見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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今回の話の時系列は、完全に今の本編とは切り離された時間の出来事です。エデン2章が終わった後、ということだけは確定してます!


30.【番外編】小さな祝福の日

 

 

 

 本日11月24日はBloodborne DLCの発売日だ。このブルーアーカイブの世界にBloodborneは売っていないしプレイもできないけれど、嬉しい日ではある。

 そして……

 

 

 

 

 

 “お、いたいた。カオリ、誕生日おめでとう”

 

「……ん、ああ先生……ありがとう」

 

 そう、今日は俺が誕生日として自己申告で設定した日でもあるのだ。

 

「カオリちゃん、おめでとうございます!誕生日プレゼントを渡しにきました!」

「カオリ、おめでとう。私からもあげる」

 “私からも、あげるね”

 

「あ、ああ……ありがたくもらっておくとするよ」

 

 何をするでもなく自室にいた俺のところにやってきた先生に開口一番に祝われたかと思えば、先生と一緒にいたアズサにプレゼントを渡された。ヒフミは……何やらいつものペロロ様リュックとは違い、大きなリュックを背負っている。こちらもデザインはペロロ様だが……

 

 まずはアズサに渡されたものの確認だ。渡されたのは縦長の木箱……ズシリと重い感触がする。

 

 

「……これは?」

 

「砥石のセット。カオリは近接武器を使っているから、手入れ用のものが必要だと考えた」

 

「……随分と高価そうなものを買ったものだな」

 

 俺がそう指摘すると、ぎくっ、というような雰囲気を出し少しだけ目を泳がせるアズサ。

 

「……確かに私の所持金はかなり減った。でも気にしなくていい。これはお祝いだから」

 

「……わかった。だが、苦しくなれば頼ってくれ」

 

「うん」

 

 

 

【アズサからの砥石】

カオリがアズサに誕生日プレゼントで貰ったもの

 

狩人の用いる仕掛け武器に通常の砥石は無意味だ

しかし、その気持ちは十二分に伝わってくる

 

 

 

「……それで、ヒフミのその大きなリュックの中身はなんだい?」

 

 ゴソゴソと先ほどから何かを取り出しているヒフミ。

 

「はい!補習授業部の皆にはアズサちゃん以外にはあまり好まれませんでしたけど……そういえばカオリちゃんには渡していなかったと思い出したので、モモフレンズのグッズです!お好きなものをどうぞ!」

 

 そう言って出されたのは、モモフレンズのキャラクターのぬいぐるみたち。

 どうやら全種類あるのか、玄関先に並べられるアングリーアデリー、ウェーブキャット、スカルマン、ビッグブラザー、ピンキーパカ、ペロロ、Mr.ニコライ。

 

 

 ……よく俺いま全部わかったな?

 

 

「……ふむ、私に選べということかね?」

 

「はい、カオリちゃんがどのモモフレンズが好きか分からなかったので……」

 

「ふむ……そうだな……」

 

 個人的に一番好きなのはウェーブキャットだ。フロムにおいて、猫は縁起がいい……犬と違ってな!!

 フロムの犬は生かしてはおけぬ。どこまでも我らを追いかけまわし、炎を吐いたりワープしてこちらに攻撃してきたり、噛みつかれれば毒になったり……良い犬といえばダークソウル初代の『灰色の大狼シフ』くらいだろう。あの子だけは可愛い。

 

 ……そんなことは置いておいて。今回は素直にウェーブキャットにしておこう。普通に可愛いからな……

 

「その、猫をもらおう」

 

「ウェーブキャットさんですね!この子はモモフレンズと寝具メーカーがコラボした商品なんです。枕になってまして、今年の寝具ランキング第3位にランクインしたこともあるんですよ!」

 

 ほうほう。これは……原作の贈り物にもある、『ウェーブキャットの枕』だな?

