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『第1サンクトゥムの作戦担当、奥空アヤネです。皆さん、作戦地点に到着しましたか?第1部隊、応答願います』
アヤネの声が、無線により伝わってくる。
それに対して、第1部隊──アビドス対策委員会の面々は、もちろんだと応じた。
ホシノは遠くに見える虚妄のサンクトゥムを見ながら、静かに闘志を燃やす。
「……あれが、『虚妄のサンクトゥム』なんだね?」
『はい。そして、「ビナー」をこちらに引きつけなければ、あれを破壊することはできません』
『囮役は私たち便利屋68がするわ』
無線から、第2部隊──便利屋68の声が聞こえる。
あちらは鬼方カヨコがオペレーションしており、ビナーを引き付けた後は挟撃する手筈となっていた。
「……にしても、助っ人ちゃんが来るって言ってたけど遅くない〜?」
『あ、あはは……そちらの方は、少々事情があるらしくって……直接攻撃には間に合うという連絡が入ってます!』
「ならいいけど〜……先に倒しちゃっても文句は言わせないからね」
『それでは。「シャーレコントロール」0号、応答願います!』
ホシノの凛とした一言で、場の空気が引き締まる。
アヤネが準備完了の文言を伝えると、シャーレコントロール0号と呼ばれた通信から、ヴェリタスのマキが返答を返した。
『OK!あ、1個だけ注意…………ビナーのレーザーには絶対触らないでね!岩を一瞬で溶かしちゃうぐらいの超高温レーザーなんだって』
「おっけ〜」
ホシノが間延びした声で返事をする。
これにて、第1サンクトゥムの作戦準備が完了した。
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『エイミ、準備はいかがですか?』
第2サンクトゥムオペレーターのヒマリの投影の前に立つは、特異現象捜査部のもう一人。
桃色の髪に露出の多い服を着る少女だった。
「こちら、第2サンクトゥムの作戦担当、和泉元エイミ。今から、軍需工場にいるケセドと交戦予定」
「……圧倒的な個の力で、真正面から直接突破する案に決まった」
エイミが苦笑する中、後ろに控えるのは
「任せて……蹴散らすわ」
ゲヘナ学園、風紀委員会委員長。
ゲヘナ最強、空崎ヒナ。
キヒヒ……キヒヒヒ……!!!
トリニティ総合学園、正義実現委員会委員長。
歩く戦略兵器、剣先ツルギ。
両者はこと、対集団戦において……無双の如き力を誇る。
何より、無限の軍勢相手に限られた勢力で挑むよりは、最初から二人だけで気兼ねなく全てを破壊した方が効率的だとあらゆる方面から認められたのだ。
正義実現委員会、風紀委員会の両委員会は、共に自治区を守っているため今回の作戦には参加していない。
ただ、純粋な最強の二人だけが、この場でエイミの側に控えていた。
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「モモイ!ミドリ!ユズ!緊急クエストです!ダンジョン攻略ですよ!」
「アリス、しーっ!重要な作戦みたいだから、声を落として……!」
「お、お姉ちゃん……大丈夫かな……」
不安そうに話すゲーム開発。
そこへ、二人の少女が現れる。
「ここがスランピアか?思ったよりも不気味な雰囲気だな」
「RABBIT小隊、目標地点に到着。本体と合流しました」
彼女たちはSRT、RABBIT小隊。
元は連邦生徒会長直属として訓練された精鋭特殊部隊である。
「き、きた!SRTだ……!」
「よ、よろしくお願いします……」
「今日はよろしくお願いします、皆さん。そしてRABBIT3とRABBIT4は位置の報告を」
『RABBIT3、現在空中支援のスタンバイ完了。命令待機中〜』
『RABBIT4、し、視界不良……風も南東向きで35ノット……あんまりいい環境ではないかな……で、でも、狙撃に大きな影響はないよ』
「……これは台風級の風速ですが、大丈夫ですか?」
そこへ、新たな人影が。
それは金髪で、巨大な機械と共に現れた──ゲーム開発部にとっては驚きの人物。
「トキ!?」
「はい、C&C所属、コールサイン04。飛鳥馬トキです。ぴーす」
アリスを取り戻すために戦った強敵が、今度は味方になるとは、まさかのゲーム開発部も予測していなかった。
唯一アリスだけは、前作ボスが味方ユニットになる展開です!と喜んでいたが。
「狙撃手の方、目標との距離はどれぐらいでしょうか」
