衛宮切嗣・高咲侑「NEO SKY, NEO MAP」   作:我来也

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諸々の作品の投稿が遅くなり申し訳ございませんでした。

書くよりも読む方に意識が傾いたり婚約に向けて色々していたりしてました。


第7話

「ねぇ、みんな。ちょっと聞いてほしい事があるんだけど…。」

 

 翌日、部室にいる皆に対して侑が話しかける。皆に声をかけると、せつ菜、彼方、歩夢などの皆がそれぞれの席から顔を上げた。いつもは朗らかな侑の表情に、少しの緊張と迷いが見えた。

 

「どうしたんですか?侑さん。」

 

 せつ菜が心配そうに問いかける。

 

「うん、実はね…最近ちょっと特別な人と出会ったんだ。その人、切嗣さんっていうんだけど…」

 

 侑は息をつき、どう話せばいいか少し迷った様子だった。

 

「切嗣さんとはね、偶然みんなのライブを観てたのがきっかけなんだけど、何かすごく深い悲しみを感じるの。私たちとは全然違う世界で生きてきた人みたいで…。でも、どうしても放っておけなくて、切嗣さんを助けたいって思ってるんだ。」

 

 思い浮かべるのは、

 侑の言葉に、部屋の雰囲気が少し変わった。皆それぞれが何かを感じ取ったのか、静かに耳を傾けている。

 

「おじさんは一人で何か大きな苦しみを抱えているみたいなんだ。私ができることなんて、スクールアイドルとしての活動しかないかもしれないけど、少しでもおじさんの心を救えるなら…」

 

 部室に静かな緊張が走った。皆、侑の話に耳を傾けながら、どんな人が侑の心をここまで引きつけたのかを想像していた。

 だがそんな中、静かな部室の中でツッコむ存在が1人いた。

 

「えっ、特別な人ってなにそれ!?どういうこと!?」

 

 かすみが勢いよく前のめりになる。

 

「ねえ、それってもしかして、恋愛的なやつですか!?その切嗣っておじさんは何者ですか!?」

 

「!?違う違う!」

 

 侑は大慌てで手を振った。

 

「そんなんじゃないから!」

 

「本当ですか〜?かすみん、聞き逃さないですよ!」

 

 かすみはジト目で侑を見つめる。

 

「かすみちゃん、落ち着いて!」

 

 歩夢が笑いながらも、侑をフォローするように言った。

 せつ菜が真剣な表情で質問を投げる。

 

「でも、侑さん。その切嗣さんってどんな人なんですか?私たちが知らない人なら、もっと詳しく教えてもらえたら…」

 

 侑は頷き、彼───切嗣と最初に出会ったライブの事を思い出す。

 最初は私たちのライブを見に来てくれてたお客さんの1人でしかなかった。だから私は当然他のお客さんと変わらない対応をした。

 だけど、今こうして振り返ると私は無意識に魅入られていたのかもしれない。あの人の、おじさんの何かに救われたかのような表情で立ち尽くしていた姿に。

 死んだような目をしててどこかぼーっとしてるけど、ちょっとした優しさを感じた。でもおじさんの話を聞こうとすると適当にはぐらかされて彼の事は何も教えてくれなかった。

 でもその時見せた哀愁漂う彼の姿、そして感じた深い悲しみや葛藤───。それだけは私は知っている。

 

 私がおじさんとの出会いや感じた事を話すと部室の空気が少しずつ引き締まっていった。

 

「なんだか映画みたいな感じだね。」

 

 エマが穏やかに微笑む。

 

「その人、とても孤独そうだけど、侑ちゃんが出会ったのにはきっと何か意味があるんじゃないかな。」

 

「いやいやいや!」

 

 かすみが大きく手を振って割り込む。

 

「そんな怪しい人と出会ってる場合じゃないですから!侑先輩、危ない目に遭ってないですよね?かすみん、心配です!」

「怪しくないよ!大丈夫だって!」

 

 侑は再びかすみにツッコまれ、苦笑いしながら答えた。

 

「それで、侑ちゃんはその切嗣さんに何をしたいと思ってるの?」

 

 彼方がのんびりと問いかける。侑は少し考え込んだ後、重い口を動かし応える。

 

「その事について悩んでるんだ…。先に歩夢に相談したんだけど、私がおじさんのためのスクールアイドルになるのはどうか?ってことなんだけど…。」

 

 皆はどう思う?侑は続けて訊ねて聞く。

 部室に再び静寂が訪れた。侑の真剣な眼差しに、みんなそれぞれ考えを巡らせているようだった。

 

「ふむ、確かに私たちの歌やパフォーマンスで誰かを元気にすることはできる!でも、侑さん、その切嗣さんは本当にスクールアイドルに興味を持ってくれるんでしょうか?」

 せつ菜が少し不安げな表情を見せる。どういうことだろうか?と首を傾げていると続けてせつ菜が話す。

 

「確かに切嗣さんはスクールアイドルに全く興味がない訳じゃないと思います。ただ、自分でいうのもなんですが、あの時ライブをしていた“誰か”に興味を持ったんじゃないかな?と思いまして…。」

 

「うーん…確かに切嗣のおじさん、スクールアイドルが好きかどうか分からない。でも、私たちのライブを見てくれていたし、少しでも何かを感じてくれたんじゃないかなって……。」

 

 侑は自分の考えを言葉にしながらも、確信が持てずにいた。

 

「うーん、でもですよぉ?」

 

 かすみが腕を組みながら口を挟む。

 

「正直、そんな人生の闇を抱えてそうなおじさんが、アイドルのライブで救われるかっていうと……うーん……。」

「うーん……。」

 

 歩夢も同じように考え込む。

 

「でも、もしかしたら、侑ちゃんの気持ちが伝われば、何かが変わるかもしれないね。」

 

 エマが優しく微笑む。

 

「でも、どうやって?」

 

 彼方が頭をかしげる。

 

「ライブに来てもらうだけじゃ、きっと変わらないよね?」

 

「うん……。」

 

 侑は少し考え込む。

 

「私、もっとおじさんと話してみる。それで、少しずつでも彼のことを知って、何ができるか考えたいんだ。」

 

「なるほど……まずは相手のことを知る、ってことですね!」

 

 せつ菜が納得したように頷く。

 

「でもでも!やっぱり侑先輩が変な人に騙されてないか、かすみんはすっごく心配ですよ!」

 

「大丈夫だって!」

 

「本当にぃ?かすみんは信用してませんからね!」

 

 かすみがジト目で睨むが、侑は苦笑いするしかなかった。

 

「でも……なんとなく、侑ちゃんがこんなに真剣に考えてるの、久しぶりな気がする。」

 

 歩夢がふっと呟いた。

 

「そうだね。」

 

 彼方が小さく笑う。

 

「侑ちゃんはいつも、みんなを楽しませることを考えてるもんね。だけど、今回は本気で誰かを救おうとしてる感じがする。」

 

「そうかな……?」

 

 自分ではそんなつもりはなかったが、確かに今までとは違う感情が心の中にあった。

 

「じゃあ、決まりだね。」

 

 せつ菜が立ち上がり、拳を握る。

 

「同好会として、侑さんの挑戦を全力でサポートします!」

 

「おおーっ!」

 

 部室に活気が戻った。

 

「まずは、侑ちゃんがもう一度切嗣さんと話してみること。それで、何かヒントが得られたら、みんなで一緒に考えよう!」

 

「うん!ありがとう、みんな!」

 

 こうして、侑は改めて切嗣と向き合う決意を固めた。

 スクールアイドルとして、彼に何ができるのか――その答えを見つけるために。

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