見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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26.水着パーティー?

 

 

 

 俺は見回りを済ませ、アズサやハナコたちが寝静まったのを使者たちを使って確認してから先生の部屋へ戻った。

 

 “やぁ、カオリ”

 

「……先生か。先に寝ていてくれと言っただろう?」

 

 “そういうわけにもいかないよ”

 

 時間はすでに日付を回っている。先生だって眠いはずだが、はっきりと意識を持った様子でこちらを見据えていた。

 

 “カオリ、あまり寝てないでしょ?私ですらカオリが眠っているのを見たことがないんだけど……”

 

 先生人のこと言えんだろうが!!

 

「そうさね。私はあまり……というよりも、全く眠っていない」

 

 “……全く?一睡もしてないの?”

 

「ああ。我ら狩人は眠らないのだよ……血の医療を受け、獣を狩る使命を得た狩人は、悪夢を渡り夜の街を歩く。眠れば獣に殺され、群衆に吊るされる。故に我らは眠らないのさ」

 

 なんとか詭弁で誤魔化せないかなぁ……

 

 “……でもそれは、昼の間に寝て夜に起きたりするでしょ?”

 

 鋭いご指摘!だよね、俺もそう思う!

 

「なぜ夜が明けた状態で寝なければいけないのだ?夜が明けたのならば起きているべきだろう」

 

 “えっ”

 

「我ら狩人は特異な体質を血の医療で得る。疲労せぬ強靭で再生の速い肉体、鉄塊を軽々と操り武器の機構を作動させるほどの怪力、少し休憩すれば回復するスタミナ」

 

「睡眠の必要は限りなく少なく、また強靭な意志によって捩じ伏せればなんの問題もない」

 

 “……肉体改造ってこと?”

 

「そうさね。同じ血の医療を受けたとて、ヤーナムの一市民と狩人はまた違う。幼子ですら月の上がった深夜に起きている街ではあるが、異常なのは我ら狩人の方だ。昼は排他的な市民たちに排除されぬよう接し信頼を得、夜は獣を狩る。そういう存在が我らなのだ」

 

 “……でも、ここはヤーナムじゃない。カオリだって眠らないといつかは倒れちゃうよ”

 

「貴公が言うか、先生?」

 

 “うぐっ”

 

「……まぁいい。先生が私のことを慮っているのはわかった」

 

 “それじゃあ……”

 

「……だが狩人は、他人に眠る姿を見せることはほとんどない。いつ死ぬか……獣に喰い殺されるかも定かではないからだ」

 

「……睡眠は先生が眠った後にさせてもらう。だから先生。早く寝たまえよ」

 

 “……うん、しょうがないね。わかった、私も早く寝るようにするからカオリも寝てね?”

 

「ああ……」

 

 なんとか誤魔化せた……まぁ次追及されたら私がどっかにいってる時は寝てる時だって説明しよう。夢には行ってるから間違いではないし……

 

 “じゃあ、寝ようか”

 

「ああ、そうしてくれ」

 

 こうしてまた一日、合宿の日は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝。

 

 

 

 ザァァァァァァァァァァァァァァ……

 

 

 

 ……大雨だな。今日が水着パーティーの日か……

 

 装備スロットの裏に『獣狩りの松明』をセットして、アイテム欄には『携帯ランタン』を用意。さらに『輝く硬貨』も準備しておく。

 

「先生よ、起きろ」

 

 “んん……カオリ……?”

 

「一悶着ありそうだぞ」

 

 

 

 俺の警告通り、補習授業部の面々は昨日洗濯に出し、干してあった服が雨に濡れていて、それを取り込むために着ていた体操服まで濡らす羽目になってしまった。

 

 そして着替えるため、洗濯機に体操服も入れ、下着姿になることに。生徒の下着姿なんて見るわけにはいかない先生は、部屋に戻ってきていた。

 

 “いやぁ、大変だ……”

 

「くく……こんなこともあるのだな。キヴォトスは面白い。瑣末な事が一大事なのだから」

 

 実際に目にすると割と面白い。

 

「それにしてもこの雨……漁村を思い出すな」

 

 “漁村?”

