夜。俺は狩人の夢から覚め、補習授業部の合宿所に帰ってきていた。
「先生、戻ったよ」
“あ、カオリ”
みんなは洗濯ものを集めているようだった……アレか、今日は水着パーティーの夜か?
流石に俺もブルアカのシナリオを全て覚えてるわけではないしな……Bloodborneなら全部覚えてるけど。
大体の流れと主要なイベントぐらいしか覚えてないんだよね。
「あ、カオリさん。カオリさんの洗濯物は?」
「いや、問題ない。洗い物は先ほど出してきたところなんだ」
「そういえば着替えていますもんね。間が悪かったようです」
そう、いま俺は『古狩人』装備を一式着ている。単純に気分で着替えたのだが……脱がないでいい理由ができた。さすがに全員でスク水はきつい……
……洗濯は毎回断るようにしよう。
“その服は……”
「これは、古狩人の装備だ。我々狩人の黎明期、古狩人たちはこの装いで獣を狩った。なかなか洒落た服装だろう?」
“うん、まぁ……キヴォトスじゃなかなか見ないけど……”
「外の世界の服装だ。そんなものだろう」
「では、洗濯機を回してきますね。何も問題がなければ、きっと明日の朝までには乾かすところまで終わるはずです♪」
ハナコがそう言ってカゴを洗濯機のある場所へと持って行った。
「じゃあ、そろそろ寝る準備をしよう。今日もお疲れ様」
「……うん」
コハルが眠たそうな顔でアズサと一緒に寝る準備を始めた。
うん?
「あの、先生……」ヒソヒソ
私の視界の端では、ヒフミが先生に声をかけ、何やら小さい声で内緒話をしていた。
……なるほど、今日は水着パーティーではなく先生の部屋にハナコとヒフミが来て、コハルにエ駄死される日だったか。
内緒話が終わり、こちらに歩いてきた先生に一言言っておこう。
「先生、今日も私は見張りをさせてもらう。先に寝ていてくれ」
“うん、わかったよ”
先生が了解したのを確認して、俺は部屋を出た。
『……なるほど、先生と一緒に、これからについてのご相談を……』
ヴァァァァァァァ……
『ハナコちゃんも先生に相談したいことがあって……』
ヴァァァァァァァ……
廊下を、1人の少女が歩いていた。
鍔広く、鋭い視線を隠す帽子を被り、口元を隠すマスクのような布を身につけていて、右脚に2本のベルトを巻いたズボンを履いた場違いな少女。
両腕には貧金の用いられている手甲をつけていて、上着は大きなベルトがかかったマントのついたコートだった。
ヴァァァァァァァ……
そしてその足元には、小さな灰色の小人が付き添っていた。
“ハナコ、さっきの話の続きは今じゃない方がいい?”
『……アズサちゃんの件、ですよね』
その小人から、2人の少女と1人の男性の話し声が聞こえる。
ヴァァァァァァァ……
呻き声を上げながらコートの少女に付き添う灰色の小人。
彼女たちは、いったい何者なのか──
──まぁ、俺なんだけど。
暇すぎて少し遊んだが、今これを認識しているかもしれない上位者のみんなのために俺のやっていることを説明しよう。
なに?大体わかる?
……まぁ、気にしないで聞いてくれ。
わかりやすく言うと、俺が今やっているのは使者を媒介とした盗み聞きだ。
先生の部屋にいるもう一体の使者と、俺の足元にいる使者が音声を共有していて、先生の部屋の使者が聞いたことが俺の足元の使者から流れてくる、というわけだ。
うん?使者にそんな機能ないだろうって?
そりゃBloodborne本編の使者にはそんなものはない。ないが……そもそもBloodborneの使者は、別に狩人の味方ではない。人ではないのだから。
使者たちの正体はわからないが、どうにも気分で行動している。水盆や灯などから出てくる使者たちはおそらく共通の場所から来ていることぐらいしかわからない。
なので、俺は使者たちは好き勝手に使うことにした!
