やあ、諸君。
俺だ、月乃カオリだ。
死んだと思っただろ?
え?別に?復活するだろって?はい……
出るの遅い?はい、ごめんなさい、ごめんなさい……
いやなぁ……すぐ復活するのもつまらんと思って……
本当はガッツリ介入して先生を救おうと思ったら、伝説のスーパーキヴォトス人、空崎ヒナさんが最強すぎて、なんか普通に万全の状態で間に合ってしまったからな……
あとツルギがマジで強いし、ヒトミさんも介入して無双してるし、ミカのとこにはセイアが来たし、救助もミネが戻ってきたのと指揮系統が安定してたのですぐになんとかなったし……ま、生徒の絆というものを魅せてもらったわけだ。
とまあ独り言はここまでにさせてもらって、今回の状況を見てみよう。
目の前には
まあ見た目はいつも通り赤いがね。
最近わかったことだが、俺という異物がいるせいで世界が防衛しようと世界の強度を上げているらしくて……
神秘が強いやつは強化され、原作よりも遥かに怪獣大決戦やスーパー戦士対決が行われるようになってしまったんだよな。
生徒で言えばヒナとかツルギ……ホシノもそうだし、多分ネルも。
そして目の前にいるヒエロニムスも、凄まじい強化を受けていた。
まず、最初に言っておくが目の前のこれはトマト……総力戦トーメントと同じかそれ以上の強さになっている。
ただまあ、完成直後というだけあって流石に耐久力はないようだ……
体力は原作のナーフ前である40万を超えた50万、どないせいっちゅうねんという感じだがまだギリ許容範囲というところだろう。
それはそうとそんなものをメインストーリーで出すな!!
先生の青輝石が消し飛ぶだろうが!!
というわけで俺が助っ人として今走ってるわけだな。
俺が攻撃を全て受ければ単体攻撃は問題ないだろうというわけだ、攻撃が飛んでこないのならこいつは動くこともない体力の多い木偶の坊だからな。
ガッチガチの範囲攻撃ばら撒く遠距離タイプだから『狩人』的には苦手な部類だが、まあなんとかなろうよ。
天から降るビームを回避しながら、俺はヒエロニムスへと迫り、その胴体へとノコギリ鉈を振り下ろす。
今回の俺の装備はパッケージ、『狩人シリーズ』だ。
右手武器は我らが導きの『ノコギリ鉈』に貞子産の物理乗算愚者物理を三つ。
これは体力最大時に約35.5%の物理攻撃力上昇、合計で106.5%の超火力上昇ができるのだ。
もちろん攻撃に当たるなんて阿呆なことはしない、今回の俺は超かっこいい再登場を果たしたスーパー最強助っ人だからな!
左手武器は『獣狩りの散弾銃』、強化はしているが使う気はないな、キヴォトスの敵には効きにくいし。
血晶石は血乗算+28.7%・血加算+7.3のものを適当に載せている。
カレル文字は左回りの変態三つ、スタミナガン積みだ。
当たらなければどうということはない!!
先生の持つ大人のカードが光り輝き、次の瞬間には六人の生徒が現れていた。
「バックアップは任せたよ〜」
「はぁ……なぜ私が……」
「全速前進、行きます!」
「幸いがあらんことを」
「具合の悪い方はいませんか?」
「合理的な解を、見せてあげる」
臨戦ホシノ、ケイ、臨戦アリス、サクラコ、セリナ、リオ。
錚々たるメンバーが揃い、
……知らない!何それ!!知らない!!ケイ!?臨戦アリス!?何それ!?マジで何それ???
というか臨戦ホシノも前回見た時流してたけど君かっこいいね!?
リオとサクラコに関してはいつのまに参戦してたんだい!?
っと、よそ見したらすぐにビームが落ちてくる。
ヒエロニムスは杖での薙ぎ払いこそするものの、その主な攻撃は天からのビームと各種特殊技だ。
要するに殴り放題……つまり、ノコ鉈ラッシュが入り放題というわけだ!!
斬って斬って斬り刻む!!オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!
100か200そこらはこれなら振れそうだ!っと、流石にそれは許されないか。
神秘が集まり始めたな?
