あの……ここに集まんないでもらいます?え?モーセ?違いますけど? 作:今日和
夏イベ完走したぞおおお!!そしてBBドバイ310連でお出迎えしたぞおおお!!
控えめに言って地獄。
「……何も見えん」
俺は暗く狭い空間の中で一人孤独につぶやいた。
スペースは狭くあと1人が入るのがやっとくらい、出入り口はなく助けを呼ぶにも周囲の壁が厚いせいか声が反響するだけで外に聞こえている感覚がない。
ほんとまじでどうしてこうなった。
◆
「うむ…素晴らしい天候だ!我が
「抜かりありません!ファラオオジマンディアス!」
「俺も準備オッケーっす。あとモッセです」
「では行くぞ!モーセ!ニトクリス!余に付いて参れ!」
相変わらず人の話を聞かないオジマンさんを先頭に3人で近くの商店街へと足を運ぶ。
だが俺はそこまで気は重くなかった。本来なら家でグータラしていたはずで外に出る予定はなかったんだが……二トちゃんの耳かきで今日の俺は抜群に調子がいい。
昨日の耳かきは最高だったぜベイベェ……ニトちゃんの張りのある太ももと良い匂いも堪能できたし……1回太ももに顔ふがふがしてはっ倒されたけど。
しかも今日はおはガチャで星5キャラが出てきた。だから気分は最高潮!校長先生絶好調状態だぜ!
「あの……すみませんモッセさん。本来でしたら家でお休みだったところを……」
しばらく歩いているとニトちゃんがオジマンさんに聞こえないように耳元で声をかけてくる。
あっ……ちょっと感じちゃ……ゲフンゲフン。
それにしても昨日の耳かきで許したはずなんだけど……やっぱこの子性根が真面目だよね。
「気にしなくていいって。俺も耳かき堪能できたし。オジマンさんも鼻歌歌うくらい機嫌いいみたいだしさ」
でも選曲が『君が代』ってどうなん?エジプトの王様がJAPANの国歌歌っちゃってるんですけど。しかもめっちゃ声でかいし。
せっかく目立たないように着替えてもらったのに意味ねーじゃんこれ。ブックオフなのに本ねーじゃんこれ。
「にしても……結構印象変わるもんだな」
「そ、そうでしょうか?」
視線をニトちゃんが着ている服に向ける。
ニトちゃんは白の肩出しのシャツに青の短パン、赤い腰巻きという格好をしている。
前までのニトちゃんはいかにもコスプレ感のあるエジプトっぽい痴女衣装だったけど……今はどちらかというと活発で元気のある女性といったイメージが正しい気がする。
あと肩出しって良いっすね。普通にえっちぃです。健全にえっちぃですはい。
ちなみにオジマンさんは青のポロシャツに白のジーンズといった非常にシンプルな服装だった。けどいつも下ろしている前髪をオールバック風に上げている。
うほっ…いい男っすね〜。いやぁ眼福っすよ。オジマンさんは何を着てもイケメン……当たり前だよなぁ?
え、ちょ、ニトちゃん?なんで蹴ってくるの?脛はやめて脛は。地味に効いちゃうから。後々痛くなるやつだから。
「モーセ!ニトクリス!遅いぞ!何をしている!」
「す、すみませんファラオよ!」
「今行きます。あとモッセです」
余談だけど脛には青たんができてた。
◆
「うむ…商店街なるものは存外堪能できた」
「はい!食料も安いですし他の品物の品揃えも良かったです!」
時刻は正午をすぎた頃、俺達3人は昼食を終え商店街を出ていた。
思いの外楽しむことができたのかオジマンさんとニトちゃんの顔は満ち足りた表情を浮かべている。
ここの商店街は賑わいもあって活気があるし人も良い人柄が多いからな。そういった点でも頼むことができたのかも。
もしかしたらかつて自分達が治めていた国の人や街を思い出していたりしてな。
にしても魚屋の青髪の店員さんはかっこよかったな。オジマンさんとはまた違った頼れる兄貴感がすごかった。腕の筋肉も引き締まってたし今度またじっくりと見に行くとしよう。
「あ、着きましたよ2人共」
「ほう……此処が」
「綺麗な場所ですね……」
俺達が帰り際に寄ったのは商店街の近くにあった神社。
ここに来た理由はオジマンさんが商店街を歩いている最中、是非とも行きたいと要望を出したからだ。
なんでもオジマンさんは神殿に興味があるらしい。昔は自分で建てた神殿に収まらず、前々からあった神殿を改造しまくって自分のものにしたとか。
もうそれただの盗作っすわ。現代社会でやったら炎上プラス逮捕で一躍有名人になれますわ。流石っすわオジマンさん。
