これも全て執筆時間を奪っていくナイトレインと、歴戦デスイビルジョーのせいです
キャンプ(円卓)に何度戻されたことか……
黄金が一人、彷徨い歩く。
ゆらり、ゆらりと揺れながら進める足取りは、どことなく重い。
聖堂街の大聖堂、その右にある道を進んだ
そして、その黄金の進路を塞ぐように立つ、二人の黒い狩人。
彼らがゆっくりと戦闘体制を整えたのを見て、黄金もまた斧を構える。
その貌に感情は無く、ただその瞳は獲物を見つめていた。
『ウィレーム先生、別れの挨拶をしにきました』
とある建物の中。
蝋燭の灯りのみに照らされたその空間に、二人の人間がいた。
一人は安楽椅子に揺られ、もう一人はその瞳に野心と信念の
『ああ、知っている……君も、裏切るのだろう?』
『変わらず、頑なですね。でも、警句は忘れません』
老人の言葉にまるで動じず、その男は口を開いた。
『我ら血によって人となり、人を超え、また人を失う』
『知らぬ者よ』
「『かねて血を恐れたまえ』」
「……」
その言葉を聞いたらしい
この先は……先程会った
直感が指し示すのは、蕩けた瞳よりもこの森の方だった……故に、私は先に進むことにした。
門が開き切れば、そこにあったのは一つの死体。
これが門番の本当の姿、あの悪い予感はこの怪異から齎されていたものだろうね。
もう動きそうにないそれは、懐に一つの頭蓋を抱えている。
狂人の智慧を宿したそれを回収するのは、良い気分はしないが……有用なものであると人形に言われてしまえば、手に入れない訳にもいかないね。
「さて……これが、禁域の森か」
鬱蒼とし、月明かりも遮られるような暗い森。
軽く進めばあっさりと灯が見つかり、ひとまず森へと踏み入る、という目的を達成したことを実感する。
そのまま獣を狩りつつ先へ進めば、そこにあったのは小さな村。
禁域指定されているというのに、なぜこんなところに村が……?
まあ……生き残っている村人は全員、獣へとなってしまっているようだったが……
「……ん?」
ふと足を止めれば、1箇所だけ灯りのついている古屋がある。
もしやこんな状況でも、生存者がいるのだろうか?
そう思い声をかけようとした瞬間、私が口を開くより先に声が聞こえた。
「ああ、君、獣を狩っているんだろう?ありがとう。君たちのお蔭で、私たちは助かってるんだ」
その声は優しげで、しかしどこか胡散臭く、厭らしい。
どこかオドン教会の赤衣を思わせるその声は、続けて言葉を紡いだ。
「……だが、残念かな。夜は長く、獣ばかりが増え、狩りは終わらない……やがて君も死に腐り、あるいは血に溺れるだろう。おそろしく、そして悲しいことだ」
はあ……と息を吐く声の主は、どこか憂鬱げだというのに恍惚としているような声を出している。
「……だから、君にだけ教えよう。大聖堂の右方、隠された古教会を訪れたまえ……それは神秘、きっと狩りの力になる……きっとそうなるとも……」
その言葉と共に部屋の灯は消え、妙な空気は消え去り……今まで、声が出せないほど自身が集中していたことを、今更ながらに感じることとなった。
「なんだったんだい、今のは……ん?」
不思議な空気感が去り、無意識に張っていた気を鎮める……と共に、手の中にある違和感に気がつく。
開いてみれば、そこには
それはとても特徴的で、どこかに導くような力を持っていて……
「……アーモンド?」
あるいは、扁桃……そう形容するしかない形をした石に、直感が大きく反応していた。
瞳か、森の先か、はたまたこの石か……私はどうすればいいのだろうか。
ぐしゃり、と最後の命を狩り取る。
そうして消えゆく相手の獲物を奪い、血の遺志を流し込み自身の物とした。
黄金が新たに持った命題は継承。
しかしてその在り方は、歪んだ物である。
目的が果たされたが故に黄金は鳴りを潜め、去っていく。
その気配は薄くなり、元の少女に戻るのにそう時間はかからないだろう。
結局、私がいくことにしたのはアーモンドの石が指し示す、古教会だった。
道中に新しくできたような、激しい戦闘跡があったが……なんだったのだろうか?
にしても、大きな教会だ……奥には大きな扉があり、中央には水盆らしきものが置かれている。
それ以外には特に何も無いため、礼拝用の教会ではないのだろうか?
今調べられそうなのは、奥の扉のみ。
そう思い、近づいた瞬間────
ゴゥン!
