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「第4サンクトゥムの守護者前に到着。すぐに取り掛かります」
救護騎士団とシスターフッドが、バシリカへとたどり着く。
そこにいたのは……天に祈りを捧げる、一柱の聖者。
調印式に現れたヒエロニムスが、『色彩』に感化された姿。
『気をつけてください。調印式の事件で現れたものよりも、更に強い反応が観測されています!』
「わかりました──誇りと信念を胸に刻み、『救護が必要な場に救護を!』」
「……参ります」
ハナコの言葉に頷いたミネは、盾と銃を構え……救護騎士団の名に恥じぬ誓いを口にする。
サクラコもまた、祈りを捧げその力を銃に込めていく。
シスターフッドの生徒達が、統率の取れた動きでバシリカに隊列を作る。
そして、一斉射撃が開始された。
弾幕がヒエロニムスへと向かい、小さいながらも確実なダメージを与えていく。
それと同時に、カタコンベ天井から銃撃が降り注いだ。
ロープでの降下と共に姿を現したのは、アリウススクワッド。
「私たちも加勢しよう。元は私たちが蒔いた種だ。指示はそちらに従う」
『アリウススクワッド……!わかりました、作戦指揮に加えます!』
アリウススクワッドとシスターフッドの銃撃を意に介さず、ヒエロニムスは杖を振り上げる。
それは神秘を帯び、爆発する力を伴って地面に突き刺された。
エネルギーの奔流が至る所から噴出し、シスターフッドを襲うが……彼女達はダメージを受けながらも、救護騎士団の活躍を信じて隊列を組み直し攻撃の手をやめない。
「救護っ!」
「祈りを!」
隆起する地面にも臆せず駆ける蒼い翼が飛び上がり、ヒエロニムスへと盾を叩きつける。
しかしヒエロニムスは杖でミネを受け流し、続いて飛来したサクラコの弾丸をも凌ぎ切った。
反撃に繰り出されるのは、『完全』の意味をもつ七条の光線。
無慈悲に全てを包み込む聖なる光が生徒達に直撃しかけたその時──
「ミカさん!」
「ごめんごめんっ!ちょっとバルバラに手間取っちゃった⭐︎」
そう、このカタコンベ内バシリカにはヒエロニムスの他にもう一体──色彩に感化されたバルバラが、徘徊していた。
しかしミカとてそう何度も苦戦するような成長のない子ではない、彼女は傍聴会以降常に自身の力を高め、研鑽を重ねていた。
全てはセイアに置いていかれないために、今度こそ大切な人たちを守るために。
その精神性は大きく成長し、そして天才は開花した。
「さて……いくよ?」
ミカの姿がかき消え、ヒエロニムスの前に現れる。
瞬間移動したかと思える程の速さ、即座にヒエロニムスは対応しようとしたが──その前に、ミカの拳に打ち据えられた。
「えいっ⭐︎」
ゴギャァン!!
到底殴打音と思えぬそれは、ヒエロニムスが咄嗟に張った神秘の防御壁をミカが容易く貫通し発生したもの。
後ろによろめいたヒエロニムスに、ミカは更に隕石を落とす。
ガガガガガガガッ!!
