私とまなが中学生になって二週間が経った。
朝ご飯を食べ終えた私は自室でスマホであるネット記事を閲覧していた。
「おや?何を見てるのです?」
「ウィスパー。これ見て」
私はネット記事をウィスパーに見せる。
「何々…『渋谷に謎の巨木が出現。人が木になったという目撃証言あり』人が木にでうぃす?」
「そうみたい。ウィスパー。人を木に変える妖怪っていたりする?」
「ハッハッハーッ!そんな妖怪見た事も聞いた事もありませんね~!」
「まゆ。ウィスパーの言う事は当てにしない方がいいニャンよ~」
「それもそうだね。ウィスパー、妖怪パッド借りるね」
「あっ、ちょっと~!」
私はウィスパーから妖怪パッドを借りて人を木に変える妖怪について検索する。
「あったよ」
「うぃすー!?」
「妖怪『のびあがり』。人間に苗を植え付けて吸血木に変える妖怪…だってさ、ウィスパー?」
「吸血鬼?ドラキュラニャン?」
「吸血
「も、もちろんワタクシには最初からわかっておりましたよ!」
「嘘つくなニャン…」
「はぁ!?ワタクシ噓なんてついてませんけど~!?」
「はいはい。嘘つきは警察に行こうニャン」
「んだとジバ野郎!!」
私はいつも見るような二人のやり取りを見ながら、今渋谷で起きている事件について考える。
6期鬼太郎の第一話は人を吸血木に変える妖怪、のびあがりが敵として出てくる。そう、いよいよ今日から6期の物語が始まるんだ。
そして本物の鬼太郎にも会える。早く会ってみたいな~。
「お姉ちゃ~ん!そろそろ行こ~!」
「今行くよ~!」
「あっ!待ってくださうぃす~!」
私とまな、あとウィスパーは家を出て学校へ向かい始めた。
「違うよ!妖怪のせいだって!」
「ん?」
その道中、三人の男の子が何やら言い合っていた。一人はうちの隣に住む裕太君。あとの二人はまなのクラスメイトの蒼真君と小学生の大翔君の兄弟だ。
裕太君は二人に嘘つき呼ばわりされて泣いていた。
「あいつらまた!…そこの兄弟さん!」
真っ先に行動に移ったのはまなだった。
「またいじめてるのかよ?」
「おはよう三人とも」
「ヤッべ、デカまゆとデカまなだ!」
「呼び捨てにすんな!」
そう言ってまながチョップしたのは発言した大翔君にではなくて兄の蒼真君の方だった。痛そ~…
「な、なんで俺が…」
「まぁ小学生相手にチョップはマズいからね…また大翔君が何か言ったらチョップ受けてあげてね」
「ひ、ひでぇ…」
「それより裕太君。何を話してたの?」
蒼真君の「それより!?」というツッコミを遮って私は裕太君から話を聞くことにした。
「…おばあちゃんが言ってたんだ。人を木に変える妖怪が、何百年も前に封じられたって…きっとそいつが復活したんだ!ねぇ!まゆ姉ちゃんとまな姉ちゃんは信じてくれるよね!?」
「え、えっと…」
「もしかして、のびあがりって妖怪じゃないかな?」
「う、うん!そうだよ!」
「そういえばお姉ちゃんって、妖怪について詳しいんだよね?」
「まぁね~」
「何言ってんだよ。妖怪なんているわけないだろ?」
「いるよ!見えないだけなんだ!」
「じゃあなんだ?その見えない妖怪が俺達の近くにいるってのか?」
白くてホニョホニョした妖怪ならすぐそばにいるよ?
「おばあちゃんが言ってたよ!妖怪ポストに手紙を入れると来てくれるって!」
「誰が?」
「…鬼太郎が」
「鬼太郎?」
おっ、鬼太郎の名前が出てきた!
