見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!   作:めろんムーン

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98.真夏のウィッシュリスト

 

 

 

 さて、色々ありつつもまずは順当にウィッシュリストを攻略しよう!ということになった。

 まあタスク早めに終わらせて遊びたいというのもわからない話ではないからな。

 

 

「ツルギ、もう少し丁寧に」

 

「ケヒャア……!」

 

「そうだ、そこをもう少し盛ってだな……」

 

「こちらの()は終わりました。イズさん、アズサさん、次は城壁を作りましょう」

 

「うん、わかった」

 

「わかりました、ヒトミさん。砂を集めてきますね」

 

 

 ツルギの手際がとてもいい。

 テンションぶち上がりだったからすぐに城を崩してしまうのではないかと危惧していたが、俺がいることで少しは落ち着いて楽しめているのだろうか?

 

 

「……あのー、いいですかカオリさん」

 

「なんだ?」

 

「なんか、もの凄い建築なんですけど……何を作っているんですか??」

 

「廃城カインハーストだが?」

 

「なんですかそれ!?」

 

 

 何と言われてもただのカインハーストだが。

 設計図、指示出しは俺とヒトミ。

 作成は俺、ヒトミ、ツルギ、アズサだ。

 俺とヒトミは脳内イメージをそのままトレースできる優秀な身体だし、アズサは手先が器用、ツルギも意外と器用でどんどん完成していく。

 

 

「血族と呼ばれる特殊な一族が住んでいると言われる城だ。ヤーナム自治区に存在している」

 

「は、はぁ……こんなお城があるなんて、ヤーナム自治区は凄いところですね……」

 

 

 せやろか?

 大聖堂がいくつも立ってるトリニティやアホほどでかい桜がある百鬼夜行ほどではないと思うんだが。

 まあ城となるとそんな反応にもなるか、たしかにキヴォトスにはあまり城というものがあるイメージはないからな……

 よし、とりあえず続きを────

 

 

 

ダダダダダダダン!

 

 

 

 

────作ろうと思ったら、銃弾が撃ち込まれて砂上の城郭が崩れ去った。

 WTF?

 

 

「ここはウチらのシマだぞ!」

 

「砂遊びしてんじゃねえぞ!」

 

 

 どうやら不良ちゃん達が喧嘩を売ってきたみたいです。

 そっとツルギを見れば、その顔はなんとまあ……般若もビビりそうな悪魔の如き形相。

 

 

「……死んだな」

 

 

 不良たちが見るも無惨な姿になったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

「こんなはずでは……」

 

 

 一通り不良を無惨な姿にしたあと……そこには膝から崩れ落ちたツルギの姿があった。

 

 

「夏が、海が、友情が……」

 

 

 ここに来たのは本来休暇、不良たちをボコボコにしたり暴れるためではない……と、そう気にしているのだ。

 しかし、そんなことを気にするような仲は私たちにはない。

 

 

 “ツルギがそれを守ったんだよ?”

 

「然り。この程度で失望するほど、我々はお前を軽く見ていないさ」

 

「……!あ、ありがとう……!」

 

 

 先生と私の言葉に気付かされたかのように元気を取り戻すツルギ。

 うん、やはり普通に笑うとかわいいな……テンション上がりすぎると強烈になるが……

 

 

 

 さて、紆余曲折はあったが無事に砂の城は完成した。

 

 

「注文は『砂の城』、つまりはフォートレス。どんな攻撃を受けても対応可能……これでどう?」

 

「すごいですアズサさん!まるで砦です!」

 

「安定感がすごいです」

 

「ど、どうやって作ったんですかこれ!?お手洗いに行っていた間にいったい何が!?」

 

 

 砂浜にはニ、いや三階建てはあろう砂城が生まれ、アズサとイズ、マシロが城壁から見下ろしてくる。

 

 

「これなら敵の攻撃があっても大丈夫。安心して、ヒフミ」

 

「同意します。逆にこちら側からは狙撃がしやすい造りにもなっていて、とてもいい感じです……ふふっ」

 

「ま、マシロさんも乗っちゃったんですか……!?しかも楽しそう!?」

 

 

 うむうむ、元気そうで何よりだ。

 ツルギも砂を集めるのにエネルギーを使えて満足そうにしているし、先生もヒトミも保護者顔で見ている。

 

 とりあえず全員で写真を撮り、砂の城の中に入ったその時。

 

 

ドカァァァァァァン!!

