見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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6.対談

 

「あなたが『狩人』さんですね?」

 

「ああ、そうだとも……トリニティ総合学園生徒会、ティーパーティー現ホスト、桐藤ナギサ」

 

「お互いに相手を知っているようですね。立っているのも何ですし、こちらへどうぞ」

 

 そう言ってナギサ様はあの長机ではなく、少し大きめの丸いテーブルへ移動する。

 

「どうぞ座ってください。先生も」

 

 促されるまま2人とも座る。

 

 

 

「さて、単刀直入に言いましょう。あなたは現在トリニティとゲヘナが進めているエデン条約においての不確定因子です」

 

「ほう?随分と素直に喋るじゃないか……」

 

「ええ……先生にも伝えましたし、送った事務官にも伝えてあります」

 

「一目見た限り、君はこういったことは伝えない人間だと思っているのだが……」

 

 聞くところによると現在は補習授業部1回目のテストと、夏合宿の間の時間らしい。ナギサ様はこの時期にはもう疑心暗鬼なはずだったけど?

 

 

 

「ええ、普段ならばこうして直接あなたが不穏因子だ、などと伝えることはありません。ですが、今回は別です」

 

「ほう?」

 

「あなたは()()()()()()()()()()()に入るまでの過去が存在していない。そして、転校してからわずか1日で発狂事件の関係者になっています。全面的に怪しいと言わざるを得ない」

 

「これは警告、というわけだな」

 

「ええ……もっとも、事務官から送られてきた報告書では、ビルゲンワースには何やらよからぬことをしていた容疑がかかっているので、発狂事件はあなたが起こしたのではなくその関係で起きたものだと考えています」

 

 正解はビルゲンワースも俺も犯人なんですけどね。

 

 

 

「ああ、私の経歴がないのは当然のことだ……私はキヴォトスの外からやってきたのだから。キヴォトスに経歴がないのは当然のことだろう」

 

「そうなのですか?ならば何故ヘイローが?」

 

「それは私にもわからない……外の世界で暮らしていたのだが、気付けばヤーナム自治区にいた。ビルゲンワースの先達たちが身元のない私を保護したのだ。何が目的かは知らないがね」

 

 気付けばこっちにいたのは本当だけど、身元保護は嘘です。実際は転校届が出されてからこっちに呼ばれてるからね!

 

 

 

「なるほど……その話が本当なら、あなたは加害者よりも被害者である可能性が高くなりますね。事務官に調べさせておきます」

 

「ああ……それで?私はこれからどうすれば?」

 

「とりあえずは一年生用の成績把握のテストを。その後はこちらが転校してきたあなたへ寮の部屋を用意していますので、そこへ入居をお願いします」

 

「私は集団生活が苦手でね……できれば寮という共同空間は避けたいのだがね」

 

「……それならば賃貸を借りることをお勧めします」

 

「ああ、了解だ……」

 

 狩人の夢に消えるのを見られるのはまずいし……

 

 

 

「それから、基本は先生と一緒に活動して頂きたいです」

 

「かまわないさ」

 

 “……と、いうことは補習授業部の夏合宿にも?”

 

「ええ、ついていってもらうことになるでしょう」

 

「夏合宿か……青春、というものさね……」

 

 

 

「そして最後に一つ。狩人さんの名前を決めて頂きたいです。事務官から、本名を思い出せないというのは聞いていますが……あなたを指名するときに狩人というのはいささか不便ですので」

 

「なるほど……ふむ、考えておこう」

 

「ええ、お願いします」

 

 

 

 こうして無事にナギサ様との対談は終わった。今、俺はテストを受けている。

 

 受けているんだが……簡単すぎないか?これ……(啓蒙99)

 

 まるで答えが浮かんでくるかのようにすらすら解ける……これが上位者の頭脳……

 

 その場で採点は終わり、当然100点。点数が低すぎて補習授業部入りというのは無くなった。まぁどうせ一緒に行動するし問題ないけど。

 その後は賃貸を借り、寮で一泊だけしてからそこへ引っ越すことにした。

 

 

 

 こうして、狩人様のトリニティ本校生活は始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜キヴォトス・某所〜〜〜

 

「クックック……ついに動き出しましたか」

 

「あの強大な神秘……ヤーナム自治区は恐ろしい場所なので近づけませんでしたが、まさか出てきてくれるとは……」

 

「……しかも、マダムはあの強大な神秘に気が付いていない」

 

「……クックック、私から接触を図っても問題ないでしょうね……」

 

 

 

 

 

〜〜〜トリニティ某所〜〜〜

 

「ねえナギちゃん、今日転校してきた子どうだった?」

 

