覚者と世界   作:朱莉

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誤解と誘惑

 

 

 剣を構えた少女の行動はわかった。それは暫く経ってからだけどさ。誰だってこんなマスクをつけたまま話されたら戸惑うと思う。だから外したんだけど……やっぱり言葉が通じない。何か言われたんだけど聞いたことがない言葉だった。

 あの竜ならきっと通じるんじゃないかと思わず歯噛みした。

 

 しかして聞きなれない音が鳴る。

 そして高速で空気を裂く音、それは私に向かってきていた。攻撃? いやこれはきっと警告だろうか?

 とりあえず後ろに引く。地面にそれは吸い込まれるが矢ではない。魔弾でもない。だが当たれば痛そうではすまないほどめり込んでいた。

 そして音はまた響く。訳が解らない。なんで私が狙われなければならない。そしてそれを行ったであろう少女を軽く睨む。この攻撃は少女に一切向けられず私だけを狙っていたのだ。

 ならば少女を助けたはずの私が狙われているのは可笑しいではないか。

 いや、待てこれが始まったのは何時からだ? 確かその少女が私に剣を向けてから起きた出来事ではないか? ということは、だ……つまり勘違いか。

 勘違いで殺されてたまるか。でもこの少女といい言葉が通ずると思えない。

 ならば私に残された道は投降か逃亡。投降はいつでもできる。なら今は逃げよう。

 怪しいからとは言え、説得もせず武力で行動する人たちに投降なんてする気はない。

 

 背にある魔導弓を構え魔力を込めて放つ。放たれる矢は閃魔光。閃光を放つ魔力でできた矢。効力は一瞬でいい。溜めずに放てば効力は一瞬。

 閃魔弾は人に害はない。あっても眩しい位。だが魔に属するものは違う。

 スケルトンであれば弾け飛ぶし、オーガであれば体が燃える、ゾンビなら太陽を浴びた時と同じ効果だ。ならばあの弱いオーガ達もこの一撃で消え去るだろう。

 閃魔弾光が破裂し目前の少女を立たせ通じない言葉だろうけどかける。さようなら、と。

 後ろ髪を引かれ過ぎ去る足を止めずに振り返れば少女は虚空を掴むように私に手を差し伸べようとしているところだった。

 

 

 

 ここまでくれば安全だろうか……。先程の戦闘があった場所からだいぶ離れたところで私はようやく走るのをやめた。

 呼吸を求める体を安心させるように深く息吐く。さて、どうしよう?

 なぜか分からないがここまで重装備なのに息が乱れない。それはそれで嬉しい誤算なのだけれども。

 少女と言葉は交わせなかったが、大人とはどうだろう? まさか少女だけしかいないわけがないだろう。

 でも誰が好き好んで武器を携える私に声をかけるのだろうか……言葉も通じないし……あの場で逃走を選んだ私は相当焦っていたらしい。

 

 ポーンがいないというのは不便だな……あの時はうざがるくらいに助言してくれていたというのに。

 

 

 少し歩けば灯りが見え街が見えた。

 その灯りは火でできたものではなく魔力でできたものでもなく、全く知らない原理でできているようで、私の知る世界にはない光源だった。

 時間は夜だから人通りなどなく結果を言えば暫く人など見つからなかった。

 要は暫くしたら見つかったのだ。眼鏡をかけた若い男性だった。

 精神的に歩き疲れ道の横にある椅子に座り休んでいる時に彼を見つけた。

 微かに魔力を感じるがあの少女たちと違い敵対する意思は感じない。ならば私がすることなど一つだけだ。

 藁にもすがる思いで私は話しかけた。「すみません、いきなりで悪いのですがここは何処ですか?」と。

 声をかけられて一瞬戸惑ったが彼はすぐに答えてくれた。

 少し訛ってはいたがきっと無理をして合わせてくれているのだろうとすぐに理解できた。それに私の武器を見ても恐れていない時点で先程の少女たちの関係者だろうとも。

 

「あまり上手く喋れないのだけど通じてるかい?」

「大丈夫です。お上手ですよ」

「ありがとう。ここは麻帆良と呼ばれる学園都市です。聞き覚えは?」

「……いえ、残念ながら」

「なぜ、君はここに?」

「えっと、信じてくれるかわからないのですが……ちょっとオーガに襲われて」

「……厄介なことに巻き込まれましたね」

「――それ自体は大変ではなかったのですが、続きがありまして……。襲われていた少女を助けたらその少女に片刃の剣を向けられて、戸惑っていたら別の場所からも攻撃されて、目晦ましを置いて逃げてきたんです。助けた少女に言葉が通じなかったのでどうしようか悩んでいたのです」

 

 その話を聞いて男性は心当たりがあるのかこめかみを押さえて唸っていた。

 最初はとぼけるように言っていた彼も私の話を聞くにつれ悩むかのように深く唸っていた。そして話しにくそうに言った。

 

「もし予定がないのでしたら今からご同行願えますか? 大丈夫です、悪いようにはしません」

「え?」

「あぁ、勿論攻撃はさせません。助けてくれた恩が返せるかわかりませんが不自由なことには絶対にさせませんよ」

「では……不躾ながらお願いします」

「向かいながら何度か質問しても?」

「それくらいなら喜んで。もちろん私が答えられるようなものだけですが」

 

 そして私は彼の後に付いていった。

 年不相応にはしゃぎつつ。

 






年不相応 → 肉体年齢は若いですが精神年齢はお婆さんです。もしかして:ロリバb

高畑先生の英語力 → 僕の英語力は一〇八式まであるよ。

高畑先生強引すぎない? → とりあえず武器持ってる魔法関係者を野放しにできないので強引に。

秘匿はどうした! → 主人公は魔法が当たり前の世界すぎて知らない。

オーガの形 → 違いますが角が生えてればそうなんじゃないかと勝手に思うことに。

閃魔光の効果 → 使い勝手が悪い(けど私は大好きな)閃魔光さんの出番なんてこうしないと……。

覚者の基礎能力 → 透明なトカゲとか狙撃できるし、ある程度怪しい場所とか経験則でちょちょちょいのちょいだと思う。

主人公はあの竜が大嫌いです。
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