後日、俺とリリスは夜こっそりと劇場に忍び込み、あの場所を見に行った。
零「…確かこの下だったよな。」
リリス「うん…多分そう。」
零「リリスこの棚どかせるか…?」
リリス「やってみる。」
リリスが棚を退かすとそこにはただの床があった。
まるで階段など初めからどこにも無かったかの様に…。
零「…リリス、ありがとう。」
リリス「うん!」
俺は写真を撮ってグループラインに送った。
零「よし、帰るか。」
リリス「そうだね!」
そうして俺達は劇場から出て帰った。
それから数日…
12月24日
広い部屋には豪華な食事。そして部屋の中央には小規模なステージと巨大なクリスマスツリーが佇んでいた。
竜吾「クリスマス会だ!!!食べ放題だしデュエルし放題だぜ!」
ファルゴ「正確にはイブだけどな、ファーッファッファー!」
ファルゴのファンガールA「流石ファルゴ様!」
ファルゴのファンガールB「些細な事でも慎重!」
水華「イッサ先輩!あーん」
イッサ「え?いや…」
水華「恥ずかしがらなくて良いですよ!はい!あーん!」
イッサ「あ、あーん…美味しい。」
ボウイ「僕のケーキは絶対渡さないぞ…!それにしても、零とリリスさんまだ来ないのか…?」
その時、リリスが会場の扉を開け中に入って来た。
リリス「み、みんな…お待たせ…」
その表情は何処か寂しげであり、喋りつつもチラチラと会場の扉の方を見ていた
ボウイ「…リリスさん大丈夫ですか!?零はどうしたんですか?」
リリス「ボウイ生徒…どうしよう…」
そう言うとリリスはボウイの手を引き入り口の前まで連れて行った。
ボウイ「…?」
リリスがそっと扉を開けると
ボウイ「ぜ、零!?」
そこには俺がとても憂鬱な表情で力無くパイプ椅子に座っていた。
ボウイ「ぜ、零!どうしたんだよ!?」
零「ごめんなリリス…心配させて…。いつも迷惑かけてごめんなぁ…。」
リリス「そ、そんな事無いよ!零にはお世話になってるし…。」
零「そうか…。」
ボウイ「り、リリスさん…本当にあれが零なのか…?」
リリス「12月10日ぐらいからずっとこんな感じで…今日も頑張って来てもらったんだけど…。」
ジャブラッド「こいつ12月頃になると毎年こんな感じだぞ。」
ジャブラッドが会話に颯爽と入って来た。
リリス&ボウイ「えぇ!?」
ジャブラッド「何でも原因不明の鬱病に晒されるらしい。」
ボウイ「そ、そうなのか?」
矢奈「へぇ〜、結構大変な事になってるっぽいね?」
ボウイ「や、矢奈先生!?」
リリス「いつからそこに?」
矢奈「ジャブラッド君話し始めた辺りから聞いてたかな?」
リリス「な、何が良い案はありますか?」
矢奈「とりあえず。残りのメンバーのとこに連れてこー!」
イッサ「…で、俺達が呼ばれたと言う訳か。」
矢奈「そう言う事!クリスマスに一人だけ憂鬱なんて寂しいでしょ?私はみんなハッピーの方が体感楽しいんだよね。」
零「お前達…ごめんなぁ…」
ファルゴ「…聞いてた以上に元気ないな…声のトーンはいつもと同じだが…他はまるで別人みたいになってるな…どうすんだこれ?」
竜吾「とりあえずデュエルだ!」
零「…やるか?」
竜吾「よし!バッチ来い!」
そうして俺と竜吾はデュエルを始めた。
リリス「零ー!頑張れー!」
ファルゴ「…んじゃ!俺はファンガール達の元へ戻るぜー!」
ボウイ「…あれ?イッサさんは?」
リリス「イッサならあそこだよ。」
リリスが指差した方向には水華と一緒の席に座って楽しそうに話しているイッサの姿があった。
レルム「生徒達、楽しそうですね。」
レルムがリリスの隣に現れ言った。
リリス「今日はクリスマスだもんね…零も楽しんでくれてると良いんだけど…」
レルム「みんなで準備しましたもんね…。」
零「へ…今回も俺の勝ちだな。」
竜吾「ま、また負けたー!火と水のカードまで使って来たぞ!?」
零「リリス、竜吾、ボウイ。…なんかデュエルしたら元気出た…ありがとう…ファルゴとイッサは?」
リリス「あぁ、あそこだよ。」
リリスは指を刺してファルゴとイッサの方を俺に教えてくれた。
零「ありがとう、後でお礼言ってくるよ。」
リリス「…うん。」
ボウイ「…なぁ零」
零「…何だ?」
ボウイ「…ノゾミは家から突然消えたんだ…家政婦さん…COMPLEXと海外に行くって手紙を置いて突然消えたんだ…家は変わらなかったよ。きっと家に帰れば父さん達とクリスマスを祝う事になると思う。」
零「…そうか。」
ボウイ「…俺、お前達に…デュエマ部にふさわしいぐらい強いデュエリストになるから。な!これが僕の!生きる意味だ!」
あいつはそっと、僕に笑みを向けて言った。
零「出来るかな…?」
竜吾「ボウイ!俺とデュエルしようぜ!」
ボウイ「そうだな!」
ボウイと竜吾はデュエルをしに机の方へと向かった。
矢奈「じゃあ私はこれで。」
矢奈先生は食事が並んでる方へと歩いて行った。
クリスマスソングが流れ始めた。
ステージの上ではイッサの彼女の水華が喋っていた。
水華「文化祭で披露出来なかった私達の演奏を!全力の音を!聞いてください!」
俺は突然不安に襲われた。
突然自分一人になっているのでは無いか?
俺は生きる価値のある人間なのか?
それらが頭の中に駆け巡ったが…何より左目が無くなっていないかずっと触って確かめていた。
自分の生きる意味を、実は何処かで落としてしまっていたのでは無いか。
そう考える様になった。
…俺は他の何よりもソレが怖かったんだ。
リリス「…零?大丈夫?」
零「…リリス、俺の左目付いてるか…?」
リリス「うん、確かに付いてるよ。」
その言葉を聞いて、俺は安心した。
あぁ、良かった。
これ以上に良かったと思う事が俺の生きている内に一体何度あるのかと思うほどに安心した。
零「…ありがとうなリリス…お前には良く助けられるな。」
リリス「零…ねぇ、私零の事が…」
レルム「…」
吹奏楽部の演奏が始まった。
リリス「もう…」
零「…何が言いかけてなかったか?」
リリス「…今はいいや。」
零「…なんか悪い事しちゃったか?」
リリス「…その時になったら言うね!」
アカリ「あ!零!何してるの?」
零「あ、アカリ…よっ」
アカリ「何かどんよりしてない?」
零「そうっぽいな…」
こうして、クリスマス会は幕を閉じたのだった。