 

「ウェーブキャットさんは──」

 

「ああ、待てヒフミ。ウェーブキャット自体の解説はいらない……秘密というのは、自分で暴くことが一番楽しいのだからね。ネタバレ厳禁、というやつだ」

 

「──はい、わかりました!」

 

 よぉしセーフ。流石に解説されても時間がアレだしな……それに、自分で調べてみたいのは本当だ。こういうのは自分で調べるときが一番楽しいからな。

 

 

 

【ウェーブキャットの枕】

カオリがヒフミに誕生日プレゼントで貰ったもの

心地良い感覚は、使い手を素晴らしい睡眠へと導く

 

狩人に睡眠は不要なれど、可愛らしい見た目は心を癒す

人を襲わぬ獣の、なんたる愛らしいことか

 

 

 

 次は、先生からの贈り物だな。

 

「……これは、ペンか?」

 

 渡された細い縦長の箱を開いてみれば、そこにあったのは1本の万年筆。色は黒をベースに金の差し色となっていて非常にオシャレだ。

 

 “うん。カオリなら、鉛筆とかシャーペンよりも羽ペンとか万年筆の方が使いやすいかなって”

 

 ……なるほど。俺の時代背景に配慮したな?確かにあの時代にシャーペンやボールペンなんかないな。鉛筆は……黒鉛だし、多分あったとは思うが。まぁ19世紀ヨーロッパならイメージは優雅に羽ペンでも走らせてるよな。

 

「ああ、ありがとう先生。大切に使わせてもらおう」

 

 

 

【先生からの万年筆】

カオリが先生に誕生日プレゼントで貰ったもの

消せぬことこそ欠点だが、書き心地は他の筆記用具を軽く凌駕する

 

先生は、カオリによく気を遣っている

外来人であることも理由の一つではあるが、主な理由は別にある

 

彼は、狩人の得体の知れなさを、密かに警戒しているのだ

 

 

 

 “私たちはこの後買い物に行くんだけど、カオリはどうする?”

 

「ふむ……私は大丈夫だ。特に買うものもないからな。何もなければ自室でゆっくりとするつもりだ」

 

 先生が俺を誘うようにこの後どうするかを聞いてくるが、俺はそれを断った。買うものないのは本当のことだし……先生といるとだいたい厄介ごとが起きるし……

 

 “わかった。じゃあ行こうか、ヒフミ、アズサ”

 

「はい。ではカオリちゃん、また今度!」

「じゃあ、また今度」

 

「ああ。また会おう」

 

 こうして、先生とヒフミとアズサは去っていった。

 

 

 

 

 

 コンコンッ

 

「ん?鍵は開いている。入りたまえ」

 

 俺が砥石をとりあえず開封し、机の上にウェーブキャットや万年筆と一緒に並べていると、次の訪問者がやってきた。

 

「こんにちは、カオリさん。お誕生日、おめでとうございます♡」

「カオリ、誕生日おめでとう」

 

 やってきたのはハナコとコハル。

 

「君たちも来たのか」

 

「はい。ちゃんとお誕生日は祝わないといけませんからね。私からはこちらをどうぞ♡」

 

 渡されたのは刺繍の入ったハンカチ……これも原作贈り物の『刺繍付きのハンカチ』じゃないか?

 原作贈り物って生徒たちでも送り合うようなものなんだな、やっぱり……

 

「……ハンカチ?」

 

「うふふ、使いやすいもの選びました」

 

「意外だな。ハナコなら性的な本でも持ってくると思っていたが……」

 

「ええ、本当ならそうするつもりだったのですけど……カオリさんに本はあまり合わない気がしまして」

 

 その言葉を聞いて、いつものようにエ駄死顔になりハナコに口を開くコハル。

 

「本当はするつもりだったの!?えっちなのはダメ!死刑!!」

 

「いや、コハル……実行はしていないから問題ないだろう?」

「そうですよ、渡していませんから♡それよりも、コハルちゃんは何を持ってきたんですか?」

 

 ハナコにそう言われて、そういえばそうだとコハルはカバンをゴソゴソと漁りはじめた。

 

「えっと……私からはこれ!最近ハマってる小説を渡しに来たの!」

 

 そう言ってコハルがバッグから取り出したのは、真っピンクの本。表紙には男女が描かれていて、帯には『ひと夏の過ち』と書かれて──

 

 

────それ、官能小説やんけ!?

