見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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28.深夜の出来事

 

 

 

【チョコケーキ】

トリニティのスイーツ屋で買った高級チョコレートケーキ。

チョコレートの香りと甘みは狩人の精神と意思に作用し、速度を一時的に大幅に上昇させる。

チョコレートは人を癒し、また獣には有害だ。これを食べる事こそが、まだ獣に堕ちていないという証拠になるだろう。

 

 

 

 体が軽い。いつもの2倍ほどの速さで走れている。『古狩人の遺骨』を使った時でもここまでは早くないぞ……!

 

「か、カオリちゃん……はやっ……!」

「さすがカオリ……」

「は、速すぎじゃないの……!?」

「私たちが着くより早く終わりそうですね……」

 “お、おいてかれる……”

 

 そんな声を聴き流しながら、ぐんぐんと前に進んでいく。走り続けていると、やがて見えてきたのは四人組の生徒。

 サッと左手に持った『教会の連装銃』に『骨髄の灰』を使い、威力を強化しておく。

 見えてきたのはハルナ、アカリ、イズミ、ジュンコだ。ハルナは肩にぐるぐる巻きのミノムシ状態のフウカを担いでいて、イズミはゴールデンマグロをがっしりと両手で捕まえている。

 

 

 

 ─【BGM:Watchers】─

 

 

 

 俺が相手を視認したからかBGMが流れ始めた。流れているのは聖杯ダンジョンボス戦と『ヤーナムの影』戦で流れる音楽。

 おどろおどろしい雰囲気だがどこか神秘的な音楽が場に響き渡る。

 

「なに、この音──うわ、何か来た!?」

 

 ジュンコに気が付かれるがもう遅い。俺は取り出した『教会の石鎚』をジャンプしながら縦に大きく振った。

 

「ふんっ!!!!」

 

 

ドゴシャアッ!!

 

 

「あ、アカリーーーー!?!?!?」

 

 ジュンコの絶叫が響き渡る。

 俺が教会の石鎚を振り下ろしたのはアカリ。俺が通常より加速された石鎚ジャンプ攻撃を振り下ろしたせいか、潰れた缶ジュースのようになった。

 

 ……原作もそうだが、潰れた缶ジュースみたいになるってなんだ……???

 いや、そうとしか形容できないんだけどさ……

 

「アカリさんが一撃で……凄まじい使い手のようですね!逃げましょ──」

 

 サッと転身しようとしたハルナの頭に、灰で強化された教会の連装銃の弾丸を放つ。

 教会の連装銃は2発の弾丸を同時に放つ銃。一度の銃撃での単純威力は大砲系列を除けば最高火力だ。

 

 頭を2発同時の高威力弾丸によって揺さぶられ、一瞬で昏倒するハルナ。

 

「むぐっ!?」

 

「は、ハルナまで!?」

 

「あわ、あわわわわ」

 

 残されたのはジュンコとイズミ。フウカは……ハルナが倒れた時に地面に叩きつけられたな。ごめんよ……

 

「さて、君たち……」

 

「ひっ!?」

「ひゃっ!?」

 

 俺が声をかけると、びくりと肩を震わせるジュンコとイズミ。

 

「大人しく捕まるのであれば、痛くはしないが……どうするかね……?」

 

 ジャキッ、ズッ……と石鎚を構え、声を低くし脅す。

 

「ご、ご、ご……」

 

 

 

ご、ごめんなさいぃぃぃぃーーーっ!!!!

う、うわぁぁぁぁぁぁん!!!!

 

 

 

 こうして、俺は美食研究会を速攻で鎮圧することに成功したのだった。

 

 

 

「はぁ……はぁ……カオリちゃん、早すぎです……ってこれは……」

「……うん。カオリが全て終わらせてた」

「え、えぇ……!?」

「あら……?」

 

 補習授業部とハスミ、そして先生がやってきた。

 

「……流石ですね……」

 

 “すごい……何があったか見る間もなく終わっちゃった……”

 

 いつの間にか集まってきていた正義実現委員会のモブちゃんたちが、美食研究会とついでにフウカを捕まえ連れて行く。

 

 “お疲れ様、カオリ”

 

 

 

ギィヤハハハハァァ!!!!

 

 

 

 “「「「!?」」」”

 

「この叫び声……」

 

「こ、この声……!」

 

 ハスミとコハルのみが、驚きつつも心当たりがあるような顔をした。

 

「ギャハハハハハァ!どこだぁぁぁぁ!?………ん?カオリか?」

 

 大通りに叫びながら超速で走り込んできたのは、ツルギ。

 

「……ハスミが側にいるということは、協力要請か……」

 

「ああ、ツルギ……鎮圧は終わったよ」

 

「そうか、協力感謝する」

 

 

 

「ツルギ、あなたまた勝手に出動しましたね!?しかも、本部の壁を壊して……!」

 

「ぐっ……すまなかった」

 

 おお、あのツルギがしゅんとしてる……

 

「はぁ……後で説教です。先に本部に撤収していてください……」

 

「……了解だ。カオリ、協力感謝する……」

 

「ああ、また会おう」

 

 正実と捕まえた美食研究会、フウカを連れてツルギは去っていった。

 

 

 

「……さて、お疲れ様でした。先生、補習授業部のみなさん、そしてカオリさん。お陰様で、事態を無事に収束することができました」

 

 “あ、あはは……私たち、ただ走っただけだったけど……”

 

「あはは……」

「うぅ、せっかくハスミ先輩と一緒に戦えると思ったのに……」

「うふふ、でもみんなで走るのも楽しかったですよ?」

「ああ。それに、事態がすぐに収束するのはいいことだ」

 

