「……そうか。補習授業部のみんなはしっかりと、自分たちの力で合格を勝ち取ったのだね」
「ああ」
どこかの花園。そこに、三人の人物がいた。
「コハルはこの後、晴れて正義実現委員会に戻ることができる」
一人は、スーツを着た、黒髪黒目の顔の整った成人男性──先生。
「ハナコは、自らを曝け出す良き友を見つけた」
一人は、その小柄な肉体を個性的な制服で包んだ、金髪にキツネの獣耳と尻尾が生えている少女──百合園セイア。
「アズサはこれからも、学びを続けられる」
一人は、白銀の髪を後ろにまとめ、個性的な服装をした碧眼の少女──月乃カオリ。
「そしてある意味では誰よりも最前線で、真摯に努力を積み上げてきたヒフミは、今までの日常に戻れるだろう」
カオリは見てきたことをセイアに伝える。
セイアは目を瞑り、それをしっかり味わうように聞いていた。
「ミカは学園の監獄に幽閉された。もしかしたら、私が目覚めたとしても会えないかも知れない……そしてナギサは、予定通り、エデン条約に調印しにいくだろう」
首肯するカオリ。
動かぬ先生。
両者は同じ場にいるというのに、実に対照的な反応をする。
「……しかし、エンドロールには早すぎる。ここからが分岐点なのだから」
セイアはそう言って、カオリと向き合っていた。
「そうさね。いずれ暗雲がやってくる。滅びとはそういうものだ……」
「ああ。まだ残っているものがある、これで終幕じゃない……それは、先生が一番、誰よりもわかっているはずさ」
向き直るセイアとカオリ。
二人は先生に対して言葉を紡ぐ。
これからの、抗うべき運命を。
「……キヴォトスは、滅びる……何通りも、何十通りも……滅びの目なんて、いくらでもあるのだから」
セイアは暗い表情で。
ぽつり、ぽつりと言葉を呟く。
深く、絶望した様子で。
しかしそれでも、彼女の目には
「未来は、変わる。誰でも、変えることができる……ならば、滅びすら
「……火が消えた先に、新たな光はない。しかし、夜明けはいつかやって来るものだ」
「そうさね」
白く透け、消えていく先生に対し、カオリが口を開いた。
「これは、夢ではない。全て『悪い夢』で終われば、どれほど良かったことか……」
「貴公は果たして……青春という尊きものを、齎すことができるのか……」
交代で紡いでいた言葉を切り上げ、セイアとカオリは同時に口を開く。
「「……見せてもらおうか、『先生』」」
「「滅びの運命に抗う、一つの青春譚」」
「「『
「……準備しろ、みんな」
とある廃墟。そこで、四人の少女が集まっていた。
「あ、あぁっ……つ、ついに始まるんですか……!?よ、ようやくこの時が……でも苦しいんですよね、辛いんですよね……?」
「……うん。でも大丈夫、苦しいのは生きてる証拠」
「……」
キャップを被りガスマスクをつけた、長い黒髪を持つ少女の号令に反応する三人の少女。
一人は、水色髪にキャップを被り、重たそうな大きい荷物を背負った少女……槌永ヒヨリ。
一人は、黒髪にハイライトのない目を持つ、黒いマスクをつけた少女……戒野ミサキ。
そして、最後の一人……フードを被った、紫髪のガスマスクの少女、秤アツコが、手を動かす。
「ひ、姫ちゃんが手話で何かを言ってますけど。えっと……」
側にいたヒヨリが、なんとか解読しようとするも……
それより先に、ミサキが口を開いた。
「……あの子はどうなった、って?気になるの?姫?」
「……」
その問いかけに、姫と呼ばれたアツコはまたも手を動かす。
「……どうでも良くない?結局は早いか遅いかの問題で──」
しかし、ミサキはそれに反対気味。
さらに言葉を紡ごうとした、その時──
「その辺にしておけ」
キャップを被ったガスマスクの少女が、一喝した。
その言葉に、三人がその少女に向き直る。
「黒い雲……明日は雨になるな」
廃墟の外、空を見上げていたその少女は、ポツリとつぶやいた。
「あ、雨ですか?嫌ですね、雨はジメジメして……苦しいですし、気持ち悪いですし……それに、
「……やめて。どうせ
「……」
「……そうだ。ゲヘナも、トリニティも……そしてビルゲンワースも。全て、我々が壊す。」
そう答えた、リーダーらしき少女──
錠前サオリは、心の内で一人、思案に耽る。
(……アズサ。どれだけ足掻こうと、お前は抜け出すことはできない)
(お前の体は覚えている。すぐに思い出す筈だ、真実を。曰く──)
支援絵頂いたので初投稿でした。
これにてエデン条約編2章も終わり……
そして、この小説の長かった『第一部』というべき大きな流れも一つ終わりです。
この後は幕間や番外編などを挟んでから『第二部』ともいうべきセイア編に入ることになります。今後とも本作を宜しくお願いします。
キサラギ職員様より支援絵を頂いきました!
【挿絵表示】
とても素晴らしいイラストで感無量です……!
狩人装束のカオリちゃん、カッコ良い……!
ありがとうございました!!
……貴公、よい読者だな
感想を書き、高評価して、ここすきまで付けている。よい読者だ
だからこそ、私は作品を書かねばならん!