衛宮切嗣・高咲侑「NEO SKY, NEO MAP」 作:我来也
衛宮切嗣の事もラブライブの事もアニメで見てる程度です。ご了承ください。しかしアドバイスがあると今後に活かせるので助かります。
ある晴れた日の午後。くたびれた黒いコートを羽織り全身黒で覆われた男。──衛宮切嗣は東京の御台場の街を歩いている。
彼は以前の世界では多数を救う為に少数を切り捨て“魔術師殺し”という二つ名で畏れられていた”殺し屋“だ。人々の幸福と世界の平和を本気で願う理想主義者にして、そのためには徹底的に冷酷非情になり悪の側に立つことも厭わない現実主義者だった。
だが彼は誰よりも人間臭く、人類を『人々』を愛する心優しい感性を持つ男なのだ。
意識を失い、その後再び目覚めるとそこには知っているようでどこか違う世界に降り立っていた。
最初は何かの冗談かと思っていたが、色々調べるうちに以前とは似て異なる世界にいる事が判った。
(僕はこの世界で何をすれば…。そもそもこんな僕を何故この世界に転移させたんだ…。)
巨大なロボットの像を前にふと足を止めた切嗣は、自問自答するように空を見上げた。その時、近くの広場から楽しげな歌が聞こえてきた。切嗣の心にそのメロディや歌声が何かを訴えかけるように響き、彼は自然と音のする方へ歩みを進めた。
ショッピング街の階段で行われた特設ステージでは、可愛くおしゃれな衣装に身を包んだ少女たちが観客を楽しませていた。観客たちは歓声を上げ、楽しげに手を振り歓声をあげている。ステージで歌ってる一人一人の少女達は元気よく歌って踊っている。その姿はまさしく“アイドル”というものだ。
程なくしてライブが終わりライブの音を聴き、観に来ていた様々な人々はこの場を去って行ったが、何故か僕はその場を立ち尽くしていた。
「ライブ観てくれてたんですか?ありがとうございます!」
僕がぼーっとしていたところ、毛先が緑色をしたツインテールの女子高生がこちらに話しかけてきた。
「いや、こちらこそ素晴らしいものを観させてもらったよ。ありがとう、お嬢ちゃん。君はあの子たちのお友達なのかな?」
「友達でもあるけど、サポーターのような感じかなー?私、皆のことが大好きで応援したくって…!だから今日はありがとうございます。」
にひっと素敵な笑顔をこちらに見せて彼女の視線は先ほどのアイドルたちに向ける。
「スクールアイドルっていいですよね?」
「スクール…アイドル?」
「えっ?スクールアイドルをご存知じゃないんですか!?」
「えっ…?いやぁ〜あははっ…!」
切嗣は思わず苦笑いをして誤魔化してしまう。
(まさか“スクールアイドル”というものがこの世界では当たり前なのか…?)
それからその女の子に“スクールアイドルとは何か?”について熱く語られていく。
(まるで大河ちゃんみたいで良く喋る子だ…。)
熱く語ってる姿、先ほどの笑顔、それらの姿をみてあの世界でよく僕の家に上がり込んでいた女子高生──藤村大河を思い浮かべいた。
隣で熱く語ってる女子高生の話を程よく聴き流し上手に相槌を打ってると「侑ちゃ〜ん!」とこちらに向かって先ほどライブをしていた女の子の1人、ピンク髪の子が走ってくる。
「侑ちゃん何してるの?皆が待ってるから早く行くよ!」
「あ、歩夢。待って〜今行くから!おじさんもまたね!」
切嗣は軽く手を振り“またね”という感じで別れの挨拶をし2人はその場を離れていく。
切嗣は先ほどのライブのことを思い出す。彼女たちのエネルギッシュな歌やダンスのパフォーマンス、そしてライブ中常に魅せていた明るい笑顔は切嗣の心にも不思議な感覚を呼び覚ましていた。
「こんなにも明るく…前向きな世界が…」
久しく感じていなかった“希望”というものを感じた。
恒久的な平和を実現するために“聖杯戦争”に参加し人類最後の流血にするために戦い殺しつくし、その何倍の死ぬ理由のない人たちを理不尽な死から救おうとしてきた。
だけど、こんな方法もあったんだ。
「スクールアイドル…か。」
────────
「ねぇ侑ちゃん、さっきの黒ずくめの人は誰なの?」
「え?あのおじさんのこと?」
ライブが終わり一旦学校の部室に戻ってる最中、歩夢は高咲侑が知らない男性と色々と話していたのが気になり尋ねてみたが、侑自身もあの男性の事はよく分かっていない。ただただ、珍しく男性がライブに観にきてたから思わず声をかけたんだと。
「もぅ侑ちゃんったら…でもあの人何か危ないっていうか怖そうだからもう話しかけちゃダメだよ?」
「え?でもあの人…そうは思えないんだよね。どちらかというと…」
確かに服装的に裏世界の暗殺者っぽい感じだし、眼もなんか死んだ目っぽい感じだけど、危険な人には見えなかった。
「あの人、多分だけど優しい人だと思うよ!話し方も凄く物腰柔らかったし!何よりね、何だか辛そうだった。」
そう、ライブが終わり他のお客さんがライブ会場から帰路に着く中、その男はただ1人そこに立ち尽くしていた。だけど印象的だったのはその者の魅せた顔だった。
まるで絶望に陥った者が僅かな希望を見たような、生きていくのが辛い人生の中で光をみたような、そんな顔をしていた。
私より歳上なのは確かだけど、それでもそんな顔をしてる大人は私の近くには見たことがない。
何故だかほっとけなかった。スクールアイドルの皆とは違う意味であの人のこと助けに、力になりたいなと思った。
「ゆ、侑ちゃん…!もうしょうがないなー、でも侑ちゃん可愛いから何されるか分からないから私も一緒が条件だからね?」
「ありがと、歩夢!」
一度しかない人生を2度得てしまった衛宮切嗣。もう一度人生を歩むことが出来るのなら違うやり方の正義の味方を目指していくのもいいのかと思った。何も戦うだけじゃない。歌を、音楽を広げていくのも平和へ繋がっていくのだから。
もちろん、いざという時は懐にしまってる銃を使って戦う。だけど可能な限りは違うやり方で目指していきたい。そうすればあの聖杯戦争の時だって…いや、そんな事は忘れよう。
そんなことを考えながら切嗣は新しく建てたあの世界と似た衛宮邸でゆっくり1日の最後を過ごした。
死後、転移してるけど正直衛宮切嗣の年齢は29歳か34歳かまだ悩み中です。34歳でいいか?