妖怪ウォッチを持つ犬山家長女   作:のぞむ

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VSのびあがり①

「…ゲゲゲの鬼太郎だ」

 

まなと一緒にいる男の子、鬼太郎君は淡々と自己紹介をしてきた。

 

「私は犬山まゆ。まなの双子の姉だよ。よろしくね」

 

私は鬼太郎君に手を差し伸べす。鬼太郎君はその手を取り、私と握手をする。

 

「ほう、まなちゃんのお姉さんか。よく似ておるの」

 

すると鬼太郎君の髪から身体がついた目玉が出てくる。

 

「この人は、僕の父さんだ」

 

「目玉親父じゃ!よろしくの、まゆちゃん」

 

「初めまして。よろしくお願いします」

 

「えっ!?お姉ちゃん驚かないの!?目玉だけのお父さんだよ!?」

 

「まぁ、こういう事には慣れてるからね」

 

「…ところでまゆちゃん。随分変わったお供がいるようじゃな」

 

そう言って親父さんと鬼太郎君はウィスパーに目線を移していた。

 

「申し遅れました。ワタクシはウィスパー。まゆちゃんの妖怪執事をしております」

 

ウィスパーは丁寧に自己紹介をする。

 

「変わったお供…誰もいないよ?」

 

ウィスパーの事が見えてないまなはそう呟いて首を傾げる。

 

「…まなもいるので彼についてはまた後で説明しますね。それより鬼太郎君達は何しに渋谷に?」

 

「おっとそうじゃった!今は吸血木について調べんとな」

 

「ねぇねぇ!お姉ちゃんのそばに誰かいるって言うの!?」

 

ごめんねまな…妖怪が見えるようになったら絶対に話すから。

 

「でも父さん。吸血木を操る妖怪、のびあがりは何百年も前に封じられたはずでは?」

 

そういえば、裕太君もそんな事言ってたっけ…

 

「えっとまなちゃん。そのスマッシュとやら、便利そうじゃな」

 

「スマホだけど…やってみる?」

 

親父さんはまなのスマホを触らせて大興奮していた。というか、6期だと猫娘もスマホを持ってたけど、なんで親父さんはスマホを知らなかったのかな?

 

「おおっ!これは凄いぞ鬼太郎!」

 

「そうですね父さん」

 

興奮気味の親父さんと違って鬼太郎君は興味がなさそうだね…

 

「鬼太郎!恐らくこれじゃ!」

 

親父さんが見つけたのは最初に吸血木にされた動画配信者のチャラトミの動画だった。私こいつ嫌いなんだよね~。吸血木にされる前も交通の邪魔をする様子を配信してたし。

 

動画の中のチャラトミは封印の札を剥がしてのびあがりが封印されてると思われる石を粉々に破壊していた。

 

「バカモンが!のびあがりの封印を剥がしおって!」

 

ごもっともすぎる。そもそもチャラトミが吸血木にされたのは自業自得だと私は思う。正直助ける気はあんまり起こらないけど、関係ない他の人も木にされてるんだから見過ごす事は私にはできない。

 

「ここから僕達がやる。君達は帰れ」

 

「待ってよ!私が手紙出したんだよ!ついていっても良いでしょ?」

 

「まな。鬼太郎君の言う通りだよ。ここは任せよ?」

 

「お姉ちゃんまで!何があっても私も行くよ!」

 

「危険な目にあうぞ?」

 

「だから?」

 

「…一回は忠告したからな?」

 

「さ・れ・ま・し・た!」

 

もう…一応止めてはみたけどダメそう…しょうがない。

 

「鬼太郎君。私も一緒に行ってもいいかな?まなが邪魔しそうになったら私が止めるし、私も鬼太郎君の邪魔はしない。どうかな?」

 

「わ、私邪魔なんてしないよ!」

 

「鬼太郎。見たところまゆちゃんはかなり冷静な子じゃ。連れて行ってみてはどうじゃ?」

 

「…わかりました、父さん」

 

表情が読み取れないからどういう感情なのかはわからないけど、鬼太郎君は承諾してくれたみたいだ。私とまな、ウィスパーは鬼太郎君についていく。

 

「まゆちゃん。本当に大丈夫なんですか?」

 

「何が?」

 

「何って、のびあがりってかなり危険な妖怪みたいですよ?ここは鬼太郎さんに任せた方が…」

 

「確かにそうなんだけど、まなの事が心配だからさ…それにいざとなったら誰かを呼び出せばいいし」

 

「それもそうですね。まゆちゃんはこれまで沢山の冒険をしてきましたし」

 

「大袈裟だって」

 

「お姉ちゃん?何ブツブツ言ってるの?」

 

「あっ、何でもないよ」

 

鬼太郎君達に会った今ならウィスパーやジバニャンの事を話しても信じてくれるかもしれないけど、たぶんまだ半信半疑の筈だからもう少し黙ってよ。

 

 

 

 

 

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一方鬼太郎と目玉親父は犬山姉妹から少し離れた場所で何やら話し込んでいた。

 

「そういえば、まゆちゃんがつけていたあの腕時計…」

 

「ああ、やたら大きな腕時計をつけてましたね…」

 

「う~ん…あの腕時計、どこかで見たような気がするんじゃが…」

 

「本当ですか?」

 

