衛宮切嗣・高咲侑「NEO SKY, NEO MAP」 作:我来也
他の作品(ルルーシュ×推しの子)進めないといけないのに…
一応描いてはいます。ちょびちょびと
翌日、侑は切嗣ともう一度会うため、街を歩いていた。前回出会ったカフェやライブ会場の周辺を何度も行き来しながら、ふと切嗣の姿が見えるのではないかと期待していた。
(どうしてこんなに切嗣さんのことが気になるんだろう…。ただの偶然の出会いだったはずなのに。)
侑はスマートフォンを手に取り、切嗣から教えてもらった連絡先を見つめた。
(連絡してみるべきかな…。でも、どう切り出せばいいんだろう?)
勇気を振り絞り、メッセージを打ち始めた。
『切嗣のおじさん、こんにちは。少しお話ししたいことがあるんですけど、お時間いただけませんか?』
送信ボタンを押した瞬間、心臓がドキドキと高鳴ってるのに気付いた。それは異性だから?恋?それとも何かに決意をした後の最初の行動があの人にLINEを送ることだから?その理由は未だ分からない。
しばらくスマホを見つめていると、LINEの通知音が鳴った。
『もちろんだよ。どこかで会おうか?』
侑はその返信に胸を撫で下ろしつつも、なぜか心の奥にある不安が拭えなかった。
待ち合わせ場所として指定されたのは、静かな公園だった。夕方の薄明かりが公園全体をオレンジ色に染め上げ、優しい風が木々を揺らしている。
ベンチに座る切嗣の姿が見えた。彼は空を見上げていたが、侑の足音に気づき、ゆっくりと顔を向けた。
「来てくれてありがとう、切嗣のおじさん。」
「いいや、こちらこそ。侑ちゃんのメッセージに驚いたよ。」
切嗣は静かに微笑んだ。
(やっぱり、この人の笑顔にはどこか影がある…)
「おじさん、聞きたいことがあって…カフェで話してた話をもう一度聞きたくて…。」
侑は少し緊張しながら言葉を続けた。
「どうしてあの日、私たちのライブを見に来てくれたんですか?」
切嗣は少し考え込むように視線を遠くに向けた。そして、ぽつりと答えた。
「…あの時話した通り、ただの偶然さ。あの場所に居合わせただけだよ。」
「でも、あの時のおじさんの表情、他のお客さんとは違っていた。何かを見つけたような…そう感じたんです。」
侑は今でも思う。その表情が気になって、どうしても忘れられない、と。
切嗣は小さく笑った。
「君はよく人の表情を見ているんだね。僕は…そうだな、ただ何か懐かしいものを感じたのかもしれない。」
「懐かしいもの…ですか?」
「昔、僕にも夢があった。でも、その夢を追いかけているうちに、いつの間にか何もかも失ってしまった。」
切嗣の言葉には深い悲しみがこもっていた。
(やっぱり…切嗣さんは過去に何かを抱えているんだ。)
「でも、君たち“スクールアイドル”のライブを見て、少しだけその夢を思い出したんだ。君たちの純粋さが、僕にはまぶしくてね。」
「私たちの…?」侑は驚いた。
(私たちのパフォーマンスが、切嗣さんの心に響いていたなんて。)
「侑ちゃん、君たちは素晴らしい。君たちのような輝きは、人を救う力を持っている。でも、僕にはもうそれを受け入れる資格なんてないんだ。」
「そんなことない!」
侑は思わず声を張り上げた。
「切嗣さんが何を背負っているかはわからないけど、私たちは切嗣さんに笑顔を届けたい。それがスクールアイドルとしての私たちの役目だから。」
切嗣はその言葉に一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「君は本当に強い子だね。僕のような人間に、そんなことを言ってくれるなんて。」
侑は勇気を出して、もう一度切嗣にお願いした。
「今度のライブに来てくれませんか?切嗣さんに、もう一度あの輝きを見てほしいんです。」
切嗣は少し考え込んだが、やがて静かに頷いた。
「わかった。君の熱意には勝てないよ。」
「本当ですか!?」侑の顔がぱっと明るくなった。
(やった、切嗣さんが来てくれる!)
「でも、一つ約束してほしい。」切嗣は真剣な表情で侑を見つめる。
「僕に過度な期待はしないでほしい。僕は変わることができない人間だから。」
侑は力強く頷いた。
「大丈夫です!私たちのライブを見て、何かを感じてくれたらそれでいいんです。切嗣さんが何を考えているかはわからないけど、私たちは精一杯のパフォーマンスをしますから!」
その言葉に、切嗣は少しだけ安心したように見えた。そして、侑は決意を新たにした。切嗣の心に届くようなステージを作り上げるために、仲間たちと共に全力を尽くそうと。
(切嗣さん、必ずあなたを笑顔にしてみせるからね。)
二人はしばらく話を続けた後、別れることにした。侑は振り返りながら、遠ざかる切嗣の背中を見つめた。その姿はどこか孤独で、けれども少しだけ光を求めているように感じた。
(次のライブ、絶対に成功させなきゃ!)
侑は心の中で強く誓い、仲間たちにこの報告をするべく、足早に部室へと向かうのだった。
────────
夕焼けに染まった公園を後にしながら、衛宮切嗣は一人、静かに歩いていた。
先ほどの少女──高咲侑は、まるで迷いがないようにまっすぐ自分を見つめ、ライブに来てほしいと誘ってきた。
(スクールアイドル、か。)
思えば、最初に彼女たちと出会った時、私は無意識にその瞳に引き寄せられていた。ライブを見ていた時のことを思い出す。彼女たちの歌や踊りには、確かに目を奪われたが、それ以上に彼女たちの目に映る世界に何かしらの“希望”のようなものを感じたのだ。私はそれに、自分のような存在が触れてはいけないと思っていた。
(だが、侑ちゃんの言葉…彼女の目を見ていると、どうしても逃げたくないと思ってしまう。)
彼女はあの時、私に“笑顔を届ける”と言った。あんなにも簡単に、心から信じて言ってくれたその言葉に、私は一瞬、心を打たれた。だがすぐに、それがいかに空虚なものかを理解していた。
無駄に多くの命を背負いすぎた人間だ。過去に犯した数々の罪、犠牲にした無数の人々、そして何より私自身が望んだものすべてを失った。その中で生きてきた結果が、今の私だ。
彼女が話してくれた、スクールアイドルとしての活動。その中で、彼女たちがどれほどの努力と希望を込めて日々を送っているのか。あの子たちの目には、無邪気な力強さがあるように見える。まるで、自分がそれを信じることで、周りの人々に希望を与えられるような力が宿っているかのようだ。
私はしばらく歩きながら、どこか空虚に感じる心を抱えたまま、深い溜息をつく。