覚者と世界   作:朱莉

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仮契約

 

 

「学園長、尋ねたいことがあるのですが」

「ふぉっ? なんじゃい連絡もなしに二人してどうしたんじゃ」

 

 あの(高畑にとって)散々だったHRから一日を終え私たちは学園長に詳細を聞きに来た。

 

「単刀直入に言います。ユキという少女のことを教えてください」

「ふぅむ……聞いてどうするのじゃ?」

「敵でないのなら私たちに何か言ってくれてもいいじゃないですか」

「それと勘違いとはいえ攻撃しちゃったしね、私たちはできれば謝りたいんだよ」

「……ふむ」

 

 学園長は考え込むように口元を手で覆う。

 渋る理由があるのだろうか。

 

「タカミチから何も聞いてないのかね?」

「特には」

「ワシの口からはあまり詳しいことは言えん。それでも良いかの?」

 

 なるほど、渋っていたのは間違っているかもしれない情報を与えるのを悩んだためか。

 だとすれば詳細を知っているのは誰なんだ? やはり高畑が?

 

「一言で言えば敵ではない。今はこの学園に通うため日本語の勉強中じゃ、君たちと同じクラスに入る予定……といったところだの。いわゆる帰国子女ってやつじゃ」

「私たちへ情報を伝えなかったのは?」

「それは本人が希望したからじゃ」

 

 彼女が? というか同じクラスになるのか。

 私は嫌われてるだろうし刹那が謝る時には一緒にいない方が良いだろうな。

 誤解とは言え撃ってしまったのだ、そのほうがいいだろう。

 

「一応もう喋れるんじゃがな、新しくできた友達と遊びに行ってるところじゃよ」

「友達?」

「住む場所が準備できるまで遊びに行かせておる。時代錯誤というか現代社会に馴染めておらんのでそれも教わりにの」

「そうですか……わかりました。行こう龍宮」

「あぁ」

 

 十中八九今いるところは彼女のところだろう。あの学園長でも流石に高畑のところに住まわせることもしないだろうし……流石にないよな?

 

 

 

 

「なぁ、お前私と契約しないか?」

「契約?」

 

 エヴァに呼ばれ行ってみれば開口一番にそう言われた。契約ってなんのことだろうか。

 

「私のような魔法使いとその従者が結ぶ契約のようなものさ。本契約と仮契約があるが……まぁ今私が言ってるのは仮契約だな」

 

 つまりは私で言う覚者とポーンの関係だろうか。本と仮についてよくわからないけど概ね合ってると思う。

 契約を結べば対象の潜在力を引き出す効果があるんだって。それって私に効果あるのだろうか……。

 

「それと通信もできる。遠く離れていてもな……どうだやってみないか?」

「構わない。あなたが私と契約をしたいのなら私はそれを尊重する」

「そうか! よし茶々丸準備だ」

「了解しました」

 

 私の返事に彼女は喜んでくれたようだ。

 その後準備は円滑に進んだ。途中で待ちきれなくなった(?)エヴァにキスされた(言い方があれだが)事で契約が終わった。

 出てきたカードを眺め随分簡単にできるんだなと感心する。そしていつの間にか二枚に増えて私にも渡してくれた。片方はコピーらしい。

 ただ、描かれている竜に悪意しか感じない。なんでこいつを撫でているんだ。私はこいつに心臓抜かれたのになんでこいつと一緒に描かれなければならない。せっかく忘れようと思ったところにこれだ。悪意と思わずしてなんて思えばいい。

 VITAE? その先はよく読めなかったが書かれた文字やカードは好きなのになんでこいつなんかと……。

 結局、覚者(わたし)は私になれないのか。

 

「そのカードにできることはいくつかある。大まかに言えば従者への魔力供給、従者の召喚、念話、潜在能力の発現だな。あとはそのおまけみたいなものさ」

「へぇ……」

「なんだ、なんか嫌だったのか?」

「あ、いや、違う。絵柄にあいつがいるから……エヴァのせいじゃない」

「あいつ?」

 

 エヴァの嬉々とした説明に思わず不貞腐れて返してしまった。

 私の返しに不自然に思ったのかエヴァも手元のカードを見る。

 

「随分大きいな。鱗からみて竜だろうが……なるほど、こいつがお前の心臓を奪った竜か」

「……」

「まぁいい。いや良くはないが説明に戻る。アデアットと唱えると私無しに道具が出せる、戻すときはアベアットだ。試してみろ」

 

 竜が描かれてるせいか嫌な気しかしない。アレが出てくる気がする。こっちに来るときにひとつも所持していなかったせいでそれしか出ない気がする。

 

「どうした? 出さないのか」

「……アデアット」

 

 私の手の中で蠢くアレ。出てきたのはやはりあいつらの心臓だった。人のものよりも大きく蠢くそれ。

 

「なんだそれは……人の臓物にしては大きいし形も違う……そしてなによりそいつが放つ――」

「竜の鼓動。なるほど確かに……これに力があるのは間違いない」

「お、おい」

「エヴァ、もし私が壊れたらコレ使って。これは竜の心臓のようなもの」

「壊れたら使う? いやそもそも竜の心臓だと? これがか?」

「これは蘇生の道具。死したものを動かす道具」

「なんだとっ!?」

「私は吸血鬼とは違う。でもこれがあれば似たような事ができる……アベアット」

 

 いつまでも握っているわけにはいかないそれを先ほど聞いた詠唱をして消す。あいつのことをたくさん思い出してつい終始怒気をあらわにしてしまった。

 

 アベアットをしてから無言のエヴァを不思議と思い顔を覗き見れば唖然としていた。確か……鳩が豆鉄砲をくらう、だったか……そんな表情をしていた。そんな表情のエヴァは私の顔を睨みボソボソと何かを喋ると部屋を出て行った。

 何かあったのだろうか?

 

 

 






そろそろ原作の知識が危うくなってきたので読み漁らなければ……!
ストックというか書き進めている場所に近付きすぎたので少し遅くなる予定。そういう名目で読み漁ろう。

契約したらアレが出てきました。あっちと契約したら何が出るんだろうね?(とかフラグっぽいことを言ってみる)
向こうのアイテムは一切持っていません。身に付けていたものくらいですね、主にランタンとか油辺り。あと指輪も。



龍の鼓動。 → ここでは新鮮な心臓になってます。ハツ食べたい。

仮契約の方法。 → 待ちきれないとか辛抱たまらんとか概ねそんな感じ。深い意味はない。

家なき主人公。 → エヴァの家にいない時は高畑先生の部屋に居た。(しかし高畑先生は仕事してて一人暮らし状態)


2014/11/15 後書き変更、追加。一部文章に「―」を追加。

主人公の台詞がおかしく感じるのは動揺しているからです。
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