 

「コハル……それが、今ハマっている小説というやつかね……?」

 

「うん、そうなの!恋愛小説なんだけど、表紙の子が──────!?!?!?!?!?!?」

 

 一瞬でボンっ!という音を立て、ガバッとその本を隠すコハル。

 

「あ、あ、あっ!?!?!?」

 

「うふふ♡コハルちゃん、最近ハマってる本がそんなのだったなんて……♡」

 

「ち、違うの!さっき没収品の整理をしてて、その時に入れちゃったの!!」

 

「うふふ……♡以前もおんなじ間違いをしてましたよね?好きなのは事実なのではないですか?」

 

 ハナコがここぞとばかりに猛攻を加える。以前より親しくなったハナコとコハルの応酬は、レベルが高くなっていた。

 

 ……そういえば俺はコハルに初対面で「嫌い」、とはっきり言われたりもしたが……気がつけば誕生日プレゼントを渡される程度には仲良くなれていたらしい。嬉しい限りだ。

 

「まぁまてハナコ……コハルも間違えただけだ。そうだろう?」

 

「そ、そう!そうなの!こ、こっちがプレゼントだから!」

 

 そう言ってバッとコハルが取り出したのは、ウサギの探偵が表紙に大きく出ている本。

 原作贈り物の『跳躍探偵ウサギ〜霧に包まれた温泉での滑落〜』だな。コハルが好きな小説だったはずだ。

 

「あら、跳躍探偵ウサギですね。私も好きなんです」

 

「ほ、本当!?」

 

 そういえばハナコへの贈り物でもあったな……

 

「……でもコハルちゃん。これ、第三弾じゃなかったですか?」

 

「……あっ!?!?」

 

 そう、この小説は第3弾なのだ。まぁコハルのことだし単純にやらかしたんだろうな……

 

「う、うぅ……ごめん、カオリ……」

 

「いや、構わない。友達に勧められて作品を読み、ハマるというのもよくある話だからね。残り2冊は自分で買ってくるさ」

 

「そ、そう?ならよかった……?」

 

「ああ。問題ないさ。くれてありがとう」

 

 

 

【刺繍入りのハンカチ】

カオリがハナコに誕生日プレゼントで貰ったもの

素朴な刺繍が繊細な美しさを漂わせている

 

血に濡れた狩人に、このハンカチは上質過ぎる

平和な時にこそ、使うべきだろう

 

 

 

【跳躍探偵ウサギ〜霧に包まれた温泉での滑落〜】

カオリがコハルに誕生日プレゼントで貰ったもの

人気小説、跳躍探偵ウサギシリーズの第3弾

 

ミステリというものは、秘密の塊だ

読み進めたまえ

その先にこそ、秘密が隠されている

 

 

 

「では、私たちはこれでお暇しますね」

 

「ほう?もっと話し込むものかと思っていたが……何か用事でもあるのかね?」

 

「いえ、そういうわけではありませんが……カオリさんに用事がある人も、カオリさんが用事のありそうな人もまだいそうですから」

 

 そう言われ、全員で玄関の方まで向かう。

 

「私はこのあとまた正義実現委員会に行くから……間違えて持ってきちゃった本も戻さなきゃいけないし、ハスミ先輩に少し呼ばれてるの」

 

「ほう……」

 

 ……官能小説の方は、本当に間違えて持ってきてたんだな……何と間違えたんだ……?

