あの……ここに集まんないでもらいます?え?モーセ?違いますけど?   作:今日和

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あの、ウマ娘さん。すり抜けという悪い文明は破壊してくれませんか?


なんだかんだ銭湯が嫌いな人はいない

 

「着いたな」

 

「着きましたね」

 

 俺は新たにモーさんと言う新メンバーを連れて、冬木市の中にある銭湯に来ていた。

 

「まさか風呂がぶっ壊れるとはな」

 

「まあ……この人数ですからね」

 

 最近になってうちの風呂は非常に調子が悪かった。まあそれもそうだろう。

 

 ただでさえオンボロでお湯の出が悪かったのに加え、清姫が暴れたりモードレッドが暴れたりオジマンさんがうるさかったりするからそりゃ壊れるよなって話よ。

 

 逆に今までよく持った方だと思うわうん。

 

「ほう……中々趣向の変わった建物であるな。後ろの煙突は湯を沸かした際の煙を出しているのか」

 

「どうやらそのようですね。ここはあくまでスーパー銭湯ですので」

 

 実際に湯を掘るとなると金がかかるからな。基本そこいらにある銭湯はスーパー銭湯じゃい。スーパーサイヤ人じゃないよ?よく覚えときんしゃい坊や?

 

「さあ行きましょう安珍様」

 

 そんなことを考えていると、待ちきれなかったのか清姫は俺達をおいて銭湯の暖簾を潜り抜けた。

 

 そういや清姫は元々日本人だったか。久々の銭湯で日本人の血が騒いでるのかもな。

 

「混浴混浴混浴混浴混浴混浴混浴混浴混浴」

 

 違った。変態の血が騒いでるだけだった。

 

 残念だったな清姫。この銭湯には混浴はないぞ。諦めろカメレオン。

 

「そのようなこと問題ありません安珍様!!愛さえあればそのようなことは些細な障壁でしかありませんわ!!」

 

 OKわかった。わかったからその両手に持った特大ドリルはしまってくれ。お前絶対工事する気だろ。女湯経由男湯行きの路線開通する気満々だろ。

 

 あと安珍じゃなくてモッセです。

 

「父上!!銭湯に入る準備はこれでいいのか!!」

 

 おいモーさん。お前はありがちな間違いをするんじゃない。ガッチガチの鎧着てきやがって。絶対銭湯を戦闘と勘違いしてきただろ。

 

「あと清姫に言われた着替えもちゃんと持ってきたぞ!!黄色の帽子と緑の作業服!!」

 

 何従業員増やそうとしてんねん清姫。現場ネコじゃんその格好。ヨシって指さすようになっちゃうじゃん。

 

 ……あー、もういいわ。あとでニトちゃんにこいつらが馬鹿なことしないように厳しく見とくように言っとこ。

 

 最悪ネブタ祭り*1開催してもらってもいいわ。ぶっ殺してでも止めてもらうとしよう。

 

 ……不安だ。

 

 

 

 

 

 

「ふむ……銭湯なる物も中々に悪くないなモーセよ」

 

「ですねぇ……あとモッセです」

 

 気持ちえええ……やっぱ銭湯は最高だぜ。

 

 今日は客が少ないのか、男湯にいるのは俺とオジマンさんだけの貸切状態。

 

 そんな最高のシチュエーションで湯船から立ち登る白い湯気に包まれながら@広い湯船の中でゆったりと身体を休めることができる。これぞ、銭湯の醍醐味ですなぁ……

 

『モードレッド様!ちゃんと見張られておりますか!』

 

『ああ!ニトクリスはまだ来てねえ!今の内に開通させろ!!』

 

 これでこの会話とドリルの音が聞こえなけりゃもっと良かったんだけどな……

 

 開通させてどうすんのよ。そしてその壁の弁償は誰がするのよ。俺よ?俺。オーレオレオレオレーなのよ?

 

『あ、貴方達!!ファラオの裸を見ようとするなど不敬ですよ!!』

 

 ニトちゃん早くきてくれええええええ!!とク⚪︎リンばりで内心叫んでたらニトちゃんキタコレ。頑張れニトちゃーん。世界を救えるのは君だけだぞー。その銭湯(開通)民族をやっつけてくれー。

 

『いえ、私達の目的は安珍様の裸ですので問題ありませんね』

 

『え!?』

 

『お前さっきファラオの裸を見るのは不敬って言ってたろ?なら父上なら問題ないってことだろ?』

 

 大有りです。問題大有りです。クイズノックより大有りです。

 

『それによぉ…たまには良いだろ?家族水入らずで同じ湯に浸かってもよ』

 

『そうですよニトクリス様。私と安珍様は既に家族も同然です。家族との時間は大事にしなければなりません』

 

 何故だろう。モーさんと清姫で家族のベクトルが違う気がするのは気のせいかしら?

 

 具体的にモーさん→(父)で清姫→(夫)になっていますねこれ。

 

『で、ですが………』

 

 あれ?ニトちゃんちょっと流されそうになってない?嘘でしょ?そんな変態共の言葉に惑わされちゃうの?真面目すぎんか?でもそこが良い。いや、それで良い。

 

『ではこう考えてはいかがでしょう。今安珍様は貴方の敬愛するオジマン様の裸を独り占めして──』

 

『許せません!!至急開通させて阻止しましょう!!』

 

 ごめんやっぱ良くねーわ。ちょろいにも程があるだろ。

 

 俺ちん別にオジマン様の裸を独り占めしてたわけじゃないのよ?そりゃまあ俺も男だから?イケメンの裸に惹かれるのは当然の摂理だしさ?まったりじっくりオジマンさんの身体をこの瞳で堪能しましたとも。でもそれはあくまで生理的な欲求に従っただけのことであってね?

