覚者と世界   作:朱莉

25 / 28
暴走

 

 

「で、主人が辛いときにお前はお友だちとなかよーく二人で処理に明け暮れてたと」

「……面目ない」

「そーか、そーか。楽しかったかぁ」

「本当に申し訳ない」

 

 

 なにがどうしてこうなったかと言われれば直ぐに言えるが何をいっても聞いてはくれないほど少々面倒臭い(ねちっこい)現状のエヴァには全て言い訳になるので甘んじて受けることにする。そもそも風邪とか事前にわかるわけもない。流石に風邪に効く魔法は持ち合わせていない。体力は回復するかもだが、いや、試したことはないから効くかもしれないけど、そういうのは自然に治したい派なので、使いたくはないというのが本音である。その態度で渋った様に思われて今に至る。普段は風邪ひかないなら懐かしさを噛み締めて甘んじればいいのに。病気になれない私からすればとても羨ましいのだけども。無い物ねだりなのは理解しているが確証もないのに試すのも悪いよね。

 

 

「起きて大丈夫?」

「……大丈夫だ」

「少し休めばいい。敵はいない」

「そも、敵になるやつはいないが正しい。だがその提案には乗ってやろう。それでお前は────」

 

 

 そもそも会話してるけど目線が一度も合ってないのは大分おかしいよね。多分私が気づいてないだけで会話もずれてると思う。何かしら違和感を感じてはいるけど何処がと言われてもわからないのだけど。エヴァ自体が可笑しいのは気付いてるけど熱あると朦朧とするし、そのせいだろう。病気にならないけど人体発火で似た体験が出来る身としては知ったかぶりをしたい。現実逃避とも言う。

 一言で言えば酔っ払いの相手をしているような感覚だ。本人に聞かれたらただですまないの明白なので絶対に口には出さないけど。

 

 茶々丸にエヴァか大変だと言われてきてみたらこの調子である。そして当の本人は部屋の隅で此方を観察するのみ。チャチャゼロはケケケといつもの笑いで此方を眺めている。エヴァに捕まる前に適当に流せとありがたい御言葉をいただいてなかったら嫌いになっていたかもしれない。ベッドに腰かけているエヴァに対し、私は何故かその下で正座して仰ぎ見ている。たまに高らかに笑うエヴァが無性に様になってて()ましい。私はそんなに格好よく笑えない。と、現状から少しでも思考をずらさないと足が大変なのだ。なんだ正座って。これかなり辛い。苦行である。誰か助けて。

 

 おっと、思考をずらさないと。痛いところに意識を外すようにチサメとの会話を思い出したり、セツナやマナとのメールを思い出したりしてなんとか苦し紛れをする。……うん。最近厄介ごとを持ってきてもらった以外でエヴァと会話してない。些細なことでも話してない。チャチャゼロや茶々丸には相談した。それしかしてないとも言うが。

 なんだかんだ言ってタカミチとはテスト用紙のこと含めて話すし。少しずつ日本語を増やしてもらっているのだ。数学のような式を見ればわかるようなものは日本語になっていてわくわくしている。平仮名多目だけど。国語はまだ難しいので全部英語のままだが。

 学園長の様なトップの人とはあまり話さないのが正しいのだろう。理由もなく忙しいなか向かうこともないと思っているのが正しいが。

 ネギくんは結局アスナの所に上がり込んだようだ。追い出したのが悪いと思ったようで(それはそれで可笑しいのだが)アスナが妥協したらしい。一応、ネギくんの習慣は話したけどコノカから聞いた限りでは治ることはなさそうだ。

 

 

 うん、やっぱり思考をずらすだけじゃ無理。足がいたい。というか足が石化したかのように動かせない。でも軽く触るだけで痺れるから変な感覚である。誰か助けて。思いっきり伸ばしたい。普段やらないけど柔軟体操したい。切実に。

 

 思考を一旦目前に向ければ瞑目して私ではない私にエヴァは語り続けている。しかし、足を崩そうとすれば直ぐに正座しろとそこだけははっきり意思表示する。なんなのだこれは、どうすればいいのだ。

 

 

 とりあえず、停電の日はネギくん寄りに、支援から援護に考えを改める必要性がある。いじわるにはいじわるだ。

 

 装備もお遊び程度のものじゃなくてガッツリ本気に変更である。流石に実体のある遠距離武器や、両刃の近接武器は出さないが、私も指輪装備をしよう。一つ以上は効果ないけど片手指にぜんぶそれを嵌めてやろう。一個で驚いてるエヴァの度肝を抜いてやる。意味はないけど。

 装備は魔導弓にワンドに片手剣と盾。相手の魔法矢は魔導弓である程度相殺して、詠唱長いのはワンドのバフありきの盾で防いで……ふふふふふ、考えるだけで楽しみだ。風邪が治ったら覚えておけ……。

 

 






 熱出ると朦朧とするけどテンション上がるよね。
 痛みが境地に入るとハイになるよね。


 つまりはしょうがないんだよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。