血狂いの娘   作:懐紙

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ヒロアカ熱が最近きてるのでだいぶ前から温めていた作品を世に放ってみます。


実技試験にて、彼女の始まりの1歩目

現在、総人口の約八割が『個性』と呼ばれる超常の能力を有しているこの世界。

当然個性を悪用するものが出てくる。ヴィランと呼ばれる彼らは個性を己の欲望のままに使い、人々を恐怖に陥れる。そんなヴィラン達を退治し、時には災害の救助に向かうのがヒーロー。彼らがいる限り悪は栄えない・・・しかし光が強くなれば影もより濃く色を増す。やはり世界は何処までも現実であり、ヒーローを何人も返り討ちにして殺すような強力なヴィランだって存在するのだ。例えば、『血狂いマスキュラー』筋肉増強というシンプルでいて強力無比な個性。その怪力と残虐性でベテランヒーローすら殺害するほど強大なヴィラン、そして・・・私のクソッタレな父親だ。

 

これは私が父親を完全否定するための物語。

 

 

 

 

 

「·····ふぅ」

 

季節は2月。まだまだ寒さが残る早朝、日課のランニングと筋トレを終えて一息つく。今日は私の人生にとって最も重要な日と言っても過言じゃない。だからこそ余計な緊張で空回りしないようにいつも通りのルーティンを欠かさない。シャワーを浴びて朝食と準備を手早く済ませ

 

「行ってきます」

 

と誰も居ない部屋に挨拶をして出発する。

 

これから私は「ヒーロー」になりに行く。

 

 

雄英高校。オールマイトを筆頭とした超有名ヒーローを何人も排出している名門中の名門。ヒーローを目指すのならば、まずその名前が頭に浮かぶだろう。しかしそんな高校のましてやヒーロー科などとんでもない数が試験を受けるため脅威の倍率300倍を誇る。けれど私はこの程度で躓いては居られない。私の目標はヒーローになるなんて事の遥か先にあるのだから。受験に向かう今日の競争相手達を見つめながら私は改めて心を引き締め直していたら

 

「あの、大丈夫?」

 

と、声をかけられた。見れば制服だけが浮かんでおり一瞬驚いたが"そういう"個性なのだと理解した。声をかけてきた(声と服装を見たところ恐らく)彼女は、心配そうに私の顔を見る

 

「急に立ち止まって難しそうな顔してたから、もしかして具合悪いのかも!?って思っちゃって。」

 

「ん?ああ、いや、大丈夫だ。少し考え事をしてたんだ。緊張してたのかもな。心配ありがとう。」

 

「んーん!大丈夫!何事も無いなら良かった!私、葉隠透って言うのよろしくね!」

 

「ああ、よろしく葉隠。私は今筋 強骨(いますじ きょうこつ)だ。今筋って苗字は好きじゃないから強骨って呼んでくれ。」

 

「·····そっか!じゃあ私の事も透でいいよ!一緒に合格してクラスメイトになれるといいね!」

 

「そうだな。健闘を祈っとくよ」

 

「うん!強骨ちゃんも頑張って!」

 

そう言いながら歩いている内に試験の会場へと辿り着いた。

·····筆記試験はまぁ、特に言うことは無い。多少高レベルではあるが普通の高校と大差無く、勉強も抜かりが無いように対策していたので特に詰まることなく回答ができたと思う。そうして2時間ほど机に向かった後、実技の試験会場へ向かった。

 

プレゼントマイクの一通りの説明を受け、私達はいくつかのグループに別れ違う会場へと移動した。いよいよ大本命の実技試験のため、皆の殺気や熱気は最高潮と言っていい。今か今かと賽が投げられるのを構える私たちに

 

『ハイスタート』

 

となんでもない様な声で開始を告げられた。一瞬呆けてしまった物の直ぐに気を貼り直し、ほかの受験生達より早く走り出す。が

 

「俺の前行くなやデカ女ァ!!!」

BOOON!!