「っ!?な、にっ!?」
私の身体は、謎の力により浮かび上がった。
その力は私を圧迫し、ミシミシと身体が悲鳴を上げる。
「がっ……あっ…………」
古教会の天井の中心へと上がった私は、そこで何かを垣間見る。
それはまるで■ーモン■のような頭を■■いる多腕■怪物で■■、この■■■■して■いけ■■と■■て……■
そ■、大■な手で■私の■■握り潰■■。
アメンドーズ、アメンドーズ…… 憐れなる落とし子に慈悲を……
【素晴らしい上位者】
【憐れな落とし子】
【騙されるな】
この声は、なんだ……?
どこから……なにが……
【この先にナメクジが待っているんだ…】
【ハゲを許しはしない】
何を言っている……?
まるで意味をなさない情報が、頭の中に入ってくる……!
【狩人は、一人じゃない】
【ああ、上位者よ!】
【素晴らしい啓蒙】
啓蒙……!?
もしや、これが────
────はっ!?」
目が覚める。
身体を起こせば、そこは見覚えのない建物、その一室のようだった。
近くの灯を燈し、戸を開けば、大きな廊下がある。
「ここは、一体……?」
二階まで吹き抜けの大廊下、天井にはシャンデリアがあり、壁際にはさまざまなものが入った棚がある。
ふと視線を感じそちらへ向けば、そこには一つの扉があり……その向こう側から、何者かが私をみていた。
「……誰だい?」
「ウヒッヒッヒッ。珍しい者が来たようだ……」
その男は、絡みつくような声を出しつつ、答えにならない反応を返した。
こちらを品定めするようなその視線に不快になりつつ、私は続く言葉を待つ。
「神秘に見えるは人の幸福……だから君は幸せものだ。私に、感謝したまえよ?君のごとき下種者が、本来望んで得られるものではないのだから……ウヒッヒッヒッ……」
神秘……私にとってはもはや馴染み深いものだ。
得られる、というより既に持っているのだが……まあ、他人の神秘を感じ取れるものなどカオリ程度しかいないだろうか、それも仕方ないか。
にしても胡散臭い、赤衣を前にした時以上に胡散臭い。
警戒するに越したことはないだろうね……
敵を倒しつつ進む。
どうやらここはビルゲンワースの学び舎、その教室棟のようで、出てくる敵はその生徒たちのようだった。
溶け出し、異形となった生徒たちの服装が、カオリと同じであったことからわかったことだが……ならば尚更、あの胡散臭い男が何者なのかわからなくなってくる。
教室をいくつか周り、見つけたのは幾らかのメモ。
“ウィレーム先生は正しい。情けない進化は人の堕落だ”
“上位者狩り。上位者狩り”
“ローレンスたちの月の魔物。「青ざめた血」”
“3本の3本目”
そして、悍ましい実験の実態……大量の目玉や
一応、赤子の形をした肉塊は回収したが……
青ざめた血……月の魔物?なんの関わりがあるのだろうか。
そして、上位者狩り……神を、狩る……
一体どういうことなのか、皆目見当もつかない。
情報が足りなすぎる……そう思いながら敵の大群を倒し、宝箱を開ける。
そこには……一匹の、手のひら大ほどのナメクジがいた。
「っ……」
思わず身を引いてしまうが、そのナメクジは特になんの反応も返さず、ただ這いずるだけだった。
直感が、最大級に反応している。
警鐘ではなく、むしろ喜ぶように。
「……このナメクジが、重要だとでもいうのかい?」
恐る恐る手を差し出せば、這いずりのっそりと手に乗るナメクジ。
直感的にこれをどうすればいいのかは……今わかったが……本当に、やるのか……?