それに加えて『余は太陽神ラーの化身、全ての神の頂点に君臨せし者。つまり日本の神も我が眷属に値する。此度は眷属の前に我が顔を見せに行くとする』とか何言ってんのこいつ理論をぶちまけてきた。
いくらニトちゃん耳かきパワーがあったとはいえ、午前中歩き回ったせいかもうクタクタ。
すぐさま帰りたかったが無論そんなオジマンさんを俺とニトちゃんが止めきれるはずもなく、ここに来ることになってしまった。
「中々に見ない作り……ふむ…これは興味が惹かれる」
「材質は木でしょうか。装飾もかなり凝っていますね」
ぶっちゃけどこにでもある普通の香取神社なんすけどね。日本文化に接して間もないオジマンさんとニトちゃんには惹かれるものがあるらしい。
そんなことを考えていると、唐突に下半身に尿意を感じた。
「ちょっと御手洗に行ってきます」
商店街のコンビニで済ませときゃよかったな。家に帰るまで我慢できると思ったが……まあ急にここに来ることになったから致し方なしか。神主さんに言って貸してもらおう。
「えーっと……神主さんの家はっと」
神主さんの家はこの神社の敷地の裏側にある。この大きめの釣鐘の下を通るのがショートカットなんだよな。
本当は駄目だけが……善は急げ、尿意は急げだ。誰もいないし下通っちゃおっと。
◆
「で、俺が生まれたってわけよ」
俺がっていうかこの状況がだけど。
はい。説明の通りっす。下通ったら釣鐘が落ちてきてオーマイガーです。
やっべーどうすっかな。何がやばいって尿意よ尿意。もう寸前まで来てるのよこれ。あとちょいで俺の尿意の門が崩壊するのよ。超大型巨人に蹴破られるのよ。
それにめちゃくちゃ蒸し暑い。汗ダックダクだぜぇ……ワイルドだろぉ?それに野外で漏らしちまうことになったらさらにワイルドだろぉ?
「そんなワイルド嫌だわぁ」
といっても助けも呼べないしな。オジマンさん達はまだ神社に夢中だろうし……
「どうしたもんかね……」
「それはもしかしてダジャレというものでしょうか?」
「ん?いやいや……別にかねと鐘をかけたわけじゃないから。偶々よ偶々」
「そうですか…失礼しました。可笑しくてつい笑ってしまいまして……」
「そうかい……そりゃ良かった」
「はい」
「……」
「……」
え?誰こいつ?
何この子……ちょう可愛い……って待て待て。
まじで誰?ってかどっから来たの?なんで急に話に入ってんの?なんで頭から角生えてんの?
「あの……ど、どちら様で?」
「清姫です。お久しぶりですね」
「……お久しぶりです」
「はい」
……いやそうじゃなくて。
「あの……本当にどちら様で?会ったことありましたっけ?」
「あら……嫌な冗談……せっかくの運命の再会ですのに」
え?運命の再会?俺全く身に覚えがないんですけど。
「またこうして再会することができて……この清姫……大変喜ばしいですわ!」
「わぷっ」
ああああ暑っつい!!それに小ぶりながら柔らかいマシュマロが!!やめて!!俺の腹を刺激するんじゃない!!出ちゃいけなのがでちゃうから!!二重の意味ででちゃうから!!
「離れろ!!」
「あぁ…もう、いけずです。安珍様」
「安珍じゃなくてモッセです」
誰だよ安珍って。アンチか?俺のアンチか?それとも安いチ⚪︎コで安チンか?下ネタじゃねえか代われ!!
「いえ……貴方は間違いなく安珍様です。姿形は変わっていますが……私の勘が貴方を安珍様だと告げています」
急にガンダムネタ持ち出してきたんだけど。ぱっと見そういうの疎そうな格好してるのに意外とマニアックね貴方。
「それに貴方のげえむ?のお名前……アンチンマンと言うお名前ですね?」
「……ぐうの音も出ない」
「ぐう」
「お前が言うのか」
ノリ良いなこの人。ってかなんで俺のゲームの名前知ってんねん。
あとその名前はちょっとアレです。アン⚪︎ンマンに下ネタぶっ込んでアンチンマンにしただけなんです。
「それに身長体重、生まれた月日も安珍様と全く同じです」
「なんで知ってるん?」
「愛の力です」
「ちなみにここにはどうやって?」
「愛の力です」
愛の力凄すぎぃ!もうなんでもできるじゃん。愛にできることありすぎじゃん。
「そして極め付けは貴方が鐘の中にいたということですよ安珍様。私が貴方を焼き殺した鐘の中に」
「安珍じゃなくてモッセで──今なんて?」
あら?なんか暑かった筈なのに急に寒くなってきたんですけど?尿意はあったはずなのに急にスッキリしだしたんですけど?
