汚れてもいい服に着替えて、俺と先生はひと足先に合宿を行う別館の建物前に集合していた。
お、ヒフミとコハルが来たな。
「お待たせしました!先生、カオリちゃん……?」
「ん?なんだい?」
ヒフミがこっちを向いて怪訝な顔をしてる……
「その格好は、一体……」
「ああ、汚れてもいい格好だが?」
「えっと、体操服とかは……」
「持っていない。まぁ、気にしないでくれ」
「はぁ……」
今俺が着ているのは【黒いフード】【異邦の服】【汚れた包帯】【異邦のズボン】。特に汚れても問題ない服だ。
【汗臭い服】の方がいいんじゃないかとも思ったんだが……いざ着ようと思うと想像以上に汗臭くて……なんか無理だった。
「お待たせ」
お、アズサも来たな。
「あ、アズサちゃんも来ましたね……どうして銃を?」
「肌身離さず持っていないと、銃の意味がない。襲撃はいつ来るかわからないものだ」
「いえ、それはその、何と言いますか、その通りかもしれませんが……」
ん?アズサはコッチ見てどうしたんだ?
「カオリは武器を持っていないのか?」
「ああ、狩人というのはモノを隠し持つのに優れていてね……ほら」
【素手】から【回転ノコギリ】に持ち替えて、背中から変形前の回転ノコギリを取り出す。
「ほう……すごいな。どうやっているんだ?是非ともご教授願いたい」
「フフフ、秘密さね……」
「そうか……」
俺も何でこうなってるのかはよくわからない。インベントリって便利だなぁ……
「お待たせしました、みなさん早かったですね?」
おや、スク水ハナコも来た。
「アウトーーーーーー!!!」
「あら……?」
何が「あら?」だ何が。
「何で掃除するのに水着なの!?バカなの!?バカなんでしょ!?バーカ!!」
この頃のコハルちゃん口悪いよね……強がってる感じがして可愛い。
「ですが動きやすいですし、何かで汚されても大丈夫ですし、洗い流すのも簡単で──」
「そういう問題じゃないでしょ!?水着はプールで着るものなの!っていうか、だっ、誰かに見られたらどうするの!?」
「誰かも何も、ここには私たち以外いませんよ……?」
「と、とにかくダメ!アウトったらアウト!アンタはもう水着の着用禁止!」
「それではまず、学校周辺の雑草を抜きましょうか!」
「少し待ってほしいのだが」
「カオリちゃん?」
「雑草を抜かなくても、草刈りをすればいいのではないかね?」
「それはまぁ、そうですね」
「ならば、ここは私に任せてもらおう。君たちは他の場所を清掃するといい」
「ええっ!?どうやって?」
「これだ」
そう言って俺は、回転ノコギリを変形させて、丸いノコギリの刃が棒の先端にある武器を見せる。
「な、なんですかその物騒なもの……」
「【回転ノコギリ】と言う。草を刈るにはこの上なく適した武器だ。君たちは他の場所の清掃を終わらせ、さっさと勉強を始めるといい」
「……わかりました。では、みなさん行きましょう!」
「わ、わかったわ!」
「ああ」
「はーい♡」
"それも変形武器?カッコいいね!後で見せてくれる?"
「ああ、もちろんだ」
先生……火薬庫とか好きそうだよね
さて、みんな行ったか……今日のために【左回りの変態】3つと【狩り】をつけてきたんだ。一日中回転ノコギリL2を回せるようになぁ!!
ブォン!ギィィィィィィィィィィ!!!!!!
フォォォォ!!たーのしーーーー!!!!
その後3時間に渡り回転ノコギリを回し続け、あらゆる雑草を駆除し、ガラクタを片付けた。
“お疲れ様、カオリ”
ギィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!
「ああ、先生。もういいのかい?」
“プールの清掃もすることになってね。呼びに来たんだよ”
「……プールの清掃?使わないだろう。なぜやる必要が?」
“寂れたプールを見てると、何だか嫌な気持ちになるらしくて。わかるかな?”
「いや……まぁ、手伝おう」
初バニバニ聞き逃したかぁ……まぁまだチャンスはいっぱいあるし、構わないか。
“連れてきたよ”
水着なんか持ってないから、【装備なし】×4。流石に下着はインベントリから脱ぐ場合は残るみたいだ。自分で脱げばちゃんと脱げるから、お風呂で体も洗える。自由度が高くていいぜ……
「ちょっとカオリ!それ下着じゃない!?エッチなのはダメ!」
「これしかないのだよコハル。それに、これは外着、歴とした肌面積が多いだけの服だ。水着でも下着でもないが、濡れても問題ないもの。文句を言われる筋合いはないぞ」
詭弁で誤魔化すぜ……通るか?
「えっ、ええっ……??水着でも下着でもないの……?普通の服……??」
あっ、混乱してる!今だ!誤魔化せ!
