そっか、私は転生したんだ…
この世界に生まれて最初に自覚した事は私が前世の記憶を持つ転生者だということだ。
前世の私はどこにでもいる普通のOLだった。趣味もゲームや漫画、アニメ鑑賞でかなりのオタクだったとも記憶している。
そんなある日、トラックに轢かれそうになっていた子供を見つけた私はすぐに子供を突き飛ばした。だけど私が代わりにトラックに轢かれて、死んでしまった…
気が付いたら私は赤ちゃん用のベッドの中にいた。ちなみに隣には私の他にもう一人の赤ちゃんの姿もあった。
「う~ん!二人とも可愛いな~!」
「あなたってば。まゆとまながビックリしちゃうでしょ?」
私ともう一人の赤ちゃんを見ながら会話をしていたのは夫婦と思われる二人の男女だった。たぶんこの人達が今世での私の両親なのだろう。
すると突然睡魔に襲われ、私はあっけなく眠りについてしまった…
「…ね…お姉ちゃ~ん!朝だよ~!」
「ん~…もうちょっと~…」
「ダメだって!朝ごはん出来てるんだから!」
「わかったよ~…ふぁ~…!」
可愛い妹に起こされ、瞼をこすりながら私服に着替える私。
この世界に転生して11年が経ち、私は二度目となる小学生生活を満喫していた。
私の名前は犬山まゆ。
そして私を起こしたのは双子の妹、犬山まなである。
そう、私はまなの双子の姉として、ゲゲゲの鬼太郎のアニメ6期の世界に転生したのだ。
…よりによってシリアスの見本市と名高い6期の世界かぁ…どうせ転生するんなら3期か5期の世界が良かったな~…
あ、別に6期が嫌いなわけじゃなくてむしろ好きな方だよ?鬼太郎の誕生を描いた映画も観に行ったくらいだし。
映画でもそうだったけど6期の世界はとにかく人間の闇が色濃く描かれている。そして人間と妖怪のいざこざの末、まなは鬼太郎達の事を忘れてしまった。まぁまなが大人になってから鬼太郎達の事を思い出してハッピーエンドっぽくアニメは終わったけど…ハッキリ言うけどこのラストに私は納得していない!
だってあんなに人間と妖怪の為に頑張ってた鬼太郎も人間に一度殺されちゃうし、その人間に対してのお咎めも全くなかった。そしてまなが記憶をなくしてから鬼太郎達も10年ほどまなと交流しなくなった。あまりにも可哀想だよ!
そうだ…せっかく6期の世界に転生したんだ。数々の不幸を断ち切って、大事な妹であるまなを守ってみせる!
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「ううん、可愛い妹を悪い奴から守ってみせると決意してただけだよ」
「かわっ!?…もう!やめてよお姉ちゃん!///」
何故かそう言われてしまった。解せぬ…
その日の昼過ぎ、私は夏休みの宿題の一つである昆虫採集に出ていた。
とは言っても、この辺りに虫がいそうな森ってほとんどないんだよね。どうしよ…
「ん?」
そんな時、道の隅に森に続きそうな茂みを見つける。ここにこんな道あったっけ?まぁいいや。
そう思って森に入ったものの、あんまり虫はいないようだ。もう帰ろうかな…
「わっ!デッカイ木…御神木かな?」
いつの間にか森の奥まで足を踏み入れていたようだ。
ん?あれってガシャマシンかな?何で御神木のそばにあるんだろ?
『いーれろいれろ…』
「えっ!?」
何この声!?入れろって、このガシャマシンにお金を入れろって事?
『いーれろいれろ!いれろ!いれればいれずんば!』
うるさっ!しょうがない、入れてみよ。10円玉で良いかな?