『ダマススの招請』
ヒエロニムスの杖にエネルギーが収束し、彼はそれを地面に叩きつけた。
直後、凄まじいエネルギーが地面へと流れ、俺の足元から噴火のように放出された。
岩盤は粉砕され、エネルギーが熱量に変換されたことで地面は局所的に溶けたような状態になっていた。
だが、攻撃タイミングさえわかるならそんなものいくらでも避けようはある。
天から降り注ぐレーザーも、地面から噴き上がるエネルギーも、時折吹き荒れる砂の嵐も、全て当たるのは一瞬のこと。
その一瞬に合わせ、俺はステップをするだけでいい。
流石に気を散らしている余裕はないから、さっきのは地味に危なかったが……大丈夫だ、問題ない!
『ウルガータ』
『10』
『9』
『8』
『7』
『6』
数え上げる呪いかな?
これは神秘の構成的に、10秒数えたら爆発する呪いを付与するタイプの技だが……
ニーヒルおじさんが懐かしいぜ。
そんなカウントダウンして、避けてねって言ってるようなもんだろ……っと、そんな簡単にはいかないもんだ。
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
『獅子の救済』
俺が避けられないよう、ウルガータとタイミングをずらすように現れたのは空からの聖なる光が落ちてくる。
それは区別なく、光で照らした全てを破壊する、浄化の光。
俺はそれをステップで避け──
『0』
直後、俺を中心とした空間が聖なる力により爆破され、俺は粉微塵に……ならなかった。
『古い狩人の遺骨』でステップを長くし、ウルガータも獅子の救済もまとめて完全に避けたのだ。
その俺の後ろから放たれたショットガンの連射が、ヒエロニムスの身体を叩いた。
「ほらほら狩人ちゃん、頑張りなよ?」
「誰にものを言っている」
ホシノと軽口を叩きながら、俺はヒエロニムスの身体を幾度も切り刻む。
服装に傷はないように見えるが、その裏では確実にダメージが蓄積している。
その時、後ろで凄まじいエネルギーを感じとり、離れた直後。
「アリス、私が力になります」
「受けとって頂戴。これがあなたの可能性よ」
「はい、ケイ、リオ!任せてください!アリスの魔力は100%です!リミッター解除、アビ・エシェフ……システム、オールグリーン!光よ!」
ズドオォォォォォオオオオオオオオオオン……!!!!
凄まじい轟音と共に放たれたそれは、あらゆる障害を消し去りながら迫り、凄まじいエネルギーでもってヒエロニムスを襲った。
その神秘の厚みにより消し飛びこそしなかったものの、そのダメージは絶大……体力の五割以上を一気に削られ、ヒエロニムスがそのダメージに悶える。
『■■■■■■■■!!』
声にならない叫びが響き渡るなか、俺の横に現れたのはサクラコだった。
彼女は祈り、そして照準を定める。
その祈りは、力として成就した。
「この弾丸に祝福を。恩寵に感謝を。我らに恵みを与えたまえ……受け止めてください!」
放たれた弾丸がヒエロニムスに直撃し、大きくよろめかせる。
その時、『大人のカード』が激しく光り、俺に神秘が流れ込んできた。
「なるほど。任せておきたまえ!」
これはEXスキルを発動させるための指示だろう、なるほど力が湧いてくるわけだ。
凄まじいエネルギーが俺の中で荒れ狂う、これを整形しつつ俺は一つのアイテムを取り出した。
これなら必殺技としても申し分なく、伏線としても置いておけるし最適だろう。
「是即ちビルゲンワースの神秘の名残」
「見捨てられし上位者よ、我が祈りに応え、その御姿を見せられよ!」
「エーブリエタースの先触れ!」
ズッ……!
ズドシャアァァァァ!!!!