「ほら、早く清掃をしなければならないだろう?動きたまえよ」
「えっ……あっ、うん……?」
納得いってないけど掃除は大事だからやりに行ったな。いい子だわコハル……騙されやすすぎるけど。
その後。
「…………」
「結局、プールに入って遊ぶことはできませんでしたね……」
「水を入れるのは結構時間がかかるものでしたね……失念していました」
「いや、十分楽しかった」
「そうさね。アタシも久しぶりにはしゃいだ気がするよ」
“楽しめてよかったね”
プールを眺める先生と補習授業部と俺。
「……綺麗」うとうと
「そうですね。真夜中のプールなんて、なかなか見られない景色で……あれ?」
「あら、コハルちゃんおねむですか?」
「そ、そんなことないもん……でも、ちょっとつかれた……」
「確かに、今日は朝から大掃除でバタバタでしたもんね……では、そろそろお部屋に戻って休むとしましょうか?」
「明日から本格的に勉強合宿が始まってしまいますし……そろそろ寝ないと明日に支障が出てしまうかもしれません」
「うん」
「そうですね、では今日はこれくらいで」
「そうさね。よく寝るといい」
「……お疲れ様」
“私たちは向かいの部屋にいるから、何かあったら呼んでね”
「はい、わかりました」
「では、おやすみなさい」
こうして補習授業部の面々と別れて、俺と先生は部屋へ戻った。
“…………”
「思い詰めた顔をしているな、先生よ」
“ああ、カオリ。ちょっとね……”
「ふむ、この状況で思い詰めるとしたら補習授業部のことだな?そして、彼女たちのことで憂うならば、テストのこと以外あり得ない」
“ああ、うん……そうだけど”
「おおかた、テストに受からなければ落第……いや、その苦々しい顔から察するに退学か?」
“えっ!?”
「当たりだな。まぁ、補習授業部全員が問題児。無理もない」
“……どういうこと?”
「ハナコは見ての通り。アズサは価値観の違いでトラブルでも起こしたのだろう?戦いに頭が向きすぎている。コハルは、単純に成績が悪いだけだが……あの様子を見ていると、今まで成績を改善させる努力もしていなかったか、さらに言えば反抗でもしていたのだろう。ヒフミは……わからないが」
“……”
「問題児というのは、えてして扱いづらいものだ。退学処分も案外私の祖国では普通のものだったと聞く」
“……そっか……バレちゃったなら仕方ないね。補習授業部は、ナギサがエデン条約に向けて、成績の悪い子たちを退学させるために作った部活だそうだよ”
「ほう……私のような厄介者を取り込んだかと思えば、まとめて捨てる為の行動をしているとは……矛盾しているな」
“あはは……君は厄介すぎて、手元に置いておきたくなった、とかじゃない?手放すと何をするかわからない、みたいな”
「ふふふ、違いない」
コンコンッ
「む?」
“私が出るよ”
ガチャッ
「あ、えと、失礼します……」
来たのは、ヒフミ。原作と同じだね!
「その、夜中にすみません……」
「ああ、構わない……私も先生と話していたところだ」
“ヒフミ、どうしたの?”
「その、何だか眠れないと言いますか……」
「あれこれ考えていたら……その……あうぅ……」
「まぁ、座りたまえ。少し話をしよう」
「先生、カオリちゃん。今日はお疲れ様でした」
“うん、お疲れ様”
「ああ、おつかれ」
「もし1週間後の2次試験に落ちてしまったら、3次試験……」
「万が一、それにも落ちてしまったら……」
「退学、かね?」
「か、カオリちゃん!?」
"さっきまで私とカオリはそれについて話していたんだ"
「そ、そうだったんですね……先生は知っていると思っていましたが、カオリちゃんもとは……」
「まだ誰にも言ってませんが、そもそも言っていいことなのかどうかもわからなくて……」
「学力試験なのに、どうしてこういう『全員一斉に』みたいな評価システムなのかもよく分かっていませんし、私たちの試験のためだけにこんな合宿施設まで提供してもらえるなんて……」
「それに……うぅ……」
“ヒフミ?他にもナギサから何か言われたりした?”
「いえ、そ、その……!?」
「な、ナギサ様からはその、えっと……」
「言うといい、ヒフミ。君も退学対象なのだ、先生はそれを止めたがっている」
「……はい……ナギサ様から、『誰にも言わないように』と言われていたのですが……私の手に負えるようなお話では、なくって……」
“……【トリニティの裏切り者】を見つけてほしい、って?”