「ミカさん……それを聞くのなら最初から一緒に会えばよかったじゃないですか」

 

「ごめんごめん☆用事があってね〜」

 

「はぁ……そうですね、狩人さんは……一言で言えば不気味です」

 

「そうなの?」

 

「ええ……表情が変わらず、何を考えているか読み取れない顔。なのに、喋りは饒舌で、老獪な雰囲気がありました。正直、気を許せば一瞬で飲み込まれてしまいそうでしたよ」

 

「へぇ〜?ナギちゃんがそこまで言うなんて、すごいんだねその子☆」

 

「……ゲヘナのある方角とは正反対、辺境も辺境の田舎の自治区出身なので、トリニティの裏切り者ではないと思います。そもそも彼女はエデン条約に興味が無いようでした。……しかし、注意が必要です。少なくとも、発狂事件の犯人の可能性は否めませんから」

 

「そっかぁ……同じトリニティなら仲良くできると思うんだけどなぁ〜」

 

「トリニティだって一枚岩ではないでしょう」

 

「……うん。それもそうだね☆」

 

 

 

 

 

〜〜〜アリウス自治区某所〜〜〜

 

「聖園ミカから情報のあった、ヤーナム自治区からの転校生がトリニティ本校に到着したそうです。今後は先生と共に行動すると」

 

「………所詮は一生徒、気にするまでもないでしょうが………転校してきた場所が場所ですね。今まで何人もゲマトリアが向かい、そして帰ってこなかったヤーナム自治区からきた生徒………不確定要素ではあるかもしれません」

 

「では…………」

 

「監視しておきなさい。こちらに引き入れることもできるかもしれませんから」

 

「了解しました、マダム」

 

 

 




これでヤーナム自治区編は終わりです。幕間を挟んでエデン条約編本編に絡んできます!
けれど、けれどね!ヤーナムの出番は巡り、そして伏線は回収されるものだろう?
なので、ヤーナムはまたいつか出てきます。お楽しみに。

総合評価が1000ptを超えました。ありがたい限りでございます……

前回時代考察をしていたかと思いますが、狩人くんちゃんが日本人として活動していくと見ていた方がいたようなので補足します。
日本人は『先生』と狩人の『中の人』で、私は狩人自身はイギリス人だと思っています。そして『中の人』は狩人になりきるために行動しているので、日本人らしい行動よりも『狩人』としての行動を取ります。紛らわしくて申し訳ございません!



質問きてた。

Q.(要約して)上位者は主人公以外いないのに上位者由来のはずの夢やら血の医療やら獣の病やらどうして発生してるの?というかそもそもビルゲンワース啓蒙学院の奴らは何探求してんの?

A.上位者はいませんが、上位者の概念自体はあります。この世界の上位者(外宇宙・多次元産)は色彩とかになってしまうので瞳を授けたりはしてくれませんが。
トリニティに【キリストがいないだろうに】キリスト教の教義が受け継がれていたりするのと同じように、ヤーナム自治区にも【ビルゲンワースの思想】がいつの間にか生えてきました。

この世界の狂人たちは、原作の医療教会なんかとは違い、「自分を上位者にしてほしい!脳に瞳を授けて欲しい!」ではなく、「いる筈の上位者(神)を何とかどうにかして呼びたい!できるはずだ!」が研究理念となります。【悪魔の証明】のようなものですね。
古代ヤーナムでも同じように上位者を呼ぼうと神秘をいじり回した結果、失敗して古代の生徒の神秘が暴走し、獣の病が生まれてしまったわけですね。その時代に、獣の病を外に出さないための謎結界が張られました。
血は触媒たりえるので、この世界では神秘を含んだ血なら謎結界でテクストを貼り付けられ、血の医療に活用できます。なので血の医療も成立しました。
それに付随して獣の病も薄く蔓延。しかし、獣の病は負の感情によって顕現するような描写があるので、【透き通るような青春】の混ざったこの世界のヤーナムでは大規模パンデミックは起きてません。
なお、狩人くんちゃんは上位者であると共に獣性も貯めることができますが、これは『狩人』というテクストを持っているからです。なので、ゲームの『獣の抱擁』『獣の爪』以上の完全な獣化はしません。

夢は、ミコラーシュ似の生徒が他の生徒の神秘を集めて上位者なしで独学で成立させました。天才ですね!



今宵は月も近い。小説を読むには、長い夜になるだろう
もし小説が君の手にあまり、大きく恐ろしいのならば、感想と評価をするとよい
かつて多くの読者がそうしたものだ
感想は作者のモチベを暴き、その評価は狩人の糧になる
……感想と評価をするのだ……
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