覚者と世界   作:朱莉

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始まり

 

 

 世界の輪廻に囚われた私が世界を終わらせ、世界を始める。

 終わらせるのは私であり、新世界を享受するのは私兵だった。

 でも気づけば同じことを繰り返すのだ。何度も何度も飽きもせず何度も。

 違う選択をとろうとも世界は同じ終焉を迎える。逃れようと動いたこともあったが最終的に世界は終わる。

 私は覚者と世界に呼ばれ、その覚者にはポーンと呼ばれる私兵がいた。

 輪廻を受け入れ始めた覚者にとって最初から輪廻に囚われたポーンは唯一縋れる道しるべだった。

 

 そもそも覚者は人であり人ならざるもの。一般的にファンタジーと呼ばれる世界観でドラゴンやキメラ、死神などと戦う。それがその世界の使命。

 覚者は竜に使命を与えられる。「私を倒せ」という使命を。

 使命を受けるとき、人から覚者に成るとき人は竜に心の蔵を奪われるのだ。

 そして躍起になって取り返す。己の大事なものを。

 逃げるなんて選択肢があるわけがない。そんな大事なものを奪われておちおち過ごせるわけがない。

 

 人の数倍はあろう竜を私兵と共に倒す。

 それは難しいようで簡単なのだ。

 人であり人ならざるものが覚者なら、私兵であるポーンは人のようで人ではないものなのだから。

 ポーンは覚者を助けるのを主とした生物。死んでもリムという石があれば無限に呼び出せる兵器。逆に言えばそれがなければ替えのきかない兵器に成り下がるが。

 

 なぜ、こんなことを思ったかといえば私は覚者だからだ。

 そして世界の輪廻に囚われていた。

 そのはずだった。

 竜を倒し続ける。

 そのはずだったのだ。

 

 いつもどおり竜を倒し世界を救い。目が覚めればまた世界を巡る、世界が巡る、そう思っていた。

 そして目覚めれば目に入ったのは大きな木。一度も世界で見たことがなかった大樹だったのだ。

 そして時期といえば夜。人の姿など見えない深い夜。

 だが気配はある、人のものとは限らないけども。

 

 世界を旅した私が世界で見たこともない木が生えているってことはここは私の知るセカイではないんだよ。

 でもさ、人の形をしたものがオーガに襲われてれば体は勝手に動くし言葉が通ずると思っていなくても声をかけて無事を確認するさ。しかも襲われているのは少女。現状を理解できなくともそれだけはさせて欲しい。

 慣れた手つきで背にある魔導弓を番え魔力でできた矢をオーガに撃ちだす。それ以上の魔力を込めてない普通の矢だったのにも関わらずオーガは一撃で消え去る。

 弱すぎる、いや当たった音からして破裂音のようなものだった。あれはなんだ?

 いやそんなことより今はあの少女のことだ。

 他にオーガの姿は視認できず、とりあえずは少女の無事を確かめようと構えていた弓を背にしまい声をかけた。「大丈夫?」と軽く一言。そこまでは普通だった。

 だけどさ、助けた少女が剣を私に向けるなんて思うわけないじゃないか。

 

 

 




 
 
 
 
いろいろ行き詰まってちょびちょび書きつらねていたお話を投下。
俺の知ってるドグマと違う!とかこんな設定だったっけ?とか思った方、私もです。



主人公はカンスト(∞)勢。
 
 
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