「…は?」
イッサが、目の前で倒れた水華を見下ろす。
水華の目に光は無く、胸にポッカリと穴が開き、地面には真っ赤な水溜まりが広がっていた。
イッサはそれを見て黙って言った。
「…なんだ…これ?」
「ふー、お仕事カンリョー。」
そう言って、茂みの方から2人の大人達が姿を現した
その内の一人の手にはライフルが握られていた。
「龍文(たつふみ)…」
竜吾がそう言って大人の内1人を見て言ったが。
「おっと!誰かと思えば竜吾!お前か!ひどく血で汚れてるじゃないか、一族の方々が見たらどう思うだろうな?」
龍文と言う男がそう言って嘲笑すると、もう1人が宥めるように俺達に言った。
「随分と殺気だってるじゃないか、一応これでもお兄さん達仲良くしに来たんだぞ?」
そう男が言うと、後ろから見覚えのある女が1人、現れる。
「ジャック、龍文くん、お疲れ様、もう帰ってどうぞ?」
「失礼社長。」
「チッ、命拾いしたな竜吾?」
そう言って2人は荊花の後ろへ下がる。
そして荊花は淡々と話し始めた。
「さて、皆様、ドルマゲドン撃破ご苦労様。」
「我々がこの地下に構えていた研究所に居た個体を月軍に利用されてしまってね?こちらもかなり手間を掛けていた。」
「これを踏まえて、皆に勲章を授与したいが…」
その時、イッサが怒りに満ちた表情で前に出た。
「おいババア…」
「イッサ、実の母親にババアは無いんじゃないかしら?」
そう言って荊花は薄ら笑いを浮かべてイッサを見たが、イッサは荊花を睨みつけていた。
「うるせぇんだよ!!!んな事より…水華…水華はどうなったんだよ!!!」
その問いに対し、荊花は不思議そうに答えた。
「…?見ての通り死んでいるが…何か問題が?」
それを聞いたイッサはすぐにまた問いただした。
「何で殺した…?」
それを聞いた荊花はニヤリと笑って答えた。
「…我々の計画が、下手に一般人に知られてはならないのだよ。」
「ッ…!?テメェ!!!」
イッサが憤慨しながら前に出るが、荊花は瞬時にイッサの腹を3回蹴り、イッサを気絶させた。
「彼女は死ぬには丁度良い、アレが死んでも人類は変わりはしないだろうからね。」
その時、零が口を開く。
「おい。」
「何かな零くん?質問は全て受け付けよう。」
荊花がそう言うと、零はイッサを背負いつつ、荊花に面と向かって言う。
「お前達はどう言う連中だ。」
零がそう言うと、荊花は『待ってました』と言わんばかりの表情で答えた。
「安心してくれ、あくまで我々は人類のために動いている。」
「くだらない正義と言うものを掲げた同僚の聖華や混沌を支持したかつてのリーダー…そして、訳の分からない月軍とは違う。」
「我々はバベル社…と名乗っている。」
「どうぞよろしく?dm零。」
そう言って荊花は零にお辞儀をした。
「そうだ、我々に協力するのはどうかな?デュエマ部は晴れて学園公認の組織になれるわよ?」
荊花の誘いに、零は首を振った。
「悪いが遠慮させてもらおう。」
「それは残念…こっちとしても貴方達の様な人材を殺すのは惜しいし…とりあえずまぁ、今回のところはある程度の記憶だけ消してお開きにしましょう。」
そう言う荊花を見て、零はボロボロになりながら構えた。
「悪いが、忘れるつもりは…」
だがその時、零の後ろから突如とてつもなく強い衝撃が走り、彼は倒れた。
「ご苦労、リリス、そしてレルム副委員長。」
荊花はそう言って、倒れた零の後ろに立つリリスとレルムを見て言った。
「はい、学園長。学園の為に動くのが、我々の役目ですから。」
「…」
荊花「それじゃあ、零生徒はリリスに任せようかしら?」
リリス「…はい…分かりました。」
ファルゴ「おい、テメェらいちいち何言ってるかわかんねーが…許さねぇぞ?」
竜吾「…」
龍文「おいおい竜吾、ここで俺らが争えば町どころの騒ぎじゃない事ぐらい分かるだろ?」
そう龍文が言うと、竜吾は膝をついた。
ファルゴ「クソ…」
その時、ボウイが荊花に向かって走り出した
ボウイ「うわあああああ!!!」
だが、荊花はボウイを掴み上げ、腹に蹴りを1発入れてボウイを気絶させた。
ファルゴ「…」
そうしてほどなくして、ファルゴも竜吾と同様に膝をついた。
荊花「安心しなさい、一瞬で全てが終わるわ。」
そうして、周囲が一瞬だけ光に包まれた。
荊花「よし、それじゃあリリス。零は任せたわよ?」
リリス「…水華は…どうするんですか?」
荊花「そもそも居なかった事にしておく、我々が遊園地でのクリーチャーの目撃者達を全員消した様にね。」
荊花「だが、死体は有効活用するつもり。」
龍文「さぁさぁガキは帰った帰った、後の作業はこっちに任せろ。」
荊花「ところでリリス…その手袋…どうしたのかしら?」
リリスは一瞬立ち止まったが、すぐに何でもない、とだけ返した。
荊花「それじゃあ、これでお開きにしましょう。」
零「…」
零達は気がつくと、塔の入り口に立っていた。
ボウイ「あ、あれ?」
竜吾「ん?なんかあったか?」
ファルゴ「…」
イッサ「…どうしたファルゴ?」
その時、零が口を開いた。
零「待て、さっきの奴らはどこだ?」
レルム「…!?」
リリス「…」
イッサ「…さっきの奴ら?何の事だ?」
零「…は?いやだって…」
イッサ「…何を言ってんのかよくわからないぞ…?」
零「だって…いや…気のせいだったかもな。」
イッサ「…」
それからほどなくして、矢奈の車が急に零達の前に現れた。
ボウイ「うわああ!?なんだ!?」
矢奈「ごめんねー?学園の方から連絡が来てさー、迎え行けってねー?まぁ顧問だし無問題〜ささ、乗って乗って〜。」
レルム「…」
そうして、俺達は車へと乗った。