『■■■!!■■■■■!!』
「きゃっ!?」
ヒエロニムスは隕石に晒され身体に穴が開く。
しかし略式のウルガータによる空間爆破でミカを吹き飛ばし体勢を立て直すと、彼は大勢の
あっという間に大量のユスティナ聖徒会とアンブロジウスが戦場を取り囲み、シスターフッドはそちらに手を回さざるを得なくなる。
しかしそうなれば、1番の敵であるヒエロニムスの手が空いてしまうのは明らかであった。
『サクラコさんとミネさんはアンブロジウスを各個撃破してください!ミカさんとスクワッドの皆さんはヒエロニムスを!』
ハナコが指示を飛ばす中、ヒエロニムスは更に神秘を高め──戦場を、砂嵐で多い尽くす。
それは『砂漠の苦痛』、ヒエロニムスの奥の手であった。
サクラコがそれをみて、顔を青ざめさせる。
「っ、これは古文書に載っていた砂の呪いです!このままでは──
『っ、ミカさん!』
「ダメそうっ!砂嵐が晴れないっ!」
ヒエロニムスを殴り飛ばし膝をつかせたミカだが、依然として砂嵐は健在。
このままではまずい、最悪の場合はヒエロニムスを倒しても呪いが消えない可能性まである……そう考えて、ハナコは絶句する。
まだ諦めていないミネやスクワッドも、薄々どうしようもないことを悟り始めていた。
『一体、どうすれば……』
第4サンクトゥムが絶望に包まれようとしていたその時。
ヒエロニムスの、そしてユスティナ聖徒会の手が止まる。
まるで何か、異常な事態が発生したかのように。
てん ててん てん てんててーん
てててん
てん ててん てん てん てーん
いつのまにか、場に響くのは……
静かな、オルゴールの音。
砂嵐に、鴉の羽が混じっていた。
***
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要塞都市エリドゥを走る、複数の生徒達の影。
その中の1組、セミナーのユウカ、ノア、コユキは、暴れ回るホドを横目に瓦礫の山を跳んでいた。
「ホドを地上へ誘導したわよ!」
「コユキちゃん、防壁の解除をお願いします!」
「あ〜〜〜もう!分かった、分かりましたって!」
黒崎コユキ……彼女はどんな暗号でも一瞬で解くことができる。
彼女はその技術で、膨大な数のロックと錯綜した暗号を施されたエリドゥ地下の解析を、作戦準備から開始までの僅か10分で完了してみせた。
一方、インベイドピラーの撤去には、些か手間取りが発生している。
『チヒロ先輩、ピラーはあといくつですか?』
「温泉開発部が毎分2つ減らしてくれているけど、その間に3つ増える!あと23、全然追いつかない!」
「なかなか手強い機械だな!しかし我々の温泉採掘の邪魔をできる機械など、存在しない!メグ、やれ!」
『OK、さくっといっちゃうよ〜!温泉開発部は、破壊が専門だからね♪』
温泉開発部の獅子奮闘の戦いで拡大こそ抑えられているものの、依然として数が減らぬ現状。
しかしそこに──予期せぬ通信が入った。
『ご苦労、諸君!』
突如、エリドゥ近郊に白い制服を身に纏った軍隊が姿を現した。
それは規律正しく、一糸乱れずに、温泉開発部の手が回っていなかったインベイドピラーを破壊して回る。
時に戦車で、時に爆弾で、時にスコップで、時に銃床で。
使えるものは何でも使い、数の暴力で瞬く間にエリドゥの一角を制圧したその集団は──
そして、その集団を率いるのは──
『おいらこそが、このレッドウィンター連邦学園の生徒会長であり、環境美化部部長兼、書記兼、清掃部部長兼、風紀委員長兼、給食部部長の──』
『偉大なるチェリノ様である!』
レッドウィンター連邦学園。
寒冷なる試される大地で覇を唱える、赤い学園である。
そして生徒会長たる白い少女──否、白い幼女は、誇らしげに胸を張る。
少々劇画タッチが混じったり混じらなかったりしているような気もするが、ともかく彼女達はそこにいた。
「れ、レッドウィンター!?」
『どうしてここに!?』
『カムラッドの要請により諸君たちを助けに来たのだ!』
彼女達は温泉開発部と協力して、ものの数分でインベイドピラーを破壊し尽くす。
