そうして約束していた昼頃、駅に着くと、リリスが駅の近くのベンチで座って待っていた。
ジャブラッド「おい契約者、第一声は『待たせてごめん』だぞ?」
ジャブラッドは突然俺にそう問いかけて来た。
零「何でそこまで気にする必要があるんだ?それ言うのは相手への礼儀として当たり前だろ。」
リリス「零?」
気がついたら、リリスが俺の背後にまで来ていた。
零「あ、リリス、よう!待たせたな。」
リリス「ううん、大丈夫!ちょっと…早く来ちゃって…」
リリス「…零…大丈夫?」
ジャブラッド「…」
リリス「…ジャブラッドも来てたんだ」
ジャブラッド「…驚いたな、遠くから見てたのか?」
リリス「…そうかもね。」
リリス「…手が汚れてるよ、何かあった?」
零「…それより、お前なんで手袋付けてるんだ?」
リリス「…」
ジャブラッド「もうどうでも良いだろ」
ジャブラッド「それに時間がない、乗り遅れるぞ。」
リリス「…」
零「あぁ、そうだな、それが良い。」
リリス「…さ!行こ!」
零「え、ちょ…おい!」
ジャブラッド「…」
???「…」
電車に乗りの俺達は席に座っていた。
リリス「ねぇ零!何の映画見たい?」
零「…」
リリス「…零?」
零「え、あぁ…どうした?」
リリス「…何の映画見たい?」
リリスはそう言って携帯の画面を見せて来た。
零「あー…じゃあ…お前はどうしたい?」
リリス「え…?」
リリスは面食らった様な顔をした。
零「あ…いや…お前はどうたいのかなーって?」
リリス「…分かんない。」
零「分かった、じゃあ俺が決めよう…これで。」
リリス「…じゃあ…予約しとくね。」
そうして数分後、俺は外の景色を眺めていた。
零「…(昨日の夜は曇り空だった)」
零「(そして何とつまらない太陽なのだろうか)」
零「(…嫌な夜だったな、昨日は。)」
その時、ジャブラッドがいつもの様に小声で荷物の中から話しかけてきた。
ジャブラッド「…おい零」
零「え、あ、あぁ…どうした?」
ジャブラッド「見ろ。」
ジャブラッドの指差した方を見ると、リリスが暗い顔で俯いていた。
リリス「…」
零「…?」
ジャブラッド「なんか話してやれ。」
零「え…何故に?」
ジャブラッド「はぁー…」
零「…リリスどうした?」
リリス「…いや…何でもないよ。」
零「…いや、最近お前暗いし…なんかあったのか?」
リリス「…何でもないよ、全然元気だよ!うん…心配しないでいいから。」
零「…そ、そうか。」
その時、電車が止まり、目的地に着いた。
ジャブラッド「おい、着いたみたいだぞ。」
リリス「…行こっか。」
そうして俺達は駅を出た。
リリス「…」
突然、リリスは駅前のある店で止まった。
零「んあ?どうした?」
リリス「…」
零「あれが欲しいのか?」
リリス「え…そ、それは…」
零「分かった、買ってやるよ。」
ジャブラッド「(そう言うので良いんだよそう言うので。)」
零「…(買ってやるとは言ったが…どれだかわかんねーな…とりあえず近くの5種全部で良いか。)」
俺はキーホルダーを5つ手にレジへ向かった。
零「あ、これくださーい。」
零「買って来たぜ。」
リリス「…えっと…お、お金…お金払った方が…」
ジャブラッド「…?」
零「…まぁ…いらねぇよ、大丈夫だぜー。」
リリス「…ありがとう…嬉しい…。」
リリスはそう言って少し笑った。
それから俺達は映画館に着いた。
映画館はガラガラであり、人だらけだった駅とはまるで違う世界の様だった。
零「ドリンクとかポップコーン買うか?あ…チュロスも良いな。」
リリス「買ったげる、いちいち払わせて悪いし…ほら…昨日の事とかあるし…」
零「…え?あー…じゃあ…お言葉に甘えて。」
リリス「じゃあお……ホットドックね。」
そう言って、リリスは少し荒々しくもあるが、パネルで注文してくれた。
???「…」
「6番シアター、入場を開始します。」
リリス「…開いたみたいだよ!行こうよ!」