「ところで、あの方々はこの後どうなるのですか?」

 

 ハナコがハスミに質問する。

 

「本来ならば私たちの方でこの後の処遇を決めるのですが……今回は時期が時期ですので、ゲヘナの風紀委員長に託そうかと」

 

 “なるほど……”

 

「そこで、先生にもう一つお願いがあるのですが……」

 

 “うん、何をしたら良い?今回はカオリが頑張ってくれたから、私も何かしなきゃね”

 

「エデン条約のことを考えると、ここから先も私たちが能動的に動くのは少々避けたいところです。ですので、風紀委員会への引き渡し……この部分を先生にお願いできませんでしょうか?『シャーレ』が生徒を引き渡す……この形でしたら、私たちにとってもゲヘナ側にとっても、政治的な憂慮がだいぶ減るのです」

 

 “わかった、任せて”

 

「はい、何から何までありがとうございます、先生。それでは、私たちは引いた位置にいますので……よろしくお願いします」

 

 “あ、補習授業部の子達とカオリは……どうしようか……?”

 

「顧問は先生だ。勝手に帰るわけにもいかないだろう?後ろで静かに待っておくことにしよう」

 

「は、はい!多分それがいいかと……」

「うん、そうしよう」

 

 こうして俺たちは、ゲヘナへの引き渡しについていくことになった。

 

 

 

 先生が、美食研究会を乗せた護送車の横に立っている。

 

『お待たせしました』

 

 ゲヘナ風紀委員の車両を待っていたら、やってきたのは救急車。中から出てきたのは、救護医学部のセナだ。

 

『納品リストには、新鮮な負傷者2名と人質1人、同伴者2人と書かれていますが……あなたは?正義実現委員会ではなさそうですが……?』

 

 そうセナが先生に言うと同時に、救急車からもう1人現れる人影。

 

『その方は、シャーレの先生』

 

 声を上げたのは、軍服風の制服に、長くモサモサとした白い髪。厳ついヘイローに、肩から下げた重機関銃……ゲヘナ風紀委員会の委員長、空崎ヒナだ。

 

 “ヒナ!”

 

『久しぶりね、先生。いつぶりかしら……』

 

『知り合いでしたか、風紀委員長』

 

『うん……まあ、そうね』

 

 その後、先生が色々と事情を説明する。

 

 結構遠くで3人とも話しているんだが……俺の耳がいいのかなんなのか、ちゃんと全て聞こえてくる。そういえばミカと先生が話す時もこうだったな……なんでだ?

 

『救急医学部は、今ゲヘナの中で特に政治的な関わりが薄い部活。私がここに来ているのも、救急医学部がきていることになってるから…………うん、とりあえず、引き渡しは終わり……セナ、そこで少し待ってて』

 

『先生、少しいいかしら』

 “?”

 

 サッと5人の引き渡しを終え、原作通りに話し始めた先生とヒナ。

 トリニティの今の状況と、先生がトリニティで体験したことを全て話していく。

 

『……「トリニティの裏切り者」、ね……数多くの言葉が飛び交い、誰の言葉が真実なのか、誰が嘘をついているのか分からない状況……』

 

 “色んな見方がありそうだなって思って。見方によって、真実は変わるかもしれないからね”

 

『慎重なのか楽天的なのか、ほんと分からないわね……それに、転校生の話も気になるわ』

 

 スッと俺を遠目に見据えてくるヒナ。

 

『…………いえ、先生ならなんとかするだろうし……私の領分ではないわね。ところで、こんな大事なことを私に話していいの?』

 

 あ、あっぶねぇぇぇぇ………………

 

 ヒナと俺の相性は最悪だから、あまり戦いたくはないな……

 

 ホシノとツルギはショットガンで近接戦闘の可能性が高いため、まだ勝ち目はある。しかし、ヒナは学園最強格唯一の重機関銃持ちだ。イシュ・ボシェテを遠距離からばら撒かれれば、俺ではなすすべもなくやられてしまうだろう。ネルは……近づいてきてくれることを祈れば、ワンチャンあるか?

 

 そんなことを考えている間にヒナと先生の話し合いは終わっていた。

 

『……じゃあ、またね』

 

 “うん、また”

 

 

 

 引き渡しと話し合いを終え、救急車を見送った先生が、こちらに戻ってくる。

 

「お疲れ様です、先生。本日はこれで解散で構いません」

 

 ハスミにそう言われ、こちらに向き直る先生。

 

 “よし、一件落着だね。それじゃ、帰ろうか。もう遅いしね”

 

「あ、あはは……明日、大丈夫でしょうか……」

 

 そんなヒフミのぼやきを聴きながら、俺たちは帰路に就いたのだった。

 

 

 




潰れた缶ジュースになるって……なんだ……???

今回の話、原作と同じように戦闘自体はちゃんとゲームとして行われますが……ハスミや補習授業部を編成してはいますが、辿り着いた頃にはNPCのカオリが爆速で全て倒してしまいます。
そして今まではテキスト戦闘のみだったキャラモデルがここで初登場になり、カオリ好きな人は燃えます。補習授業部好きな人は、改めてカオリおかしくね?優遇されてね??と違和感を抱きます。

コメントで指摘され、書き忘れに気がついたので追記しました。



……どこもかしこも、読者ばかりだ……
……貴様も、どうせそうなるのだろう?

……匂い立つなあ……
堪らぬ感想と高評価で誘うものだ……
えづくじゃあないか……
ハッハッハッ……ハッ、ハハハッ
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