セイアちゃんがスーパーセクシーになってカオリが大困惑する話を夢で見ましたが目覚めてしまって全て忘れました(ミコラーシュのせい)
「……ふむ、大体理解したよ」
ここ、ヤーナムについて軽くいろいろなことをギルバートから聞いた。
狩人の夢から眺めていたヤーナム自治区と同じ構造……というよりも、同一の街のようだ。
一般人用のカバーストーリーなのだろう、ギルバートが語ってくれたこの街の歴史はカオリの語っていた歴史とは随分と違った。
しかし、信仰されている神……【姿なきオドン】の名は、ここでも聞くことができたね。
他の神は聞くことはなかったが……ふむ。
(ギルバートも噂にしか聞いたことないらしいが、聖堂街にあるというオドン教会とやらにも行ってみたいものだ。少し興味があるからね。それにしても……)
「……殺伐としているね」
『ええ……外の世界と比べても、ここは異常なまでに死に近い』
セイアは先生を通して見たヤーナム自治区と比べていたが、そもそもここはこの世界の基準で見ても異常な街らしい。
「さて、休憩も終わりだ」
『おや、もう大丈夫ですか?』
セイアが仕込み杖を片手に立ち上がる。
「ああ。狩人の業も改めて確認したし、荷物の整理もした。身体の動かし方も少しは理解したからね」
『それは何よりです。あなたの目的が上手く果たされるよう、応援していますね』
「ああ。じゃあ行ってくる」
そうしてセイアは、大橋に接続する建物のある小道へと歩みを進めた。
小道にいた市民を倒し、建物に入る。
改めて落ち着いて見てみれば建物は二階建てで、灯りのついていない暗闇。
音と臭いを頼りに一階を探索を探索していく。
暗闇にも敵はいたがしっかりと倒し、アイテムを拾った。
(……ん?メモ?)
探索していると、ふと手に紙片が当たる。
恐る恐る調べてみれば、この紙には触感からしてなにかがかかれているようだ。
(……暗がりでは読めないね……)
私はそれを一度外に持って行き、明るいところで読んだ。
〝 獣狩りの夜、聖堂街への大橋は封鎖された
医療教会は俺たちを見捨てるつもりだ
あの月の夜、旧市街を焼き棄てたように 〟
(……大橋が封鎖された?いや、それよりもあの月の夜……旧市街……?)
ギルバートから聞いた話では、そんな単語は聞き覚えもない。
単純に今の私が知らないことを避けて語ったのかもしれない、この街のことを聞いた時だって彼は南側のことはぼかして喋っていた。
しかし、このヤーナムを進んでいけばいずれ辿り着く可能性もある。
(後で聞かなければいけないね。大橋の封鎖も本当かどうか確かめにいかなければ)
そう考えながら二階へと進み、大橋に足を踏み入れた。
黒い獣──ギルバートによれば、罹患者の獣というらしい──は、すでに遠い場所に行っていた。
(……こっちだね)
先ほど走ってきた、罹患者の獣のいた方向の反対側……大男がいる場所の向こうに、大橋は続いている。
私はそちらへと歩き出した。
大男と正面から戦わなければならないのか……と思ったのだが。
何やら彼は足元にいたぶくぶくと大きく太ったカラス達と戯れている。
大橋の端っこをそっと通り抜ければ、気がつかれずにそのまま通り過ぎることができた。
アーチ状の橋の装飾をくぐって進めば、そこは行き止まり。
警戒して奥まで進まず遠目に見れば、確かに先へ続くであろう門は閉じていた。
この橋が架かっている谷の向こう側、門のある崖の上には別の街……ギルバートによると、聖堂街とやらがあるらしいが、聖堂街とこの橋は高さがズレている。
崖の中のトンネルに橋は続いていて、聖堂街側からはこちらを一望できる展望台のような構造になっていた。
何か手掛かりでもないものかと、そのトンネルを塞ぐ門へと近づこうとしたその時────
ダダン!ダダンダダン!!
私の耳は、その大きな足音を捉えていた。
ズガンッ!!
恐ろしい咆哮を上げながら、聖堂街の展望台から飛び降りてくる大きな影。
瞬間、私は本能的に急いで退避し、その影の着地に巻き込まれないよう全力で走った。
背後から大きな衝撃と破砕音、そして橋が揺れる振動が伝わってくる。
「っ……!いきなりなんだい!?」
振り返って確認すれば、そこにいたのは異様に大きな獣。
大きさは3mから5m程だろうか?大型の車両ほどの体躯は全身が灰色の体毛に包まれている。
足はあまり大きくなく、その体躯を支えるのが難しいのか相撲取りの行う蹲踞のような姿勢で脚全体で体を支えて立つ。
身体の前面は毛皮が薄く、肋骨が肉の間から浮き出ており、左腕が大きく肥大化し悍ましさが際立つ。
頭部は肉食動物を思わせるアゴの形状と牙が生えた姿をしているが、その額からは鹿を思わせる形状の角が生えていた。
ギョアアアアオオオオオ!!!!