「ハハッ!なんだそれ?」
「鬼太郎は悪い妖怪を退治してくれるんだ!」
「ハッハッハーッ!裕太君には悪いのですがそんな名前の妖怪見た事も聞いた事もうぃす!?」
「お、お姉ちゃん?どうしたの?」
「まなが知らなくても良い事だよ?」
「う、うん…?」
まなにそう言って、私は地面にめり込ませたウィスパーに小声で話しかける。
「ウィスパー。空気読んでね?」
「す、すみません…」
「裕太君。妖怪ポストがどこにあるか知ってる?」
「…ごめん、知らない」
「ほら見ろ!やっぱ嘘なんじゃん!」
「まだわからないよ」
そう言って私はスマホを取り出す。
「ねぇ、何したの?」
「ネットで妖怪ポストがある場所聞いてみたの」
すると私の質問に対して返信が来た。きっと原作通り猫娘が送ってくれたんだ。
私達は送られてきたマップデータを見ながら妖怪ポストがある路地裏の前までやってくる。
あれが本物の妖怪ポストか~。
「なんだか怪しいポストですね~」
「妖怪だって基本怪しいんじゃないかな?」
私とウィスパーは小声でそんな会話をしていた。
「あのポストに手紙を入れればいいのね…」
「うん…そうすると、鬼太郎がカランコロンって来てくれるんだって」
「カランコロンってなんだよ?」
「カランコロンはカランコロンなんだよ!よく知らないけど…」
「それって…下駄の音じゃないかな?」
「ぷぷっ!今時下駄って…」
大翔君が馬鹿にするようにそう言うとまなのチョップがまたまた蒼真君の頭にクリーンヒットした。
「兄ちゃん!?」
「わかった!お姉ちゃんが出してあげる!」
そう言ってまなは蒼真君の背中を机代わりにして手紙を書き始める。
手紙を書き終えたまなは路地裏に入っていく。路地裏は薄暗くてどこか不気味だったから私もついていこうかと聞いてみたけどまなは「私一人で大丈夫!」って言って断ってしまった。妹の成長に嬉しいような、寂しいような…
「入れたよ~!」
「お前、呪われるぞ~!」
「なんだと~!?…わっ!?」
「まな!」
まなが路地裏に落ちていた瓶で転んでしまったのを見て私はすぐにまなのそばに駆け寄った。
「大丈夫?」
「な、なんとか…蒼真は!?」
「もう行っちゃったみたいだね…」
「あんにゃろ~!今度会ったら覚えてろ~!」
「あの…」
すると裕太君が私とまなに話しかけてきた。
「…ありがとう、信じてくれて!」
そう言って裕太君は嬉しそうに去っていった。
「…」
「妖怪が信じられない?」
「うん…21世紀に妖怪なんて、いるわけないよ」
「そっか…」
「まぁ、それが普通の反応ですからね…」
ウィスパーの反応が聞こえてくるけど、これもまなには聞こえてないんだよね…
そういえば、まなの顔がちょっと汚れてる。さっき転んだ時に出来たんだね。
「まなってば、顔が汚れてるよ」
私はハンカチでまなの顔を拭く。
「…よし!綺麗になったよ!」
「ありがとう。でも、お姉ちゃんのハンカチが…」
「気にしなくていいよ。洗えば済む事だしさ」
私はまなの頭に手を置いて優しく撫でる。
「お、お姉ちゃん!?」
「あんなにちっちゃかったまなが裕太君の頼れるお姉ちゃんか~。お姉ちゃん嬉しいよ~!」
(また始まったでうぃす。まゆちゃんのシスコンモード…)
「も、もう!子供扱いしないでよ!///」
まなは恥ずかしそうに私の手を払ってしまう。照れてるところも可愛いな~。
「…でも、ありがとう!」
まなは笑顔で私にお礼を言ってきた。うぅ~!また撫でてあげたい!
「あの~まゆちゃん。学校は良いんですか?」
「えっ…あ、そうだった!学校に急ぐよ!」
「あ、うん!」
私とまなは急いで学校まで走っていき、なんとか遅刻せずに済んだ。
それからあっという間に放課後になり、まなから一緒に帰ろうと誘われたけど私はそれを断ってウィスパーと一緒に巨木があるという渋谷の中心まで来ていた。
「どうですかまゆちゃん?」
「う~ん…妖気はあるんだけどちょっとだけだね」
私は巨木を妖怪ウォッチでサーチしてみるけど残ってるのは僅かな妖気だけだった。
「あれ、お姉ちゃん?」
するとそこへまながやってくる。そばには奇妙な恰好をした男の子の姿も…
「まな?それと…君は?」
当然私は前世の記憶で彼を知ってるけど、でも知ってる素振りを見せると流石に怪しまれそうなので普通に名前を訊ねる。
「…ゲゲゲの鬼太郎だ」
原作主人公登場!
次回も楽しみに待っていてください!