デュエルマスターズ darkness   作:deta豆

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自分を裁く方が、他人を裁くよりも、はるかに難しい。
うまく自分を裁くことができたなら、それは正真正銘、賢者の証だ。


第四章 正義とは
第31話 仮面


「この辺で良いですか?」

 

配達員の問に、俺は頷いた。

 

「あ、そうそう、そこでよろしくッス。」

 

ピアノを買った。

 

そう言って配達員の人は去って行った。

 

「ピアノか?褒められたのがそんなに嬉しかったのか?」

 

ジャブラッドがそう言うと、俺は少し黙った後に答えた。

 

「…これ…好きになったからな。」

 

「早速弾いてみよう。」

 

そう言ってスマホを開いた俺はネットで手頃な曲を探した。

 

「…これで良いか。」

 

「大野雄二の小さな旅だな。」

 

そう言ってジャブラッドは俺の選んだ楽譜の曲を言った。

 

「へー…そうなのか…詳しいな?」

 

俺がそう聞くと、ジャブラッドは答えた。

 

「これでも俺も昔は弾けたからな。」

 

「へー…」

 

それからしばらくした後に、俺は黙って楽譜の画像を表示した携帯を譜面台に立てかけ、鍵盤に手を置いた。

 

 

ジャブラッドはソファーに座り、俺を見ていた。

 

「…で、お前はどうするんだ?」

 

 

 

「…何を?」

 

そう何の意味か分かっていない様なリリスを見て、ジャブラッドは言った。

 

「これからだよ、契約者はルナ探しの為に数日後の休息期間中遠出するらしい。」

 

「…」

 

それを聞いたリリスの表情は、少し曇った。

 

「どうした?そんな悲しそうな顔して。」

 

リリスが黙っていると、ジャブラッドはリリスの耳元で囁いた。

 

「もしかして、MR社とか言う奴ら側なのがバレるのが怖いのか?」

 

それを聞かれたリリスは、少しどもった。

 

「そ、それは…」

 

それを見たジャブラッドは、ニヤリと笑い言う。

 

「安心しろ、黙っておいてやる。」

 

俺が演奏を終えると、リリスは俺に近寄って来た。

 

リリス「零…」

零「…どうした?」

 

そう言うと、リリスは目を合わせずに口を開いた。

 

リリス「…今までありがとう、ごめんなさい。」

 

リリス「私…今から家に帰る。」

 

零「…そうか、どうする?送ってくぞ?」

 

リリス「大丈夫…1人で行ける…」

 

そうしてしばらくすると、リリスは荷物をまとめて出て行った。

 

零「なぁジャブラッド、リリス元気なくね?」

 

ジャブラッド「…そうかもな。」

 

 

翌日

 

零「…」

リリス「…」

イッサ「…」

 

教室で新しい担任を待っていた。

 

扉が開くと、白髪でメガネを掛けた糸目の男が居た。

 

礼「みんなこんにちは、新任教師の礼です!僕物覚えがわるいけど…よろしくね!」

 

 

 

 

教室での先生の話を終えた後、コンビニで買い物をしに行き、その後にデュエマ部の部室に入った。

 

そこにはイッサが暗い顔をして座っていた

 

零「よぉ、イッサ。」

 

イッサ「あぁ…零か…」

 

俺は黙ってイッサの机におにぎりとサイダーを置いた。

 

イッサ「…え?」

 

零「あぁ、余分に買って来ちまったからやるよ。」

 

イッサ「…」

 

零「いらねぇなら俺食べるけど。」

 

イッサ「チッ!クソが!」

 

そう言ってイッサはおにぎりを速攻貪った後にペットボトルのキャップを外し、サイダーをがぶ飲みした。

 

零「お、おい…そんな一気に飲んだら…」

 

イッサ「ッハァハァ…」

 

零「だ、大丈夫かよ?」

 

イッサ「まぁな…」

 

イッサ「…奴らはいつか必ず倒す。」

 

イッサ「零、記憶がある以上、アイツらは必ずお前を狙ってくるはずだ。」

 

イッサ「お前も、気をつけろよ。」

 

零「…お前もな。」

 

その時、リリスが部室にいつのまにか入って来ていた。

 

リリス「おはよ、零。」

 

イッサ「ッ!?」

 

零「おー、おはようリリス、昨日は大丈夫だったか?」

 

リリス「うん、おかげさまでね。」

 

零「…?」

 

零「まぁそれはそうと、これやるよ。」

 

俺はそう言ってリリスにもおにぎりとサイダーを渡した。

 

リリス「え?…え?」

 

零「おにぎりとサイダーだ、お前にもやるよ。」

 

イッサ「…」

 

リリス「ありがとう…嬉しい…」

 

零「…それじゃ俺学食行ってくるわ、パンも売ってるだろうし。」

 

零「なんか買って来て欲しいもんあったら言ってくれ。」

 

リリス「…」

 

イッサ「…」

 