 

『問題ありません安珍様!!私達も生理的欲求に従っているだけですので!!』

 

 そういやそうだったわ。こりゃオジさん一本取られちった。なははは!!

 

「……上がりますか」

 

 女湯経由男湯行きが開通する前に身を隠さねば。さもなくばニトちゃんにヤ*2られ、清姫とモーさんにヤ*3られてしまう。

 

「モーセよ。どうやらそれは要らぬ心配のようだ」

 

「え?」

 

『良いですよニトクリス様!!あと少しです!!』

 

『そのままぶっ放しちまえ!!』

 

『はい!!……あら?なんでしょうこの人形』

 

『こんなのさっきまであったか?』

 

『何処となく……徐福様に似ているような気が──』

 

 

 

───ボンッ!───

 

 

 

「……」

 

 あの……爆破解体で開通しちゃったんですけど。

 

「「「……」」」

 

 そして作業着を着た女三人が倒れているんですけど。何やってんだこいつら。

 

「あっ、ぐっさm──モッセさん」

 

「徐っちゃん」

 

 呆けているとバカトリオの後ろから身体にタオルを巻いた徐っちゃんが出てきた。

 

 わーおセクシィーね徐っちゃん。でも悲しきかなあまりドキドキしませんね。凹凸の無さが本当に哀れでございます。

 

 これがニトちゃんやボンキュッボンの人なら『銭湯でタオルを巻くのは御法度ですよ!』『お、お代官様!あーれー!』ってしてやるのにその気がこれっぽっちも起きん。

 

「徐っちゃんも来てたのか」

 

「まあね。()()私の家のお風呂が壊れちゃってさ」

 

 なるほど、ウチと同じ理由でか。徐っちゃんとウチのお風呂の配管同じだしな。それならこの場所で会うのも不思議じゃないだろう。

 

「助かったわ徐っちゃん。後で胸が大きくなる魔法のコーヒー牛乳を買ってあげよう」

 

「助けた人に言うセリフじゃないね」

 

 黙れ。ありがたく受け入れろ犯すぞ。

 

 で、どうすっかなこの壁。流石にこのまま出たら店に人に悪いしな。かといってバレたらバレたで壁代請求されるし。

 

「行け!我が僕達よ!」

 

 オジマンさんが叫ぶと、背後からミニスフィンクスが大量に現れ床に散らばった壁の破片を回収し始めた。

 

「案ずるなモーセよ。この程度の修復など、我が僕達には造作もないことよ」

 

 キャー!オジマンさん!!流石頼れる痺れる憧れるぅ!!

 

「それじゃ、私も銭湯で羽を伸ばすとするよ」

 

 はいよー。ゆっくり羽と胸を伸ばしてもろてー。

 

 ふぅー……やっとゆっくりできるようになったな。壁も修復できたし、これぞまさしくゆっくりして行ってね!状態だな。

 

「モーセよ。一つ聞きたいことがある」

 

「珍しいっすね。あとモッセです」

 

 のんびり湯船を満喫していると、唐突にオジマンさんが話しかけてきた。

 

 なんやろなぁ質問て。もしかしてどうしてそんなに大きくなったんですか?ってやつか?ふむ…それなら答えは決まりきっている。

 

「貴様、あの四人の内誰を選ぶつもりだ」

 

「真面目に働きすぎたから───はい?」

 

 ドユコト?あの四人って誰よ?

 

「無論、ニトクリス、清姫、徐福、そしてモードレッドのことだ」

 

 あ、なんだ。いつメンかいつメン。ラーメンつけ麺僕いつメン!ね。

 

 つーかこの場面どっかで見たことあるな。あれは確か昔にやったレッド・グリーンでの最初の場面………

 

『この中から好きなポ⚪︎モンを選ぶのじゃ!』

 

 オジマンさんはオ⚪︎キド博士だった?

 

「あの……選ぶってどういうことですか?」

 

「惚けるでない。貴様が気づいていないはずなかろう。あの四人は貴様のことを少なからず想っているということを」

 

 ……微妙くね?ニトちゃんはオジマンさんラブだし?徐っちゃんはどっちかというか都合のいい隣人くらいにしか思ってないだろ。清姫は俺を好きだとは思うがそれはあくまで安珍だと勘違いしているだけ。本来好きなのは俺じゃなく安珍だ。

 

「まー……どーっすかねー」

 

「……」

 

 俺が曖昧に答えるとオジマンさんは何も返さずにゆっくりと瞳を閉じた。

 

 うっ……なんか凄い罪悪感みたいなの湧き上がってくるな。これはあれだ。静かに怒るお母さんタイプが怒った時の微妙な空気感だわ。

 

「モーセよ。貴様がそう言うのならば余からはこれ以上言うことはない」

 

 オジマンさんはその言葉を言うと同時に湯船から腰を上げた。

 

「ただこれだけは忘れるな。余達に残された時間は限られているとな」

 

「……それって──」

 

「余は先に出るぞ」

 

 そう言いながらオジマンさんは出て行ってしまい、この場には俺一人だけが残された。

 

 変なオジマンさん。

 

 『これ以上言うことはない』とか言いながら普通に言うことあったし。それに時間は限られてるってなんだ?人生は短いとかそういうこと?わしまだ二十代前半だけど?

 

「なんだったんだ一体」

 

 俺は湯船に顔半分を埋めブクブクと泡を立てる。頭の中ではオジマンさんの言葉がこびりつき、消え去ることはなかった。

 

 

 

 

*1
冥鏡宝典(アンプゥ・ネブ・タ・ジェセル)

*2

*3





「……コーヒー牛乳楽しみだな」
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