見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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2章:エデン条約編『不可能な証明』
23.アリウスとビルゲンワース


 

 

 

『アズサちゃんを、守って欲しいの。そして、「狩人」から、トリニティを守って欲しいの』

 

 

 

 “カオリからトリニティを守る……?”

 

 

 

 俺からトリニティを守る……???どういうことだ…………?

 

『うん、それで、あの子を守って欲しいの』

 

 “……”

 

『……あー、ごめんね?ちょっと単刀直入すぎたかな?ナギちゃんの悪い癖が移っちゃったかも』

 

『戸惑っている先生のために、もう少し最初から説明してみようかな?』

 

 “うん、お願い”

 

『まず、この「トリニティ総合学園」について。ナギちゃんがこの前言ってた通り、その一番の特徴は「たくさんの分派が集まってできた学校」だってこと』

 

『パテル、フィリウス、サンクトゥス……この三つの分派がトリニティの中心になったっていうのは前も話した通り』

 

『でも、正確には他にも、今の「救護騎士団」の前身に当たる派閥とか、「シスターフッド」とかも含めた大小さまざまな派閥がいくつもあるの』

 

『元々そういうたくさんの派閥が、まるで今のトリニティとゲヘナみたいな形でお互いにお互いを敵視してて、毎日毎日紛争ばかりの時代があったんだって』

 

 “へぇ……”

 

『そこで、もうこれ以上戦いを続けるんじゃなくて、仲良くしようっていう約束をすることになって。私たちはもう戦わなくて良い、一つの学園になろう……そんな話をしたのが、いわゆる「第一回公会議」』

 

 “うん、どこかで聞いたことがあるね”

 

『その会議を経て生まれたのが、今の私たちがいる「トリニティ総合学園」。今でも分派だった頃の余波が無いといえば嘘だけど……時代の流れってところかな?今ではもう、そんなの全然気にしてないっていうの声の方が多いはず』

 

『でも、その会議は円満に話し合いが終わったわけじゃなくて……その時、最後まで反対していた学園と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があったの』

 

 お?なんか混じったな……

 

『それが、「アリウス」と「ビルゲンワース」』

 

 “……”

 

 

 

『……まずは、アリウスの方から話すね?アリウスは、元々は私たちとあんまり変わらなかったはずの、一つの分派。経典に関するちょっとした解釈の違いがあったくらいで、結構いろんなところが似てたんだって』

 

『ちゃんとチャペルの授業もあったし、見た目もほとんど一緒で……それでいて、ゲヘナのことを心底嫌ってた』

 

『でも、アリウスは連合を作ることに猛烈に反対して……最終的には、争いに繋がっちゃったの。連合になって強大な力を持つようになったトリニティ総合学園は、その大きな力で徹底的に弾圧し始めた』

 

『あまりにも大きな力を持ちすぎると、その強さを確認したがる……なんていうのはよくあるお話で。つまるところ、アリウスは悲しいことにちょうど良いターゲットだったって言えるのかもしれない』

 

『そうしてアリウスは潰されて、トリニティの自治区から追放されて……今は、詳細はわからないけど、キヴォトスのどこかに隠れてるみたい』

 

『相当激しい戦いだったんだろうね。その後全然見つからないような場所に隠れたみたいで、たぶん、連邦生徒会ですら未だにその自治区がどこにあるのか分かってないくらいなの。大半の生徒たちにとっては、「そんな学園あったっけ?」って感じだと思う。ほとんどはきっと、そんな争いがあったことすら知らない』

 

『そうして表舞台には姿を現さなくなって、今となってはその影すらも薄くなってしまった存在……それが、アリウス分校だよ』

 

 “アズサがその、アリウス分校の出身……”

 

 

 

『うん。それで、ナギちゃんが推進してる「エデン条約」。あれはさっき話してた「第一回公会議」の再現なの』

 

『エデン条約……大きな二つの学園が、これからは仲良くしようねって約束』

 

『何だか良いお話に聞こえるよね?でも、その核心はゲヘナとトリニティの武力を合わせたエデン条約機構、通称「ETO」と呼ばれる新しい武力集団を作ること』

 

『エデン条約っていうのは、言ってみればある種の武力同盟。トリニティとゲヘナの戦力を合わせた、圧倒的な武力集団が誕生するの……連邦生徒会長が行方不明っていう、こんな混迷の時期に』

 

『ナギちゃんがこれを使って何をしたいのかわからないけど、これだけはハッキリ言えるよ』

 

『そんな大きい力を手に入れたら、きっと自分の気に入らないものを排除する……昔、トリニティがアリウスにしたみたいにね』

 

『あるいは、セイアちゃんみたいに……ううん、ごめんね、今のは失言だったね』

 

 “……セイアは、何があったの?”