零「あ…無いのか…オーケーオーケー…(2人にチョコパンでも買って来てやるか。)」

 

俺はそうして部屋から出た。

 

ジャブラッド「おい零」

 

零「なんだよ。」

 

ジャブラッド「人誑し」

零「…あ?なんだよー?」

 

ジャブラッド「…でも、お前のそう言うとこ、嫌いじゃないぜ。」

零「…?」

 

 

 

 

リリス「…ねーイッサ〜?」

 

そう言って、リリスはイッサに顔を近づけた。

 

イッサ「ッ…!?」

 

リリス「少しさ、お話しがあるんだけど。」

 

そうして薄ら笑いを浮かべるリリスの眼は、朱く光っていた。

 

 

 

 

そして昼休み、俺は食堂で学食を食べていた。

 

零「…」

 

その時、向こうから誰かがこっちに向かって歩いて来た。

 

それは小柄な青年であり、新入生の様だった。

 

???「すみません、相席いいですか?」

 

零「どうぞ。」

 

???「…」

 

零「失礼、名前を聞いても良いか?」

 

三浦「三浦です、よろしくお願いします。」

 

三浦「そんな事より!僕の質問に答えてください!」

 

零「え、ん…まぁ…良いけど…?」

 

三浦「風紀委員長…いえ…リリス先輩とは一体どう言う関係なん─」

零「友達。」

 

三浦「そ、そんな訳が…だって…」

 

零「…ひょっとしてお前、リリスと友達になりたいのか?」

 

三浦「そ、それは…」

 

零「もしそうなら応援するぜ。」

 

三浦「…とにかく、僕は絶対に認めない、断じて貴方を認めませんから!」

 

そう言うと、少年はその場を去って行った。

 

零「…?」

 

ジャブラッド「おい」

 

零「何だよ?」

 

ジャブラッド「デートしたとか言ってからかってやりゃよかっただろ?」

 

零「は?可哀想だろ?それにデートって自慢出来るほどか?」

 

ジャブラッド「いやそうだろ。」

 

零「え、男女が2人でお出かけする事が?」

ジャブラッド「はぁ?何言ってんだ?」

 

零「ネットで調べたら出てくるぞ、ほれ。」

ジャブラッド「本当だ…」

 

零「んじゃ俺チョコパン買ってくるわ。」

 

俺はそう言って俺はパン売り場に向かった

 

だが、チョコパンは2つしか無かった。

 

学食のおばちゃん「ごめんねー今日は結構売れちゃって…」

 

零「あ、全然大丈夫ッス!じゃあチョコパン2つとウィンナーパン3つで。」

 

 

零「…」

アカリ「やっほ零!」

零「お、アカリ、どしたん?」

 

アカリ「たまたま見かけてさー」

 

アカリ「…そう言えば、リリスさん最近バイト来てないよね?なんかあった?」

 

零「あー…修学旅行の時からなんかな?」

 

アカリ「…にしても、リリスさんって本当に急にバイト来たよねー、私びっくりしちゃった。」

 

零「初日では微妙だったけど次からは大分優秀だったなぁ…まぁ、慣れだろう。」

 

アカリ「それもそうだけど…」

 

その時、席の方から声が聞こえた。

 

女子生徒A「おーいアカリー!」

女子生徒B「席取れたよー!」

 

アカリ「呼ばれちゃった、またファミレスでね?」

 

零「またな。」

 

そうしてアカリは女子生徒達に混ざって行った。

 

そして俺はデュエマ部の部室へと戻って来た。

 

零「ただいま〜」

 

リリス「…」

三浦「あのリリス先輩!これ…メロンパン…ほんの気持ちですが…」

レルム「三浦生徒、部員でも無いのに許可無く勝手に入るのはどうかと思います。」

 

三浦「そんな事校則に無かったはずです!」

レルム「校則の問題ではありません、先輩方に対する礼儀の問題です。」

 

イッサ「…」

 

レルム「何よりリリス風紀委員長に迷惑をかけている事が分からないんですか!?」

三浦「迷惑なんてかけてません!」

レルム「風紀委員長が困ってるじゃないですか!」

 

リリス「…あ、零来た。」

 

零「…ども。」

 

三浦「…あぁ、零先輩、居たんですか。」

レルム「チッ…」

 

リリス「…三浦くん」

 

三浦「え、は、はい!」

 

リリス「私、メロンパンよりチョコパンの方が好きだから。」

三浦「え…」

 

零「なら俺が貰おうかな?」

三浦「あげませんよ、これはリリス先輩のために買って来たんですから。」

 

レルム「これ以上粘着するならストーカー行為として定額処分にしますよ?」

 

三浦「うぅ…わ、分かりました。」

 

そう言って、三浦くんは部室から去って行った。

 

レルム「リリス風紀委員長、私と一緒に学食でも…」

 

リリス「零、チョコパン買って来てくれたんだ」

 

リリス「…お金いる?」

 

