思いつき短編です。
営業時間は夜9時から朝7時頃まで。
先代は夜の12時からだったが客の要望で少しばかり早めてみた。
店主である俺一人で切り盛りする夜の食堂。俺が元ヒーローだから人は「ヒーロー食堂」って言ってるよ。
そんな時間で客が来るかって?
「それがけっこう来るんだよ」
メニューは豚汁定食にビール、日本酒、焼酎の酒類三種。
あとは勝手に注文してくれりゃあ、できるもんなら作るよ。
ってのが先代から受け継いだこの店の流儀ってやつだ。おかげで読み込まれた料理本やレシピ検索したスマホ片手に作ることもすっかりなれてしまったよ。
「極辛麻婆豆腐丼一丁」
トンッと出来立て熱々の品をカウンターに置く。
「相変わらず旨そうだ」
唐辛子と山椒の刺激で作るこっちも辛くなる一品。そんな赤くて熱くて辛い溶岩のような代物を注文したヒーローコスチューム姿の少年は「いただきます」と言ってから喜々としてがっつきだす。激熱な料理は食べるのに難儀するが、鍋焼きうどんやねぎま鍋や麻婆豆腐なんかはその熱さもご馳走のうちだよな。
コの字カウンターに座る、ツンツン頭の少年。先日のヴィラン連合による大騒動、否、戦争を学生の身でありながら戦い抜き、そして大活躍した大爆殺神ダイナマイトこと爆豪勝己だ。
「晩飯なら寮でだしてくれんだろ?」
俺も参加した戦いから早半年。
各国からの支援もあってすっかりこの国も元通り、いや以前よりも良くなっているように感じる。
ヴィラン連合の襲撃から雄英高校敷地内に建てられた寮に住む学生達も、首魁たるオールフォーワン討伐によって脅威が無くなったことから以前の自宅暮らしに戻れるようになった。
もっともコイツみたいにそのまま寮生活を送る者も少なくはない。ヒーロー仮免許(本免許は学生は無理)を所持し、インターンとして現場で活動してるから自宅より寮が楽なんだと。
「ランチラッシュの飯よかここのが旨え。辛味足し放題だしな」
ランチラッシュは調味料を爆掛けとか許さない派だからな。学生食堂だからかなんでも作るけど栄養やらバランスについては学生の胃を預かる立場だからこそ厳しい人なのだ。
ただ年季こそあるがプロと言えるほどではなく、彼のように料理系ヒーローでもない自分としてはその評価が嬉しい反面、申し訳なくもあるよ。
「他の連中起こすのも悪いしな」
時刻は夜十時過ぎ。
いくら防音がしっかりされている寮であっても食事などしていれば誰かしらは起きてしまうだろう。
見た目と言動に反して気遣いできるヤツじゃないのと思う。ま、一緒にオールフォーワンと殺り合った時から知っていることだがね。
ドバドバと追加用の小鉢に入った山椒をかけてはお冷やを一口も飲まずに激辛麻婆豆腐丼をかっこむ大爆殺神ダイナマイト。そのかけっぷりと食いっぷりに、ヒーローだからとサインを貰おうと身構えていた他のお客がドン引きしてるよ。
「ごっそさん」
将棋指しの早飯六段こと林六段並の速度で激辛麻婆豆腐丼を完食。最後にお冷やを飲み干してから大爆殺神ダイナマイトは口を開く。
「なあマスター」
「あん?」
「ヒーローコスチュームじゃない、作務衣姿も似合ってんぞ」
夜にウチに来るのはコイツなりの気遣いか。
個性喪失によるヒーロー引退。
元より食堂メインの兼業ヒーローであったが、個性を失ったことでヒーロー免許を正式に返上した。
それはこの個性至上社会でありヒーロー社会ではお先真っ暗な絶望に満ちた人生への始まりとされる。
あの戦いでオールフォーワンに個性を奪われたヒーローには耐えきれずに自殺したヤツもいるくらいだからな。
けど、
「んなこと言ってもタバスコしかサービスしねえぞ」
俺は存外、この生活を気に入ってんのさ。
こうやって顔馴染みやら昔馴染みが来店しては元気よく飯を食ってくれるからな。
「そいつは儲けたな」
これから先トップヒーローとして駆け上がる少年は彼らしい強気な笑みでニカリと笑い、雄英高校へと帰宅した。
尊敬する先輩と共にオールマイトのサイドキックをしていた見習い時代。
オールマイトを支えようと奮起していた現役時代。
知り合いから食堂を引き継いで兼業ヒーローとなったあの日。
全力を出し切り、未来へと繋いだあの大戦。
それらを経て、今俺は此処に居る。
「いつもの」
「はいよ」
人々の笑顔を見れるこの場所に。
マスター、店主、主。
一応は主人公。
本名、ヒーロー名、個性、未定。
深夜食堂のマスターを若くした外見(本人が先代に似せている)。
かっちゃん
大爆殺神・ダイナマイト
インターン活動が夜遅くなると必ず来店する常連。クラスメイトに宣伝もしてたりする。
こんな話が読みたいというネタ募集。
作者にメッセージか、作者活動報告までお願いします。
深夜食堂という限られた空間であれば、時系列、キャラ改変、キャラ救済、問わずOKです。
とりあえずは原作最終一話前から、原作最終話までの八年間の出来事をネタにするつもりです。