『番外編 近江遥ルート』を本来ならばこのランジュルートの後に投稿する予定でしたが、投稿者自身がやらかして先に投稿してしまいました。申し訳ございません。
別に文章自体丸ごと変えるとか、このルートだけ削除などはしませんが、ランジュルートを完結した後、投稿順番だけ変えようと思います。
「勘助! ランジュのものになりなさい!」
「
「あら? 勘助も中国語話せるの? 嬉しいわ!」
「いや、そうじゃなくてさ」
鐘嵐珠がある日同好会内で、勘助の元に来て発した第一声がコレである。勘助も中国語で何を言っているんだ? と返したがコレは勘助がランジュに意表を突かれたため苦し紛れに出した言葉である。因みに勘助は中国語を知らない。それでも簡単な言葉なら発せるので言ってみた。
「何で私が嵐珠さんのものになるんだ?」
「決まってるじゃない。ランジュの右腕は勘助になったからよ!」
「本当に何なんだ……?」
「前まではミアにアタシの曲をお願いしてたじゃない? それを今度は勘助に頼もうと思ってるのよ!」
ランジュの言葉を聞いて少しだけ話が見え出した勘助、とりあえずランジュに聞いてみることにした。
「えっと、ミアの代わりに私が嵐珠さんの曲を作れって事か?」
「ええ、そうよ! 因みにお金も出すわ、何十万あれば良いかしら?」
「いや、要らない」
「え? ちょっと!? ランジュが依頼してるのよ? 仕事として報酬を受け取るのは当然じゃない?」
「私は仕事じゃなく、同好会の活動として手を貸してやると言ってる。報酬入らないさ。本当にどうしてもって言うなら、嵐珠さんオススメのスペアリブ食べさせてくれ」
「そ、そんなので良いの? だったらランジュをあげるわ! そうしたらいくらでもスペアリブも食べたい放題よ?」
「貧乏学生にとってスペアリブ1つでも高級品なんだよ。それと、軽々しく自分のものになれなんてとか自分をあげるとか言うなよ、嵐珠さんの身体は嵐珠さんのものだろ。私なら良かったけど他の男に言ったら貴方の財力だけじゃなく身体も無理矢理奪われるぞ」
勘助の言葉に少しだけ頬を赤らめるランジュだが、すぐに勘助に言う。
「勘助にしか言わないわ、それにランジュだってそれなりに護身術も習ってるのよ」
「なら……試してやろうか?」
そう言った勘助はランジュの両手を掴む。ランジュは昔に習った護身術をやろうとするが
「え……? う、嘘、びくともしない!?」
「嵐珠さん、驕りには気をつけろよ。こういう男も一定多数存在するわけだ……よっと!」
「きゃ!?」
何も出来ないランジュを勘助がソファに押し倒した。そのまま顔を赤くするランジュに顔を近づけて彼女の唇に自分の唇を……
「こうされたら嵐珠さんも怖いだろ?」
「え?」
重ねず、ほぼゼロ距離で勘助はそう伝え、離れた。
「気をつけろ、身を持って分かっただろ? 曲に関しては最高の物を用意しておく。礼はスペアリブな」
そう言って勘助は飲み物を買ってくると、そう言って外に出た。勘助が出た後、ランジュは胸を押さえて顔を赤くしていた。
「勘助……ああ見えて男の人なのね……力、強かった」
☆
「せつ菜さん、お疲れ様です」
「あ、栞子さん! お疲れ様です。どうかしましたか?」
同好会の練習中、同じ部員である三船栞子が優木せつ菜に声をかけた。彼女曰く、どうやらせつ菜に話があるらしい。
「実はランジュの事なんですけど……」
「ランジュさん? 何かあったんですか?」
「いえ、そこまで大変なお話では無いのですが、最近ランジュが勘助さんと仲が良さそうでしたので、せつ菜さんが何かご存知かと思いまして……」
「勘助さんがランジュさんと?」
栞子の言葉に勘助の方を見たせつ菜が見たのは……