 

「では、カオリさん♡また今度♡」

「またねカオリ」

 

「ああ、ハナコ、コハル……また会おう」

 

 

 

 

 

 さて、だ。自室の机の上、今日貰ったプレゼントに新しくハナコからもらったハンカチと、コハルからもらった小説を追加する。

 

「さて……そうだな。ここにいても仕方がないし、どこかにでも──」

 

 ピロロン♪

 

「──ん?」

 

 俺のポケットに入っているスマホから通知音が聞こえてきた。サッと確認すれば、そこには──

 

《ツルギ》

『どこにいる?』

 

──とのメッセージが。

 

《カオリ》

『自室だが』

 

《ツルギ》

『今向かう』

 

 …………なんでだ?いや、先ほどまでの流れを考えればこれはツルギも……

 

 

 

 

 

 程なくして、インターホンが鳴らされる。

 

「きひっ、ギャハハ……来たぞ」

 

「おお、ツルギ……まさか来るとはね」

 

「いひひひひっ!……ああ……私を怖がらない数少ない友人だからな……」

 

 そう話す俺とツルギ。玄関前で話すのもなんだから、とりあえず家の中に入れる。

 

「ふむ……普段あれだけ叫んでいるのに、私の前では静かだな。どうした?」

 

「あぁ……お前と話していると、何故だか落ち着くんだ。キヒヒ……いつものように気分が昂りすぎるようなこともない」

 

「そうか……いいことなのか?」

 

 そう聞けば、ツルギは少し眉を顰めてから、こう言った。

 

「あぁ……怖がられてしまうからな……けひっ……何もしていない生徒に怖がられるのは……あまり良いことではない」

 

「……それもそうだな」

 

 そんなことはどうでも良い、とツルギが話題を変える。

 

「けひっ……きひひっ……本題に入ろう。誕生日おめでとう、カオリ」

 

「ああ、ありがとうツルギ」

 

「きひひっ……私の前にも、何人か来たようだな」

 

「ああ」

 

 机の上を見れば、ウェーブキャットの枕、砥石、万年筆、ハンカチ、小説がある。

 

「……被らなくてよかった。贈り物はこれだ」

 

 スッと渡されたのは、立体感のある長方形の箱に入った何か。薄紫色の少し大人びた印象の箱のパッケージには、「サミュエラ」と大きくオシャレな字で描かれていた。

 

 ……高級贈り物!?!?!?

 

「これは……香水か?」

 

「けひゃっ!……ああ。お前は……メイクなどはしないだろう。私も基本はしないからな……崩れるのがオチだ」

 

「ああ」

 

「ならば香水、というわけだ……ヒャハっ!……香水は硝煙や血の臭いを誤魔化してくれる……」

 

「……なるほど」

 

「この香水は、トリニティの中でもかなり高価な部類のものだ……だが、値段に見合うだけの効果はある」

 

「ありがとう、ツルギ……素晴らしい贈り物だ」

 

 これで正実モブちゃんとかに怖がられずに済むかもしれない……なんか俺、結構独特な匂いがしてるらしいんだよな……セイアに聞いたら獣臭、濃い血臭、硝煙の臭い、何やら甘い臭い、そして死臭がするとか……獣臭は上位者パワーで消すこともできるが、なぜか(なんでかはわかりきっているが)濃い血の臭いと硝煙の臭いは消えないらしい。

 

 そのせいで、結構怖がられてるみたいなんだよなぁ……

 

「ギャハハ!……お前も私も、怪我を承知で、回復しながら戦うスタイルだ。血の臭いはどうしてもついてしまう……だがこれならば、それらを上書きできる。臭いが混ざることもない」

 

「ほう……すごいな」

 

「ああ……値は張るが……」

 

「そこらは問題はない。改めて感謝しよう、ツルギ」

 

「あ゛あ゛あ゛……そうか」

 

 

 