……仕方がないか。
ビルゲンワースの教室棟、その最奥の扉に存在する戸を開け、闇の中を進めば……そこは、明るい空の広がる岩山だった。
悪夢の辺境、そう直感がこの地の名前を告げる中、私は銀の獣の背を仕込み杖で貫く。
大きな口を持ったこの銀獣は、直感の反応具合からしても厄介な敵なのだろうが……体幹を削りやすいとなれば、死角からの暗殺が最も効率がいいだろうね。
さまよう悪夢というらしい敵を倒し、武器の強化素材となる血の結晶を集める。
その後道中にいた狩人を倒して先へと進めば、そこは一面が毒の沼地だった。
「……ここを進むのかい?」
正気か、と思い他の道を探せば、案の定別ルートがあった。
四足歩行の銀獣は厄介だったが……まぁどうにでもなる、その先にいた岩を投げてくる大男のほうが苦戦したくらいだ。
「……で、君は……今、何をしようとしていたのだい?」
「ウヒッヒッヒッ……これは酷い誤解、というものだ。確かに私は君の後ろから勢いよくぶつかりそうになり、たまたまそれを受け止めた君が下に落ちるような場所にいた、というのは事実だが……」
「それが全てじゃないのかな」
仕込み杖の刃を、男の頭に当てる。
スキンヘッドの男は、パッチと名乗った。
男、といっても真っ当なものではなく、首から下は蜘蛛……さながら人面蜘蛛といってもいい形をしている。
なんとも冒涜的で信じがたい生命体である彼は、私が谷底を覗き込んだ瞬間に後ろから突き落とそうとしてきたのだ。
直感がなければ、避けることもできずに谷底へ落ちていただろうね。
「ウヒッヒッヒッ……たとえ私が君に生贄を望んだとしても、それは心の中のこと。誰も与り知らぬ、ノーカウントな事象というものだよ……ウヒッヒッヒ……ウヒッヒッヒッヒッヒッ……」
頭に刃が当てられているというのに、その冷静さは健在であり、薄気味悪い笑みを浮かべている。
処遇をどうするか、だが……確かにまだ何かされたわけではなく、未遂に終わっているのだから、彼に何かをする筋合いは無い。
それになぜだか目の前の彼のことは憎めないんだ、本当に何故だかはわからないが……
「……はぁ、仕方がない……今回は見逃すよ。早く立ち去ってくれ」
「ウヒッヒッヒッ……そう来なくてはな」
カサリ、と8本の足を蠢かし、パッチは壁面を器用に上り去っていく。
去り際にちらり、とこちらを見た気もしたが……復讐心なんかがあるようには見えない。
改心……ではないだろうが、少なくとも今後害を与えてくることはない……はずだ。
私は気を取り直すと、憂鬱になりながらも毒沼の方へと歩き始めた。
「……ここが、最奥かな」
毒沼を超え、阻むように此方を苦しめた脳と瞳の怪物を倒した私は、ついにこの領域の最奥へと辿り着いた。
寂れた不思議な空間の正面にあるのは、独特な作りの塔。
その周囲は岩山により囲われ、自身は岩山の中心の盆地となった広場に立っている。
地面は土であり、見たこともない背の低い植物がまばらに生えている。
まるで岩の杭のようなものが地面に幾本も突き刺さっており、何かの儀式場かとも思えてくる。
このようなところに、何もないはずもなく……私の直感は、上を常に指し示している。
それに従い、塔の頂上を見上げてみれば……
■■■■■■■■■■■■!!!!!
一体の異形が、天を裂かんとするかのような咆哮を上げながら姿を現し、目の前へと飛び降りてきた。
ズキリ、脳裏によぎる。
“アメンドーズ”、上位者たる存在の一柱。
「……力を手に入れるために、狩らせて貰うよ」
その正気を疑うような暴威へと、私は駆け出した。
〜カオリ小話〜
“そういえば、カオリは外の世界で頼れる人とかはいなかったの?”
「そうさね、私が慕うような人間も何人かは居た。狩人狩り、連盟の長、血族の女王、教会の住人……ああ、あとは『全知』か」
“全知?”
「全知、ミレニアムにあるという最高クラスの学位……という噂だ。先生ならば会ったこともあるだろう?それと同じ称号を
“へぇ……”
「生存競争に明け暮れる街で外を歩けるほどの剛の者で、しかし偏屈な老婆だった。『あたしゃ知ってるんだよ!』の言葉で幾度も此方を黙らせてきたね……」
“……それ、ただの頑固なお婆さんなんじゃ……”
「とんでもない。彼女はあらゆるものを知っていたのさ……その証拠に、とある秘匿された学院が作り出した門外不出、製法不明の鎮静剤を何処からか手に入れられるほどの知識があったのだから」
“ふうん……それなら確かに、特別な人だったのかもしれないね”
「しかし残念かな、全知というのは人には些か過ぎたものだったらしい。彼女はとある夜、
“……わかった”
1話2〜3エリア消化していきたいところ
ようやくメインウェポンを手に入れたので、敵を倒すのもサクサクになるはずです
アンケートの結果、セイア編を早めに終わらせて本編に移るという結果になりました。ご投票ありがとうございました!
カオリ出てこない問題は、小話、もしくは短編として書くことでどうにかしようと考えています。
ボス戦は(重要なもの以外は)カットら!
今後もご意見等には真摯に向き合い、皆さんに楽しんで頂けるような小説にしていきたいです。
感想の規約に反する様なものに関しては、マシュマロにお願いします
https://marshmallow-qa.com/q6oga5bhs1hym1y?t=UCFc05&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
セイア編と本編
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セイア編を続け、終えてからメインに移る
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両方を混ぜる(完結後に別に纏め直す)
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両方を混ぜる(合わせて一つの章にする)