いま俺のそばに付き添っているのは、Bloodborne本編の使者ではなく、俺が狩人の夢を作り出したときについでに作った紛い物。
たくさん新機能を追加しても問題ない、というわけだ。
この使者たち、便利なことがいくつかある。
まず一つ目に、俺以外には現実では見えない。夢の中でなら見えることはセイアで確認済みだが、現実に来た瞬間から俺の作った狩人の夢に属していない者には見えなくなる。
このため隠密性は完璧だ。事実、先生の部屋にいる使者も堂々としているが誰にも見えていない。音も聞こえない。
二つ目に、使者たちの待機場所の共有。原作のように水盆から現れて武器やアイテムを渡したりしてくれる使者たちは、周を重ねたときに武器と銃の贈り物をしてくれる。
これを再現するのに、俺は夢を利用した二つの亜空間を作り、アイテム貯蔵庫と使者の待機場所を作った。
狩人の夢にも収納箱があるが、あちらは見た目に反して入る量が無限にも見えるが、一応容量が各アイテムごとに決まっている。対してアイテム貯蔵庫はあらゆる販売アイテムが無尽蔵に存在しているのだ。使者たちはそこから欲しいものや言われたものを引っ張ってきて、セイアや俺に渡す。
使者たちの待機場所はその名の通りだ。各個体の私室が集まったアパートみたいな感じの空間と、集まる広場的な空間で構成されている。ここから気が向いたやつが俺やセイアの助けになるために出てくるのだ。
使者たちの知能は高くしていないため簡単な命令しか聞かないものの、心優しい性格にしている。
だからヤーナムで疲れて帰ってきたセイアのことを慰めようと足元でわちゃわちゃしてたりする。結構可愛い。
さて、使者たちで音を共有してヒフミ、ハナコ、先生の話を聞いているわけだ。俺がこの前アズサについてハナコに注意をしたけど、あれのせいで話の内容変わったりしてない?大丈夫かな?
ぶっちゃけ注意してから(あ、これまずい?)って思ったからなぁ……その場で適当に考えたムーブするんじゃないよね、やっぱり。
みんなは考えて行動しような!上位者とのお約束だ!
『確かに試験も大切ですが、ただ落第というだけです。身体の健康と比べられるようなものではないと思いませんか?』
“それは……”
さて、会話の内容に戻ろう。といっても原作と変わらず、アズサが寝てないから寝かせようっていうのをハナコが提案しただけだった。
『ただ、ただ「落第」で済む話ではないんです……!あと2回、どちらの試験も不合格だったら……退学なんです!私たちは、トリニティを去らないといけないんです……!!』
そして、ヒフミがハナコに補習授業部の真実を伝える。
“じつは……”
そうして、先生とヒフミに全てを教えられたハナコ。
『……ごめんなさい、知らなかったんです。失敗したら、まさか「全員が退学」だなんて……』
『……いえ、知らなかったからと言って、許されるものではありませんね……』
『先生にも、ヒフミちゃんにも……アズサちゃんとコハルちゃんにも、それにカオリちゃんにも……申し訳ないことをしました……』
『……ごめんなさい、先生』
そして、ハナコの謝罪。これでハナコはテストを真面目に解くようになったな。
……俺に注意されたこととか何も言わないんだ……何かしら言うかもな〜とは思ってたんだが。
俺がそう考えている間にも話し合いは進み、ハナコは補習授業部の怪しい点と、ここまでの仕打ちをしたのはナギサだということに気がついていた。
『……とにかくアズサちゃんとは、後でもう少しお話をしてみた方が良いかもしれません。その他についても幾つか、私の方でも確認してみます。それと……』
……ん?それと???
『……カオリちゃんのことなのですが……』
来た!
『……カオリちゃんの?』
ヒフミが聞き返す。
『……はい。カオリちゃんもアズサちゃんと同じように、今まで寝ているところを見たことがありません。先生はありますか?』
“……ううん、無いね。私が寝た後に寝て、私が起きる前に起きているみたいだし……”
『……ただでさえ短い先生の睡眠時間よりも短い時間しか寝ていないんです。カオリちゃんは平気な顔をしていますが、このままだと確実に体調を崩してしまうと思います……』
『…………』
“…………確かに”
ハナコの言葉に納得する先生とヒフミ。
『……カオリちゃんについては、先生の方からお願いします。私たちよりも先生の方が、カオリさんとの仲もより深いでしょうし……』
“うん、わかったよ”
先生がハナコの頼みを請けおった。
『あの、ハナコちゃん……これからは、3人で情報を共有しませんか?』
そう切り出したのはヒフミ。
『あら、それは……私もこの、深夜の密会に参加させていただけるということでよろしいですか?うふふ、嬉しいです♡』
“じゃあもう遅いし、そろそろ寝ようか”
『『はい!』』
こうして、夜の秘密の密会は終わったのだった。
……うーん、先生と話すの面倒になったぞ???
……ごめんなさい
もう、お渡しできるものはなにも、ないの
あなたの感想と……できれば高評価を、祈っているわ
この夜が、あなたと共に明けますように
セイアのヤーナム編は
-
いります!!DLCまでやれっ!!
-
欲しいけどDLCまではいらない……
-
いらない……