「嵐珠さん、ここのサビってこんなメロディで良いのか?」
「ええ、気に入ったわ! 流石勘助ね」
「一応歌詞も書いたけど中国語はさっぱりだから嵐珠さんがやってくれ」
「せっかくなら勘助も中国語学んでみない? ランジュが教えてあげるわよ?」
「まぁ、ミアさんにも英語教えて貰ってるしお願いしようかな」
「本当!? それじゃあ早速教材買いに行きましょ!」
「まぁ待て嵐珠さん。練習終わったらにしてくれ、先に私は嵐珠さんがコレを歌う姿を見てみたい」
「あら、嬉しい事言ってくれるわね。分かったわ、ランジュの歌声に酔いしれなさい!」
「友達だから言わせてもらうが、嵐珠さんはもうすでに魅力的だと思う」
「え!?」
「どうした?」
突然の勘助の褒め言葉に顔を少し赤くしながら驚くランジュ。勘助が何事かと聞くと、ランジュは珍しいと言った。
ランジュは良くも悪くも自身満々な性格で、自分が1番でなければ気が済まない性格であった。そのせいか、ランジュの言葉に対して大抵の人は苦笑いをして実力を認める者、嫉妬しながらも認めざるを得ない者がいた。
だが、ランジュの事を凄いとは思いながらも決して口にしない。天才は天才だから当たり前という様に、ランジュだから優れているのは当たり前だとみんなが思っているのでランジュに直接凄いとか、魅力的だとかは勘助みたいにいちいち言わない。
また、ランジュの性格もあり友達と呼ぶものがいないのもあり、勘助の友達という言葉に驚いた。
「嵐珠さんは普通に可愛いしライブ中はカッコいい。歌声も私からしたらとても良い声してるから、最初に嵐珠さんのライブを見た時から私は嵐珠さんの虜だぞ。だからこそ嵐珠さんとミアさんに興味が湧いたんだ……こういうのは我爱你って伝えりゃ良いのか? ……あれ、嵐珠さん?」
「不会吧……」
ランジュは『あぁ』など感嘆の意味である中国語を口にして顔を赤くする。勘助は勘助でランジュの魅力を本人に真剣に伝えたつもりだが、ランジュやそれを聞いてるせつ菜や栞子からしたらただの愛の告白である。そもそも我爱你なんて言ってる時点で勘助はランジュを愛していると断言しているものである。
しかも何がタチが悪いかと言うと、今は同好会の休憩中であり、多くの部員は息を切らしながらも静かにするか、少しだけ談笑するかである。そんな状況で勘助はそこそこの声量でランジュに伝えた。そうなれば当然みんなが注目してしまう。
「え? 勘助先輩とランジュ先輩ってそういう仲なんですか!?」
「勘助さん。私とは遊びだったの? 璃奈ちゃんボード『よよよ……』」
「勘助さんは私の事を弄んだんですか?」
「璃奈さん、しずくさん、私は2人が何を言ってるのか分からないぞ!?」
「いいんです、私みたいな道端に咲いた花より、花園で際立ってるランジュさんの方が勘助さんにお似合いですから……」
「しずくちゃん。今日は私と飲もう。璃奈ちゃんボード『酒持って来い!』」
「それじゃあ私は大吟醸にしようかな」
「璃奈さんは多少は冗談混じってると思うが、しずくさんはもうガチのそれじゃん」
「しず子この前黒霧島について熱く語ってなかった?」
「君たちスクールアイドルだからね? 飲酒ダメ、絶対!」
「まぁ、僕は向こうで大学生だったから多少は……飲んでません。飲んでませんので勘助さんそんなに睨まないで下さい」
「ミア子負けるの早」
しずくと璃奈の冗談に本気で返そうとしたミアだが、勘助の人を逝かせそうな目つきのおかげで事なきを得た。そんなやり取りでみんなは笑うが、ランジュだけは顔を赤くしたまま、勘助を見ていたという。
「そう、勘助は……ランジュの事好きなのね」
「え? ああ、好きだぞ?」
友達としてとは言わなかった勘助が100%悪いと思う。