『は、はい!?わ、私ですか?あ、えっと……ここから約950mほどです……』
「銃は何を?」
『RABBIT39式、狙撃用ライフルです……!弾丸は7.62mm × 53mRを使っていて、銃番号は……』
「……あの」
トキがRABBIT4……ミユに質問攻めしていると、横からRABBIT1……ミヤコが、トキに声をかける。
「申し訳ありません、問い詰める意図はありませんでした。有効射程の倍の距離、そしてこの悪条件下での狙撃が可能なことに驚いていました」
『うああ……あ、ありがとうございます……!?』
「ミユは1980m離れた距離からも狙撃を成功させたことがあります」
「……驚きです。流石のミレニアムでも先程の条件下では聞いたことのない程の精度ですね……期待しています。それでは……第3サンクトゥム、スタンバイ完了。RABBIT小隊、及びゲーム開発部とアビ・エシュフが待機中。作戦担当、確認願います」
『第3サンクトゥム、作戦担当……は、花岡ユズ、です……うぅ、ど、どうして私が……』
トキが呼びかけると、ホログラムで現れたのはユズ。
彼女もまた、この作戦における司令塔の一人なのであった。
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『第4サンクトゥムの作戦担当、浦和ハナコです♡みなさん、準備はできましたか?』
「シスターフッド部隊、サンクトゥムのカタコンベ前で待機中です。ところで、サクラコ様はどこに……」
「救護騎士団、作戦地点にて待機しております」
トリニティゲヘナ境界線に存在するカタコンベ。
その中にあるバシリカこそが、今回のサンクトゥムとなっていた。
正義実現委員会が自治区防衛に出ておりゲヘナ側からの戦力は借り入れられなかったため、シスターフッドと救護騎士団が相手をすることになっていたのだった。
更にそこに、遅れて到着した生徒が1人。
「遅れて申し訳ありません」
現れたのはシスターフッドの長、歌住サクラコ。
しかしその服装は、いつものものとは様子が違っていた。
それは上半身を丸ごと包み込む、黒いレオタード。
身体のラインの出るそれは、サクラコの身体にピッタリとフィットしていた。
しかし様子がおかしいのは下半身、そのレオタードは──角度のすごい、ハイレグとなっていた。
「これは最後の聖徒会長が遺した、ユスティナ聖徒会の礼装。ええ、これが私の覚悟です」
ふざけた見た目だが、その実、礼装自体は本物。
キヴォトスの古い時代に
その正装たるそれは、神聖なる祈りと洗礼を施された特別礼装である。
その力は、物理的な損傷や衝撃、そして神秘に属する属性系統のダメージの大幅カットに加え、着用者の祈りを力に変えるという強力なもの。
しかしその見た目は──あまりにも、場違いであった。
そしてそれは、ハナコの琴線に触れた。
『サクラコさん──それが「覚悟」なのですか!?』
『その破廉恥な衣装が!?それが本当に、シスターフッドが引き継いだ聖徒会の意志なのですか!?』
「え、ええっと……!?」
『着るのにかなりの覚悟が必要とされる、ギリギリラインのレオタードを……!?歩くたびに後ろ姿が気になって仕方ないであろう、非合理的な布面積のデザインを……!?それが本当に、サクラコさんの覚悟だとおっしゃるのですか……!?!?』
「い、いったい何を仰っているのですか!?」
ハイテンションなハナコに押されるサクラコ。
マリーやヒナタといったシスターフッドの面々すら、伝統衣装と理解していても顔を赤くしてしまうほどの破廉恥な衣装。
それを身につけて現れた彼女は、ハナコにとって格好の餌食であった。
やがて騒ぎも治ったころ──作戦を待機している面々の元に、最後の一人が到着する。
それは、桃色の髪を揺らした白い服の少女だった。
『こほん。それでは──ミカさん、お願いしますね』
「あはははっ!まかせてよっ⭐︎」
トリニティ総合学園最高戦力の一角。
ティーパーティー、聖園ミカが本作戦には参加していた。
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「第五サンクトゥムの作戦担当、生塩ノアです。報告をお願いします」
ミレニアムでは、ノアが作戦指揮をとっていた。
しかし、帰ってくるのはため息だらけ。
『少し問題が発生中。『ホド』が要塞都市の地下に入った……』