イッサ「…」

 

零「いや、俺の奢りだぜ。」

 

レルム「あ…」

 

零「…あー…イッサにも買って来たぞー。」

 

イッサ「…サンキューな、ほんの気持ちだけどやるよ。」

そう言うと、イッサは袋に500円を入れた後に袋からチョコパンを取って席へ戻った

 

リリス「アタシも貰うね。」

 

そう言ってリリスも袋からチョコパンを取った。

 

零「…なぁリリス。」

 

リリス「なぁに?」

 

零「…リリスって修学旅行で手袋付け始めてから…何か…」

 

零「…大人びた?」

 

リリス「そうかもねー?」

 

そう言うと、リリスは俺の耳元で囁いて来た。

 

リリス「…ねぇ零」

 

零「…え?ん?どうした?」

 

リリス「…今度さ、一緒に映画でも行かない?」

 

リリス「二人っきりで」

 

そうしてリリスは自分の席へと戻った。

 

零「なぁレルム副委員長、ファルゴと竜吾って何してるかわかるッスか?」

 

レルム「…ファルゴ生徒と竜吾生徒は今日学校には来ていません、それでは私はこれで。」

 

零「(竜吾とファルゴ、あいつら結構な頻度で部室に来てたはずだが…なんかあったのか?)」

その時、部室の扉が開いた。

 

ボウイ「零、来たぞ。」

 

ボウイがレルムと入れ替わりで部室に入って来た。

 

零「よぉボウイ、ウィンナーパンあるけど一緒に食うか?」

 

ボウイ「え、ありが…」

 

ボウイ「え、えーっと…ほ…本当はいらないけど…ありがたくもらっとくぞ!」

 

零「俺の奢りだぜー。」

 

ジャブラッド「んじゃもう1個は俺が貰おう。」

 

零「あー、お前昼飯食ってなかったもんな。」

 

 

─ファミレス─

 

アカリ「お、零来た来た〜あれ?リリスは?居ない?」

 

零「同棲やめました〜」

 

アカリ「へー」

 

零「…あれ?そう言やリリスまだ来てないのか?」

 

アカリ「うん、修学旅行から帰ってきてからずっとバイトすっぽかしてる。」

 

 

 

零「にしてもさー、凄かったよなリリス。」

 

アカリ「分かる、クリスマス会の後に1回目で来た時は全然だったけど2回目からずっと優秀だったからね。」

 

零「それなー、勉強も上手いし。」

 

その時,奥の方から声が聞こえた。

 

バイトリーダー「あー、零くんちょっと来て。」

 

零「あー、はいなんスか?」

 

バイトリーダー「リリスちゃんが辞めるって、仲良かったし伝えとこうと思って。」

 

零「えっ、そうなんスか?」

 

バイトリーダー「そうそう。」

 

零「あーおっけース、分かりました。」

 

 

そして数時間後、俺はバイト帰りに100円ショップに寄っていた。

 

零「イッサと言いジャブラッドと言いファルゴと言い竜吾と言い、ボウイ以外修学旅行からみんな変だよな?」

 

零「まぁイッサはあんな事があったから当たり前だけどよ。」

 

ジャブラッド「お前も大概だぞ、いきなりピアノなんて買って」

 

ジャブラッド「今だっていきなりキャンバスなんて手にとってよ、絵でも書くのか?」

 

零「そのつもりだ」

 

零「自分なりにルナを再現してみようと思ってる。」

 

ジャブラッド「顔とか覚えてんのか?」

 

零「あぁ、はっきり記憶してる」

 

零「もしろ忘れる方が難しいぐらいだ。」

 

ジャブラッド「それは良かったな。」

 

零「あ、絵の具も買っておこう。」

 

ジャブラッド「これおすすめだぞ。」

 

 

 

そうして帰り道、俺はトボトボと歩いていた。

 

零「ジャブラッド、土日は東京の方まで行くわ。」

 

ジャブラッド「スカイツリーか?お前が目覚めたって言うあの」

 

零「あぁ、丁度良いだろ?」

 

ジャブラッド「…でも、あいつら置いて行って大丈夫なのか?」

 

ジャブラッド「特にリ─」

 

零「イッサか?あいつには『お前はお前の敵を追えば良い』って言われたからな。」

 

零「これ以上しつこく関わってもウザがられるだけだろ、それに水華の死の原因は守れなかった俺にあるし。」

 

ジャブラッド「…」

 

零「何黙ってんだ?俺のせいなのは当たり前だろ?」

 

ジャブラッド「おい契約者、上見ろ。」

 

零「あ?上って何が…」

 

恐る恐る俺は空の方を見た

 

???「喜ィ…」

 

仮面のデュエリスト「…」

 

そこには、見たこともないクリーチャーの手に乗った仮面を付けた者が居た。

 

ジャブラッド「エルボロム、久しいな?」

 

そうジャブラッドが言うと、クリーチャーの方は満面の笑みを浮かべた。

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