「……!?」
「トリニティの裏切り者……?なるほど、エデン条約に向けてとはそういうことか」
「……先生も、そう言われたってこと、ですよね」
「ふむ……聞かせてくれるかい?ヒフミ。ナギサに何と言われたか。私は2人と違って今推論を組み立てているのだが、確証がないのだ」
ほんとは全部知ってます……本物の裏切り者こと【トリニティピンクゴリラ】のことも……
「……はい。ナギサ様とお話をしていた時に──」
『ヒフミさん……補習授業部にいる裏切り者を、探していただけませんか?』
『えっ、えぇっ……!?』
『正直なところをお話ししますと、今あの補習授業部について、試験の結果など特に気にしてはいません。試験に合格しなければ退学というのは、つまるところ最終手段』
『ヒフミさん。できる限り彼女たちの情報を集め、できる限り早く【裏切り者】を見つけていただけませんか?ヒフミさんは今そのために、補習授業部にいるんです』
『その、どうして私が、そんな……』
『……どうして、ですか。その答えは、ヒフミさんが、シャーレと繋がっていたから、ですね』
『第三勢力であるシャーレの先生が一緒にいる限り、【裏切り者】はむやみに動くことができません。ゴミが、ゴミ箱から飛び出さないための蓋のようなもの……でしょうか』
『ご、ゴミ箱……?』
『……失礼しました、忘れてください。とにかく──』
『な、ナギサ様……!わ、私はその、こういうことは……!』
『……ヒフミさん。他に選択肢はないのです。それにやむを得なかったとはいえ、失敗してしまった場合はヒフミさんも同じことになってしまうのですよ……?』
『……っ』
「──と……私はその、裏切り者だなんて、そんな話……」
「みんな、同じ学校の生徒じゃないですか……今日だって、みんなでお掃除をして、一緒にご飯を食べて……」
「これで、誰が裏切り者なのかを探れだなんて、そんな、そんなこと……」
“……ヒフミは、優しいね”
「え、えぇ……!?」
“この件は、ヒフミは気にしなくて大丈夫。私に任せて。私が、どうにか解決するから”
「先生……」
“ヒフミは、ヒフミにできることを頑張って欲しい”
「私に、できること……」
「……はい、わかりました!あ、その、私に何ができるのかは、まだよくわかりませんが……ちょっと考えてみようと思います!」
「先生、ありがとうございます!何だか心が軽くなりました!おやすみなさい!」
“うん、おやすみ”
そう言って、ヒフミは出ていった。
「……ふむ、妙だな」
“……カオリ?”
「ナギサは警戒すべきところが間違っているだろう。本物の裏切り者とは、ことを起こすまでバレないよう欠点をなくすものだ。まぁ、私の知り合いにはいかにも怪しいハゲ頭もいたが……」
“……”
「つまり、ナギサは目を向けずとも良いところに目を向けてしまっている、というわけだ。疑心暗鬼にでもなっているのだろう」
「コハルは正義実現委員会への牽制として納得できるが、シスターフッドと救護騎士団という目につく大きさの脅威に対して牽制できていない」
「……だがまぁ、そんなナギサも、裏切り者を偶然この箱に入れてしまったようだが。運がいい」
“……カオリ?”
「裏切り者はアズサだろう。彼女だけ、他とは匂いが違う……」
“……カオリ、そういうのはダメだよ”
「いや、これは確実だ。彼女だけ戦闘に特化しすぎている。この貴族学校ともいうべき場所において、転校生だとしても異質すぎる。まるで、戦うために育てられたかのようだ」
“……カオリ”
「だが、確定ではない。そもそも、彼女は送り込まれたスパイではあるが、裏切ろうとしていないのかもしれない。注意して見る必要はあるが、彼女は純真無垢だ。正しい道に導くこともできるだろう」
“…………”
「先生。私の言いたいことがわかるな?貴公は、彼女を裏切らないよう、正しい道を歩めるよう、導く必要がある。それは、貴公の役目だ」
“……裏切り者じゃないと信じるのではなく、裏切り者だとしても正しいことができるよう教える”
「そういうことだ。貴公は優しいが……些か人を信じすぎる」
「忘れるな。人とは、正しい正義の心を持つとともに……昏い、ダークソウルを持つということを。内に、血肉を欲する、禁じられた悍ましき獣を飼っていることを。外の歴史を忘れるな」
“……それでも私は、生徒を信じたい”
「……無条件に信じるのではなく、どのような者でも生き方次第では正しくあれると信じることが大切なのだが……貴公には早いか」
“……覚えておくよ、カオリ”
先生を諭す生徒(?)
先生、生徒を信じてるのに敵対した生徒には辛辣。
全生徒を信じてるならもっとリオとか優しくしてあげて?
でも、人間味があって私は好きです。
ごほっごほっごほっ……ああ、読者の方ですね
それに……どうやら、外からの方のようだ
私はギルバート。あなたと同じ、読者です
色々とご苦労でしょう。このハーメルンの住人は、皆……寡黙ですから
私は床に伏せり、もう小説を読むこともままなりませんが
それでもお役に立てることがあれば、言ってください
ごほっ、ごほっ、ごほっ……この小説は呪われています
あなた、事情もおありでしょうが、できるだけはやく感想と高評価をした方がいい
この小説にどのような低評価をつけようとも、私には、それが作者に良いものとは思えません……
ごほっごほっごほっ……
この小説に他フロム作品の要素は
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入れるな!!
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ソウルライクならヨシ!
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AC系ならヨシ!
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両方ヨシ!!むしろ入れろ!!