見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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新年明けましておめでとうございます
今年もよろしくおねがいします

みんな強いミネ好きだろ?私もだ


34.救護の手

 

 

 

─【BGM:The Night Unfurls】─

 

 

 

 先手はミネだった。

 脅威のジャンプ力で空中に浮かび上がり、そのまま地面に盾を突き立てる……EXスキル。

 

「はぁっ!」

 

 ドゴンッ!と大きな音を立て地面に突き刺さった盾を中心に力場が発生し、俺を強引に引き寄せる。

 しかし、今回はそれだけでは収まらない。ミネは大きく振りかぶった拳を、俺に振り切った。

 

 対する俺も何もしていないわけではない。力場によって強引に引き寄せられたのを利用し、速度をつけて石鎚をミネに振るう。

 

 バゴォン!と石鎚とミネの拳が衝突し、衝撃波が生まれる。

 それを利用してミネは距離を取ったが、俺は逆に前ステップで距離を詰め、上から石鎚を叩きつけた。

 

「っ!」

 

 サッと頭上に盾を構え、石鎚での一撃を受け止めるミネ。盾を神秘によって強化しているのか、大きな衝撃を受けたというのにその盾には歪み一つもない。

 受け止めた衝撃によって地面がひび割れるが、ミネに大したダメージは与えられていないようだ。

 

「はっ!」

「くっ」

 

 盾に乗った石鎚を盾を逸らすことで地面に落とし、その隙に蹴りを俺に向けて放つミネ。俺は即座に石鎚を手放し後退する。

 その直後、ものすごい風圧と共に俺の前を剛脚が通り過ぎていった。

 

 

 

「……まったく、危険だな」

 

「あのような武器を用いる貴女のいうことですか?」

 

「ふむ……たしかに。一理ある」

 

 石鎚を回収するのは諦めた方がいいだろう。この戦いの中であれを回収するだけの余裕があるとは思えない。

 

 ならば、と俺は裏に用意していた『落葉』と『獣狩りの短銃』を取り出す。

 ついでに水銀弾の補充で残弾を20+5に。大砲を使うためにはこれが必須だからね。すぐ輸血液で回復するし些細なダメージだ。

 

 ……まぁ痛いっちゃ痛いけど。

 

「……自傷、ですか。そして得体の知れないものを注射……」

 

「あいにく私の戦い方はこういうものでね」

 

「……救護……いえ、構いません。今は貴女を抑えるのが先ですね……救護は後に回します」

 

 おっ……?救護が後回し……だと……?

 コイツ本当にミネか?

 いやでもミネは結構分別ある生徒だしな……

 セイアの命と敵対者である俺の自傷行為、どっちを天秤にかけるかと言えばそりゃあセイアの命だろうからな……

 

「ふふ、なら抑えてみせるといい」

 

 フォンフォンと落葉を振ってみせる。ふむ、上下両刃になった剣だからかなかなか扱いに癖があるが……まぁ問題ないな。この程度なら()()()()()()()でどうとでもなる。

 

 

 

「……参ります」

 

 どぅっ!という踏み込みの音と共にミネがこちらに走り寄ってくる。ツルギよりは遅いが、それでもその剛脚から生み出される速度はなかなかに速い。

 対する俺は見の姿勢。ミネが見せた手札はEXスキルと拳のみ。未だその実力は見通せていない。

 

 ミネがしてきたのは盾を使った近接格闘。振りかぶり、盾のフチで相手を殴る技や面でのバッシュなどを扱う戦闘方法。

 ミネの膂力と盾の強度が相まった攻撃は、安易に喰らえば大ダメージは免れないだろう。

 よって、俺の取る選択は──回避。つまり、いつも(セオリー)通りだな。

 

 縦振りのミネの振り下ろしを右に避け、そのままの勢いで薙ぎ払われた回し蹴りもステップによりすり抜ける。

 バッシュは後ろステップで避け、盾を横薙ぎに振るう攻撃はすり抜けるように前ステップ。

 

 範囲は近接攻撃の中ではなかなかの部類で、威力もおそらく申し分ないが……前隙、予備動作、後隙がしっかりあるタイプのようだ。

 ツルギの自分の身体を顧みない戦い方はそれらがわかりづらく、またそもそも隙がなかったが……ミネの戦いは堅実で、それ故に少ないながらもしっかりわかりやすい隙がある。

 

 

 

 さて、それでは攻撃に移ろうか……

 思い返せば、先ほどミネは物理27.2%×3の石鎚の一撃を拳で相殺し、盾を挟んだとは言え地面がひび割れるほどの一撃を受け止めてなおピンピンしている。

 おそらく、ツルギは耐久の性質で言えば回復力に特化しているが……ミネは防御力に特化しているのだろう。

 斬撃に対しての耐性は定かではないが……ツルギの時も骨で止まったのだ。殺すには至るまい。

 

 

 