【サミュエラ「ザ・ビヨンド」】

カオリがツルギに誕生日プレゼントで貰ったもの

希代の天才調香師「ザ・ビヨンド」が作った、高級化粧品メーカー「サミュエラ」12傑作の一つである

最高級品であるこの香水は自身の臭いを上書きし、敵に気が付かれにくくなる

 

狩人は、様々な臭いに塗れている

だがそれは、キヴォトスには不釣り合いだ

 

 

 

「ひひひひひっ……!……私はこの後、見回りだ……そろそろ行かせてもらう」

 

「ああ。頑張りたまえよ」

 

「あぁ……」

 

 ツルギもまた、誕生日を祝い去っていった……うん、外から元気な叫び声が聞こえる。今日もいい一日だ。

 

 

 

「……さて」

 

 もうこれ以上の来客もないだろうし、どうしようか……と思ったその時。

 

 

 

 ヴァァァァァ……

 

 

 

「ん?使者か、どうした」

 

 唐突に使者が来るなど、今まではなかった……いやこれは……

 

「私を呼んでいるのか?」

 

 ヴァァ!ヴァッヴァッ!

 

 そうだ、と言わんばかりに手を振る使者。

 

「……そうか、セイアか」

 

 使者を見たことで、夢に囚われているセイアが俺を呼んでいるのだと思い当たる。

 

「……セイア、どこで私の誕生日を知ったんだ……?」

 

 

 

 

 

 もぁぁぁぁぁぁぁ……

 

「来たね、カオリ」

 

「ああ」

 

 夢に行けば、やはり待っていたのはセイア。そして、人形がセイアの側に控えていた。しかし、狩人の夢の様子がいつもと違う。

 広場の真ん中に机が置かれ、そこに椅子が3脚。机の上にはティーセットと、ケーキが置かれていた。

 

「……これは?」

 

「もちろん君の誕生日を祝うためのセットさ」

 

 セイアがそう言う。

 

「君の誕生日は自称でしかないが、祝うべきだろう?プレゼントも用意したんだ。まぁ座りたまえ」

 

 すっと、人形がエスコートするように椅子を引く。俺は促されたまま座り、斜め前にセイアが同じく座る。

 

「……人形、座りたまえ」

 

 1人、椅子に座らず立ったままの人形に俺は促した。

 

「しかし……」

 

「私は君を1人の人間として扱っている。ならば、祝いの席に座らせないのはホストにも、創造主にも失礼ではないかね?」

 

「……わかりました」

 

 すっと静かに座った人形。人形ちゃん、俺に対しては従者というかなんというか……一歩引いた位置というより、さらに後ろにいるんだよなぁ……もうちょっと、遠慮なく接して欲しいんだけど……

 

 

 

 

 

「さて……改めて。誕生日おめでとう、カオリ」

「お誕生日おめでとうございます、狩人様」

 

「ありがとう、セイア、人形」

 

「ほら、私たちからのプレゼントだ。開けてみるといい」

 

 そう言われ手渡されたのは、リボンで封をされた小さなパッケージの箱。リボンを解き中身を取り出してみる。

 中から現れたのは、血に染まった黄金の糸で編まれたミサンガ。

 

「……これは?」

 

「私の尾と耳の毛で編んだものさ。ヤーナムの品を贈ることも考えたが、君は既になんでも持っているだろうと考えてね。血に染まった私の毛を、人形に編んでもらったのさ」

 

 ……ん?え、これもらってもいいのか……?

 

「ヤーナムでアリアンナやアデーラが血をくれたのを思い出したんだが……流石に血を贈るのは私には無理でね。これぐらいしか贈るものが思いつかなくてすまない……ただ、神秘は乗っているはずさ」

 

 いやそういう問題じゃなくて……毛とはいえ、自分の身体の一部を編んだものを相手に渡すって……求愛とかそんなんじゃない???