零「おい、そんなに走るとドリンクこぼすぞ。俺が持っててやるから…」
リリス「ありがとー!」
そう楽しげに言ったリリスは、ドリンクを俺の持ってるトレーの上に乗せた。
零「扉開けてくれ。」
リリス「あぁ…分かった。」
零「…」
零「俺達の席ってこの辺だったっけか?」
リリス「そうそう!その辺その辺!」
リリス「…」
「…お前達魔族は所詮哀れな化け物だ、俺は可哀想なんてこれっぽっちも思わない、思っていた俺が馬鹿だった。」
「…所詮我々人間とお前達魔族は分かり合えないんだよ。」
「俺達人間の力を舐めるな!!!」
ジャブラッド「…」
リリス「…」
零「…」
???「…」
そして、エンドロールが流れた。
リリス「良い映画だっt…」
零「クソ映画だな。」
リリス「…え?」
ジャブラッド「同意見だ、反吐が出るほど悍ましい。」
リリス「…」
映画が終わった後、俺達は外に出た。
そこには一台の黒い高級そうな車が停まっていた。
どうやらリリスの迎えらしい。
リリス「…じゃあ、私もう帰るね。」
零「あぁ、気を付けてな。」
ジャブラッド「…」
俺が背を向けて駅の方角へ歩いて行こうとしたその時、リリスは俺の手を掴んだ。
リリス「…さっきの映画…本当にそんなつまんなかった?」
俺は答えた。
零「…つまんなかったと言うよりも…見ててなんかムカついたな。」
零「なんか人間が絶対的な善で、魔族が絶対的な悪みたいな扱いでさ。」
零「ほら、事実人間には嫌な奴らも居るし、魔族…と言うよりクリーチャーだが…ジャブラッドとかカイザーみたいに良い奴らも居る。」
零「あー…いや、難しくなったな…簡単に言おう。」
零「多分、正義か悪かって考え方自体俺は苦手なんだと思う。」
零「何が正しいか、何が悪いかなんて、皆それぞれ違うし、考える必要の無いどうでもいい事だからな。」
リリス「そう…なんだ…」
零「あ…少し長くなっちまったな?」
リリス「いや…もしろ…」
その時、車から声が聞こえた。
使用人「リリス様、荊花様がお待ちです。」
リリス「…じゃあね。」
零「あぁ、またな。」
リリス「…」
そうしてリリスは車に乗ってその場を後にした。
それから、俺は乗り換えて俺は錦糸町駅まで来た。
零「…腹減ったな。」
ジャブラッド「おい、近くに中華料理屋があるぞ。」
零「お,良いじゃん、予約してたホテルもまだまだ余裕あるし時間潰そうぜ。」
そうして俺たちはそこに行った。
店員「ご注文は?」
零「あぁ、チャーハンと餃子2人前で。」
???「あんちゃん、ちょっとええかな?」
そうして声のする方を見ると、中年の大柄な男が立っていた。
平刃「隣、座ってもええか?」
零「あ、どうぞ。」
平刃「ほんますいまへんな…あ、店員さん。ワイもチャーハンで。」
店員「あ、か、かしこまりました!」
平刃「それにしてもあんちゃん、高校生か?まだ若いのにこんな夜遅くまで居たらあかんで。」
零「あー…はは…」
平刃「ほんじゃジュース奢ったるわ。相席させてくれた御礼やで?」
零「あ、あざす。」
店員「お待たせしましたー。」
零「あ、餃子とチャーハン来た。」
そうして店員が料理を置こうとしたその時、入り口からこちらに向かって突然無数のクナイが投げ込まれた。
零「!?」
平刃「あんちゃん、ちょっとその席借りるわ。」
そう言って平刃と言う男は素早く料理を持った後に机を盾のようにしてそれを受け止めた。
平刃「あんちゃんすまん、ちょっとここ荒れるわ。」
そう平刃さんが言うと、入り口から忍者の様な格好をした少女が入って来た。
平刃「おどれが噂の太陽軍のシノビかいな。」
???「…竜宮平刃、太陽軍の名の下に、お前の息の根を止める。」
零「竜宮…?」
その様子を、物陰から見ている者が居た。
???「…」
そうして、平刃さんと謎の少女は互いにデッキを取り出した。
平刃「殺し合いちゅーんなら、やっぱコイツやろ!」
そうして、店内の雰囲気は、一瞬で戦場へと変わった。