モンスターハンターAtlantis   作:ただの柑橘類

41 / 47
反撃

「あ、お嬢おかえりなさい!」

 更に二日後、エルガドに戻ってくると早速火垂がお出迎えをする。むぎゅむぎゅと抱きつかれ「はいはい、ただいま」と背中に手を添える。

「大丈夫だった?」

「全然! ソロで行っても余裕でした! せんせと満さんも無事ですよ!」

「良かった。長らく空けちゃってごめんね」

 ふと、港の方に誰かが歩いていくのを海未は見かける。特徴的なワインレッドの頭髪、王国軽装騎士装備のその女性───フィオレーネは、港で海を見つめていたガレアス提督の方へ歩いていく。

「フィオレーネさん……!」

「えっ!?」

 海未を引っ提げたまま、火垂は辺りを見回す。フィオレーネ! とチッチェの声がする。見ると、チッチェがフィオレーネと再会のハグをかましているようだ。

「海未さん、おかえり」

「フィオレーネ殿が戻ったようですな」

「あ、ただいま、二人とも。良かった、薬が効いたんだ」

「フィオレーネさんが戻ってきたのも、お嬢のおかげですよ!」

「私は頼まれてやっただけだよ」

 その様子を少し遠くから見ていたバハリが「一件落着だね」とお気楽に呟く。しかしタドリはそれとは裏腹に、真面目な顔をしている。

「これからでしょう」

「わーかってるさぁ! ノリが悪いねぇ」

 バハリは皆の元へ歩いていく。視線がバハリに集まる。

 

「さぁーてみなさぁん!

 反撃の時間です」

 

 バハリは、ニヒルに笑った。

 

 *

 

「海未ちゃんはおかえり。フィオレーネは復帰おめでとさん!

 不幸中の幸いというか……キミが倒れた事で色々と分かった。感謝してるよ!」

「ああ、話は聞いている。だが、私のためにエルガド全体に迷惑をかけてしまって……すまなかった。

 特に海未殿。私のために、危険なクエストにまで行くことになって……」

 フィオレーネは頭を下げる。「無事で何よりです。それに、助太刀もいましたし、私は大丈夫ですから」と、頭を上げるように促す。

「そうそう! 無事で何より!」

「迷惑など微塵もかかっておらぬぞ、フィオレーネ殿」

「……フィオレーネ、海未殿らもこう言っておられるのだ。もう己を責めるな。不在だった分は、これから騎士としての働きで挽回すればよい。

 ……さて、バハリ。先程「反撃の時間」と言ったな。

 補足したか、メル・ゼナを」

「ええ。現在、城塞高地に降り立っています」

「……城塞高地」

「皮肉なもんですね。メル・ゼナに滅ぼされた提督の故郷……そこに降り立つとは」

「城塞高地が、提督の故郷……!? それは初耳でした……」

 フィオレーネに続き「城塞高地がガレアス提督の故郷!?」「頭がこんがらがってきちゃった……」と火垂、海未が声を上げる。

「誰にも言ってないからね。俺は長生きしてるから、当時を知ってるってだけで。

 それより、今はメル・ゼナだよ、フィオレーネ。元凶を、ようやく見つけたんだ」

「……ああ、そうだな。

 確実に城塞高地にて仕留めて、全てを終わらせてくれる……!

 海未殿、それと他の御三方の誰か、共に来てくれるか。貴殿らがいれば、私に怖いものなどない」

「いやいやいや! ちょっと待った! フィオレーネ、キミはお留守番だ!

 病み上がりなんだぞ! ついさっきまでウイルスでウンウン唸っていたのに、何を馬鹿な!」

「そうですよフィオレーネさん、病み上がりなんですから」

「そーだそーだ!」

「もう治った。オマエもタドリ殿も、完治だと言ったではないか。

 それに、この四人を見ていると……「猛き炎」に身も心も熱くなる。ジッとしていられないんだ。

 もちろん、無茶はしない、約束する。提督、バハリ、出陣の許可を、どうか……!」

 懇願するフィオレーネを見て呆れたように溜息をつき「……キミたちのせいだぞ?」とバハリは言う。

「エルガドにいる誰も彼も、キミたちの堂々たる姿に心身が燃え上がって、実力以上のパワーを出しちゃうんだ。もちろん、俺もね?」

「え、私らのせいですか?」

「俺らなんかやっちゃいました?」

「せんせ! それは禁句です!」

「平和が一番、ですなぁ!」

「ちなみに俺は、メル・ゼナを補足するまで十日近く、一睡もしてないけど超元気! 何これ!」

「それは寝てください」

 海未の鋭いツッコミが入る。

「……海未殿ら、フィオレーネ。

 メル・ゼナ討伐の任務を遂行せよ。

 ……ただし、「無事に戻ってくること」。これも任務とする。いいな」

「ハッ!

 やるぞ、四人とも。我らならば成し遂げられないことはない。今までやられっぱなしだったこの屈辱を、百倍にして返してやろう」

「はい」

「分かりました」

「ヒャッホー! 暴れるぞ〜!」

「腕が鳴りますなぁ! ……と言っても、一人余りますな?」

「それなら満さん、誰かが倒れた時の予備としてついて行くっていうのはどうです?」

 弧白の提案に「おぉ、それはいい!」と満は賛成の意を示す。

「メル・ゼナは一度倒したことがあるけど……あれとは別個体?」

「完全に別個体だね」

「そっかぁ。動きが違ってくるのかな」

「気を引き締めて行きましょう! 気炎万丈!」

「……とりあえず、さ。

 装備、整えてきていい? 本気用の装備に着替えてくる」

「じゃあ、お昼に出発口集合でどうです?」

「賛成。じゃ、また後で」

 さっさと指揮所を去っていく海未。「ああーもう! お嬢速いです〜!」と、後ろをついて行く火垂。取り残される男子二人。

「……賑やかですね」

「平和が一番! ですなぁ!」

 ほっほ、と笑う満の朗らかな雰囲気に引っ張られ、弧白もつられて笑ってしまった。

「……バハリ」

「お! 俺にも任務ですか!? なんでも言ってくださいよ! 俺、今頭が冴えに冴えてるんで!」

「寝ろ」

「……はい」




レゾナンス型大剣はいいぞ。
あとセブンに売っているKOGUMA SNACKのハニーバター味が美味しい。食べる手が止まらん。
エルガド編あと2話で終わります。もう少しお付き合いいただけたらと思います。
7月初旬に終わればいいな!気炎万丈〜!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。