と私の数瞬あとから爆発音と共に金髪の男が物凄い形相で私の前に飛び出す。受験本番で気が立つのは分かるが、初対面のしかも女にデカイは如何なものか。いや、確かに私は185cm程あるし個性を使えばもっとでかくなるが·····そうしている内に遅れてほかの受験生達が慌てて後を追って来る。ダメだ、余計な事に構わずに集中しなければ。というかコイツと近くにいると効率が悪い。個性を使い、足に筋肉を纏わせ大きく跳躍し会場の奥へと狩場を移した。

 

脆い。3ポイントとされていたロボットの首を片手で捻り切りながらため息を吐く。"筋肉を纏ってない"状態ですら相手にならない。まぁ、攻撃性能に優れた個性ではなくても倒せるように設計されてるんだろうが、まぁ私からするとお話にならないな。つまらないがそれで油断して落ちたでは目も当てられない。次々襲い来るロボットを文字通りちぎっては投げを繰り返してゆく。

 

 

それなりに時間が過ぎそろそろ試験の終了が近づいてきた。早々にこの辺りのロボは全てスクラップにした後、私がいた場所の反対方面では爆発音が絶えないので新しいポイントも見込めなさそうだった為に、妨害と捉えられない程度に苦戦している受験生のロボをちまちま片付けていたが、突如地面が揺れる。ビルを薙ぎ倒して出現したのは巨大なロボット。

 

オイオイ、その辺にだってまだまだ人居るだろとも思ったがまぁ流石に中学生相手の試験だ、流石に命に関わらないように救済措置の様な物が用意してあるだろう。動きは緩慢で私は億が1にも捕まらないが瓦礫に巻き込まれても面倒だと踵を返そうとしたその時、巨大ロボの進行方向に倒壊した家の瓦礫に挟まれて身動きが取れない子とそれを助けようと鉄パイプで必死に持ち上げようとするボブカットの女子が居た。

 

「あ!アンタちょうどいい所に!これ手伝って!ウチの力じゃどうしてもダメそうで·····」

 

「んー無理じゃないか?というか見た感じ無理やり引き上げると更に倒壊するかもよ」

 

「でも、このままじゃあのロボに·····!」

 

「いや、流石にいくら難易度が高いったって死人なんか出すような内容なワケねぇだろ。むしろこの瓦礫どかして崩れた家にに巻き込まれた方が危ねぇと思うぜ私はな」

 

「だからってほっとけないよ!ウチらヒーローになりに来たんだよ!?試験だからって見捨てていはずない!」

 

「そうだよな。私もそう思うぜ。試験だからって他人を蹴落とす様な奴がいざって時に人を助けられる訳がねぇ。別に助けないとは言って無いさ。瓦礫がダメなら····叩くのはあのデカブツだ」

 

「アイツを!?そんな事出来るの?」

 

信じられないと言う顔をする彼女。まぁ見ていろとその場に待たせ0ポイントロボへと歩を進める。その時たまたま残りのロボを探して居た爆発くんと鉢合わせた。

 

「やぁボンバーマン順調そうだな?」

 

「誰がボンバーマンだ殺すぞデカ女ァ!?」

 

「失礼なあだ名で先に呼んだのはお前だろ?それより君もっと雄英にアピールしたくないか?」

 

「アァ?なんの事だ」

 

「なに、あの0ポイントを2人で吹き飛ばそうって話だ簡単だろ?」

 

「知るかよ!勝手に挑戦して返り討ちに会えやクソが。」

 

「おや?ポイントが十分だから安牌を取るのか?まぁそれも良いだろうさ。案外堅実なんだなお前は」

 

「うるせぇ。俺は誰とも組まねぇ。1人で1位なるンだよ」

 

「そうか。じゃ私は「1人で」あの「1番強そうな」巨大ロボットを相手取るとしよう。お前はちまちま残った「雑魚」を掃除してるといい」

 

「テメェ煽る気が見え透き過ぎとるんじゃ!!食虫植物だってもう少しマシな罠張るぞコラ!!上等だ買ってやるよその喧嘩ァ!!」

 

BOOOOON!!!と急加速して0ポイントロボに向かっていくボンバーマン。単純な男で実に良い。さて私も行くか。あのデカブツなら

 

「それなりの力で殴れそうだ」

 

一気に全身の筋肉を膨張させ跳躍する。更に身体の上からも筋肉を纏わせ骨を固める。反対側からは高速で回転しながら突貫するボンバーマンの姿が見えた

 

「合わせろよぉ!ボンバーマン!!」

 

「テメェが合わせんだよデカ女ァ!」

 

「「ぶっ潰れろォ!!!!」」

 

 

 

 

とてつもない爆音と振動、土煙が晴れたそこには粉々にされた0ポイントロボの残骸

 

「すっご·····」

 

そしてその光景を見て呆気にとられていたボブカットの彼女がそう呟いた時

 

 

『終ー了ー!怪我をしてるリスナー達は帰りに保険室によって帰るんだぜ!!シーユーネクストタイム!』

 

試験終了の放送が鳴り響いたのだった。

 

 

 




一旦ここまでです。次回入試後から測定テストまでの予定
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