 

 

 

『……前にお話しした通りだよ。セイアちゃんは、入院中なの』

 

 “……今どこにいるか、聞いても良い?”

 

『うーん……先生は、本当に知りたい?』

 

『……この話をしたら、もう私は戻れない』

 

『もしこの先の事実を知った先生が、私のこと裏切ったら……私はきっともう終わり』

 

 “裏切るだなんて──”

 

『……ううん、でも大丈夫だよね。だってさっき、先生は生徒の味方って言ってたから』

 

『もしこれで裏切られても、それはそれで悪くないと思う……えへへっ……じゃあ、言うね?』

 

 

 

『セイアちゃんは、入院中なんかじゃない……ヘイローを、壊されたの』

 

 “……っ!?”

 

『冗談じゃないよ、本当のこと』

 

『去年、セイアちゃんは何者かの手によって唐突に襲撃された。対外的には「入院中」ってなってるけど……そっちの方が真実。私たちティーパーティーを除けば、このことはまだトリニティの誰も知らない』

 

『もしかしたら、「シスターフッド」には知られているかもだけど……あそこの情報網は半端じゃないからね』

 

 “……それで、犯人は……”

 

『……うん、分かってない。もともとセイアちゃんは秘密の多い子だったのもあってね』

 

『……さて、この話はおしまい。元の話に戻るんだけどね?』

 

 

 

『「白洲アズサ」……あの子をトリニティに転校させたのは、私なの』

 

 “ミカが?”

 

『うん。ナギちゃんには内緒でね。……どうして?って顔してるね』

 

 “…………”

 

『アリウス分校は今もまだ、私たちのことを憎んでいる』

 

『私たちはこうして豊かな環境を謳歌しているのに、彼女たちは劣悪な環境の中で、「学ぶ」ということが何なのかもわからないままでいる……そして、私たちから差し伸べた手も、連邦生徒会からの助けも拒絶し続けてるの。過去の憎しみのせいで』

 

『……私は、アリウス分校と和解がしたかったの』

 

『私はあの子……「白洲アズサ」と言う存在に、和解の象徴になってほしかったの』

 

『もしエデン条約が締結されたら……その時はもう今度こそ本当に、アリウスとの和解は不可能なものになっちゃう。だから、そのまえにどうにか実現させたかった……でも、ナギちゃんがトリニティの中に「裏切り者がいる」って言い出して……』

 

『それで、ナギちゃんは「補習授業部」を作ったの』

 

 “…………”

 

『……あそこにいるのは、ナギちゃんが疑った子たち』

 

 

 

『ハナコちゃんは変わったところはあるけど、本当に、本当に優秀な生徒でね?ティーパーティー候補に上がってたこともあったくらいなんだけど……「シスターフッド」もあの子を引き入れようと頑張ってたみたい……でも、急に落第直前の状態になってしまった……どうしてだろうね?』

 

『……あの子は、トリニティ上層部ともいろいろな関わりがあって、すでにいろんな秘密を知っちゃってるから、ナギちゃんも探りを入れなきゃいけなかったみたい』

 

 

 

『コハルちゃんは……あの子は政治とか関係ない、純粋で良い子なんだけど……正義実現委員会の副委員長、ハスミちゃんが原因かな』

 

『巨大な武力を持った存在が、自分の統制下にない……しかも、ハスミちゃんみたいなゲヘナに強い憎しみを持った子なんかもいる。ナギちゃんはそこに、何かしらの対策が欲しかったんだろうね……で、ただ成績の悪かったあの子が選ばれたってわけ』

 

 

 

『ヒフミちゃんは……優しくて可愛くて、いい子だよね。ナギちゃんもすっごい気に入ってる……それでも、疑いの目が向いちゃったの』

 

『どうやらこっそり学園の外に出て、怪しいところに行ってたみたい。ブラックマーケットとかね?』

 

『それに、どこかの犯罪組織と関わりがあるかもって情報も流れてきた。あんな善良そうで、いい子なのに……』

 

 “…………”

 

『それが、今の状況。アリウス関連は、これで終わりかな?』

 

 

 

『……それじゃ、ビルゲンワースの方について説明しよっか』

 

 な、長かった……ミカ、話長いよ……そして、この世界のヤーナムのちゃんとした歴史を知れるチャンスだな。

 

 

 

『さっきも言ったけど、第一回公会議で「トリニティ総合学園」という連合への参加意欲はあったけど最後まで認められなかった学校、それが「ビルゲンワース啓蒙学院」』

 