 

 え?本当にいいのか?そういうことなの??俺、セイアに求愛されてんの???いや、めっちゃ嬉しいよ?セイア好きだし。今すぐOKしても────いやいや待て待て……驚きすぎて勘違いしそうになったが、キヴォトスでは普通のことかもしれない……

 

 ちょっと聞いてみるか……

 

「……自分の毛を編んだものを贈る、というのはいいのかね?」

 

「ああ。小さい頃にどこかで読んだ本で、『贈り物にいい』と書かれていたのを思い出してね。まあ作る機会も特になく、普通に市販品などを贈っていたんだが……」

 

 ……せ、せーふ……いやこれは限りなくアウトか?ダメな気がしてきたぞ??

 

「……ちなみになんだが、その本の表紙にはどのようなことが書かれていた?」

 

「先程から何だい?でもそうだね、確か……『絶対に想いを伝える』、と書いてあったかな……かなり前だから、うろ覚えだが」

 

 アウトーーーーーー!!それ絶対恋愛対象に贈るやつ!!セイアさん!?知らないの!?絶対そういうやつ知ってると思ってたんですけどーー!!!???

 

「カオリ、私は君にとても恩義を感じているし、感謝している。夢を彷徨うだけだった私をここにおき、力を得る機会を与えてくれたからね。受け取ってくれるかい?」

 

「……あ、ああ……受け取っておこう……」

 

 …………こりゃ後でちゃんとしたの調べなきゃな……自分の毛で作ったものを渡すのがプロポーズや婚姻の証だったら目も当てられないぞ……セイアにしてはかなり珍しく知らない分野……

 いや、お嬢様だし世間知らずなのか?それか難しい話や哲学的なことには詳しいが、恋愛方面には疎いとか……?

 

 ……あ、人形ちゃん……プレゼントのインパクトが強すぎて影が薄く……ほんとごめんな……

 

「人形は、これを編んでくれたのだろう?ありがとう」

 

「はい、狩人様……微力ですが、喜んでいただけたのなら嬉しいです」

 

 人形は表情は変わらず、身振りなんかもしないが……声がいつもより柔らかで、喜んでいることがはっきりわかる。かわいいな……

 

 

【金血毛のミサンガ】

カオリがセイアと人形に誕生日プレゼントで貰ったもの

血に染まった金毛は神秘に溢れ、人形の手によって余す事なく織られている

触媒として使用すれば一度だけあらゆる攻撃を予知し避けることができるだろう

 

セイアは、カオリに恋愛感情など持っていない

これは、親愛の証なのだ

今は、まだ

 

 

 

 

 

「ああ、それと」

 

「うん?」

 

 何かを思い出したかのように、セイアが声を上げた。

 

「洋館の中に、見覚えのないラッピングされた箱があるんだが……あれは君のかい?」

 

「……なに?」

 

 なにそれ知らない。贈り主に心当たりもないし、そもそもここに干渉できるやつとかいないだろ……最近俺を崇拝し出した黒服ですら、俺に会いに来ようと全力で干渉しても『星輪樹の庭』への侵入が限界なんだぞ?

 

 ……うん、本当に誰だ……?

 

「……確認してみよう。ここで待っていてくれ」

 

「ああ、わかった。人形、私たちはアレの準備でもしようか」

 

「はい、セイア様」

 

 ……アレってなんだ?

 

 

 

 

 

 洋館の中に入り見てみれば、そこには少し大きめのプレゼントボックスが。

 開いてみれば、何着かの衣服と同時に手紙が入っていた。

 

 早速読んでみる。

 

 

 

『わたしのあなたへ

 

お誕生日、おめでとうございます

キヴォトスは楽しいところでしょうか?

わたしはあなたといられて幸せです

あなたがわたしの身体を使っているのを見て感じることは、とても幸福なことです

今度は直接声が聞こえればいいですが

プレゼントとして、ヤーナムにあったものであなたが手に入らなかった衣装も入れておいたので、喜んでもらえるとうれしいです

 

あなたの上位者より』

 

 

 

 ………………えっ、誰???