「あの時の貴方は……私に嘘をつきました。だから焼き殺しました。今と同じように鐘の中にいる貴方を」
バイオレンスすぎるだろ。殺し方が生々しいわ。
「ですが今は許します。貴方は死という罰を乗り越えて今、私に会いに来てくれたのですから」
いや会いに来たの清姫の方な?しかも俺何も知らないし超絶一方通行だから。
「さあ……私と一つになりましょう。安珍様」
そう言うと清姫は妖しげな、そして美しい瞳を爛々に輝かせながら俺の方へと顔を近づける。
あぁ……なんかこの事態をどうにかしないと何かが終わる気がする。
それは思考を振り絞って出た解答ではなく、生物の本能的な何かで感じた答えだった。でも不思議と彼女の細い腕を振り解くことができない。それほどまでに彼女は魅力的だった。
俺は迫る彼女に抵抗できぬままその身を委ね、ゆっくりと瞼を閉じた。
あの……ここに集まんないでもらいます?え?モーセ?違いますけど?
ー完ー
「惰弱惰弱!!!」
「きゃ!?」
「おわ!?」
い、今起きたことを簡潔に話すぜ!清姫が接近してきて急になんかのタイトルが出てきたと思ったら、いきなり凄い衝撃が襲ってきて鐘ごと吹っ飛ばされた!!
「ふははは!!そこにいたかモーセよ!!直ちに帰るぞ!!見物は終わった!!此処にもう用はない!!」
「オジマンさん!!!あとモッセです」
助けに来てくれたんですね!!流石イケメン!!性格がイケメンな人は行動までイケメンなんだ!!
「ニトクリス!!」
「は!!」
「おぶっ」
オジマンさんの一声で吹っ飛ばされている俺をキャッチするニトちゃん。
あぁ……この温もり……これが母性か……
「ふん!」
「あぶし!?」
急に背中に膝喰らったんだけど。え?何?もしかして機嫌悪い?
「いえ……何故か
「ん?」
「それとは別に……なんでしょうこのアンモニアのような匂いは」
さてと……帰ったら樹海に行く準備をしますかね……死にたい……
「あっ……その……すみません」
おい謝るな。余計死にたくなる。
「私と安珍様の邪魔をする不届者が……私の業火に焼かれて死になさい!!!」
俺が死にたくなっていると、後ろからさっきと同一人物とは思えないほど顔をしかめた清姫が俺とニトちゃんの方に迫って来る。
こっわ。もうあれじゃん。ホストに貢いだ挙句裏切られたホステス通いじゃん。歌舞伎町で死ぬほど見たことある顔だわ。
「そのまま進めニトクリス!」
するとオジマンさんが俺達と清姫の間に立った。どうやら足止めをしてくれるらしい。
「退きなさい!!」
「ふっ。そう慌てるな。この余が貴様の様な小物の相手をしてやるのだ。光栄に思うが良い」
「シャアアアアア!!!」
余裕の表情で清姫の前に立つオジマンさん。それが彼女の癪に触ったのだろう。清姫は可憐な少女から巨大な炎の蛇へと変貌し、オジマンさんへと襲いかかった。
「
「神たるファラオの武勇、ファラオの神威を見せるとしよう……絶望による死を赦す!」
「えー…何あれ」
スフィンクス出てきたんですけどー。しかもビーム吐いたんですけどー。清姫吹っ飛んだんですけどー。意味わからんのですけどー。
「流石は王の中の王。ファラオの中のファラオオジマンディアスですね」
あれは流石で済ましちゃいけない気がするのは俺だけでしょうか?いいえ誰でも。
ま、うん。やっぱ俺も言葉にできないから流石オジマンさんってことにしとこ。
◆
「助けてくれてありがとうございます。オジマンさん」
「良い。友の窮地を救うのもファラオとしての宿命よ」
オジマンさん無双で清姫を撃退し、無事にアパートの前まで生還することが出来た俺達。
まさか外に出かけるだけで命の危機に晒されるとは……やっぱ外って怖いっすね。
まあとりあえず無事に帰れたし良しとしますか……
「ニトちゃんもありがとね」
「いえ、モッセさんにはいつもご迷惑をおかけしてますから」
あー……私なんともないですよみたいな感じに言いながらちょっと照れてるニトちゃん……心がぴょんぴょんするんじゃぁ……
俺は可愛いニトちゃんに心躍りながら自室の扉の鍵を開けた。
「お帰りなさいませ安ち」
やっぱ閉めた。
数秒後、もっかい開けてみた。
「お帰りなさいま」
もっかい閉めた。
数秒後、もっかい開けてみた。
「お」
もっかい閉め
「ふふ」
られなかった。扉の隙間に足を入れられた。
「なんでいんの?」
「安珍様のいる所に清姫有りです」
どっかのオジマンさんみたいなこと言わないでくんない?
「良いではないですか。これから共に同じ屋根の下で過ごす身なのですから」
はい?今なんと?
「良いではないですか」
「もっと後」
「身なのですから」
「端折りすぎだろ」
え?何?こいつも住むの?この部屋に?
「ふふふ……どうか……どうか末長くお願いします。安珍様」
本気?マジなの?ガチと書いてリアーリーなの?
あと安珍じゃなくてモッセです。
「………ちっ、あいつら……ぐっ様に寄ってたかって……!」
オジマンの服はギル様の夏服の霊衣、ニトちゃんは概念礼装のイラストで着用していた霊衣を使用しました。
控えめに言って神。