 

 

 し っ て た。

 ここキヴォトスで銃撃戦が起こらない場所なんてないからな……こんな目立つ場所にでかい建物があれば襲撃があるのも当然だろう。

 

 

「敵を発見、3時の方角!水着のスケバンが多数!」

 

「おらおら!さっきの仕返しだ!」

「こんだけいりゃ負けないだろ!覚悟しやがれ!」

 

 

「……」

「ええ……」

「ああ……また犠牲者が……というかスケバンもあれだけギタギタにされて報復に来る精神はすごいな、そこだけは見習いたいぐらいさね」

 

 

 意気揚々とアズサとマシロが迎撃準備をしツルギが飛び出していくのを尻目に、俺はため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 さて。

 戦闘が終わったはいいものの、砂の城は結局呆気なく崩壊してしまった。

 まあ銃弾や爆弾の遮蔽になっただけで十分役割を果たしたといえよう……

 

 

「随分と喧騒の輪から外れていますね?」

 

「ああ、ヒトミ……いやなに、青春にわざわざ割って入るのもどうかと思ってね。ツルギの方も楽しそうだし、みんなが絆を深めているうちはでしゃばりすぎないようにしようかと」

 

「……直後でハイになっていた部分が落ち着いたから、かわいい子たちを邪魔せず眺めようということですね」

 

「そうとも言う」

 

 

 いやあヒトミさんはわかっていらっしゃる。

 だからね?そんな暗黒の瞳でこっちを見ないで欲しいんだ。

 瞳の奥底が見えないんだよ物理的に、どうなってるんだそれ……

 

 

「……まあいいです、帰ったらじっくりお話ししましょうか」

 

「ハイ」

 

 

 こんな圧掛けられる謂れはないと思うんだがなぁ!

 とまあそんなことをしているうちに、泳ぐという話になったようだ。

 イズを連れ立ってこちらに聞いた先生だったが、首をかしげつつ水に近寄らない我々に口を開いた。

 

 

 “カオリたちは……その、えっと、泳げるの?”

 

「わからん。だが恐らく泳げないだろう、そういうものだ。イズ、試しに水に入って息を止めて横になってみたまえ」

 

「はい!

 

 

 試しに自分も水に入ってみる。

 そのまま力を抜くが、全く浮力を感じないし浮く気配もない。

 イズも同じようで、空気を少し出しながら少しだけがっかりした様子でこちらを見ていた。

 

 

「先生、イズを支えてみたまえ」

 

 “わかった……って、海の中のはずなのにイズ……重いね……”

 

「えっ!?」

 

「デリカシーがないな先生。まあこれは、我々『狩人』の制約と言えるものだ。我々は水に『浮かぶ』ということがおそらくできない」

 

 “へぇ……それじゃあ、泳ぎは無理かな”

 

 

 ミッションは『泳ぎを習得する』だったらしいが、肝心の泳げない組はそもそも物理的に泳げず……ということで、原作通りに泳ぎを習うふりをして写真を撮ることになったのだった。

 ちなみにミッション『砂風呂』はツルギが砂に埋めたスケバンの写真でいいらしい、ほんとか?

 

 ちなみに襲撃がまたあったが天丼は結構だ、もうさっさと制圧して無視だ無視。

 

 

 

 

***

 

 

 

 さて、昼時にもなりミッション『海の家』を済ませることにした我々は、そこで美食研究会のイズミと出会うことになった。

 

 

「わ、アカリを潰した人!」

 

「その覚え方なのは仕方がないとして、その呼び名はやめてもらえないか……?」

 

 

 そんなやりとりをしつつ、また海の家が襲撃されたので不良を伸して、イズミの『ナマコジュースのチョコレートがけ』なる特級呪物をみんなが飲み吹き出したのを俺は眺めていたのだった。

 え?俺?飲まないが?

 あ、ヒトミも飲んでないぞ、イズは飲んだが。

 

 

 そんなこんなでお次はスイカ割り、まあキヴォトスのスイカ割りは当然普通のスイカ割りではなく……

 

 

パァン!

 

 

「スイカが粉々に!?」

 

「何を驚いているの?きちんとスイカは割った、それもど真ん中」

 

「違います!違わないんですが違うんですアズサちゃん!撃たないでください!」

 

「スイカ割りって銃でやるものなんですね!」

 

「ほら!イズちゃんに間違った知識が!違うんですイズちゃん!スイカ割りっていうのは……!」

 

 

 とまあそんなこんなで結局みんな銃でスイカを粉砕するゲームになってしまった……

 俺は教会の石槌で潰したけどね?