 

「ヤーナムにかつてあった幻の村さね……雨が降り続け、雷が落ちるような村さ。今はどうなっているのかわからないが……海の底に沈んだか、あるいは……」

 

 司祭の雷攻撃に初見では苦戦させられたものだ……瘤あたまと怨霊を放つ司祭はさらに強かったが。

 

 そんな話をしていると。

 

 

 

 ビシャアアアァァァン!!!!

 

 

 

 …………停電ですね。

 

 “わ、停電!?”

 

「落ち着け先生」

 

チャリ……ポゥ……

 

 俺はすぐに携帯ランタンを腰につけ、点灯させる。

 

 “お、おお……ランタン?”

 

「ああ。そして先生はここにいてくれ。彼女たちは困っているだろうが、今は下着だろう。私が行く」

 

 “あ、あぁ……そうだね……”

 

 先生にそう言って、俺は洗濯機のある場所へと歩いていく。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、カオリちゃん!」

「助かった、カオリ。ありがとう」

「あら、ランタンですか……お洒落ですね♡」

「あ、ありがとうカオリ……」

 

 俺は洗濯機の前で立ち往生していた補習授業部の4人を見つけた。

 

「急いで何かに着替えるかするといい。下着姿では先生はどうにもならない。水着を持っていただろう?」

 

「み、水着……!?」

 

「うん、下着よりは水着の方が面積が大きい。濡れても問題ないし、その方がいいと思う」

 

「あはは……でも、その方が良さそうです。コハルちゃん、はやく着替えましょう!」

 

「ひ、ヒフミ!?」

 

「うふふ、早く着替えてしまいましょうね」

 

「う、うう……」

 

 コハルも何も思いつかないようで、下着よりは水着の方がいいのか渋々文句を言わずに着替え始めていた。

 

 

 

 

 

 そうしてやってきたのは合宿所の体育館。

 

 “……で、こうなったと”

 

「ええ。こうなっては、パジャマパーティーならぬ水着パーティーをするしかありません♡」

 

 ハナコが経緯の説明をしたのち、そう言った。

 

「あうぅ……な、何か他にもありそうな気はしますが……」

 

「こうなると授業もやりにくいし……こんな落雷くらいで全部の建物が機能不全だなんて、ひどいセキュリティだ」

 

「まぁ、古い建物ですし……」

 

 アズサとヒフミがそう会話した。

 

「っていうか待って!流されないわよ!?水着パーティーって何なの!卑猥!!授業もできないし着る服も無いところまでは同意だけど、だったらおとなしく部屋で休めばいいでしょ!普通に考えて!」

 

 うーん、ど正論。

 

「あら、ですがこういう時間こそ合宿の花だと思いませんか?それに、この場で灯りはカオリさんのつけているランタンのみ。雰囲気は最高です!」

 

 松明も持ってるけどね……まぁ、ランタンだけの方が雰囲気出るしいいか。

 

「まぁそうは言ってもただのおしゃべりですし、話題もなんでもアリということで♡ふふっ♡私こういうこと、すっごくしてみたかったんですよね♡」

 

 ワクワクとしている様子のハナコ。

 

 “ハナコ、本当に楽しそうだね”

 

「ああ、そうさね。活き活きとしている」

 

「気持ちはわかる。私も何なら、補習授業部に入って以来ずっとそういう気持ちだ。何かを学ぶということも、みんなでご飯を食べることも、洗濯も掃除も、その一つ一つが楽しい。水着は泳ぐ時にだけ着るものだと思っていたのに、こんな活用方法があるなんてことも初めて知った。知らなかったことを知れるというのは、楽しいことだ」

 

「あら、アズサちゃんもこう言ってます。水着の素晴らしさがわかりましたか、コハルちゃん?」

 

「いやダメ!それで外を歩くのは犯罪だから!納得しちゃダメ!公然猥褻罪だよ!?」

 

 

 

 わいわいとコハル、アズサ、ハナコが話している横で、俺と先生、そしてヒフミはそれを眺めながら話していた。

 

「ふむ。アズサもいい笑顔をできるようになってきたな」

 

 “そうだね”

 

「アズサちゃん……最初はあまり表情の変化も読み取れなくて心配でしたが……良かったですっ」

 

