デュエルマスターズ darkness   作:deta豆

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箱の蓋はしっかりと閉ざされていた。
ゼウスは言った。
「中身を人間の目に触れさせてはならない、開けてはならない」と


第二章 禁忌
第5話 顧問


「ハァ…クソ…どこ行きやがった…?」

 

あの後、俺は無心であの子を探していた。

 

「おぉ!急に戻ってどうした?なんか思い出したのか?」

 

ジャブラッドはそうおちょくるように言った。

 

「ちなみにもう21時だぞ。」

 

ジャブラッドの言葉を聞いた零は青ざめた。

 

「マジかよまた明日も遅刻すんのは嫌だぞ!?」

 

零は急ぎで自宅へと帰って来た。

 

「ただいまー。」

 

家はあいも変わらず少し薄汚れてはいるが、1人で暮らすには勿体なさすぎるぐらいには広かった。

 

「さっさと風呂入って寝るか。」

 

そうして零はシャワーを浴びた。

 

シャワー室から出ると、ジャブラッドが料理を作っているのが分かった。

 

「おい、晩飯ぐらい食って寝ろ。」

 

「は?嫌だぞ?遅れそうだし。」

 

零がそう言うと、ジャブラッドは零に近づき引っ張ってきた。

 

「飯は食え。」

 

零が黙って席に着くと、出たメニューはオムライス…海藻サラダ…

 

「「いただきます。」」

 

「うめうめ…。」

 

零がそう食べていると、ジャブラッドは俺を見て言った。

 

「おい、ちゃんと噛んで食えよ?」

 

「分かってるって…ご馳走様!」

 

そう言って零は自分の2階の部屋に戻った。

 

「(寝る前に少しデッキ改造するか。)」

 

そうして零が自室の扉を開けると、古びたタンスの隣でカードを整理し始めた。

 

翌日〜朝7:30〜

 

「零おはよ!今日はやけに早いね?」

 

学校の教室でうたた寝していると、リリスが零にそう話しかけてきた。

 

「いや…今回は徹夜でデッキ作ってたら早く起きすぎちまったんだよ…。」

 

「あー…たまにそう言う事あるよね…。」

 

リリスはそう言って零の肩をぽん叩くと、ふと思い出したかの様に声を上げた。

 

「あ!今日はデュエマ部で重大な話があるよ!」

 

「お?何があるんだ?」

 

零がそう言うと、リリスは意味深げにニヤリと笑った。

 

「放課後のお楽しみー」

 

 

そして放課後…

 

「全員集まったみてーだな。」

 

「らしいな。」

 

ファルゴとイッサがそう言うと、ボウイがニヤリと笑って零の方を向いた。

 

「よし!早速デュエマを…」

 

そう言うボウイを零はニヤリと笑って止めた。

 

「まぁ待て、何か風紀委員会から重大な話があるらしい。」

 

零がそう言うとリリスが前に出た。

 

「えーと、静粛にー!」

 

そう言うとリリスはポケットから紙を取り出し、話始める。

 

「この度、デュエマ部の顧問の先生が決まりましたー!」

 

リリスがそう言うと、部室の扉を開けある人が入って来た。

 

その人はグラサンに黒の革ジャンと言ったいかつい組み合わせの服を着ていたが、よく見ると教頭の矢奈先生だった。

 

「黒城矢奈先生にやってもらう事に決定しましたー!」

 

それを聞いたイッサとファルゴはやけに喜んでいる様だった。

 

そうしてそれに反応するかの様に矢奈先生が話し出す。

 

「おー!盛り上がってるねぇ!それじゃ早速デュエル…と、言いたいところだけど…」

 

そう言うと矢奈先生は革ジャンのポケットから何かを取り出す。

 

よく見ると、それは劇のチケットの様だった。

 

「明日の朝、皆でサボって劇を見に行きまーす!」

 

一瞬部室が静まり返ったが、部室の空気は一気に沸いた。

 

「矢奈先 あいも変わらず 太っ腹」

 

そう言うイッサを見た後、零はファルゴに少し質問をした。

 

「あれ?大丈夫なのか?」

 

そう言うと、ファルゴが驚いたように聞いてきた。

 

「お前しらねぇのか?」

 

「矢奈先は上位ランカー達の腕試しをさせてくれるんだぜ?まぁあの人現状無敗だがな!ファーッ!」

 

「マジか!じゃあ大丈夫か!」

 

零はそう言ってニコニコと笑って頷きながら矢奈先生に拍手をした。

 

「フッフッフッ!もっと私を讃えるが良い!」

 

そう言って矢奈先生は高笑いをした。

 

「…零が喜んでくれた様でよかった!…ん?」

 

そう言って零を見ていたリリスの目に、1人立ち尽くす人物が目に留まった。

 

「…」

 

ボウイだ。

 

その目は矢奈先生の持って来たチケットをまっすぐと見つめており、体は震えていた。

 