 

 

 “カオリのが一番食べられないよ、地面のシミだよ”

 

「おかしいな、私が一番まともなはずなのだが」

 

 “加減してね?”

 

 

 あ、イズミが食べ物で遊ぶな!と突撃してきたので叩きのめしておいた。

 言いたいことはわかるが君も食べ物で冒険はあまりしてはいけないと思うぞ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 お次はビーチバレー。

 というわけで、決まったチームを発表する!

 

 

赤チーム

 

・アズサ

・ヒフミ

・ツルギ

 

青チーム

 

・マシロ

・イズ

・カオリ

 

審判

 

・先生

・ヒトミ

 

 

 戦力バランス取れてる?本当に?

 多分ヒフミとヒトミ代わった方がいいよ?

 

 

「いくよ、マシロ」

 

「どうぞ」

 

 

 先程のスイカ撃ちの時に勝負をしようとしていたマシロに向け、アズサが渾身のサーブを放つ。

 しかしマシロはそれをうまく受け止め、いい感じに俺へと繋げた。

 

 

「イズ、任せた」

 

「はい!」

 

 

 俺がトスであげた球を、イズが全力でぶったたく。

 

 

ドゴォン!!

 

 

 バレーボールで出してはいけない音とともに、音の壁を超えた球は赤チームのコートに着弾しようとして────

 

 

ギャハハハハハハ!!!!

 

 

──ツルギが滑り込み、的確に上へと弾いた。

 

 

「ヒフミ、上げて!」

 

「は、はい!?」

 

 

 アズサに言われ、何が起きたのかを理解する間もなくヒフミがボールをトスし、アズサが再びこちらの陣地へと放つ。

 

 

「そりゃ悪手じゃろ、アリンコ」

 

 

 着地した直後のイズがそのままボールを受け、マシロが上げ、打つのは俺。

 イズの砲撃を受け止められた時点で、直線ではどれだけ強くても止められてしまうだろう。

 ならば──変化球を打てばいい。

 

 

ギャハハハハハハ……ギェ!?

 

 

「いくらツルギといえども受け止める直前で()()()()止められないだろう?」

 

 

 回転をうまく使えば造作もない小細工だが、筋力99の我が身が放てばイズとまでは言わずともプロ並みの速度のアタックは撃てる。

 卑怯とは言うまいな?

 

 

ギヒヒヒヒヒヒヒ!!!

 

「カオリはやっぱりテクニックで上手。警戒していても倒すのは相当難しそう。それにイズの膂力も脅威、流石ビルゲンワース」

 

「ビーチバレーって本当にこんな感じでしたか!?」

 

 

「カオリさん、すごいです……!私もツルギさんに止められないボールを打たなきゃ!!」

 

「ふふ、イズさんもまだまだ伸び代があると思いますよ」

 

 

 うんうん、みんな楽しんでそうだな。

 そんなこんなでビーチバレーも夕方になるまで楽しんだのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 さて、日も暮れてきてやることは一つ……『花火』である。

 スケバンとアズサたちが花火で張り合ったり先生とツルギがラブコメしてたのを他所目に、俺はヒトミと空を眺めていた。

 

 

「綺麗な星空ですね……ヤーナムでは、こんなものは見れませんでした」

 

「ふむ……そうか、君が星空を見るのはこれが初めてになるのか……」

 

 

 ヒトミは狩人となる前の記憶がない。

 彼女にあるのはヤーナムにおける血と鉄に塗れた日々だけだっただろう。

 上位者になったとて、智識にあるのと実際に『視る』のでは得られるものも変わる。

 そういう意味では、この星空もまた大きな経験となるだろう。

 

 

「また来ようか、ヒトミ」

 

「はい、また来ましょう」

 

 

 天上のヘイローは闇夜に煌々と輝き、蒼く、碧く彩っている。

 宇宙は空にあり、いつか彼方より来たるモノを内包している。

 星々を廻す渦、その導きはどのような結果をもたらすのか……

 

 そう考えながら、我々の夏季休暇は幕を閉じていった。

 

 

 

 

 




お久しぶりです。スランプとかいろいろあって力尽きていました。
本筋に干渉しまくると永遠に投稿できないのであまり干渉しない感じでウィッシュリストは進めてみましたが、やはり本編に絡ませた方が面白いな……となり、しかしイベントは戦闘がちょこちょこ入って腰を折られて面倒だな……となり……難しいですね


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