 初手は横薙ぎ。盾を使って防がれるが、こちらもまともに当たるとは思ってはいない。

 すぐさま剣を引き寄せ、逆手の突きを見舞う。

 大きい刃と小さい刃からなる上下両刃のこの武器は、持ち替えずとも流れるように攻撃を行える強みがあるのだ。

 

 ガン、という音がして盾に小刃が突き立てられる。

 無論これも防がれるが、俺は突き立てた小刃を起点に身体をぐるりと回すことでミネとの立ち位置を変え、懐に潜り込んだ。

 回転の力を目一杯使い、逆袈裟斬りを行う。

 

「くっ……!」

 

 防いだと思った攻撃から流れるように懐に入り込まれたミネ。咄嗟に取ったのは、腰に固定していた銃を用いての迎撃だった。

 

 ガチリ、と鈍い音を立てて止まる落葉の刃。大剣で勢いをつけぶつ切りにしたツルギの銃と違い、こちらは銃身に小さな切り傷を生むにとどまった。

 ミネの格闘に合わせて作られているこの銃は、使い捨てにしていたツルギの銃と違い耐久面でとても優れているのだろう。

 一瞬の鍔迫り合いの後、俺はこの機を逃すまいとさらに攻撃を畳み掛ける。ミネはそれにライフルと盾を用いて応戦する。

 

 

 

 長いようで短い攻防が続いた。

 こちらの攻撃は的確に対処され、逆に向こうは大ぶりな為に攻め手を迂闊に出せば俺に対処され隙となるが故に攻められない。

 千日手……それが、この攻防で俺たちの感じた手応えだった。

 

 ならば、と俺は短銃を腰に掛け、落葉の持ち手に両手を沿わせ……小刃を、一息に引き抜いた。

 

 

キィン!

 

 

「……武器が変形した……?」

 

「先ほどの石鎚も仕掛け武器なのだが、見ていなかったのか?まぁ、空中だったからそれも仕方のないことか……」

 

 二刀流となった俺は軽く素振りをしつつ手に感触を馴染ませる。うん、問題なさそうだ。

 

「かつてこの武器を使っていた狩人は、私にこう言った。『秘密は甘いものだ。だからこそ、恐ろしい死が必要なのさ』、とね。今回はこの武器を持つ私が言うなれば暴く側ではあるが……」

 

「……」

 

 ジャキリ、とミネも銃に弾が入っているかを確認し、改めて戦闘体勢に入る。

 

「さて……君は私に、愚かな好奇を忘れさせることができるかな?」

 

 

 

 勢いよく前に滑り出す私。それと同時に、ミネもまた俺に突撃してきていた。

 

「はぁっ!」

 

 繰り出すは盾によるバッシュ……の地面への叩きつけ。低い姿勢で突撃する俺をそのまま叩き潰す攻撃。

 俺はそれを小刃で受け、一瞬の猶予を作った隙に隙間から抜け出し、大刃をミネの腕へと放つ。

 ミネは銃で受け止め、それを瞬時に払うと……瞬間的にこちらに照準を定め、発砲。

 ミネの扱う銃はショットガン。制圧力を高めるためか、装填されていたのは散弾であり……刃が届くほどの至近距離で、それが俺へと放たれた。

 

 

 マズルフラッシュが見える前に、既に俺の身体は前へとステップを繰り出していた。ヤーナムのそれよりも圧倒的に速い弾丸が、瞬間的に俺の身体を通り抜けていく。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。トリガーと被弾が同タイミングだからこそ、向けられた瞬間にステップをすれば当たらない。

 ステップで至近距離へと近づいた俺は、右手の大刃で盾に切り付け、左手の小刃でミネの銃を持つ右腕を切り付けた。

 

 帰ってきた感触は、まるで鋼。鍛え上げられた肉体とそれを纏う神秘は、落葉の斬撃を受けてなお深傷には至らない。

 ミネは盾で大刃を受け、そのまま俺との間に盾を滑り込ませ、そのまま俺を吹き飛ばした。

 

 

 

「……硬いな……」

 

「伊達に救護騎士団の団長をやってはいませんから」

 

「……関係あるのか?」

 

 よくわからんが、切り付けた箇所……二の腕を見てみれば、切れてはいるものの……浅い。出血も止血すれば止まる程度だろう。

 ツルギのような超再生がないためか、血が服の上から滲み垂れているが……大怪我ではないな。

 

 

 

「……これでは決め手にはならないようだ。やはり時計塔の彼女(マリア)のようにはいかないな」

 

 俺はそう言って落葉をしまう。確かに落葉は素晴らしい武器ではあるが……そもそも効かない(重装甲)のでは意味がない。

 ならば、効く武器を出すべきだろう。

 代わりに俺が懐から取り出したるは、()()()()()()()

 

「……棍棒、そして大砲……ですか?」

 

「ああ、そうだ。君ほど硬い相手は初めてでね……これを使う手番が来るとは思っていなかったが」

 

 大砲は戦いが始まる前に裏にセットしたもの。

 トニトルスは、アメンドーズ産の『全強化+21.5%』深淵結晶を3つ載せたもの。もちろん放射枠は形状変化。

 これの魅力は、物理攻撃だけでなく雷光などのエンチャント攻撃力も伸びること。つまり、トニトルスと相性バッチリなのだ。2opも『雷光+15』を厳選してあるため、このトニトルスは雷光特化となっている。

 

 このトニトルスが纏うのは人工雷……とされるが、雷というのは神秘の補正が乗る。それはこれも同じだ。おそらくは……黒獣の何かしらが触媒として使われているのだろう。毛然り、骨然り。

 

 俺の神秘を注ぎ込めば、何もしていないのにこのトニトルスは雷を纏う。

 

 バチバチッ!バチィッ!

