見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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38.アリウス部隊

 

 

 

 ドドォン……

 

 

 

 遠くの方で爆発音が聞こえ、ここの地面も少し揺れる。

 

 

 

 “……そろそろかな”

 

「くく……心配かね?先生」

 

 “ううん。私は生徒を信じてるから”

 

「そうかね」

 

 体育館の端……ステージの袖に隠れている俺と先生。ステージの前には、アズサと、アズサを迎えに行ったハナコを待つヒフミ、コハルがいる。

 

「うう、なんでこんなことに……」

 

「で、でも正義実現委員会には連絡しましたし!カオリちゃんもいますし、大丈夫ですよ!コハルちゃん!」

 

「う、うん……」

 

 そうこうしているうちに、扉を開けて走ってきたのはアズサとハナコ。

 

「敵は四分の一ほどしか削れなかった。部隊数も想定より多い……カオリを警戒して予定より増やした分だと思う。さらに追加で増援もある。ただし、主戦力だけはいないみたい」

 

 アズサがそう報告する。ふむ、やはりこの世界でも『スクワッド』は参戦してないか……好都合だ、原作から大きく離れていないということは……この後の展開が思い通りということなのだから。

 

「ふむ。数だけの有象無象ならば、私が大半を受け持とう……だが、離れていてくれたまえ。君たちまで巻き込んでしまう」

 

 “……1人で大丈夫?”

 

「なあに、心配はいらないよ」

 

 

 

 やがて扉を開けて入ってきたのは、大勢の生徒たち。ガスマスクをつけ、統一された装備を身に纏っている。

 

「……なるほど、逃げたのではなく待ち伏せだったと。だが、それだけか?たった四人で私たちに、何分耐えられると思っているのだ。こんな退路もない場所で!」

 

「あうぅ……」

「……っ」

 

 ヒフミとコハルが息を呑むが……アズサとハナコは至って冷静だ。アズサは手元に一つのボタン……起爆装置を手に持ち、アリウスたちと相対した。

 

「その通り、もう退路はない。お前たちは逃げられない」

 

「ですね。一先ず仕上げと行きましょうか♡」

 

 

ドガァン!!

 

 

 アズサとハナコがそういうと同時に、入り口が爆破された。アズサの手元のスイッチは、体育館入り口を爆破し本当の意味で退路を塞ぐためのものだったのだ。

 

「なっ!?」

 

 入り口が爆破され驚くアリウス。圧倒的に不利なのは補習授業部の方なのに、やけになったのかと思っている頃合いだろう。

 

 

 

 

 

“待ってたよ”

 

「歓迎しよう、諸君」

 

 

 

 

 

 ステージ上に現れたのは、カオリと先生。その姿を見て、アリウス生たちが息を呑む。

 

「ご存じかは分かりませんが──補習授業部の担当であり、『シャーレ』の顧問でもある先生と……近頃頭角を現した、この学園有数の実力者、『狩人』の月乃カオリさんです♡」

 

「くっ……スパイが裏切ったから、月乃カオリの懐柔も無しか……!」

 

 そう憎々しげな声を上げるアリウス生。それに反応を返さず、カオリと先生はステージから降りて、それぞれの持ち場に分かれていく。

 

 

 

「殲滅戦を始める。先生、私たちは左翼を叩く。指示を」

 

 “うん、わかった”

 

 

 

 アリウス生たちの左正面に位置した補習授業部と先生。そして、無言でアリウス生たちの右正面に位置した月乃カオリ。

 

「……っ!だが!いくら個人や先生が強力であろうとも、我々に敵うはずがない!」

 

 そう声を荒げ、指揮を取るアリウス生たちのリーダー。

 

 

 

「くくく……貴公らは実に哀れだ」

 

 そこに声をかけてきたのは、月乃カオリ。高貴さを感じさせる白と黒の衣装を身に纏い、目隠しのついた奇抜な帽子を被っている。

 

「無知とは時に罪であり……時に幸福だ。貴公らの主人は幸福だった……この私と敵対するまでは、ね」

 

「……何を言っている?」

 

 カオリの言葉に聞き返すが、カオリは答えを返さない。代わりに取り出したのは、大型の杭と、何かを噴射する装置のようなもの。そしてそれらを腰のベルトに下げる。

 

 

 

「『The sky and the cosmos are one.(宇宙は空にある。)』かつて、この装束を纏っていた組織……聖歌隊が得た叡智だ。気付きとはそれ自体が素晴らしいものであり、また尊いもの。貴公らの主人はそれさえ気が付いてはいない」

 

 つらつらと喋りながら、カオリは新たに懐から軟体生物と7発の水銀弾を持った。

 妖しく光る、半透明な大型のクリオネのようなその存在が、カオリの手の上で歪に蠢く。

 それは、見た生物に本能的恐怖を与えた。

 

 

 

「そんな愚鈍な存在に懐柔されるほど、私は落ちぶれていないのさ」

 

「ひっ!?な、なんだそれはっ……!?」

 

 アリウス生たちの言葉を無視したカオリは、その軟体生物に7発の水銀弾を食わせる。そうして神秘を糧とした軟体動物は、その身を眩く光らせた。

 

 

 

「高次元の暗黒よ……軟体の精霊たちよ……!」

 

 

 

 カオリは手を大きく頭の上に掲げ、手の内の軟体生物を握りつぶすように()()()()()()()()()()()()()、力を込めた。

 瞬間、眩い光は大きくなり、ついに一つの星の如き様相を呈する。

 

 

 

「ああ、星界よ!遥かなる彼方よ!!我が遺志に応えたまえ!!!」

 

 

 

「な、何かまずいっ!下がれっ、下がれ──!」

 

 危険なことに気がついた時には既に遅く。

 一つの恒星の如き眩さをもって星々へと交信した、カオリの儀式は──

 

 

 

バァン!!