それは俺の呼びかけに応え、空間から現れた。
正気を喪いそうな程、悍ましい気配が場を満たし。
俺の手から、巨木よりも尚太い、極大の触手が飛び出す。
そして即座にヒエロニムスへと向かい……まるで紙切れのように、その胴を完全に貫き、上半身と下半身を千切り割いた。
『■■■■■■■■……!!』
断末魔を上げながら、ヒエロニムスが消えていく。
同時に、世界に拒絶されたエーブリエタースの触手も、俺の夢の世界へと消えていった。
おそらく、まともに戦えば勝ち目はなかった……いや、うん、先生がもしいなくてもガチ万全ヒナホシノツルギミカネルアリスとかがキヴォトスアッセンブルすれば被害は出ただろうが倒せたと思うような、思わないような……
ケイリオアリスの一撃がやはりデカかったな、流石に体力50万程度なら消し飛ばせる……これが総力戦仕様の体力ならこの場で倒し切るのは難しかったな……
まあともかく、無事に倒せてよかった。
欠員なし、先生の代償もそう重くはない。
「……予想外の介入はあれど、望むものを見れた。心から感謝しよう、先生」
「完成された教義をいとも容易く排することができたのは、紡いできたものの結実が故に他ならない」
「黒服の言う通りだったな。普段はあまり共感できないものの、この件に関しては感謝せざるを得まい」
ガコン、ギィ、ガコン……軋む音を響かせながら、マエストロは天上より先生へと語らいかける。
先生は警戒こそすれども、彼にこれ以上の敵意がないことは十分わかっており、彼のことは睨むに留めた。
マエストロは次に、ゆっくりと俺を観察する。
「……先生よ。忠告しておこう。汝の側こそ最も安全であり、汝の側こそ最も危険である」
「では、また会える時を心待ちにしている。また、夢の中で」
マエストロの姿が掻き消える。
まるで最初から、誰もいなかったかのように。
それに気がつけば、サオリもアツコも居なくなっていた……まあ、ヒエロニムスとの戦闘中に逃げていたのに俺は気がついていたが。
カタコンベの地下通路は膨大、追うことはできないだろう。
地上にいたミサキとヒヨリも合流しているはずだ、これで完全にアリウススクワッドは姿を消したと言うわけだな。
「……片付いたな、先生」
先生は俺に優しく微笑んだかと思うと、唐突に抱きしめた。
驚いたが、先生の肩が震えていることに気がつき、抱き返してやる。
「ふふ。まだ言っていなかったな……ただいま、先生」
まだ、色々な後始末は残っている。
遺恨も、責任も、片付いたりなどはしていない。
けれど、それでも……エデン条約調印式で起きた事件は、これで幕を閉じた。
***
事件から数日が経ち、ある程度落ち着いたころ。
ゲヘナは一度、ヒナの指揮の元、完全にゲヘナ学園へと撤退していった。
ついでにマコトへの聞き込みの結果なにやらよからぬことをしていたと判明し、制裁されたがそれはご愛嬌。
いつものゲヘナクオリティは相変わらずなのであった。
正義実現委員会は、今回捕縛したアリウス分校の生徒たちやクーデターを起こしたパテル分派の移送、護衛なんかに大忙し。
自警団や救護騎士団、シスターフッドも後始末などで走り回っている。
そして、トリニティ、救護室の一角にて。
この学園最高峰の少女たちが、集っていた。
「具合はどうだい、ナギサ」
「……セイアさん……帰ってこられたのですね……ええ、問題なく無事ですよ」
「ならよかった。ほら、ミカも」
「あっはは!ナギちゃんぐっすりだったね!お仕事のしすぎは良くないよ?」
「……ミカさん、なぜここに?」
「セイアちゃんが色々やってくれてね、今は仮釈放中って感じかな?いやーそれにしても牢屋の中はつまらなかったよー、テレビは普通の放送しか見れないし、ハンドクリームは切れちゃうし、ヘアドライヤーもなんか弱くなってたし!せっかくだから、ナギちゃんの使ってるやつとお揃いにしてよ!ね、お願い!」
「……………………はぁ……ミカさんの食事はこれから三食ロールケーキのみです」
「えっなんで!?!?」
「全く、ミカ、君というやつは……」
女三人寄れば姦しいとはいうが、今だけはそれも許されよう。
なんといっても感動の再会なのだから。
「長い時間が経ち、色々なことがあったが──私たちはそろそろ、お互いに話すべきだろう。言わなかったことや……本当に言いたかったことを」
「誤解もあるだろう、信じられないこともあるだろう、たとえどこにも到達できないとしても……それでも、他者の心という証明不可能な問題に向かうしかない」
「私たちは皆、進まねばならない……その宿題をずっと背負いながら、それでもこの闇の中を……ただ、その先を目指して」
「うん、それはすごく同感。話し合おっか、私たち」
「そう、ですね。話し合いましょう……そして、わかり合いましょう。お互いのことを」
少女たちは、その心のうちを繋げ合う。
それこそが、未来につながる一歩なのだから。
***
一方その頃、補習授業部の元部室にて。
集まっていたのは、
“えっと、前の補習授業部の生徒は一旦全員卒業したはずで……”
“今度はまた新たに補習授業部が、って聞いて来たんだけど……?”
