覚者と世界   作:朱莉

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労苦

 

 結局ここまで仕込んでおいて聞きそびれた事がある。なんでユキがあいつらに謝りたいのかだ。

 でもあいつに聞いたところで全力後ろ向きの言葉が返ってきそうだ。まぁ何かと秘密というか機密というかそういうものを多分に含んでいるようでうまく伝えられないようだから詳しくは聞こうとなんて思わない、けど簡単な経緯というか大筋は聞きたかった。ユキが不器用なのは分かっているつもりだから事が終わってから桜咲たちに聞いてみよう。あいつらならそういう説明もうまそうだし。

 

 やることは簡単。ユキのやつに書かせた手紙を桜咲の下駄箱に入れる。手紙の内容はちゃんと私も確認した。字面は悪いが読めなくはない。覚えたてにしては綺麗な位だ。文字の間違いもあったがそのままの方が誰が出したかわかりやすいだろうし残しておく。伝えたい意味もわかるだろうし。

 

 意気揚々と下準備したものをもって学校に向かう。それもまだ桜咲が寮にいる時間を狙って早々に。

 こういうことは口頭で説明するより文字で表したほうが効果があると思うんだ。桜咲辺りには特に。一応下駄箱を確認して靴がないこと、名前が合っているかを確認。間違わないようにそこに入れ――ようとして朝倉と鉢合った。

 なんでこの時間に居るんだよ?! そう思わずに居られなかった。私が珍しく行動に出たからこうなったってのか!?

 そして私の現状と事の重大さに気付く。これじゃラブレターを桜咲に出そうとしているようにしか見えねぇ、誤魔化そうにも面白可笑しく記事にされるに違いない。やめるなんて選択肢は私にある訳もなく、どうやってこの場を乗り切るか考慮していたが朝倉は私の横を過ぎ去っていった。「仲直り頑張ってね」という短い言葉と共に。

 

 昨日のあれを見られていたことに驚愕したいが、あいつが素直に応援するのも珍しいと思う。平常のときでもあんな行動を多少なりとも表してくれれば信用するんだけどな……。

 

 というかなんでこんな時間に来てるんだあいつ?

 

 そう思わずにいられなかったが今はこの手紙を突っ込むことにしよう。そうして休み時間にでもユキに言ってやって少しずつ地盤を固めて目的達成していこう。

 自分から行動するのが嫌だったが案外こういう事が出来ないって訳じゃなくて助かったぜ。大見栄張っといて「出来ませんでした」じゃ面目ねぇってレベルじゃねぇ。さて気付かれないように後は、っと――

 

「そこで何をしているんですか?」

「ぅえぇぃ!?」

 

 唐突に話しかけられて普段出さないような声を上げて振り返ってみれば件の桜咲がいた。視線で手紙をみれば突っ込んだ後だったので問題ないように取り繕ってこの場は逃げるに限る。

 

「あぁ、いや、他の靴箱も中身同じなのかなって思ってよ、ちょっと物色してただけなんだわ」

「……こんな時間に?」

「き、気になったら寝れなくってねぇ。人が来る前に確かめたかったんだ」

「……そうですか」

 

 我ながら阿呆みたいな言い訳だと思ったがこの時ばかりは麻帆良様様だと思ったぜ。警戒はまだされているがいつもの教室でするような感じに戻った。やることも終えたのでさっくりそこから逃げ出す。悪いことなんてしてるつもりはないんだがその表現しかできない。警戒するのはわかるが、とりあえず竹刀袋に手をかけるのは勘弁してくれ……。

 

 




ちょっと空気な主人公。消えたりしないようにしたい(切実)
年内に一回だけかと思ったらけっこう更新できた、短いけれど嬉しい。
後々全体を見直して色々変更する予定。追記もするのでわかりやすかったら幸いです。(いつになるかわからないけど)


桜咲が寮に居る時間 → ごつごうしゅ(ry 部活より前ってことで早朝ですね。

朝倉さん何してるの? → 他視点の人と一緒に詰め込む予定。

文字の間違い → 手紙を出したあと間違ってたぞと教える羞恥プレイを密かに実行した長谷川さん。

ぅえぇぃ → ここだけの話、(0w0)<ウェーイ が出て一人ほくそ笑んでた。


長谷川さん視点が多いのは私の趣味です。他意はないです。

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