私を見たその大きな獣──【
(聖職者の獣?)
唐突に思考に浮かんだその名を訝しむ間もなく、目の前の獣が動き出す。
「くっ!?」
ズガンッ!!と大きな音を立て、聖職者の獣の肥大化した左腕が私のいた場所の地面を抉る。
硬そうな大橋の石畳を難なく捲れ上がらせるほどの威力を誇るそれにあたれば、一撃でミンチになってしまいそうだ。
私は急いで仕込み杖と獣狩りの短銃を持ち直し、戦闘体勢を整えた。
「これほど大型の獣……!梯子を登っていた時の咆哮の主人かなっ!」
これほどの巨体を持つ獣がそう何体もいて貰っては困るから、できればこの獣がそうであってほしい。
仕込み杖を変形させ振るうが……ガリっと音を立て、獣の肥大化した腕に引っかかった後に弾かれる。
獣の腕から血は出ているものの微々たるものであり、その巨体と比べれば針を刺したような小さな傷でしかない。
「くっ……効き目が薄いね」
変形した仕込み杖の、イバラ鞭のようになった細かい刃のついた鞭は確かに肉を裂くには至った。
しかしそれは厚い毛皮と硬い肉質によって阻まれ大したダメージにはならない。
キョオオオオオオ!!!!
聖職者の獣は巨大な左腕を振り回して迫ってくる。
一度腕を振るうごとに空気は大きく震え、土埃が舞う。
しかし、目の前の獣が振るう腕は大ぶりであり、しっかりと注視し回避に専念すれば早々当たるものでもない。
小さい体躯を活かし、スルスルとステップを駆使して攻撃の範囲外に逃れつつ、仕込み杖で攻撃しながら後退した。
「手強いね……っ!これはどうかな!?」
ブンっ!
距離を取った所で、私は懐から取り出したビンを投げた。
茶色の濁った液体の入ったその瓶は、真っ直ぐに聖職者の獣に向かって飛んでいく。
煩わしく思ったのか、獣は飛んできたその瓶を無造作に肥大化した左腕で払い除ける。
ガシャン!!バリンっ!!ボォン!!
ギュアアアアア!?!?
私が投げたのは火炎瓶。
聖職者の獣が無造作に払い除けようとしたそれは、腕に当たって割れると同時に瞬時に燃え広がりその巨躯を焼いた。
「効くみたいだ、ねっ!」
そのまま続けざまに二個の火炎瓶を投げつけ、聖職者の獣を燃やす。
それは当たったところから毛皮を伝って燃え広がり、全身が猛火に包まれる。
ギュアアアアア!!!!
暴れ回る聖職者の獣。
転がり、飛び跳ね、のたうち回る。
自身の身体がそれによって傷つくのも厭わず、大橋の地面や欄干に身体を打ちつけた。
そうして自身を焼き燃え盛るその炎をなんとか消火するも、その毛皮は醜く焼け果て、皮は焼け溶けて露出した肉は爛れている。
炎が鎮火したことで落ち着きを取り戻し、それにより火炎瓶を投げた私への怒りが湧き上がったようだった。
激昂した獣は私を睨みつけると、叩き潰さんとばかりにその肉体を使い突進してくる。
大きな腕を使い推進力を確保し突進してくるが、私はその巨躯に轢かれる寸前で右側に避け、聖職者の獣の左脇に滑り込んだ。
「はっ!!」
私は振り向いて、聖職者の獣の腕に向けて全力で仕込み杖を振り抜いた。
ギョアア!?
振り抜いた仕込み杖は炎に焼かれて毛皮が爛れ、柔らかくなっていた肉を裂き、左腕に深傷を与える。
それは骨まで達し、腕の部位破壊という結果を齎した。
キョォォォォォォオオ!!
大きな裂傷をつけられ、痛みにのたうつ獣。
足元でウロチョロとする私を潰そうと、何度も両腕を振り回す。
しかし、冷静に距離を取ってヒットアンドアウェイを重視した私には当たらない。
「ふっ!はっ!」
肥大化している左腕を攻撃できるよう常に立ち回りで聖職者の獣の左側をキープする。
隙を見て仕込み杖を振るうのも忘れない。
自然と身体が動いて、的確に同じ場所を切り裂き、裂傷を深める。
時折獣の足や、無理に左側に移ろうとせず右腕に移動して攻撃したりと、聖職者の獣の全身を仕込み杖で切り裂いていく。
ギョアアアア!!