「確か60年程前に見た気がするのじゃが…スマン、思い出せん…」

 

「そうですか…」

 

ひとまずこの疑問は後回しにし、鬼太郎達はのびあがりがいると思われる場所まで向かっていった。

 

 

 

 

 

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私達は東京の地下っぽい場所までやってきていた。

 

「ねぇ、ここってどこなの?」

 

「大都市に降り注ぐ雨を一時的に溜めておく地下貯水槽のようじゃ。人間なのにそんな事も知らんのか?」

 

「し、知ってるし!」

 

「はいはい、ムキにならないの」

 

私はムキになっているまなを宥める。

 

「この奥であの馬鹿者がのびあがりの封印を剥がしたんじゃ!」

 

「!」

 

すると鬼太郎君の髪の毛が針の様に尖る。これが妖怪アンテナって奴かな?

 

ん?ということは…

 

「…よし」

 

私は妖怪ウォッチをサーチモードにして、その時に出てくる光をあちこちに当てる。

 

「まゆちゃん?何をしとるんじゃ?」

 

「この腕時計、妖怪ウォッチで妖怪を探してるんです」

 

「ほう、妖怪ウォッチとな…」

 

しばらく辺りを照らしてみると通気口のような場所から出てくる一つ目の妖怪を見つける。

あいつがのびあがり…妖怪パッドで見た姿と同じだ!

 

「間違いない!のびあがりじゃ!」

 

「はい!」

 

鬼太郎君と親父さんはのびあがりに気づかれない様に小声で話している。

 

「…何もいなムグッ!?」

 

「シッー…!」

 

やっぱりまなには見えていない為普通の声量で喋りそうになったいたけど私が慌ててまなの口を抑える。

 

だけど遅かった。のびあがりは私達の方に気づいてこっちに向かってきていた。

 

「まな!」

 

「キャッ!」

 

まなを突き飛ばした一瞬でのびあがりは私を捕らえてしまった。

 

「「まゆちゃん!?」」

 

「しまった!」

 

「えっ?な、何でお姉ちゃんが浮いてるの!?」

 

ヤバい…誰かを呼ばないと…!

 

だけどのびあがりは私の手もガッチリ掴んでいるからあれ(・・)が取り出せない。っていうかあいつ、種みたいなものを近づけてきてる…マジでヤバい!

 

「リモコン下駄!!」

 

間一髪のところで鬼太郎君が下駄をのびあがりに当てて、何とかあいつから解放された。

 

「ケホッ!ケホッ!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「まゆちゃん!大丈夫ですか!?」

 

「な、なんとか…鬼太郎君は!?」

 

私はすぐに鬼太郎君の方を見たけど、鬼太郎君はのびあがりに捕まって種を植えられてしまっていた。

 

「いかん!あれは吸血木の種じゃ!」

 

親父さんがそう言うとのびあがりはその場から逃げてしまった。

 

「逃げられてしまいましたね…」

 

「うん…」

 

「鬼太郎!しっかりせい!」

 

「は、はい…」

 

鬼太郎君は苦しそうにしていた。すぐに駆け寄ろうとした私だったけど先に駆け寄ったのはまなのほうだった。

 

「ちょっと、大丈夫?」

 

「…ほっといて、くれ…」

 

「…ほっとけないって」

 

まなの言う通りだよ。私は鬼太郎君をおんぶする。

 

「お、おい…」

 

「まな。急いで家に帰るよ。鬼太郎君を看病しないと」

 

「う、うん!」

 

「ウィスパーは先に家に帰って、この事をジバニャンとヒキコウモリに伝えて」

 

「お任せください!」

 

ウィスパーが先に帰ってから、私達も鬼太郎君を連れて家に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから家に帰ったものの、結局鬼太郎君は家の庭で吸血木に変わってしまった。

 

「うぅ…鬼太郎~…こんな姿になってしまいおって…!」

 

変わり果てた鬼太郎君の姿を見て泣きじゃくる親父さん。私が歯がゆい気持ちでその姿を見ていた。きっとまなも同じように思っている筈…

 

「ねぇ!あれ見て!」

 

まなが指差したのは吸血木の枝だった。枝にはつぼみが一つ咲いていて、花開いていた。

 

「生きとる…鬼太郎は生きとるぞ!」

 

親父さんは嬉しそうにそう言っていた。

確かにアニメでも花が咲いていて、それが大きな実になって鬼太郎君は復活していた。

 

だけど、出来る事なら私はこの出来事を変えたかった…やっぱり簡単に上手くいかないのかな?

 

何を弱気になってるのまゆ!私は絶対に不幸な未来を変えるんだ!

 

魔女のアニエスに姉のアデル、石動零とその里の人達…それに名無しも救いたい!

 

「お…ちゃん…お姉ちゃん!」

 

「ど、どうしたのまな?」

 

「えっとね、今木の上に何かがいたの!きっと妖怪なんだよね?」

 

「…うん。そうだよ」

 

「やっぱり!一瞬しか見えなかったけど…」

 

「大丈夫。妖怪がいるって信じてたら必ず見えるようになるよ」

 

「…そっか。ありがとう、お姉ちゃん!」

 

「わっ!?」

 

そう言って、まなが抱き着いてきた。この様子を優しく見守る親父さんの姿が見えたのだった。

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