覚者と世界   作:朱莉

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初めてのクラス

 

 

 季節というものは肌で感じるとてもいいものだ。あれよこれよと準備をしていたらいつの間にか学校に行く時期になった。軽く説明を学園長から聞き、魔法のことと覚者のことは厳密に扱うようにと伝えられた。元より声を大にしてまで言うつもりもないので勿論だと答えた。それとタカミチの名前に先生を付けるようにと。

 タカミチ……先生のクラスになる私は学園長室からタカミチ……先生と一緒にそこへ向かう。うん、言いにくい。一応学生になるから先生呼びになるのは構わないんだけど呼びなれた名前に先生を付けるのに抵抗というか違和感というか、そういうのを感じた。

 がやがやと壁越しではあるが人一倍うるさい教室の前でタカミチが止まった。

 

「ユキ君、この先が君の通うクラスだよ。覚えたかい?」

「少し不安がある。けど大丈夫」

「そうだね、すぐに慣れるよ。僕が先に入るから呼んだら来てくれるかな?」

 

 頷く事で肯定する。年甲斐もなく緊張する。一応タカミチ、先生もエヴァも茶々丸もいる。それとあの時話して名前を聞き忘れた人も。だから不安はないけども。

 タカミチ先生が教室に入れば多少は静かになり、私が呼ばれる頃にはうるさかったのが嘘のような静けさになっていた。嵐の前の静けさというかとりあえず私だったら進んで入りたくない。しかし呼ばれたからには行かねば。

 

 ガラリ、横開きの扉を開けてスタスタと歩き出す。タカミチ先生の近くまで行ってから横を向く。エヴァがにんまりと笑い、あの時の二人はじっとこちらを見ていた。私が口を開くのを待っているのだろうか、タカミチ先生も和やかにこちらを見ているだけで助けてはくれないようだ。ふぅ……覚悟を決めて喋ろうか。

 

「ユキと言います。日本を学びたく叔父であるタカミチに連れられて来ました。よろしくお願いします」

 

 学園長から伝えられた設定を思い出しながら自己紹介をする。苗字というものを考えるときにこうしろって事になった時は必要性を感じなかったけど、今になって思えば説明が楽で良かった。困ったらタカミチ先生に丸投げできるし。

 

 

 そう思っていたっていいじゃないか、頑張って日本語を勉強したんだから少しくらい楽したっていいじゃないか。

 軽い自己紹介の後に案内された座席に座って、その座席はエヴァの近くで嬉しくて、学生ってどんなことするんだろうか、楽しみだなぁって思いを馳せていたら噴火したように騒がしくなった。

 三人以上から同時に声をかけられたからなんて言ってるか理解できなくてひぃひぃしてて、助けを求めるようにタカミチを見れば軽くため息を吐いていて……とても、とても、疲れた。先程エヴァが笑っていたのもきっとこうなるのを予期していたのだろう、相手の思惑に気付かなかった私が悪い。

 

 途中、チャオと名乗った少女からは言い知れぬ違和感を感じた。話している内容からは好意的だが私を値踏みしているような……まぁ、何も言われてないし大丈夫だろう。その後も何度か見られていたが悪意もないので問題はなさそう。

 あとはアスナ……と言ったか、その少女になぜか怒られた。確か「タカミチとの関係は?」とかそんな内容の話をしている時か、私の答えは「家族のような関係」だったか、何が彼女の琴線に触れたのだろうか?

 その時にアヤカというクラスをまとめている少女が取り持ってくれたので大事には至らなかったがあの少女の怒り様は怖かった。

 カズミという少女からは質問攻めに遭った。とりあえず早口で捲し立てられたのであんまり答えられなくて申し訳なかった。速筆で私の答えを書いてる様は凄まじいものだと思ったけども。

 あの時私と話してくれた少女はチサメというらしい。あのあと名乗ったのに名乗り忘れたのを悔やんでいたようで私としても嬉しい限りだった。自分勝手に言うだけ言って帰った私にそう思ってくれるだけで彼女の優しさが滲み出る。

 でも教室に幽霊が居るのには驚いた。周りからは見えていないようなので(制服も違うし)話しかけなかったのは悪いことをしたな……なんて思ったけどみんなに囲まれていたからあの状況だとどの道話しかけるのは困難だったと思う。今度機会があれば話してみようと思う。悪い子じゃなさそうだったし。

 

 とりあえず……疲れた。ちゃんと話では聞いていたけど実際に中に入るのでは全く労力が違う。タカミチは助けてくれなかったし……エヴァは言わずもがな、茶々丸は助けてくれそうだったけど止められてたみたいだし……頼れる人なんていなかった……。まぁ、アヤカという少女が困っていたら助けようと思ったが。

 

 でもあの少女たちの名前がわかっただけでも良かったかな。

 

 

 

 

 少し前に彼女がここに来ることを知った。調べたわけではなく茶々丸のメンテナンスの時にだったカ。その言葉で出てくる彼女は物語の人物のようで信じられなクテ、でもそんな世界があるんだと思いたい私もいて、今日この時彼女を見てそう思っていて良かったと、そう思えタ。

 それからというもの私は彼女のことを追いかけた。勿論視線だけデ。彼女はそんな私の視線に勘付いているのかその時だけこちらを見て首をかしげる。決して悪意があるわけではないのでその警戒もすぐにやめるのだけどネ。

 彼女の事はあまり知られたくないようで茶々丸に聞いてもあまりいい答えは聞けなかっタ。エヴァンジェリンは笑って「悪い奴じゃない」の一点張りだったヨ。サーチャーで追おうにも彼女の察知能力の方が高くすぐに撃墜されたネ。三回目にしてすぐに諦める程だったネ。

 

 一応計画に支障を及ぼす程の影響ががあるわけではないが、その時までの暇つぶしにはなる。そう思っていたガ……なかなかに面白い。古やかえでサンのような足運びで歩く姿は歴戦の戦士のソレで、明日菜サン達と話している時は年相応の少女のソレで、高畑先生と話している時は懐いているペットのソレ。全てがちぐはぐな彼女は見ていて面白いネ。それを狙ってやっているんだとしたら私すら騙せるほどの技量ダヨ。

 

 まだわからない事だらけだが今はエヴァンジェリンの言葉を信じておこうかナ。

 

 






クラスメイトの何人かに目をつけられました。

口では平気そうに語ってますが今頃調べまくってます。きっと。

アスナさんの理不尽な怒りが主人公を襲う!

さよさんは見えます。あの世界に似たような人も居ましたし。

やっとあの二人の名前がわかりました。

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