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なかなか戻ってこないエヴァに痺れを切らし私は外出させてもらった。気分転換もしたかったし。
茶々丸に伝手も頼んであるからきっと大丈夫だろう。
さて誰の手も借りずに外出したのは久しぶりだ……どこに行こうか。最初にここに来たときは外出というより放浪と言ったほうが正しいし……一応生活するための資金ももらっているから買い物にでも行こうかな。
あの時は夜だったしお店なんてやってなかった。今はまだ太陽も傾いていないし……よーし、まわるぞぉ!
そして外に出て真っ先に向かったのが飯屋だったりする。匂いにつられてやってきました。お金の計算は向こうと何ら変わりなかったし特に問題はないだろう。
それににしても見たことのない食べ物がたくさんある。ある程度はタカミチと一緒に居た時に見たけれど盛りつけ一つで見た目なんて変わるし味付けもタカミチとは違って面白い。調味料……だっけ? あれのおかげで本当に変わるものだ。今度教えてもらおうかな……。店先に置いてある多分サンプルというやつだろうか、本当に美味しそう。
「ん? あれ……お前朝倉の言ってた……」
「その服エヴァと同じやつ……」
食い入るようにメニューを眺めていたらエヴァと同じ服を着た少女に出会った。
エヴァと同じクラスの人だろうか、もしかしたらあの二人と同じクラスの人なのかも知れない。今の私が人と話せるのか興味もあったので話してみる事にした。
気になるものは気になるのだ。タカミチやエヴァは日本語じゃなくとも話せるし、こどもと話すときのように学園長は優しい目で私を見るし、日本語を話せているのか正直わからないのだ。
初めては彼女たちのためにとっておきたかったのだが会ってしまって何も言わずに『さようなら』なんてそれはとっても嫌なことだと思う。私ならそう思う。
身振り手振りで意思表示も期待できるとタカミチは言ってたしそれも並行してやろう。
「はじめまして。私、ユキといいます。私の知人と同じ格好……同じクラス?」
「は? あ、いやお前の知人がどいつか知らないからよくわかんないんだけど……」
「タカミチは同じクラス?」
「(おいおい、マジで名前呼びじゃねぇか)あぁ、担任だよ。そうなると同じクラスだな」
通じた! ありがとうタカミチ! パンと両手を合わせて喜んでいると若干引かれたがめげずに話そう。
タカミチと同じクラスならエヴァと同じクラスでこの人も同じクラス! なんという運命。学校はいろんな人の集まる場所で沢山クラスがあるって聞いたけど案外狭いものなのだろうか。
「というか日本語うまいな。友達がさ、英語で話してたって言うから喋れないものだと勝手に思ってたけど……」
「タカミチがここの言葉を教えてくれた。私は謝りたい人がいる。多分タカミチのクラスにいる人だと思う」
「へぇ、あの先生がねぇ」
「私はその人達に謝りたい、でも彼女たちには私の言葉は通じない。だけど喋れないと不便。だから学んだ」
「律儀なやつだな。今時そういうの珍しいと思うぜ?」
「そう? でも私は私のやりたいことをしたいから。もう少し話し相手になってもらってもいい?」
構わないとの了承を得てもうしばらく話しこんだ。
▽
寮に居てもやることがなく仕方なしに出歩くことにした。やることもあるにはあるが今はやる気も起きない。よくある現実逃避だった。
ウィンドウショッピングってのは時間を潰すのにはもってこいだと思う。あれはもともと店員が納得すれば……らしいけど。そうして暇を潰して今日は何を食おうか、ってな具合で飯屋の方面に向かったらそいつは居た。
食品サンプルをかぶりつくように眺める少女。ぱっと見外人のソレ。目が輝いたようにガラスケースにへばりついた姿は実際にみると面白いと思う。ジーンズにシャツとラフな格好だが妙に似合っていてそれでいて妙にその場から浮いていた。
つい目がそいつだけを捉えることになり今まで気付かなかったが、今朝朝倉が言ってたユキと呼ばれる少女だった。
私の漏れた一言を皮切りにそいつと話す。日本語学びたてのやつと話すのなんて希少だな。とかどうでもいいことばかり考える。しかし耳はそいつの話そうとする言葉を逃さないように必死だった。だってよ? 一生懸命通じるように不安そうに話しているのに曖昧に返すなんて私にはできない。ここがどんなに非常識な場所だからって理由でも。
突然話しかけられたもんだから素の反応で返しちまったけど特に嫌悪されてないみたいで助かったぜ……。
話を纏めてみるとまた朝倉に良いように情報操作(聞こえは悪いが)されてたみたいだな。あっぶね、危うく騙されるところだったぜ。
つか知人と同じ制服って言ったときエヴァつってたか? だからあの時マクダウェルも話を聞いてたのか……。
となると高畑は日本語を教えるために一緒にいて、こいつは私のクラスの誰かに謝りたいから教えてもらってるっつーことか?
……もしかしてあの時反応してた桜咲たちに謝りたいってことか? いや流石に勘ぐりすぎだよな。
「あっ」
「ん? どうかしたか?」
唐突に驚いたような声を上げて内心驚きつつ何でもないように取り次ぐ。妙に上手だから聞き間違えると余計なこと喋りそうで怖いんだよな、まぁ、こういう会話も新鮮で面白いが。
「私、多分同じクラスになる、だからもし良ければ仲良くしてくれると嬉しい」
「んっ、おう、それくらいなら……」
「ありがとう、また会えるのを楽しみにしとくね」
それだけ言うとあいつは去っていった。……あ、名前聞いたけど答えてないわ。ま、いっか。
2014/11/15 「つい」が連なっていたので削除。大まかな文章の違和感を編集。
次話の投稿は少々遅れます。