『エリドゥ地下はリオ会長が作った暗号で保護されています。ハッキングも、振動も、音の感知も不可能でした。現在解読のための演算を進めていますが、作戦時間に間に合わない可能性があります』
ヴェリタスが凄まじい速度で解析を進めているが、それでも膨大な量の暗号に手間取り足止めされている現状。
さらにエンジニア部の方も、手一杯のようだった。
『こちらも各エリアのインベイドピラーを破壊しようとしているけど、難航しているところでね。サンクトゥムの素材分析も並行しているから、体力的にも限界だ……はあ、アビ・エシュフの調整の時に降りてきた
第2サンクトゥム担当から接続したヒマリにアドバイスをもらい色々と試すが、ヴェリタスですら難航する暗号。
しかし彼女が言った『ミレニアム債券の偽造』という話題が出た時、ノアの目の色が変わった。
「────ユウカちゃん」
『……はあ。聞いてるわよ。ノア、今から反省部屋の前に来て!』
「はい。それでは後ほど」
ノアが一度離籍することとなったその頃、エンジニア部の方にも助っ人が現れていた。
「今日も今日とて温泉開発日和だね〜!」
「ハーッハッハッハッハ!そこに温泉があるから我々がいる!いや、たとえ温泉がなくても我々がいる!細かいことは気にするな!」
「温泉開発部……!?」
ゲヘナ学園、要注意集団の一つ。
どこでもいつでもなんにでも温泉をつくろうとする狂気の集団、温泉開発部が、インベイドピラー破壊に名乗りをあげた。
「掘って掘りまくって、建物を撤去して、全てを燃やし尽くしちゃえばいいんだよね?さあ温泉開発の時間だよ〜!」
「最終的に温泉にたどり着けば良いのだからな!難しく考える必要など無い!それにミレニアムの地下にはどんな温泉があるのかずっと気になっていてね。つまり、絶好の機会というわけだ!」
「「ハーッハッハッハッハ!」」
「な、なんだかすごい方がいらっしゃいましたね……」
流石のエンジニア部もついていけないほどの論理と熱量に押されるのであった……
「……コードネーム『白兎』……いえ、黒崎コユキ。出てきて頂戴、釈放よ」
「元気でしたか?コユキちゃん」
「いきなり先輩がやってきて釈放とか、絶対これアレですよね!ついに矯正局に送るんですよね、そうですよね!?」
叫ぶのはピンク髪の少女。
セミナー、悪事担当。
黒崎コユキであった。
彼女は喚きながらノアとユウカに引っ張り出され、喚きながら説明を受け、ヴェリタスの元に送り込まれるのであった。
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「市民の避難は完了した。サンクトゥムタワーから30km離れた場所に複数の避難場所も設けている。また、各校から取り寄せた兵器類やハイランダーの装甲列車団も配備完了したと報告を受けた」
第6サンクトゥムにて、カンナが報告を続ける。
手元のタブレットでは凄まじい量の武器弾薬リストが今も増え続けており、これから現れる
「……しかし人員が足りない。食料もな。ヴァルキューレと有志の協力者が避難所に常駐して手伝ってくれてはいるが、治安維持に手を回すと兵器群が稼働しなくなる」
ゲヘナ給食部や美食研究会といった面々により食料面は問題なくなりつつあったが、本当に人員が足りていなかった。
「ヒフミ、私たちはD.U.の外郭を巡回し守護者を探す──所謂、偵察部隊だ」
「あう……どうして私たちが……」
ヒフミとアズサもまたD.U.防衛に加わり、その時を待っているのだった。
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一方、百鬼夜行では。
ニヤの要請を受け、忍術研究部が『大雪原』で百花繚乱の委員長を見つける大仕事を請け負っていた。
先生の元に、匿名で『反転した生徒に関しては、大預言者クズノハを頼るといい』との連絡があったためであり──ゲマトリアもそれに賛同したことで、百鬼夜行の面々を頼ることになったのだ。
そして、それを……ゲヘナの万魔殿の長が、盗聴していた。
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「第1から第6サンクトゥムまで、全エリアのスタンバイを確認」
“……全員、準備はいい?”
「「「「『『『『はい、先生!』』』』」」」」
シャーレ、その司令室にて。
先生は通信と司令室からの応答に、笑みを浮かべ──そして決意新たに、口を開く。
ドゥーン……(聞き慣れたSE)