全身を深く傷つけられた聖職者の獣。
その巨大な全身についた傷から血が噴き出し、私の身体を赤く染めた。
(このままなら勝てる……っ!)
そう思った瞬間、それは起きた。
ギュアアァァァァァ!!
「なっ!?」
咆哮をあげた聖職者の獣のその巨体が、遥か高く宙を舞った。
それは、今まで重要ではないと思っていた、巨体に見合わぬ小さな足に秘められた力。
高く跳躍した聖職者の獣が、私の真上に降ってくる。
ドゴォン!!
「っ──」
なんとか降ってくる聖職者の獣との直撃は避けたものの、その大質量が落下によって生み出した衝撃波と着地によって抉った地面の瓦礫が飛んでくる。
衝撃派は身体を浮かし、飛来した瓦礫……その中で特に大きなものが、
「──ガハッ!!??」
瓦礫の当たった脇腹はジクジクと痛み、思わずそちらに気を取られて
キョオオオオ!!
聖職者の獣が大きく腕を振りかぶり──
「─────────ごふっ」
全身が砕け散ったかと錯覚するほどの激痛が全身に走る。
視界が白くなり、意識が朦朧とする。
ビチャビチャと血を吐き、なんとか顔を上げたそこには、
巨大な左腕を真上にあげた聖職者の獣がいた。
「っっっ!!!」
ゴロゴロと横に転がり、なんとか振り下ろされたその腕を回避する。
もはや回復する暇もないと
もはや
そのまま走り出し、手放していなかった仕込み杖を変形させ、精一杯後ろに引いた。
そして、腕を振り下ろして前傾姿勢になった聖職者の獣の頭部に上から振り下ろす。
「はぁっ!!!!」
ザシュシャァッ!!!
ギュイイヤァァァァァァァァ!?!?
変形後の仕込み杖の鞭状の部分についた細かい刃が焼け爛れた毛皮と肉をぐちゃぐちゃに引き裂き、頭蓋に達し、傷つけ露出させた。
ズズゥン……と音を立て、倒れ込む聖職者の獣。
それは、狩人のトドメの一撃。
獣の内臓を引き摺り出す、狩人たちの奥義。
『内臓攻撃』と呼ばれるものである。
聖職者の獣の頭蓋は
ギョアアアアァァァァ!?!?
致命的な攻撃を受けてもなお生きながらえている聖職者の獣が、のたうち悶え苦しむ。
脳が引き摺り出され、頭が完全に砕かれているその巨体は、本当に命が尽きる前の最後の力を放出しているかのように暴れ回る。
ギィィィィイイアアアアアァァァァァァ…………!!
そしてついに断末魔が響き渡り、聖職者の獣は動かなくなり音を立てて倒れ伏した。
その巨体は大橋を塞ぎ、暴れて舞い散った溢れ出した血は雨のように天から降ってきている。
「はぁ……はぁ……ごふっ……はぁ……」
満身創痍の
瓦礫に被弾した脇腹は血が滲む感覚がし、聖職者の獣に殴られた身体はところどころ骨が折れているのか全身に今まで感じたことのない程の激痛が走っている。
それでも、殴られた直後の全身が砕け散ったかのような痛みは薄れていたが。
興奮により開いていた瞳孔が徐々に元に戻っていく。
その境界は少し
まるで、
なんとか懐から輸血液を取り出し、太ももに刺して中身を身体の中に取り込む。
取り込んだ端から身体の再生が急速に始まり、出血は止まり骨もつながったのか全身の痛みが消えた。
「はぁ…………はぁ…………」
その場でへたり込むセイア。
聖職者の獣の死骸は、目の前で爆発するかのような力の奔流と共に消えていった。
まるで、悪夢の怪物を倒し、夢から醒めるように。
後にはいつのまにか現れた灯りと、手の中にいつのまにか握っていたバッヂのみがあった。
「…………ふぅ……」
息を整えた私は、灯りを付けて、一度狩人の夢へと帰ることにした。
(
(この
脳裏を何かが蠢く。
点と点がゆっくりとつながっていく。
原作よりだいぶ火が強いです
Bloodborneの世界に入ってゲーム的なアレを現実感あるものにしたら……
火がかなり強くて……
おお……導きの火炎瓶よ……
セイアちゃんの瞳は脳裏の何かと合わせて今章で重要な要素です
じっくりとその変遷を見てあげてください
聖職者の獣うるさすぎるの、上手く表現できましたかね?