 

 激しく弾ける雷。これが、セイアにも教えた神秘補正を上げる業……とは言っても、セイアの『神秘補正を上げる』だけの効力に収まっている気がしないのだが……上位者由来の力のせいだろう、気にしないほうが心の平穏のためだ。

 

「……いくぞ」

 

「……ええ」

 

 ドッ、と瞬時に踏み込み、ミネを打ち据える。ミネも盾で今まで通り防ごうとするが……盾に触れたトニトルスから雷光が伝播し、ミネへとその魔の手を伸ばした。

 

「っ!」

 

 咄嗟に弾き、そのまま盾で俺を押し出そうとするが……力が明らかに弱い。痺れているようだな?

 

「ふっ!」

 

「……!」

 

 ガン、ガキン、と何度か打ち据えれば、たまったものではなかったのかミネも戦い方を変えた。盾で受けるのではなく、逸らす。電撃は、地面に盾を触れさせることで地面に少しでも流す。

 単純な対処だが、効果的だ。

 

 ならば、一気に決めるまで。

 

 俺は、大砲をミネに向けて撃った。

 

 ドォンッ!!

 

「ぐっ!?」

 

 流石のミネもこれは流せず、正面から受けざるを得ない。爆炎と爆煙に包まれるが、直撃したというのに体勢を崩した様子はなかった。

 

 しかし、俺はそれを見越して接近し……盾を捲るように、密着した距離から足元に追加で大砲を放った。

 

 

 ドガァンッッ!!

 

 

「ぐはっ……!」

 

 盾を剥がされるミネ。如何に強靭でも……流石に大砲2発を至近距離で、しかも片方は明確に捲る意思を持って撃たれれば……体勢を崩すようだった。

 

 それを逃さず懐に潜り込み……ミネの腹に、トニトルスを押し当てる。

 

 

「なっ──!」

 

「耐えられるかね?」

 

 

 俺が押し当てたトニトルスを強く擦れば、より一層雷光は強くなり……その雷は空気を駆ける。

 そしてそれは、ミネへと放電された。

 

 

 バチバチバチバチッ!!

 

 

「ぐぅぅっ!!」

 

 苦悶の声をあげるミネ。流石に雷光を受けてはただでは済まない。

 

 

 時間にしてわずか7秒。

 

 

 電撃がミネの全身を駆け巡り、その身を焦がす。

 

 やがて、トニトルスの雷が収まり……大砲によってもたらされた煙も収まる……

 

 

「……けほっ、けほ」

 

「……耐えるか、これを」

 

 

 そこには──変わらず、ミネが立っていた。

 

 バックステップで距離を取るカオリ。

 

「私はっ……セイア様のため、負けるわけにはいかないのですっ……!」

 

 よく観察すれば、その身は雷光を受けてボロボロとなっていた。

 

「休みたまえ、ミネ」

 

「っ……」

 

 筋肉はギリギリと悲鳴をあげ、銃を持つ手に力はなく。

 

 盾を杖代わりにし、地面に立てかけてバランスを取るのがやっとだった。

 

「ここで負ける、わけには……」

 

 

どさり……

 

 

「……やっとか」

 

 俺はミネが倒れたのを確認し……セイアの元に行くため、ミネと……石鎚を回収しに歩くのだった。

 

 

 




気がついていた方もいると思いますが、タグが増えています
「R-15」「ガールズラブ」「グロ描写有り」「ヤーナム編有り」の4つですね
R15は正直いらないかなぁとも思ったのですが念のため。ガールズラブは散々ここまで匂わせておいてやらないわけにもいかないので追加。残り二つは……セイア編ですね

『The Night Unfurls』はタイトル画面とキャラメイクの時の音楽。おどろおどろしい雰囲気のBGMを使っても良かったのですが、場面的には違うなとなりこの選曲となりました。ぜひ一度しっかり聴いてみてください。



ウィレーム先生、別れの挨拶をしにきました。

ああ、知っている
君も、作者になるのだろう?

……変わらず、頑なですね
でも、高評価は忘れません

……我ら感想によって人となり、人を超え、また人を失う
知らぬ者よ

かねて感想を恐れたまえ

……お世話になりました。先生
高評価もしたまえよ、ローレンス
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