『もともとはトリニティの自治区の中でも僻地、しかも山に囲まれていて交流もなかった、他学園からすれば未開の土地で、紛争にも参加していなかった学校』

 

『じゃあなんで参加が最後まで認められなかったかっていうと、信仰と所業があまりにも悍ましかったから』

 

『信じていたのは他の学園とは違う、土着の神……それも、私たちからすれば邪神とも言えるような、名状し難い姿をした厄災をもたらす神様』

 

『それを降臨、または顕現させるために信仰し、その存在に人の身をより位相の高い存在にしてもらおうとしていたのがビルゲンワース』

 

『結果として人体実験なんかもしていたみたいだし、獣の病っていう「人が獣に変わる病気」なんてものもあったみたいなの』

 

『そういうのが、分派があるとはいえ同じ信仰の元に集まってた他の学園に認められるわけもなくて、最後までごねてたらしいの』

 

 “……それじゃあ、なんで今はトリニティに……?”

 

 

 

『……ビルゲンワースは、アリウスへの弾圧へいの一番に参加したから。積極的にアリウスを攻撃して、自分の席を確保した、って言うのかな』

 

『私は、今でもビルゲンワースはあの当時のまま、悍ましい学校だと思ってる。閉鎖的で、外と関わらないからこそ、昔と考え方は変わらない……アリウスが憎しみを忘れていないように』

 

『……私は、今でも続いているかもしれない人体実験や悍ましい信仰が、発狂事件を引き起こしたと思ってるから。そんな学校に転校したあの「狩人」を、私は信じられないし……すごく、気持ち悪く感じる』

 

 “…………”

 

『私は、あの子がアズサちゃんを傷つけると思ってる。トリニティとアリウスの和解の芽を、摘みに来るんじゃないかと思ってる。そして、トリニティを巻き込んで何かをしでかすんじゃないかとずっと思ってるの』

 

 “カオリはそんな事……”

 

 

 

『……まぁ、それもこれも全て含めて、私からの一方的な話でしかないよ』

 

『だから、もちろん最終的には先生が決めて。白洲アズサを守るのか、裏切り者を見つけるのか、ナギちゃんを信じるのか、私を信じるのか……それとも、あのカオリっていう子の味方をするのか』

 

『あの子のことについては私に責任があって……でも、私はただお願いすることしかできないからね』

 

 

 “……ミカは、それだけで大丈夫?”

 

『あはっ、本当に優しいね、先生は。うーん、なんだかつい勘違いしちゃいそう』

 

『私の心配は大丈夫。こう見えても私、結構強いんだから♪』

 

『じゃあ、今日はこんなところかな。先生とまたこうしてお話しできて、楽しかったよ』

 

『じゃ、またね、先生』

 

 

 

 

 

 い、いやぁ…………話が長かった…………

 

 そして俺、ミカにめちゃくちゃ嫌われてるっぽい……まぁ、しょうがないか……

 ぶっちゃけ一般人からしたら嫌われる要素しかないもんな…………

 

 そして、アリウスを積極的に弾圧してたとか……まじ?俺、マダムに目をつけられる可能性あるの?

 

 …………まあ、マダムはどうするかはもう決めてあるしな……気にしないでおこっと。

 

 

 

 

 

 さて、気を取り直して。この後は確か……マリーが来るんだったかな?

 

 じゃ、ちゃんとお出迎えしなきゃね。

 カレル文字、『獣』を装備しているのをしっかり確認して、と……

 

 この身体に落下ダメージがあるのかはわからないけど……一応ね?それじゃ!行くぜ!

 

 I can fly!!

 

 

 

 




今回のアンケートはセイアちゃんのビルドをどうするかです。
選ばれた補正値が高い武器がセイアの愛武器になりますが、作者がセイアに持たせたい武器によっては2種類のステータスが上がるかもしれません。
秘技を使わせるのも考えているので神秘が高いですが、筋力でも技量でも伸ばしていけます。ご自由にご投票ください。

百合園セイア(血の医療後)

まだ初期ステータスの百合園セイア。血の医療によって最低限の狩人としてのステータスは確保されている。

レベル :1
血の意志:0
過去  :セクシーセイアですまない

体力  :2
持久力 :2
筋力  :9
技術  :9
血質  :12
神秘  :17

ここからレベルが上がっていきます。
 



……あなた、無事だったのね。よかったわ
でも……何度きてもらっても、変わらないわ。扉はあけられない
もちろん、私にできることはする
少しでも、あなたの助けになるとよいのだけど
(高評価ページへのボタンとしおり、感想に繋がるボタン)
では、これで……
ご無事を祈っています

セイアの狩人のビルドは

  • 筋力
  • 技量
  • 血質
  • 神秘
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