 それを聞きつけたのか、こちらに向くアズサ。

 

「もちろんヒフミもだ本当にいつも世話になってる。ありがとう」

 

 今日一番の笑みでヒフミへと感謝を伝えたアズサ。

 

「……あ、アズサちゃんっ!!うわーん!」

 

 感極まった様子でアズサに抱きついたヒフミ。

 

 

 

「……先生よ、美しい光景だな」

 

 “……うん、そうだね。カオリのランタンしか光源がないのが残念だよ”

 

 

 

 そうして、補習授業部一同は話に花を咲かせた。

 

 

 

「トリニティのアクアリウムで、『ゴールデンマグロ』という希少なお魚が展示されているそうですよ?」

 

「マグロ……海、か。そういえば一度も行ったことないな」

 

「そ、そうなんですか!?一回も……!?」

 

 

 

「それで、とっくに壊れたアミューズメントパークなのにも関わらず、夜になると何やら騒がしい音が聞こえてきて……」

 

「そ、そんなわけないじゃん!聞き間違えよ!」

 

「まぁ、私もそういう噂として聞いただけですが……」

 

 

 

「え、ビルゲンワース啓蒙学院って今学校として機能してないの!?」

 

「そうさね。発狂事件でみな倒れてしまったから……今はトリニティの事務官が学校機能を保たせているはずさ」

 

「……そうなんだ。初めて知った」

 

「ああ。ビルゲンワースは閉鎖的な環境だからね。アズサを始め、みんなが知らないのも無理はないさ。トリニティも大々的に知らせてはいないからね」

 

 

 

「アズサちゃんは、夜はきちんと眠った方が良いと思いますよ?」

 

「……うん。今朝は寝坊して迷惑をかけてしまった。慣れない場所で寝坊なんて、これまでほとんど無かったのに……」

 

 少し考えるような素振りを見せたアズサ。

 

「……もうここは、『慣れない場所』じゃないからかもしれないな」

 

「……とにかく、もっとしっかり寝たほうがいいです。初日にアズサちゃんがやろうとしていた見張りや見回りなんかもカオリちゃんがしてくれていますし」

 

「……うん、そうだね。これからは気をつける。私のせいで、先生とカオリ、そしてみんなが被害を受けるのは本意ではないから」

 

 しゅんとしてしまったアズサ。

 

 “アズサは優しいね”

 

「なっ……こ、子供扱いしないで、先生。私は別に……そんなのじゃない」

 

 アズサは先生の言葉に少し照れた様子を見せた。

 

「だってこの世界は、全てが無意味で、虚しいものだ。だから、もしかしたら……」

 

 

 

「私はいつか、裏切ってしまうかもしれない……みんなのことを、その信頼を、その心を」

 

 

 

 “……”

 

「……」

 

「……」

 

 先生と俺、そしてハナコは黙り。

 

「アズサちゃん……?」

 

「……?」

 

 ヒフミとコハルは、言っている意味がわからなそうな顔をしたその時。

 

 ジジッ……

 

 チカッ

 

 停電していた電気がついた。

 

「あ、電気が……」

 

「直ったみたいですね」

 

「あ、雨もいつのまに……!」

 

 安心できる状況が整い、ほっとするような雰囲気になるみんな。

 

「では、改めて洗濯しましょうか」

 

「うん。じゃあ、第1回水着パーティーはここで閉幕か。2回目も楽しみにしている」

 

 

 

「2回戦とか無いから!!こんなの最初で最後だから!!」

 

 

 

 そのコハルの締めの一言の後、とりあえず洗濯をするためにみんなは一旦解散したのだった。

 

 

 




狩人様にも水着があれば参加できたのになぁ……
でもフロム主人公は「御子の忍」をのぞいて泳げないしなぁ……



……なんだい、あんた読者かい……それに、外からきたんだろう?
因果なことに巻き込まれちまったね。特に今夜は、ひどいものさ
これは後輩に、餞別だよ
(感想ボタン、高評価ボタン)
……しっかりするんだよ
もう誰も人じゃあない。人を喰らう獣どもだからね…

セイアのヤーナム編は

  • いります!!DLCまでやれっ!!
  • 欲しいけどDLCまではいらない……
  • いらない……
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