 

 

 

 しかし()()し、()()もの星々の欠片をあたりに降り注がせた。

 流星の如き眩い神秘の光が、アリウス生たちに降り注ぐ。白い煌めきは、凄まじい威力でもって彼女たちを蹂躙していく。

 星の小爆発によって生まれた惨劇は、止まることを知らず……光が収まった時、体育館の半分は廃墟の如き有様となっていた。

 

「……星の神秘は、上位者が扱うにはあまりに強力だったか」

 

 なんとか死人こそ出ていないものの、倒れたアリウス生の中には重傷者も多く見受けられる。

 カオリは一人ため息をつき、彼女たちを踏み越えて先生たちに合流しようと歩み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “……”

 

「す、すごい……」

 

「これが、狩人の力か」

 

「……」

 

「あ、あうぅ……」

 

 左翼のアリウスたちを鎮圧した補習授業部と先生は、その惨状を目の当たりにしていた。

 戦闘中に起きていた凄まじい閃光の雨は気になっていたものの、気にする余裕がなかったが……この結果を見れば、カオリが凄まじく常識外れな攻撃を行ったのは見てとれた。

 

 

「やあ。こちらは問題なく終わったよ」

 

 合流したカオリが言う。そして、ハナコに喋るよう促した。

 

「……では、次のフェーズに移りましょうか。この後、アリウスの増援部隊が到着するでしょう。ですが私たちは、正義実現委員会の部隊がここに到着するまでの間だけ時間を稼げれば問題ないです」

 

「ふむ。余裕だな」

 

「あ、ハスミ先輩には連絡しておいた!すぐ返事くるはず!」

 

 コハルが手を上げてそう言う。カオリとしてはあと5発は『彼方への呼びかけ』を撃てるので、継戦能力は問題ないのだが。ともかく、ハナコはコハルの言葉に頷いた。

 

「はい、ありがとうございます♡……ティーパーティーの命令下にある正義実現委員会が動けるとしたら、それはティーパーティーの身辺に問題が生じた時だけ。定時連絡などもあるでしょうし、きっと今頃ハスミさんたちはナギサさんに何かがあったことには気がついたはず。それに合わせてコハルちゃんからの連絡……少なくとも、状況を確認するために動き出すまで、そうそう時間はかからないはずです」

 

 そう、ハナコが口に出したその時──

 

 

 

 

 

ズガァン!!

 

 

 

 

 

 体育館の壁が、爆発により吹き飛んだ。

 

 

 

 そして吹き飛んだ壁からは、大勢の……五、六百人はいるであろうかという凄まじい人数のアリウス生が雪崩れ込み、補習授業部と先生、カオリをあっという間に半円状に包囲した。

 

「!?」

「これは……」

「増援部隊が、こんなに早く……!?」

「え、えっ……!?」

「……」

 “……”

 

 混乱する補習授業部、黙りこくり笑みを深めるカオリ、そしてアリウスを見定める先生。

 

「……数が多い、大隊規模だ。多分、アリウスの半数近くが……」

 

「あうぅ……!こ、これだけたくさんの方が、平然とトリニティに……!?」

 

「まだ、正義実現委員会が動く気配がない……?」

 

 アズサが呟き、ヒフミが驚愕する。そしてハナコが不審がった、その時──

 

「それは仕方ないよ」

 

 声が、響いた。

 

 

 

 それと同時に、アリウスの人の波が割れ……中から、一人の少女が歩いてくる。

 

「だってこの人たちはこれから、トリニティの公的な武力集団になるんだから」

 

 そう言った彼女は、ティーパーティーの白い制服に映えるピンク色の髪を優雅に流しながらゆったりと歩いてアリウスたちの先頭──先生たちの、目の前に立った。

 

 

 

 “ミカ……?”

 

 そこにいたのは、トリニティ総合学園の生徒会、ティーパーティーのトップの一角……聖園ミカ。

 

「やっ、久しぶり先生。また会えて嬉しいな」

 

 

 

 

 

 彼女はそう言って、まるで小悪魔のように妖しく笑った。

 

 

 

 

 




感想を書く時は『感想を投稿する際のガイドライン』を今一度よく確認しましょう。違反していてせっかくの感想が運対されてしまったり、アカ消しなんてことになってしまったら作者も非常に悲しいので……最近運対済みの感想を見つけてしまったので、一度注意喚起を。



ああ、あなたにも伝えておきましょう
偉大なるローゲリウス師は感想で言っています
かつてビルゲンワースの学び舎に裏切り者があり
禁断のアンチ思想を、カインハーストの城に持ちかえった
そこで、人ならぬ穢れた血族が生まれたのです
……血族は、医療教会の血の小説を穢し、侵す、許されない存在です
その血族が、血族の長が、今もまだ生き残っている
だから私は、師の意志を継ぐために高評価と感想、そしてここすきをしつつ探しているのです
カインハーストに至る道を……
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