「あ、あはは……」
「ウフフ♪」
「う、うう……」
「……」
“同じメンバーだね!?”
「それが、その……私はペロロ様のコンサートに参加していたのですが、実は試験日だったようでして……」
「私は次の試験範囲はまだ習っていない」
「えっと……三年生の試験を受けてみたんだけど……」
「一人だけ放置プレイなんて寂しいじゃないですか♡」
そこまで言った時、先生がくらっとして倒れてしまった。
あれだけ大変な目にあったのに、まるで反省していない……
先生は白目を剥き、どうすればいいんだと考えながら意識を手放した。
***
一方、俺はといえば。
ヒエロニムスを倒した後、めちゃめちゃに俺の死を悲しんでいたツルギから喜びタックルを喰らい瀕死になったり、あの時一緒にいたヒナタやハスミにも弁明したり、セイアに呆れられたりと色々な反応を受けつつも、無事に生存を受け入れられた。
先生からもどうやって生き残ったのかガン詰めされたりしたが、まあうまく誤魔化しておいたさ。
そもキヴォトスで死を免れる方法なんていくらでもあるぞ、ってね。
ああ、あとはもう勝手に犠牲にならないこととか言われたが別に俺は残機無限だしなぁ……というかんじ。
まったく、先生の心配性にも困ったもんだぜ。
ま、それはともかく……これで暫くは、ゆっくりできるはずだ。
羽根を伸ばして、のんびりするとしますかね。
***
どこか、暗い、暗い道の途中で。
電灯の光に照らされたその場所で、アツコはトリニティへとゆっくりと振り返る。
「あなたはこれからも、たくさんのことを学んでいくでしょう。これからもずっと、友人たちと一緒に」
「勉強し、努力をし、様々な可能性を見つけるのでしょう……あなたは強いから」
「例え全てが虚しくても、この世界が暗く寂しいものでも……例えコンクリートの隅であっても……」
「……アズサ。あの時見せてくれた花のこと……今は少し、理解できたかもしれない」
「もう二度と会うことはないかもしれないけれど……どうか、幸せに」
アリウススクワッドは、闇夜に消える。
その先の道に光を求めて、しかし尚も暗い道を進み続けるのだ。
そうして彼女たちは、どこへ向かうのか……それは本人たちにも、わからないまま。
***
深い、深い、どこか……
光の当たらぬ暗闇のどこかで、悪意が蠢く。
それは未だ尽きぬ、終わらぬ……己の欲望を満たすために、悪循環の因果を繋ぎ止めようとする大人の悪意。
「……左様でしたか。あのロイヤルブラッド、逃げたのですね……捕まえてきてください。怪我のないように、丁寧に。彼女以外は、全員
そこにいたのは、異形の存在。
その姿は長身で、長い黒髪に赤い肌をしてちた。
その身には美しい白いドレスを身に纏い、女性的なその体を際立たせる。
その頭部は目のついた翼で埋め尽くされ、数多の赤い瞳がギラめいていた。
「ああ、それと。あの
「どちらか、と……?そうですね……両方とも、面倒なことに大層力をつけている……ですが、姉とは違い
「方法は任せます。必ず、捕まえて来てください……あれは、最後のピースになりえるのですから」
そう言うと、彼女の姿は闇へと溶け消えていく。
未だ、終わらぬ混沌の世。
それに現れた彼女は、激動の時代がこの先も続くことを暗示しているかのようだった。
「……ふふ。利用させてもらいましょう。ああ、楽しみです……」
それは果たして、誰の声だったのか。
聞く人間がいない声は、夢と消えた。
前回に引き続き今回も先生のセリフの選択肢風特殊タグは作成者であるMinus-4(まいなすよん)先生より使用許可を頂きました
エデン3章、完!!
この後は掲示板と小話をいくつか挟みつつエデン4に直行です。
短い間に完走できて良かった……
感想と高評価ください!!!!