そして、都市の中心に座すホドヘその銃口を向けた。
『あーもう!どうなってるのかは知らないけど、味方なのよね!ならいいわ!』
『やっと本格的に温泉開発ができるね!いっくよ〜!』
『諸君、戦列を整えろ!これより、レッドウィンター大決戦を始める!!』
セミナー、温泉開発部、レッドウィンター。
異例の組み合わせによる戦列が、ホドへ集中砲火を浴びせ始めた。
「新しいインベイドピラーは降らせない。コタマ、機腕のコントロールは?」
「今、2本止めました。ですがホド本体のエネルギー砲は止められていません」
「あれらは本体の完全な制御下にあって侵入すらできないね。機腕を止めてサポートするのと、向こうからのハッキングを相殺するので精一杯だよ」
「みんなを信じるしかないね」
ヴェリタスもまた機械に張り付き、凄まじい速度で繰り広げられるホドからのサイバー攻撃を捌いていく。
戦況は優勢、機腕による攻撃なども避け、生徒達はホドヘとダメージを与えていく。
しかし、黙ってやられているようなホドではなく──突如、本体から強力な波動が放たれた。
「っ!ノア、コユキ、私の後ろに!」
「起爆!」
「衝撃に備えろ!」
即座に反対の位相のバリアを計算し展開したユウカ、無造作に設置した温泉開発用爆弾を起爆させ相殺を狙った温泉開発部、団結力により壁を作り防衛陣を作り上げたレッドウィンター。
その悉くを嘲笑うかの如く、波動は生徒達を吹き飛ばした。
「ぐっ……みんな……!」
「っ、いててて……」
「くっ……!まだ戦えるものは前へ!負傷者は下がれ!」
即座に体勢を立て直そうとする生徒達。
しかしホドは既に主砲にエネルギーを溜め、一掃のための準備を整えていた。
『っ、止められない!』
チヒロの声が各員に届く中、ユウカは絶望の光を目にする。
それが、放たれようと予兆を見せた時──
──雷光が、生徒達の前に迸った。
***
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燃える、街。
轟く、地響き。
割れた窓、倒壊する建物。
D.U.中心部は、既に壊滅的な被害を受けていた。
「おいおい、ありゃすごいな……」
何か現れた場合に控えていた、C&C……コールサイン
火の海の中歩く怪獣を前に、ネルはC&Cに指示を出した。
「怪我人の救助が最優先、あたしは時間を稼ぐ」
その顔には──不遜な笑みが浮かんでいた。
カンナは、無線に指示を飛ばしながら走り続ける。
通信では、敷設された防衛ラインが次々に突破された報告と悲鳴が止まらない。
『第1から第12防衛ラインが、しょ、消滅しましたっ……!!』
『各種防衛兵器群稼働開始っ……!!っ、第13防衛ライン半壊!!』
「消失した防衛ラインの生徒達は!」
『安否不明です!!』
「っ、避難地点を40kmラインに変更!何が起こるかわからん!!可能なら更に下がらせてくれ!!」
大きな地響きがなり、カンナは背後を振り返る。
そこには、巨大な怪物が街を破壊する姿があった。
荒れた道に止まる戦車。
アズサとヒフミはそこから、D.U.に出現した存在を前に信じられない顔をしていた。
「あ、アズサちゃん……アレって……」
「ああ、間違いない。アレは──」
「ペロロジラ……!」
それは、宇宙色の巨体に奇妙な瞳を備え──目からのビームと、その巨大さで街を破壊するペロロジラだった。
飛来した対空砲弾やヘリ、誘導ミサイルをビームで薙ぎ払うその威容は、正しく大怪獣。
登場と同時に虚妄のサンクトゥムタワーから無差別に──半径4km程を焼き払った恐怖の存在が、猛威を奮っていた。
給食部の車に乗った美食研究会が、ペロロジラの進行を止めるために接近する。
ネルやヒフミとアズサ、カイテンジャーもまた、立ち向かうため戦場へと赴いていった。
そして、人気の無い燃える街の中で。
悍ましい、醜い獣が、ゆっくりと動き出す。
う、ううぅぅぅぅぅぅ…………うぅぅうぅぅ……
う、うぁぁぁおうぁあおああああ……!!
その呻き声は、徐々に大きくなり……
そして、街に解き放たれた。