見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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42.一つのエピローグ

 

 

 

 

 

「……そうか。補習授業部のみんなはしっかりと、自分たちの力で合格を勝ち取ったのだね」

 

「ああ」

 

 

 

 どこかの花園。そこに、三人の人物がいた。

 

 

 

「コハルはこの後、晴れて正義実現委員会に戻ることができる」

 

 

 一人は、スーツを着た、黒髪黒目の顔の整った成人男性──先生。

 

 

「ハナコは、自らを曝け出す良き友を見つけた」

 

 

 一人は、その小柄な肉体を個性的な制服で包んだ、金髪にキツネの獣耳と尻尾が生えている少女──百合園セイア。

 

 

「アズサはこれからも、学びを続けられる」

 

 

 一人は、白銀の髪を後ろにまとめ、個性的な服装をした碧眼の少女──月乃カオリ。

 

 

「そしてある意味では誰よりも最前線で、真摯に努力を積み上げてきたヒフミは、今までの日常に戻れるだろう」

 

 

 カオリは見てきたことをセイアに伝える。

 セイアは目を瞑り、それをしっかり味わうように聞いていた。

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()セイアは、ゆっくりと目を開き言葉を紡ぐ。

 

「ミカは学園の監獄に幽閉された。もしかしたら、私が目覚めたとしても会えないかも知れない……そしてナギサは、予定通り、エデン条約に調印しにいくだろう」

 

 

 

 首肯するカオリ。

 

 動かぬ先生。

 

 両者は同じ場にいるというのに、実に対照的な反応をする。

 

 

 

「……しかし、エンドロールには早すぎる。ここからが分岐点なのだから」

 

 セイアはそう言って、カオリと向き合っていた。

 

「そうさね。いずれ暗雲がやってくる。滅びとはそういうものだ……」

 

「ああ。まだ残っているものがある、これで終幕じゃない……それは、先生が一番、誰よりもわかっているはずさ」

 

 向き直るセイアとカオリ。

 二人は先生に対して言葉を紡ぐ。

 

 これからの、抗うべき運命を。

 

 

 

 

 

「……キヴォトスは、滅びる……何通りも、何十通りも……滅びの目なんて、いくらでもあるのだから」

 

 セイアは暗い表情で。

 ぽつり、ぽつりと言葉を呟く。

 深く、絶望した様子で。

 

 しかしそれでも、彼女の目には()()()()が灯っている。

 

 

「未来は、変わる。誰でも、変えることができる……ならば、滅びすら()()()()()()()()()()()

 

「……火が消えた先に、新たな光はない。しかし、夜明けはいつかやって来るものだ」

 

 

 

「そうさね」

 

 白く透け、消えていく先生に対し、カオリが口を開いた。

 

「これは、夢ではない。全て『悪い夢』で終われば、どれほど良かったことか……」

 

「貴公は果たして……青春という尊きものを、齎すことができるのか……」

 

 交代で紡いでいた言葉を切り上げ、セイアとカオリは同時に口を開く。

 

「「……見せてもらおうか、『先生』」」

 

 

 

 

 

「「滅びの運命に抗う、一つの青春譚」」

 

 

 

 

 

「「『()()()()()()』を」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……準備しろ、みんな」

 

 

 

 とある廃墟。そこで、四人の少女が集まっていた。

 

 

「あ、あぁっ……つ、ついに始まるんですか……!?よ、ようやくこの時が……でも苦しいんですよね、辛いんですよね……?」

 

「……うん。でも大丈夫、苦しいのは生きてる証拠」

 

「……」

 

 キャップを被りガスマスクをつけた、長い黒髪を持つ少女の号令に反応する三人の少女。

 

 一人は、水色髪にキャップを被り、重たそうな大きい荷物を背負った少女……槌永ヒヨリ。

 

 一人は、黒髪にハイライトのない目を持つ、黒いマスクをつけた少女……戒野ミサキ。

 

 

 そして、最後の一人……フードを被った、紫髪のガスマスクの少女、秤アツコが、手を動かす。

 

「ひ、姫ちゃんが手話で何かを言ってますけど。えっと……」

 

 側にいたヒヨリが、なんとか解読しようとするも……

 それより先に、ミサキが口を開いた。

 

「……あの子はどうなった、って?気になるの?姫?」

 

「……」

 

 その問いかけに、姫と呼ばれたアツコはまたも手を動かす。

 

「……どうでも良くない?結局は早いか遅いかの問題で──」

 

 しかし、ミサキはそれに反対気味。

 さらに言葉を紡ごうとした、その時──

 

 

 

「その辺にしておけ」

 

 

 

 キャップを被ったガスマスクの少女が、一喝した。

 その言葉に、三人がその少女に向き直る。

 

 

 

「黒い雲……明日は雨になるな」

 

 廃墟の外、空を見上げていたその少女は、ポツリとつぶやいた。

 

「あ、雨ですか?嫌ですね、雨はジメジメして……苦しいですし、気持ち悪いですし……それに、()()ですし……」

 

「……やめて。どうせ()()()()も、根絶やしにするんだから関係ないでしょ。ゲヘナも、トリニティも……()()()()()()()も」

 

「……」

 

 

「……そうだ。ゲヘナも、トリニティも……そしてビルゲンワースも。全て、我々が壊す。」

 

 

 そう答えた、リーダーらしき少女──

 

 

 錠前サオリは、心の内で一人、思案に耽る。

 

 

 

(……アズサ。どれだけ足掻こうと、お前は抜け出すことはできない)

 

 

 

(お前の体は覚えている。すぐに思い出す筈だ、真実を。曰く──)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ては虚しい。どこまで(vanitas vanitatum)行こうとも、全てはただ(et omnia)虚しいものだ(vanitas

)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




支援絵頂いたので初投稿でした。

これにてエデン条約編2章も終わり……
そして、この小説の長かった『第一部』というべき大きな流れも一つ終わりです。
この後は幕間や番外編などを挟んでから『第二部』ともいうべきセイア編に入ることになります。今後とも本作を宜しくお願いします。



キサラギ職員様より支援絵を頂いきました!

【挿絵表示】

とても素晴らしいイラストで感無量です……!
狩人装束のカオリちゃん、カッコ良い……!
ありがとうございました!!


……貴公、よい読者だな
感想を書き、高評価して、ここすきまで付けている。よい読者だ

だからこそ、私は作品を書かねばならん!
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