「ボウイ生徒大丈夫?話聞こうか?」

 

そう言ってリリスが近づくと、ボウイは震えながら答えた。

 

「あ、いや…大丈夫…」

 

その時、3回のノックの後に、部室のドアが開いた。

 

「失礼します!話は聞いたぜ!俺も行きたい!」

 

そう言って竜吾が部室に入って来た。

 

「俺もその劇行きたい!」

 

竜吾のその言葉に矢奈先生が答えた。

 

「チケット5枚しか無いから竜吾くんは私の使いな!私は明日送り迎えするから!」

 

こうしてこの日は終わり、次の日の朝、学園の近くの公園に止まっている矢奈先生の車の前に集まっていた。

 

「ささ!皆車乗って!」

 

そう言って矢奈先生は車の鍵を開けた。

 

「サボって劇見に行くのかー!テンション上がるなぁ!」

 

それを聞いてリリスは零の左手を握った。

 

「こんな機会滅多に無いからね!」

 

「…」

 

「ん?どうしたボウイ?」

 

零の言葉を聞いたボウイは、暗い表情で答えた。

 

「いや…何でもない…。」

 

「そ、そうか…。」

 

零はそう言って車に乗り込み、ボウイの隣に座った。

 

「よし!じゃあ出発!」

 

矢奈先生の言葉と共に、車のエンジンが吹き始めた。

 

数時間後

 

「ファーッ!やっと着いたぜ!」

 

「劇場で 大声は出すなよ ダボゴルファー」

 

「誰がダボゴルファーだ!」

 

そう言うイッサとファルゴの会話の隣でリリスは矢奈先生に声を掛けた。

 

「矢奈先生、そう言えばパンフレットとかあります?」

 

「あるある!はーい、チケットのついでに!皆これ!」

 

そう言うと、矢奈先生はパンフレットとチケットを全員に配った。

 

「じゃあ私は車で休んでるから、行ってらっしゃーい。」

 

そう言うと、矢奈先生は車の中へ入って行った。

 

「じゃあお前ら、早く中へ入ろうぜ。」

 

零がそう言った後、零達は受付でチケットを交換し、劇場の中に入り、席に着いた。

 

劇場の客席に着いた後、リリスは他の部員に聞こえる程度の小声で話した。

 

「皆んないい?劇が始まったら皆んな静かなしなきゃダメだよ?」

 

「ファーッ!言われなくとも分かってるぜ」

 

「…」

 

「あぁ!分かってるって!楽しみだなぁ!」

 

ファルゴと竜吾はリリスの話に答えたが、イッサはばつが悪そうに無視しており、ボウイは相も変わらず黙っていた。

 

リリスが隣の席で後ろに座っているファルゴとイッサと竜吾、そして隣のボウイに注意をしてるのを聴きながら、零は開演前にパンフレットを読んだ。

 

 

表紙やパンフレットの劇の場面を切り抜いた写真に…あの夜会った、あの人と瓜二つの白髪で朱い眼を持った女が写っていた。

 

題名は少年の旅路

 

あらすじは、孤児院でとある少女に連れ出された少年は、さまざまな体験をする事になり…

原作は不明らしい。

 

パンフレットを見た感じ、3年前からやっている有名な劇のようだ。

 

「…」

 

零が驚きのあまり黙っていると、リリスが横から顔をのぞかせてきた。

 

「どうしたの零、写真の女の子チラチラ見て…。」

 

「いや…この前似てる人に会ってだなぁ…。」

 

零がそう答えると、リリスは少し考えた後に答えた。

 

「じゃあ役者さんの名前見てみれば?」

 

そう言うとリリスは自分のパンフレットをめくった。

 

「えーっと…これだ!」

 

そう言うとリリスは演者と演じるキャラの名前が載ってあるページを見せて来た。

 

「主人公役の人髪染めて目にカラコン入れるみたい…それにしても主人公のこの見た目、零に似てる!白髪だし!右目青色で左目赤色っぽいし!!」

 

「言うほどか?あ、そうだ!ヒロイン役ヒロイン役…。」

 

そう言って零はページを探した。

 

そして俺は写真とキャラ、そして役者の名前が書いてある場所を見つけた。

 

演者 覚知山 希望(ノゾミ)

キャラクター お姫様

 

演者の少女は高校1年生で黒髪であったが…零たちはそれどころじゃ無かった。

 

「待て、覚知山ってまさか…。」

零はボウイの方を見る。

 

ボウイは顔が真っ青になっており黙って舞台の方を眺めているだけだった。

「なぁ、ボウi…」

 

零がボウイに話しかけようとしたその時、ちょうど時間となり開幕のアナウンスがされ。それに俺の言葉は遮られた。

 

劇場の幕が上がった。

そうして上がった幕からは、作られた朱い眼が、じっと俺を見つめていた。

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