 

 ……「あなたがわたしの身体を使っている」って、つまりこの身体の主……いや、上位者と言ってるし俺の本体の本来の持ち主なのか?

 

 ……つまりレベルカンスト世界の、「幼年期の始まり」エンドの狩人か?俺の持っていない衣装、ってところからもヤーナム出身で、尚且つ俺が得た装備を理解してるってことだし……

 ……まじで?

 ……ま、まぁ……今度本体に行った時に、確かめることにしよう。

 

 入っていた衣装は主に2種類。ヤーナムのものと、そうでないものだ。

 ヤーナムのものは、アンナリーゼ装備や「ヤーナムの少女」の姉のワンピース、ヤーナムの影の衣装、女王ヤーナムの白いドレス、実験棟患者の拘束服なんかが入っていた。

 ……神か?いや上位者だったわ!今度ご挨拶に伺おう……!

 

 着れるかどうかは別として、めちゃくちゃありがたい……!女王ヤーナムの白ドレスとか、裾めちゃくちゃ引きずることになるし……俺、TSしてるけど元男だからドレスとかあんまり着たくないけど……!

 

 ま、まぁ?正装が必要になる可能性も十分あるし?トリニティだし社交会とかあるかもしれないし?ありがたいっちゃありがたい。

 

 

 

 

 

 ……まあ、上位者に会いに行くのはまた今度だ。

 

「やぁ、どうだった?」

 

「ああ。あれは私宛だったよ……ところで、それは?」

 

 テーブルの上では、6体ほどの使者が何かを持ち上げていた。それぞれが手を伸ばし、バランスが良くなるよう綺麗に。いつもとは比べ物にならないほどシャッキリとした姿勢だった。

 

 ヴァアァァァ!

 ヴァヴァー…!

 

 彼らが持ち上げているのは、小さいホールのケーキ。白いクリームにイチゴの乗った、ショートケーキだ。

 

「これは彼らからのプレゼントさ。どこからか材料を持ってきて、一生懸命作っていたんだよ?」

 

「ほう……?」

 

「私と人形も少し手伝ってね。いい出来になったはずさ」

 

 ヴァアァァァ!

 ヴァァァア!

 

 テーブルにケーキをおろし、きゃっきゃと動く使者たち。残念ながらご飯を食べられるように作っていないので、彼らは作るだけ作って食べてもらうことしかできないが……

 

「カオリ。ゆっくりしていかないかい?」

 

「なるほど……では、茶会と行こうかね?」

 

「ああ。改めて、誕生日おめでとう。月乃カオリ」

 

 

 

 こうして俺とセイア、人形は小さな茶会を開き、小さなお祝いの日は和やかに過ぎていった。

 

 

 




ついに、ついにコズミックヤンデレ上位者ちゃんを出す布石を打てました。どこで出そうかな?

前回投稿後に気がついたのですが、Bloodborneタグがついているのに今まで曇らせタグがついていませんでした。どう考えても曇らせ展開回避するより曇らせの方がBloodborne的なのに……
なので、曇らせタグを追加させていただきました。

曇らせタグはつきましたが、本職ほど曇らせ純度を高くできる気もしませんし、最後はハッピーエンドになる予定なので、気楽に読んでくださると嬉しいです



『……むぅ、来てくれませんでした』

『カオリさんが1番気に入りそうなものを選んだつもりだったんですけど……』

『やっぱり、あのセイアって子がカオリさんのお気に入りなんでしょうか?』

『……カオリさんはわたしのものなのに……』

『……ん?あ、読者の皆さん!お久しぶりです!』

『ぜひ高評価と感想、ここすきをくださいね!お気に入りやしおり、誤字報告も作者は喜んでますよ!』

『よろしくお願いしますね!』



『ほら、早く続き書いてください』
ひぇっ……は、はい
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