…あ、いけた。普通にカプセルが出てきたよ。石だけど…
少し硬かったけど、カプセルを開けてみると中から真っ白なお化けのような人が出てきた…人じゃないか。
「ワタクシは妖怪執事のウィスパーです!封印を解いてくれたお礼に、あなたの執事になりましょう!うぃす!」
お化けの名前はウィスパーというらしい…ん?ちょっと待って…御神木…ガシャマシン…妖怪執事のウィスパー…
妖怪ウォッチだコレ!!
「驚くのも無理はありません。ワタクシ達妖怪は普通の人間には見えませんからね~!」
いや、それに驚いてる訳じゃないんだよ…
妖怪ウォッチというのは前世で流行っていたゲームが原作の妖怪作品の事。私の好きな作品の一つでゲーム、アニメ、漫画、映画と大体のメディアに手を出していたくらいだ。懐かしいな~。
あれ?ってことはこの世界は6期鬼太郎と妖怪ウォッチが混ざった世界なのかな?
「ウィスパーだったよね?人間には妖怪が見えないんだよね?人間が妖怪を見る方法ってあるの?」
「おや、怖がらずにそのような事を聞けるとは…ありますとも!」
そう言ってウィスパーが出してきたのは少し大きな時計…妖怪ウォッチだった。
スゴッ!本物だよ!
「それは妖怪ウォッチ。妖怪と人間を繋ぐコミュニケーションツールです」
私は腕につけた妖怪ウォッチを見ながらウィスパーの説明を聞いていた。
そういえば、私がウィスパーと出会っちゃったけど妖怪ウォッチの主人公であるケータ君はどうなるんだろ…きっと文字通り普通の人生を送るんだろうな。ごめんねケータ君…
あれからあっという間に2年の月日が経ち、私とまなは今日から中学1年生になる。
私はふと下着姿で鏡を見ていた。どこがとは言わないけど…デカいな。前世の私にはなかったものだ。
「お姉ちゃ~ん。そろそろ学校に行くよ~!」
「あっ、今行くよ~!」
私は急いで中学の制服に着替える。
「いや~!あっという間にまゆちゃんもまなちゃんも中学生ですか~」
「な~にウィスパー?年頃の女の子の着替えを見たのを誤魔化してる?」
「そ、そんなこたぁございませんよ!ワタクシはまゆちゃんの執事としてちゃんと目を逸らしていました!」
「ニャンて言って、実はまゆの事エロい目で見てたニャンよ」
そう言ってウィスパーの犯した罪を告発したのは居候のネコ妖怪、ジバニャンだ。
「何言ってんだジバ野郎!ていうかあーたもこの部屋にいたでしょうが!」
「オレっち猫だから気にしないニャーン!」
「私もジバニャンなら気にしないよ」
そう言って私はジバニャンの頭を撫でる。
「ニャ~ン!」
「何でうぃす。この扱いの差は…?」
「アハハ、冗談だよ」
私はウィスパーの頭のホニョホニョを揉む。
「あ~!気持ちいい~」
「ちょ、どこ触ってるんですか!?」
おっと、そろそろ行かないと!まなが待ってる!
「では行きましょう!」
「まゆ~。帰りにチョコボーを買ってきてニャーン」
「いやあーたが行けよ!」
「うん!わかった~!」
そう言って私とまな、ウィスパーは学校へ向かっていった。
ちなみにまなにはウィスパーの姿が見えていない。
でももう少しで鬼太郎と出会って、妖怪が見えるようになる。
まなが危険な目に合うのは許容できないけど。早くウィスパーとジバニャン、沢山の友達妖怪を紹介したいな…
犬山まゆ
CV:藤井ゆきよ
犬山まなの双子の姉。前世は三十路のOLでアニメやゲームが大好きなオタクでもあった。6期鬼太郎も見ていた為、これからこの世界で起こる様々な出来事を知っており、不幸な出来事を変えようと決意している。容姿、髪型、声もまなとほぼ同じである為、まなと間違われない様に普段はポニーテールにしている。ちなみに名前は漢字で『