」
それを聞いたボウイは、ニヤリと笑ってデッキを取り出した。
「何にせよまた僕が勝ってやる!」
そうして、零とボウイのデュエルが始まった。
「先行は貰うぜ、俺は1マナでアガルームを出してターン終了だ。」
「アビスロイヤルか…何にせよまた僕が勝つ!ドロー!マナをチャージしてターンエンド!」
「んじゃ、ドロー。俺は2マナでシックルシークを召喚してタップしてハイパー化だ、シックルの効果で山札の上から3枚を墓地に、アガルームの効果で1枚を墓地に置きターンエンド。」
「ドロー!僕はアシスターアルデを召喚してターンエンドだ!」
その頃、管理室でリリスはスマホを眺めていた。
「…」
そこのホーム画面には、俺の写真が写っていた。
その時、突然管理室の扉が開いた。
焦ったリリスは即座に携帯をポケットに仕舞い扉の方を見た。
そこには、副風紀委員長のレルムが一本のUSBを持って入ってきているのが分かった。
「風紀委員長、デュエリストランキングの集計をお願いします。」
そう言って、レルムはリリスにUSBを手渡した。
「ありがとうレルムちゃん。」
「俺のターン、ドロー!」
零はドローしたカードを見て口角を上げた。
「行くぜボウイ!俺は3マナで邪侵入!山札の上から4枚を墓地に置き、コスト4以下のアビスをただで出せる、出すのはコイツだ
「行け!ジャビビルブラッド!」
空が裂かれ、次元のような物の先から顔を覗かせた、それは骨のようでもあったが同時に奇妙であった。
深淵より来れし龍─その名は邪魂龍ジャビビルブラッド。
それと同時に、管理室では警報が鳴り響いた。
「警報が…」
レルムとリリスは、パソコンから警報が鳴っている個所を確認した。
「…なるほど、位置的に第一デュエルグランドで何かあったみたいですね…」
「とりあえずカメラを…」
そう言ってリリスはカメラの映像を見ようとすると、監視カメラは砂嵐まみれになっていた。
「故障してる…?」
困惑するリリスの手をレルムが優しく握った。
「風紀委員会!急ぎましょう!」
「え、う、うん。」
そうして2人は急いで俺達の居るグラウンドへと向かった。
「ハハハハハハ!久しぶりの外で気分がいいぞ!」
ジャブラッドの出現と同時に俺とボウイのクリーチャーが実体化し
それと同時に専用の台に置いていたカードの下から水色の板が浮かび上がった。
「ジャビビルブラッドをハイパー化でシールド2枚、その時、アビスアサルトとジャビビルの効果で、クロフェシーとジャブラッドをバトルゾーンに。」
零のクリーチャーが破壊したシールドの破片が、ボウイの腕を斬りつけた。
「なんだそのカード!?それに…い、痛い…」
「トリガーはどうだ?」
ボウイは焦った様にカードを手に取った。
「トリガーは無し…」
「じゃあクロフェシーでシールドに攻撃。」
零は攻撃を宣言する。
「アルデでブロック…」
零のクリーチャーの一撃一撃が、ボウイのシールドを破壊してゆく。
「ジャブラッドでwブレイク、シックルシークで最後のシールドをブレイク!」
「う、うわぁぁぁ…」
最後のシールドの破壊によって、ボウイは吹き飛ばされてしまった。
「トリガーは?」
俺は困惑するボウイに近づき、見下ろした。
「トリガーは無し…」
「次のターンは?」
零の問いに対し、ボウイは悔しそうに答えた。
「チャージしてターン終了…」
それを聞いた零はカードを手に取った。
「そうか…ならジャビビルブラッドで…」
その時、突如後ろの扉が開いた。
「チョーっとまったぁ!」
そこには、風紀委員のトップ2人が立っていた
「零生徒!何をやってたんですか!」
レルムが俺に詰め寄った。
「デュエルだが…」
そう言った零を呆れた表情で見つめた。
「それだけじゃ済まされなさそうだから言ってるんですよ。」
「…どうします?風紀委員長?」
そう言ってレルムはリリスの方を振り向いた。
「…」
そう言うレルムを他所に、リリスはずっと零の方を見つめていた。
「風紀委員長!!」
「!?」
ようやく振り向いたリリスに、レルムは問いを投げかけた。
「零生徒の処分はどうしますか?」
それに対し、リリスは困惑しながら答えた。
「え?そ、早退でいいんじゃない…?損傷はカメラ以外無いんだし第一 零がやったなんて証拠もないし…」
「そうですか…」
それを聞いたレルムは、俺達の方を睨みつけながら言った。
「零生徒!ボウイ生徒!さっさと自分の家に帰りなさい!」
「あ、はい。」
しばらく時間が経ち。
零は路地裏に来た。
「なんだ文句か?ジャブラッド。」
零がそう言うと、リュックの中からジャブラッドが黙って出てきた。
「帰ったらタコさんウィンナー作ってやるから機嫌直せよ。」
零の言葉を聞いたジャブラッドはニヤリと笑った。
「タコさんウィンナーか、ありがたいな。」
「じゃあ今日の当番はお前で決定だな。」
そう言って、ジャブラッドはリュックサックの中に入っていった。
ジャブラッド。
零はこいつと出会った時に色々口うるさく言われた。
内容は…俺は、どうやら俺が記憶喪失と言う事らしい。
そして零はかっこつけながら、黄昏時の路地を歩いて家へと帰っていった。